2019年01月19日

続・北方領土の地政学

今回は、十日以上前に虎ノ門ニュース(だったかな?)で、北方領土関連の記事が取り上げられ、「歯舞、色丹の二島」に関して、中国に売り払われる恐れの可能性を取り上げていました。

正直ブログ主は、日本とロシアと米国の間での勢力争いのみを考慮にした考察を行っていましたので、「中国領になる可能性」と言う意見を聴いた時には、自身の想定外の意見にショックを感じました。

ですので、今回は、「北方領土の地政学」と言う事で、二島返還論で取り上げられている歯舞群島と色丹島が中国に渡った時の考察について述べさせていただきます。(マジで想定していませんでした)

関連リンク


★「北方領土と千島列島」と「北方領土問題と日米露」
北方領土と千島列島に違いは、領土紛争に関心のある方なら理解していると思いますが、千島列島は、ロシア名でクリル諸島と呼ばれており、北海道からかカムチャッカ半島までの列島地帯を指します。北方領土とは、その千島列島南部の"択捉島"と"国後島"の二島と本来は北海道に付属していた(と日本政府が述べている)"歯舞群島"と"色丹島"の計四島の事を指します。

北方領土問題は、第二次世界大戦終戦時に敗色濃厚な日本との条約を一方的に破棄し、ソ連が条約破りの侵略を行った事で、今日にまで領土紛争として成立する事になりました。

日本国は、サンフランシスコ講和条約によって、千島列島の放棄を宣言しましたが、そもそも条約破りの侵略行為を受け、当該地域の統治能力を失い、また敗戦国であったために戦勝国に対しモノを言う事が出来なかったため、不平等な領土喪失を受け入れなくては成らなかったとの認識が有ります。

またロシアの条約破りの侵略行為自体を容認していないため、ロシアが占領した千島列島の特に降伏後に占領した北方領土に関しては、そもそもロシア領とは認めてはおらず、現在にまで続く北方領土問題として定着する事になりました。

この北方領土を含む千島列島は、地政学的にオホーツク海と太平洋を分け隔てる列島地帯で、冬季には領土問題と成っている北海道から北方領土の間の隙間だけが凍り付かない海峡となるため、ロシアから見れば太平洋進出の足掛かりともなる地域であると共に、水深の深いオホーツク海に核ミサイル付の原子力潜水艦を沈め、いつでも米国と相打ちに持ち込める相互確証破壊を保障する安全保障の核戦略を遂行する聖域海域を守る防衛線ともなっています。

米国から見れば、この千島列島とオホーツク海をロシアに管理させている限り、ロシアに米国に対立しうる力を持たせている事になりますが、逆にその条件さえ認めて置けば、ロシアの安全保障がある程度確保されているため、ロシアをオホーツク内内部に封じ込んだ状況を維持させると言うコントロール戦略を成立させる事が可能となります。

日本の戦略としても重要地域で、日本が米中露の三大国を争わせ軍拡させる国家戦略を実行している事から、米国に軍事負担を掛ける事の出来る大国は、いざ米国との関係が破綻したの期の同盟国にもなりますし、平常時でも相互確証破壊により米国に圧力を掛ける事の出来るロシアは、対米国をバランシングするかませ犬として利用可能なので、その力をロシアに保有させておくことは、日本の外交にとっても非常に重要な事と成ります。

ブログ主にとっても北方領土は、この様な大国を激突させるバランシング戦略を行う材料として、日本にとっても重要な地域と考えていたのですが、それはあくまでも日米露の三国にとっての重要地域であって、その他の国々にはあまり関係が無いと考えていたのですが、冒頭で述べた様に中国が手に入れた場合の考察が今まで行っていなかったため下記に記そうと思います。


★北方領土の特性(ブログ主視点)
ココでは北方領土の各島を地政学視点で見た場合、どの様な重要性が有るのかを、軍事の素人であるブログ主が自分勝手に考察する項である。

・択捉島
択捉島は、係争中の北方領土で最北端にある島で、千島列島最大の島でもある。択捉島近辺の海域は推進も適度に有り凍り付く事も少ないため、ロシアが太平洋に進出する為の海路と成っている。

・国後島
国後島は、千島列島内で人が定住し、また最大の人口を有する都市が存在している島。北海道との距離は、10数キロしか離れてはおらず、同時にこれ以降東北の千島列島の海域は、ロシアが太平洋に進出すための海峡が存在している。対日最前線の島でもある。

・歯舞群島と色丹島
北海道の根室岬に相対している群島で、北方領土の二島返還論の対象ともなっている島。もう一つの色丹島は、歯舞群島の更に東側に存在している島である。両島ともオホーツク海では無く、太平洋側に面している。


北方領土の特性として、択捉島と国後島はオホーツク海に面し、国後島と歯舞群島は北海道に面し、歯舞群島と色丹島は太平洋に面し、択捉島は太平洋とオホーツク海の双方に面しているとなる。


★もし二島が中国の手に渡ったら?
北部の二島(択捉島、国後島)は、オホーツク海に面し太平洋との壁と言う側面を有しているが、南部の二島(歯舞群島、色丹島)は、オホーツク海側に面していないため、南部の二島はロシア側から見れば、排他的経済水域の面以外からの国益は見いだせない。

そのため付加価値の低い資源産業以外では、軍事的な価値しか見出せず、以上の事から最初の出だしで述べた、中国への南部に等の売却を行うとしたら、現地に資源開発を目的としたものでは無く、純粋な資源以外の産業開発か、通商に関する投資か、軍事的な目的を有していると考える事が出来る。

これらの事を基準に地政学から見た、各国の利益と不利益を考えてみようと思う。


・ロシアの利益と不利益
まずはロシアの利益と不利益を見てみよう。まず利益だが、

第一に、ロシアのクリル諸島への投資が見込める事、

第二に、一時的に中国との関係の改善が生じる事である。(ただし悪化する可能性も有る)

不利益なところは、

第一に、中国との関係が悪化した場合、歯舞群島と色丹島を経由し海軍を送られオホーツク海の原潜聖域戦略に不備が生じる可能性が有る事、

第二に、太平洋への進出に障害が出来る事である。

第二の不利益に関しては、太平洋への道が閉ざされる可能性と引き換えに、米国との対立軸がある程度緩和される可能性も有るので、必ずしも不利益だけが生じるわけでは無いと考える事が出来る。これは米国よりも中国との関係悪化による、中国の潜在的敵国の可能性が上昇する為、中国と対立軸が成立しつつある米国と間で、米露間の関係改善が見込める可能性が有るからである。

ただし日本との関係悪化は避けられない。

下記にも書くが北方領土の南部に等を中国に渡す事により、中国が日米露の三ヵ国に軍事的に有利な状況を得る事が出来るため、逆に危機感を持ったこれら三ヵ国が同盟関係を構築する可能性が高くなり、それがロシアにとって利益に成るかも知れないと言う点は重要である。


・日本の利益と不利益
日本にとっての利益は、

仮想敵にロシアと同じく仮想敵の中国が排他的経済水域を接し、且つロシアの太平洋への海路と、中国の太平洋から北極海への航路(対馬海峡→日本海→津軽海峡→二島→ベーリング海→北極海)の双方が重なるため、利益が激突して敵対する可能性が増大する。

不利益は、

一つ目が中国に二島が渡ると日本に帰ってくる可能性がより少なくなる事、

二つ目が中国が二島からオホーツク海深海への道を手に入れた場合、ロシアの原潜戦略が無力化しロシアが中国にのみ込まれる恐れが生じるため、現在日本が行っている米中露の三大国間のバランシング戦略に不備が生じる可能性が有る点である。

ただし不利益の第二の可能性が生じた場合、日本がロシアとの関係を改善する可能性が出得てくる。


・米国の対中不利益と対露利益
米国の不利益は中国との間で生じる可能性がり、これは中国が太平洋へ大手を振って進出して来る恐れが増大する可能性が有るためである。仮に中国がロシアを先に潰すと言う選択をした場合、中国がロシアを吸収してしまう恐れがあり、それが終わった後に圧倒的に膨張した中国と向き合わなければ成らないため、米国の生存さえ危うくする恐れがある。

ただしその様なリスクが現在化する状況に成った場合、米露関係が改善する可能性が有り、それが対ロ関係から生じる利益とも言える。

日本に関しては、日本が下手な外交を行わなければ、日米関係が悪化する恐れは無いと考えられる。

・中国の利益と不利益
中国が北方領土の南部二島を手に入れる事によって得られる利益は、

第一に海洋資源を手に入れる事が出来る。

第二に北極海航路への中継地を手に入れる事が出来る。また米国に対しての太平洋への道を手に入れる事が可能となるため、米国に対して圧力を掛ける事が出来る点である。

第三に潜在的国である日本を挟み撃ちにする為の拠点を手に入れる事が出来る。

第四に潜在的敵国であるロシアのオホーツク海に身を潜める原子力潜水艦に対応する為の拠点を手に入れる事が出来る。


最大の不利益は、米国に対する太平洋進出の拠点を手に入れる事による関係悪化と、日本と敵対するリスク上昇による対日関係悪化と、ロシアとの軍事軋轢の拡大による対ロ関係の悪化の三点が同時に起こる可能性が有り、この三国が手を結ぶ可能性が上昇する事である。

≪北方領土の地政学 地図≫
北方領土の地政学


★もし二島が中国から返還されたら?
ここでもし中国がロシアから歯舞群島と色丹島の二島を譲られ、ソレを自国で使用せずに日本に譲り渡した場合はどうなるのでしょうか?

それが日本にとって「領土が戻ってきた!」と喜べる問題では有りません。

三大国を激突させ軍拡させる戦略を行っている日本ですが、二島を中国経由で返還された場合、ロシアとの関係を悪化させ続ける大義名分を保持し続ける事は出来ますが、中国との関係を悪化させる事が難しくなり、米国が対中対立を鮮明にしている現状では、日本の外交政策の幅を狭めるリスクが上昇し不利益にも成り兼ねません。

この様な事態が起きた場合、地政学のバランシングの事など知らない日本国民は、その多くが親中感情を持つ事になり、逆にロシアとの関係を悪化させる要因にも成り兼ねません。

そうなれば中露の国力さからロシアが中国にのみ込まれるリスクが上昇し、後に日本が中国にのみ込まれるリスクも上昇する事になると思われます。

以上の事から、この様な事が起こった場合、中国から二島が譲られる前に、対中関係を悪化させ、日本が外交交渉できない様な国内情勢を作る事が必要になると思われます。どの様な国内情勢下と言うと首相の暗殺や外務省の爆破テロ等で、これらが起こる内戦の一歩手前の状況に成れば、外交交渉を行っている場合では無いため、二島返還を遅らせ中国領土として定着させる事が可能になると思われます。(政治家や官僚の命は、この様場合に価値を持ちます)


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以上が血も涙もない「北方領土の地政学」となります。

ぶっちゃけ時と場合によっては歯舞群島と色丹島の二島返還が動く事が、日本の生存戦略にとって不利益に成る可能性が有りますので、当分の間はロシアが侵略者として占領し、いざ日本と関係が悪化し経済的に大打撃を被った時、見捨てられるリスクを保有したままの状況を維持してほしいと思います。

現在日本でこの様な報道が出てくると言う事は、近隣諸国に対してそれらの可能性を前提とした行動を取ってくださいと言うメッセージである可能性も有ります。本日述べたリスクを考慮した上で、ブログ主としては、ロシアや中国が親日的な行動を取らない様に祈るばかりです。

本日の考察は以上となります。


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