2019年01月31日

3-戦略的コントロールの技術的な組み合わせの一考察

今回は、大戦略で考える流動性の制御のブログ主の価値観で解釈した詳しい説明となります。

前回は流動性の制御に関する概念的な事を書かせていただきましたが、今回はどの様な事柄が制御すべき流動性の対象となるのかの説明となります。

3-戦略的コントロールの技術的な組み合わせの一考察≫(←この記事)


★エネルギーの流れは物理現象に影響される(可能性の現出)
上記で述べた流動性の制御において「どの様な行為を行えば、どの様な反応が返ってくるのか?」は非常に重要な事です。この項では「物理法則」と「物理法則によって作られた自然の循環」と「自然循環の中で構築された人界の法や生き方」を軸に、どの様な行為を行えばどの様な反応が返って来るのかの考察の項となります。


・需要(消費)と供給(生産)
まずは「需要と供給」に関しての介入に関してですが、人が生きる上での生産と消費を行わなければ生きては行けません。そして多様な産業からなる文明社会では取引を行う事によって、生命活動を維持する為の食品やエネルギー以外の産業でも生きる事が出来る様になっています。

これにより人類は他者との相互依存関係によって、娯楽などの生命活動維持に不必要な産業に従事していても生きて行けますが、これは国内だけの生産物の需要と供給による循環のみで行われているのであれば問題は有りませんが、海外からの供給によって維持されているのであれば他国依存となります。この他国依存の状況が維持されたまま、その関係が途切れた場合、自国内での生産物の供給拡大のみで対応できない場合、外部からの物資の調達を行わなければ成りません。

もしその様な事が国家間の交渉や取引等で不可能な状況であったのならば、他国への侵略を行わなければ成らなくなります。つまり外国マネーの投入による、国家の消費力や生産力の肩代わりが行われていた場合、その維持に貢献している国が、依存している国の生命線を握っている事になり、コントロール下に置いていると言えるのです。


・軍事圧力(恐怖によるコントロール)
国家をコントロール下に置くもう一つの要素が安全保障です。これは上記の生産や消費の事にも繋がりますが、基本的に国家が生きる上で最も重視しなければ成らないのが、国家を構成している国民の命と財産を保障する事で、これに直接的に加えられる外部からの圧力の代表的なモノが、軍事的な圧力となります。

この外部からの軍事的な圧力が加えられた場合、直接的な命の危機にさらされると認識するため、国民は自己の命を確保しようと攻撃的になります。たとえ政府レベルでマスメディア等の報道機関を活用し軍事的な圧力を仕掛けている国の安全性を誇張したとしても、戦う力を持たない上に隣国の状況を完全に理解している訳では無い国民は、それで自己の安全を確信できるわけでは無いため、国民世論が沸騰する事になります。

その様な状況で対立軸が成立する隣国との関係を無理に維持しようとすれば、政治家への不信から世論や政策の転換に成り兼ねませんので、政治家としてはある程度の強硬姿勢を見せる必要も出てきます。

当然それを見た隣国の国民も反撃を行った国に対して不信を抱く事になり、この両国の反撃の応酬が均衡が取れていれば、戦争にならずに緊張状態のまま有耶無耶にする事も出来ますが、均衡が崩れたり、双方の間での交渉による劇場的な国民への情報発信が出来なければ、緊張が最高潮に達し戦争になるリスクが上昇します。

緊張状態を安定的に収めるためには、両政府の間である程度の対立軸を形成したまま、徐々に矛を収める様な外交を行うのがベストだと考えられます。


では逆に軍事的な圧力がマイナス的に働いた場合はどうなるのかと言うと、軍事的な空白地帯が出来る事を意味してい居るため、もし隣国が軍事的な圧力を持って自国内で賄えないし幻燈を隣国から調達しようと考えた場合、紛争リスクに成り兼ねません。

ですので人間は環境の影響下で危機的な状況に追い込まれた時に、戦ってでも生存圏を確保しなければ成らなくなる事から、いざと言う時には戦争が不回避にな事と成ると言う国際的な了解が有るため、ある程度の軍事力は整備しなければ成らないと言うのが国際社会の礼儀となり、余程特殊な事情が有る以外では、この戦争は起こるものと言う常識を弁えた軍事整備と外交を行わなければ成りません。

以上の事から軍事圧力レベルでのコントロールとは、この軍事的圧力を行う事によるコントロールと、軍事的圧力を行わず、むしろ縮小する事による特定勢力の軍事リソースの引きずり込みによるコントロールとなります。


・正義と悪の感情
最後のコントロール対象となるのが、人間の有する感情において国家間の外交にまで発展する可能性も有る「正義と悪の感情」です。

これは国際社会における国家は、生存圏を掛けて存続している事から対立構造が生じる為にそこから生じてしまう価値観です。

人間は社会と言うコミュニティを構築して生きている生物ですので「社会構造を破壊する犯罪的な行為」や「犯罪と定義されていなくても人道的に問題のある行為」を行った場合、コミュニティから排斥される恐れがあるため「善であろうとする心」が有る事から犯罪を行わない様にする生存本能が大なり小なり有ります。

更にこの感情から「善であろうと信じ込もうとする弱い心」や「対立した相手が悪であろうと思い込みたい弱い心」が有り、これらの感情が国家を運営する上での行動や民間レベルでの国家間交流や歴史認識に影響を与える事になります。

つまり国家における対象国への感情面でのコントロールとは、現実的な国益面から政治を行っている政治家に対してでは無く、その政治家の命を脅かせる存在である国民がそのコントロール対象になります。

「対象国の国民や政治家に「自分達は悪である」と言う認識を与え、対象国に対象国に対して行う自国の行いを正当化し、対象国の民衆や政治家の発言を封じる」、又は「対象国の国民や政治家に「自分達は正義である」と言う認識を与え、他国への軍事リソースの投入を躊躇わない心理状況下に追いやる」と言った心理操作も戦略におけるコントロールの概念の内に入ります。

中には自国民に「自国(A国)は悪であると」と信じ込ませ、隣国(B国)に「B国は正義である」と信じ込ませれる情報を流し、B国の人に「悪のA国になら何を行っても良い」と言う感情を植え付ける様な情報操作を行う国もあります。これは「人間は悪である事に耐えられずに、自身を正義だと思いたがる」事から「まさか自分達の事を何の証拠もなく貶める事はしないだろう」と言う認識を逆手に取ったコントロールとなります。

この様な意図的に自国を貶め、対象の隣国等に「自己の正義感と相手国を悪と信じる敵意」を植え付けるコントロール戦略は、余程「安全保障の確立された国」か「敵対的関係を誘発させる事によって利益を確保する事の出来る国」のどちらかでしょう。


・利益と不利益
最後に最も単純なコントロールが「利益と不利益」です。基本的に上記で述べた事も大体はこの「利益と不利益」に関しての事です。

人間であれば上手い食べ物、大量のお金、高価な宝石などが利益に当たり、国家であれば高度な技術、膨大な資本、借金の帳消し、軍事的外交的援助などがこれに当たります。

ただし個人であれば、コントロールの為に行われたこれらの事で痛い目を見ても、落とし穴に嵌った程度の事だが、国家レベルでこれが不必要なまでに行われると、国家が供給できる以上の利益を得れてしまい、その利益を前提に国家の繁栄を維持した場合、その利益が持続的に確保できない時には、国家全体が破綻する事になります。ですので利益が与えられたからと言って、涎を垂らして飛びつけば、短期的には良くても長期的には国家を損なう事にも成り兼ねませんので注意が必要となります。

不利益に関しては、誰だって受けたくないのでコレに関しては詳しく述べる必要は無いと思われます。(利益の逆ですので簡単ですよね!)

これらは先に取り上げた「資本」「軍事的圧力や支援」「善悪の感情」等の全ての項において、この利益授与の行いがコントロールに値する事と成ります。



★タイミングの重要性
上記のコントロール行為を行う時に最も重要な事は「タイミング」であると考えられます。

何故タイミングが重要なのかと言うと、これはコントロール行為を行う対象相手や国が、仕掛けた側が望んだ様な行動を取るかどうかは、対象が置かれた環境が重要で、例えば対象国に対して資本注入による大規模な工業化や経済のバブル化を煽る財政支援と経済支援を行えば、注入を受けた国家の「消費力」や「生産力」や「人口」が爆発的に上がり、将来的に混乱に陥れることが可能となる。

しかし、ここで注入を受ける側の国が「増税」の様な人口抑制政策や「付加価値の低い企業の淘汰」の様な不必要な生産力の抑制政策を行える国内状況を築いていた場合、将来的にキャピタルフライトなどを起こし対象国を混乱に陥れるコントロール戦略は通用しなくなるどころか、対象国の産業の高度化と安定化に寄与する事になります。

この様にコントロール戦略を目的とした行為を含むあらゆる行為は、その行為を行う時に相手が望む反応を行う様な状況が確立されていなければ、望む反応を返してくれません。

これは孫子の水の比喩の記事で述べた"状況・帰結のアプローチ"の事で、戦略的な事を意識して何かを行おうとした時、自分達の置かれた環境を考えた上で行動を行避ければ、結果は自身の望むものには成りませんので注意が必要となるのです。


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以上が大まかな分野別のコントロールに関しての考察となります。

次回からは「マネー」「資源」「人」「技術」「情報」を利用しての人の生み出すエネルギーコントロールに関しての考察となります。

つまり今回述べた事を更に詳しく考察すると言う事です。

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