2019年02月24日
2-地政学で考える政党勢力
今回は、前回の「日本に二大政党制は必要なのか?」の続きで、日本国内での正当勢力による役割の考察を地政学の視点で見てみようと思います。
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★戦後日本の政党政治と外部環境の照らし合わせ
前回述べた様な「周辺国の影響を考慮した政策」若しくは「周辺国にいかに影響を与えるかを考慮した政策」の二点を前提に、戦後の日本の政党政治を見た場合、
戦後直後の政党は、「親米の自由党(現在の自由党とは別の党)」と「親社会主義国家の社会民主党」の二大政党が存在していました。この時の国際情勢は、第二次世界大戦が終結した直後で、米ソ関係が完全には破綻していなかった時期ですので、米ソ間にてある程度バランスを取る必要があり、そのため二大政党が存在する事自体が米ソに対するバランシングとして機能する事と成ったと考えられます。
1955年から始まった「55年体制」いわゆる自民党一強の時期ですが、この頃も一応のところは社会民主党は存在していましたが政権を取る事無く万年野党となっており自民党の安定した外交が行われていました。この頃の日本の外交環境は、米ソの関係が完全に破綻し敵対していたため不必要にバランシング外交を行う必要が無く、そのため実質上の自民党一強となり安定的な内政も実現できたのだと考えられます。
逆に言えばこの頃の政治が安定し自民党の一興に成っていたのは、米ソの対立が確定し米国が日本を守ると言う姿勢を完全なモノとしたため、不必要に波風を立てる必要が無かったため55年体制が実現したとも言えるのです。
問題は冷戦終結とバブル崩壊以降の1990年以降の政党乱立と統合の時代で、何故この様な混乱の時代に突入したのかと言うと、周辺諸国のパワーバランスの激変による混乱がその原因にあると思われます。
何故混乱していたのかと言うと当ブログで述べているグローバリゼーションの進む世界経済に対し、バブル注入を行う為の資本捻出を行う為に国内経済を混乱させる必要が有ったり、冷戦後の世界でどの勢力が台頭するのかの不確実性を考慮した結果、必要と思われる全ての布石を撃つ必要があった為だと考えられます。
正直なところこの頃の政党政治がどの様なバランシングの論理で動いていたのかは断言できませんが、唯一断言できるバランシングの為の政党があり、それが1998年に結党し2008年に一時的に政権と取った民主党で、これは台頭してきた中国を増長させ米国にぶつけるためのかませ犬として利用する為の環境を整える役割を有した政党であったと考えられます。
現在は米中の対立が明確化したとはいえ、中国とロシアの関係が明確化していないためこの両国の間でバランスを取る政党が必要になるのでは無いかと考えられます。
次の項では、これからの日本の外部環境を考えた上で、どの様な政党が必要になるのかを考察しようと思います。
★政党によるバランシング
上記のように環境をいかにコントロールするかの視点で考えた場合、現在の政党の役割をある程度考え、またどのような対外向けのバランシング内政(国内政策を海外に影響させる政策として利用する)を行う政党が必要になるのかを考察してみようと思います。
・親米国勢力(自民党)
まず最も重要な国内政党勢力は、やはり親米政党となります。日本は大陸国家が海洋に進出する為の侵攻経路提供の戦略を行っていますが、この戦略は米国に負担を押し付け疲弊させるのが目的で、ある程度の犠牲は仕方ありませんが国家が崩壊する様な事があっては戦略そのものが成立しませんので、何としてでも米国を引きずり出して日本を守らせる戦略を遂行する正当が必要となります。
第二次世界大戦以後自由民主党がこの役割を行っています。
・親中国勢力(立憲民主)
日本の行う大国間の侵略経路提供による疲弊戦略において、現在では中国をどの様にコントルーするかが重要な要素となります。そのため中国に対して日本もしくはそれ以外に国に対する進出を促すかのような、米国や周辺国と対立させる行為を援助する勢力が必要になります。
2008年の政権交代の時には民主党がその役割を果たしていましたが、その後国内政局の混乱で、民進党に変わり、更には民進党から分裂した立憲民主党がその役割を担っているのでは無いかと考えられます。
・親ロシア勢力(国民民主)
日本国内における新ロシア勢力は、第二次世界大戦当時は日本国内のコミンテルン勢力が担当し、戦後からは社会党政権が戦後直後に勢力を伸ばしその役割を果たしたと考えられます。
現在のロシアは、勢力的には拡大よりも縮小に向かっていますので、あくまでも米国に対する牽制のための相互確証破壊能力を活用するバランシングを行う勢力として利用する必要があり、この米露のバランシングに関しては、自民党が行っていると考えられます。(安倍さんはロシアに対しては、強硬な態度は取ってませんよね)
問題は、中露関係でこの中国とロシアの間で、バランシングを行う為の日本国内の勢力が必要になると考えられ、一応のところ消去法で国民民主党がその役割を担っているのでは無いかと考えています。(確証は有りません)
・親海洋アジア(自民・維新)
これからの時代で無視できそうにない勢力となるのが海洋アジア勢力で、一応日米ともに協力してインド太平洋戦略を推進する事を明言している事から、政権与党が何らかの「海洋アジア」と「その他勢力」間のバランシングを行う必要が出てくる必要があるに用に思えます。
必要ないようにも思えますが、一応米国と海洋アジア諸国との間で何らかの対立が生じたりして、何らかの対応が必要に成った時にバランシングを行う勢力が必要になると考えられます。もしかしたら維新辺りがその役を背負うかもしれません。
・内閣に対するバランシング役(公明党)
この内閣が国際環境の変化で何らかの政策変更に迫られ、急遽政策を変化させたりしなくてはならない時に、「でも政策を急変させたら面子が・・・」と言った場合、政権の内部から直接政権に影響を与えれる勢力が必要になると考えられ、この勢力に関しては今まで通り公明党がその役割を果たしてくれるものと思われます。
・九条改憲問題
日本国内で最も周辺国に影響を与えれそうなバランシング政策となりそうなものは、この憲法九条の改憲問題です。この九条の改憲をどの程度進めるかのポーズを取る事によって、ある程度の諸外国に対する影響行使が考えられます。特に現在の米中に取っては、「日本を守る負担を軽減できるかどうか?」「戦争になったら日本が敵に回るか?障害に成るかどうか?」を考えた上での政策指標になるため、非常に重要な項目となります。
そのため改憲に影響を与えれそうな勢力は、これらの大国の勢力争いの負担に影響を与えられる人達と考えられます。
一応安倍首相が改憲を掲げているようですが、本気で行う気があるようには思えません。ブログ主の主観で見た場合、やり方が余りにも稚拙に思えます。恐らく本気での「国防力を高める形での改憲」は目指しては居ないと思われます。
・朝鮮半島問題
日本が日本列島と言う地理的な優位性を利用し周辺大国をコントロールするには、中露の両国の勢力争いに影響を与えられる朝鮮半島をコントロール下に置く事が重要になりますが、現時点の日韓を見れば、特に朝鮮半島の韓国に関してのバランシングやコントロールに関しては、既に大まかには終了したと考えられます。
日本国内における朝鮮半島への影響を与えようとする勢力は、米中露の三大国に影響を与えるであろう各勢力がそのまま役割を担えば良いだけで、しかも現状求められているコントロールは「如何にしてタイミングよく韓国との仲をより悪化させるか?」であり、ソレこそが今後悪化するであろう中露関係を見据えた、混乱する朝鮮半島情勢に関わらない様にするリスクコントロールに繋がると考えられます。
北朝鮮に関しては、既に悪化するだけ悪化しているので、無理に改善しようとさえしなければ良いと考えられます。
・・・と、これらが現状の日本で政治に携わる政党や政治家の対外向けのコントロールを目的とした活動を行っていると考える役割分担の勢力説明となります。
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以上で「地政学で見る政党勢力」の考察を終了しようと思います。
結論として、国内政策や政局は「海外にどの様に影響を与えるか」もしくは「海外からどの様な影響を受け対応するか?」によって構築されるので、国民がどれだけ「求めていない政策を行ってほしくない」又は「求める政策を行ってほしい」と願っても、政治家や官僚はそれを無視して政治を行います。
一応本文で書いた事は、あくまでも各勢力が国内において、その風潮を作っているだけで、恐らくは各勢力と各問題に対してのバランシングに関しては、政治家の中である程度の重要人物だけが、これに関与し活動を行っているのでは無いかと考えられます。
現実問題として、政党全体レベルでバランシングを行うのは余りにも露骨過ぎ、バランシングとしての活動を行うには外国に対して大義名分が示しにくいため、元政治家や元官僚が動いているのでは無いかと疑える例も有ります。
不安な点としては、民主党系の政党が内政において余りにも信用のおけない事を行っているように見えるため、内閣が直接バランシングを行わなければ成らない局面(米露関係で)も有るように見えてしまい不安を抱く事も有ります。
正直野党はもっと真面に命を掛けて売国に励んで頂きたいところです。
一応上記で上げた事以外にも「台湾問題」や「移民問題」に関しても、もしかしたらバランスを取る形で、いつでも改善したり破綻させたりする役割を有する政治家の人が居るかもしれません。
政治家の人の日頃の発言で、いつどのようなタイミングで、どの様なバランスを取る様な行いをするのかを考察すのも楽しいかも知れませんね。(消費税はまだ十分続きそうです・・・)
いつも通り書かせていただきますが、当ブログで書かれている考察は、あくまでもブログ主個人の見解に過ぎませんので、間違いや思い込みが有るかも知れません。それらのリスクを前提の上で閲覧してください。
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