2019年05月05日

インド太平洋VS米国(未来予測)

本日の記事は、ちょっとした未来予測で、将来的に米国VS海洋アジア(東南アジア、南アジア、中東)による対立リスクに関しての考察となります。

米国と海洋アジアと言えば、現在は中国の対外進出で連携しているように思えますが、ブログ主の見るところ、このまま米国と中国が中途半端に対立しつつ抗争状態が拡大せずにグダグダな状況が持続するのであれば、米国と海洋アジアの紛争リスクが生じる恐れが有ると考えています。

この考えは現時点では夢物語のように思えますが、現在の米中の膠着状態が続き、"通貨の流れ"から、世界の勢力図をその流れに追い込む可能性は、決して考えられない事では有りません。

本日はそれらに関する一考察となります。


★中国は米国の軍事力に圧迫され対外進出が制限される
上記で述べた結論に行き着く前に、まず現状を確認してきましょう。現在世界の大国間勢力図は、経済的には「米国」「中国」「欧州」の三大勢力があり、軍事的には「米国」「中国」「ロシア」の三大国が鼎立状況に陥っています。

この内、米国と中国が経済力と軍事力の双方を有する超大国として存在しており、米国は「財政赤字とドル紙幣の過剰発行によるドルの信用を支えてくれる同盟勢力」を求め、中国は「経済成長で拡大し過ぎた人口と供給能力の輸出先と、刷り過ぎた元紙幣の価値を支えてくれる植民地」が必要となっており、実質上の覇権争いを繰り広げつつあります。

この二大国は、ほぼ同じ理由で国家間のパワーバランス制御を考えた同盟勢力の再構築を考え世界に対しての進出を加速させねばならず、双方共に利益が対立していても核保有国と言う点から直接戦争は行えず、他国に対しての干渉を前提とした投資と軍拡の競争に至ると考えられます。

ですが米国のトランプ政権成立から現在に至るまでの米国の対中強硬路線を見れば、「現在の中国では米国に勝てない」と言う事が確定しつつあり、これは圧倒的な軍事力からなる世界の貿易体制の支配をしている米国海軍力の下でなければ、当の中国でさえ米国と対立する為の生産力と消費力を維持する事が不可能であると考えられるからです。

この事から中国がどれだけ対米路線で強硬な態度を取ろうとも、実質的には米国と対立したフリを行うだけしか出来ない事が分かります。

(中国は世界中から資源を輸入しているため、海上貿易が安定し行えばければ経済成長できないのですが、その海上貿易の支配は、アメリカ大陸から太平洋と大西洋のを通じ世界の裏にあるインド洋まで支配できる米国にしかできません。ですので中国が米国を純粋に敵に回す事は行い難いのです。ソ連が冷戦で米国に敗北したのと同じです)


★米中欧が不景気化、富の海外流出
そして上記述べた事と並列し存在しているリスクとして、2008年の世界的な金融危機の折に、各国の中央銀行が通貨を擦り捲って不良債権処理や景気対策を行うと言うカンフル剤注入を行った事から始まった緩和マネーの膨張があります。

この過剰な通貨発行で世界各国がバブル経済を膨張させると言う方策で不良債権を覆い隠したため、その膨張したバブルが限界近く膨らんでいる今、正にバブル崩壊の危機に陥っており、これが生じた場合世界経済の長期停滞が避けられない現状と考えられます。

特に米国、中国、欧州の経済的な三大勢力がバブル崩壊のリスクに直面しており、崩壊すれば景気の不景気化からなる国内投資の委縮が予測されます。

その様な事が起きれば、これらのバブルを吹かした国が資産高止まりの上で、国内で使用されないマネーが使用されずに貯め込まれ、投資先を求めて富が諸国に流れる事になります。


★インド太平洋諸国に富が流れ経済成長が促される
そして上記の経済圏でバブル崩壊の不景気が起こった時に、次なる投資先として資金の受け入れ元となるのが、バブル崩壊の起きた地域以外の国々で、その中でも最も資本の受け入れ先として考えられるのが、海洋アジア諸国であると考えられます。

これらの国々は「海路による低コストでの物資輸送」、「通貨価値の異なる国々での適正なサプライチェーンの構築」、「資源、エネルギー、労働力、消費力の全てを兼ね備えたバランスの良い産業が成立する地政学的な土壌」が存在しており、今後のバランスの良い発展が予測できる地域でもあるからです。

これ以外の地域で、ロシア・アフリカ・南米なども考えられますが、「ロシアは人口の少なさ」、「アフリカはインフラの低整備率と国情の不安定」「南米はロシアほどでは有りませんが人口は少なく、アフリカほどでは有りませんが国情は不安定」と言ったリスクが考えられ、米中の両国からの勢力争いの恩恵を受けられない海洋アジアと比較した場合見劣りするため、海洋アジアほどの高成長は望めないと考えられます。

海洋アジアは、「少子化していない巨大な人口」と「それを支える水資源」と「海洋貿易が可能な海路に面している」事から、爆発的な成長は不回避であると考えられ、中東のエネルギー資源やアフリカの鉱物資源などにもアクセスしやすく、米中外交をめぐって米中双方からの投資を引き出しやすく、ロシアと歩調を合わせる事で中国を牽制しやすいため、これ以上の中国からの進出を受けるリスクを減らす外交ができ、安定的な成長が期待できます。


★インド太平洋がバブル化し信用不安から対外進出する
上記の事が起これば、一時的にインド太平洋諸国が繁栄するかもしれませんが、長期的に見た場合、必ずしもその繁栄が続くわけでは無い事が分かります。

理由は今現在インド太平洋諸国は経済的に問題無く成長し、人口も順調に増えていますが、それは必ずしも自国での自力での成長では無く、外国からの投資の影響が有る事は否定できません。そのため成長の限界に当たれば、諸外国が投資を引き揚げインド太平洋諸国に混乱をもたらす恐れがあるからです。

例えば中国が世界経済とアクセスし経済成長を始めた改革開放政策に舵を切ったその時、共産党政府は一人っ子政策と言う、一組の夫婦に一人の子供しか作らせない少子化政策を行い、現在の中国で言われている将来的な少子高齢化問題の原因を作りました。

ですがこの政策は別の面を見れば、現在の日本と同じ「将来的な人口の減少からなる国家の消費するエネルギーの省力化など」も予測でき対外依存率の低下がもたらされ、海外に進出しなければ成らない事から発生する紛争リスクから距離を置く事も可能となります。

この事から日本と中国は、少子高齢化が進めば対外依存率はともかく重要と供給面では安定する可能性は十分あります。

ですがインド太平洋諸国では、これら少子化政策を行っていないため、現在から近未来に起こるであろう、上記で述べた「先進経済大国の不景気化による大国からの途上国へのホットマネーの注入によるバブル経済の発生」で、国内消費を爆発的に増やしてしまい、いざバブル崩壊が生じた時、「信用不安による国民統制」や「物資確保」を目的とした対外進出政策を行う必要性が出てくる可能性が有るのです。

これはこれらの国が中国の様な単独の独裁国家では無く、多様な国家の群れであるため、強硬な財政政策や非人道的手法による少子化政策を行えない状況にある事がリスク増大に拍車を掛けています。

また多様な国家の群れであると言う事は、多くの国が常に近隣と揉め事になるリスクを抱えている事を意味し、この点からも不必要に軍事力を縮小させる事が出来ず、一定量の国防態勢を整えると言う財政出動政策を行わざるを得ないため、ホットマネーの流入は、経済のバブル化を促進させやすいリスクとも連動してしまいます。

一度でもバブルが崩壊すれば、これらの国は特に必要なエネルギーを求め海外に進出しなければ成らなくなります。

そして地理的な位置からその進出対象となる恐れがあるのが、中東であると考えられます。

現在の先進大国の行っている金融緩和バブルが崩壊した後に、そのマネーの受け入れ先となりそうな国がバブル経済化ししかる後崩壊した場合に生じうる紛争のリスクとなります。

これが「インド太平洋諸国が中東に進出する可能性から生じる紛争リスク」となります。

無論、平和裏に貿易推進だけで物事が解決されるのであれば問題は有りませんが、もし人口拡大とバブル崩壊による不良債権問題が生ずればどうなるのでしょう、好景気の時より体感的に高いエネルギー代を払わされる恐れもあり、それが紛争問題に結びつく恐れもあるのでは無いかと考えられます。


★米国とインド太平洋が対立するかも?
上記で述べた「インド太平洋諸国でバブルが起き崩壊し、域内の経済を何とかする為に中東に進出する可能性ある」等と言った事が起これば、中東の特にサウジアラビアに原油ドル貿易をさせる事によってドルの価値を支えてもらっている米国は、その価値を支えるために中東情勢に介入しなければ成りません。

インド太平洋が中東に進出すると言うよりも、中東の勢力争いに介入し原油の適正価格での調達を確実にしようとすると考えられます。

この事からインド太平洋と米国の国益が激突し、紛争が生じる恐れがあるのでは無いかとブログ主は考えています。


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以上が本日の「インド太平洋VS米国(未来予測)」の考察を終了しようと思います。

今回の記事と少しばかり連動しますが、実は以前「真・日本は世界の雛型論、日本と世界の歴史の類似シリーズ」で述べたとき、日本と世界の歴史の類似性を指摘し、日本がそれに沿った形で地政学戦略や資本注入戦略を行っているのでは無いかと考察しましました。その折に「世界の歴史の流れは、日本の歴史に例えると織田信長の死後に豊臣秀吉が台頭し中央を押さる時期に重なるのでは無いか」と述べた覚えが有りますが、同時にその記事で「米国のベトナム戦争での敗北が、豊臣秀吉の長久手小牧の戦いに似ているのでは無いか」と言う考察を出しました。

今回の考察では、実は「世界史における長久手小牧の戦い自体が起こってはおらず、むしろこれから生じうるのでは無いか?」と言う疑問から考察した記事となります。

無論、あくまでも地政学的、又は資本の流れ的に考察した場合、この様な予測が成り立つと考えているだけですので、本当にこの様になるかどうかは別の話です。この通りん位ならない可能性も十分ある事を前提の上で閲覧してください。

本日はココまで!


関連リンク
真・日本は世界の雛型論、日本と世界の歴史の類似シリーズ


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