2019年06月23日

後編・小国優位の極東地政学バランス


前回から続きです。


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★日本の価値
日本の提供できるモノは、近隣の小国と比べるとかなり多いカードが存在している。

島国であり安定した経済大国である点、国力が高く技術や資本の蓄積がキッチリしている。そのため同盟勢力となる国に対して「海上優位」と「通貨の信用」と「技術」の三点を与える事が出来る。

また他の小国とは違い、国境こそ無い物の管理している領海や排他的経済水域を海洋ルートが接している国を通して見れば、極東に面する全ての大国と小国に対してルート提供できてしまう地政学的な位置から、日本とさえ同盟を結べておけば、全ての極東の国と北米の国に対して影響を及ぼせるため、その位置的重要性は非常に重要なモノとなる。

軍事力においても無能では無く、極東において核ミサイルの原潜を沈め配備するのであれば、世界一の静音性の通常動力の潜水艦を運用している日本と同盟を組めるかどうかは、核による緊張での安全保障が出来るかどうかに繋がるため、非常に重要な国と言える。

・中国に対して提供できる事
日本が中国に提供できる事は、第一に「米露に対しての戦略的優位」で、中国が対米国相手に対立する場合は「核ミサイル装備の原子力潜水艦の安全確保」で東シナ海の深い海に核配備の原子力潜水艦を沈めても日本の潜水艦に守ってもらえば、対米国相手に核による報復合戦を挑む事が出来、この事から核による緊張状態による対立的安定を得る事が出来るため、その間に他の周辺国に影響を伸ばす事が出来る時間を手に入れる事が出来る様になる。

対ロシア相手では、日本に力を借りれば、オホーツク海に沈められている原子力潜水艦を無力化させれる可能性も有り、同時にロシアと北朝鮮若しくは韓国が同盟を結び、中国内満州を包囲しようとした時、日本と中国で朝鮮半島を逆に挟み撃ちにして、満州包囲を無力化させる事が可能となる。そうなれば中国が圧倒的な人口差を持って極東ロシアに侵食し奪い取る事が可能となる。

また極東における沿岸海洋ルートの安定を提供できる位置に有り、経済的にも信用があるため、味方に付ければ経済的優位も確保する事が出来る。

更に日本が中国と同盟を組んだまま米露の間でバランスを取ってくれれば、戦争状態に成らないまま緊張状態を維持でき両者を疲弊させる事が可能となる。

・米国に対して提供できる事
日本が米国に対して提供できる事は、現在でも行っているが「中露に対しての戦略的優位」が挙げられる。

米国が中国と対立した場合は、軍事的に沖縄を含む琉球列島から東に進ませない様な安全保障を提供でき、静音性の高い通常動力の潜水艦によって、中国が東シナ海で活動させようとしている核ミサイル付原子力潜水艦を無力化させる事も可能となる。

ロシアと対立した場合は、日本列島がロシアの海軍戦力を太平洋に出さない壁として機能し、オホーツク海に存在しているロシアの原潜にも干渉可能となる。

また現状の日本の地理的位置が、海洋を通して他の大国に米国への侵略経路を提供できてしまう事から日本に対して安易に軍拡を進める事が出来ず、裏切られるリスクを考慮して米国が安全保障を肩代わりしている。そのため異常に軍事負担が少なく、その分経済にリソースを投入でき、莫大なマネーを蓄積しており、そのマネーを利用し米国債を購入する事による米国の安定寄与に貢献している。もし日本に裏切られたら、ドル通貨価値の下落が促され、経済的に大打撃を被ってしまう。

また世界の海洋を保護する米国としては、太平洋を挟んで世界の裏側まで軍事力を投射するには、日本と言う供給基地が存在しなければ不可能で、その意味でも日本に裏切られたら対外貿易赤字で全世界に依存している米国の経済が破綻する恐れが生じてしまう。

最後に日本が米国と同盟を組んだまま、中露間でバランシングを行ってくれれば両国を疲弊させる事ができ、日米の相対的強化となる。(でも実際は米中露の三大国間でバランシングされている)

・ロシアに対して提供できる事
日本がロシアに対して提供できる事は、第一に「米中に対しての戦略的優位」で、ロシアが米国と対立した時は、日本が米国の対大陸侵攻を阻む壁となる事で、これさえできればロシアは核兵器による相互確証破壊を前面に押し出し、緊張による安定を得る事が出来る。

中国と敵対した場合、中国が朝鮮半島を支配下に置きロシアに対して有利な状況を作っても、日本と同盟を組む事により極東ロシアから日本列島のラインで、満洲・朝鮮半島東シナ海を丸々反包囲する事ができ、有利に争う事が出来る。

また日本が静音性の高い通常動力の潜水艦により、他の大国の潜水艦を日露の支配海域に近づけさせなければ、「核ミサイル装備の原子力潜水艦の安全確保」が行えて米中に対して不利な状況に追いやられるリスクは低くなる。

さらに日本とロシアは互いに生産できない物資を提供し合える国同士であり、日本は資源(特にエネルギー)と食料を求め、ロシアは工業製品とマネーと技術を求め、補完し合える間柄である。(ただし日本側は、何もロシアから購入しなければ成らないわけでは無い)

最後に「米中間のバランシング」で日露が同盟を結びながら、日本が米国と中国の間でバランスを取る形で紛争を煽れば、日露同盟が相対的な国力強化の恩恵を受ける事が出来る。


★日本の地理的優位
上記までが米中露三大国の安全保障が交差する、極東における緩衝地帯国家群の大国に提示できる戦略優位となります。

この様に見ると日本以外の国がどれだけ努力して同盟関係を構築しても、日本一国が自国が同盟する国以外の大国になびいただけで、極東における同盟関係が無意味なものになってしまうと言う事が分かります。

中国がどれだけ北朝鮮・韓国・台湾と同盟を組んでも、日本がロシアと同盟を結べば「満州から朝鮮半島全てを丸々包囲される恐れ」も有りますし、米国と日本が同盟を組んだままであれば「世界一の静音性の通常動力の潜水艦で東シナ海の原潜戦略を無力化する恐れ」も出来てきます。

ロシアがどれだけ北朝鮮・韓国・台湾と同盟を組んでも、日本と米中どちらかと同盟を組めば「世界一の静音性の通常動力の潜水艦でオホーツク海の原潜戦略を無力化する恐れ」も生じますし「北海道に中国軍や米軍が駐留する恐れ」も有ります。また日中同盟だけを考えても「日本列島と満州で朝鮮半島と台湾島が挟み撃ちにされ」る恐れも有ります。

米国がどれだけ北朝鮮・韓国・台湾と同盟を組んでも、日本が中露のどちらかと同盟を組めば「米国と"北朝鮮・韓国・台湾"を日本によって分断されてしまいます」し、中国やロシアの「核ミサイル搭載の原子力潜水艦配備のための"一定水深の海洋の確保"に、日本が静音性の高い通常動力の潜水艦で補助する」等を行われたら、米国と相互確証破壊が可能となるため、外交能力に打撃を被られてしまいます。

この事から日本と言う国は「極東だけでは無く米中露の三大国間のバランスを制御する事で、全世界をコントロールする事の出来る反則的な地理的位置に存在している国である」と言えるのでは無いでしょうか。


★大国の憂鬱
大国であるがゆえに自国の安全保障を最大化させなくては国民が納得してくれず、ソレを成し得る国土と供給能力を有してい居るため、国外にまで干渉し続けなければらなず、結果として巨大であるがゆえ自国の動きが干渉している外国に制限されてしまうと言う事態に陥ってしまうのです。

特に米・露・中の三大国は、互いに隣接している小国に影響を及ぼし安全保障を確立しようとする行いそのものが、他の大国の反発を引き出してしまい、結果的に大国間の抗争リスクを増大させてしまう関係に有ります。

また日本と同盟を汲めば、「韓国・北朝鮮・台湾」が他の大国(米・露・中)と同盟を組んだ時の不利益の全てをひっくり返す事が出来るが、「大国としての自国」と「日本の"軍事力の少なさ"と"主導的意思の低さ"と"安全保障意識の少なさ"」を考えれば、結局日本との同盟関係での主導権を押し付けられ軍事負担を被らざるを得なくなってしまいます。

また、そうすれば他の大国から主敵として認識される恐れがあり、同盟を組んだ日本以上に敵対国と講和し難い状況に追いやられる事になります。そのような時に相対的に自国より講和しやすい日本が裏切る形で他の大国と講和されると、自国が他の大国と敵対している状況で更に不利な状況に追いやられる恐れがあるのです。

逆に日本は大国に比べると脅威度が低く、味方になってくれれば他の大国として優位に安全保障政策を進める事が出来る位置に有るため、ある程度の寛容さを持って講和を受け入れられる可能性も有るため、ある程度の日和見行為も目をつむってもらえる可能性が有ります。

極東における外交と戦略的安全保障の競争は、「大国が大国であるがゆえに逆に中小国に対して不利な立場に立たされてしまう」と言う特質な地域でも有り、中小国もこれを理解せずにアホな外交を行えば、大戦の呼び水となる恐れも有りますので注意が必要となるのです。

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以上を持って前後編の「小国優位の極東地政学バランス」を終わらせてもらいます。

この記事はあくまでもブログ主の主観で書いた事なので、もしかしたら間違いが有るかも知れません。その事を前提の上でお読みください。

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