2018年09月

2018年09月30日


政治イデオロギーに関する、考察の二回目となります。

今回は、自然環境や地理がイデオロギーにどの様な影響を及ぼすのかの考察となります。ある意味、地政学で考察するイデオロギーと言い換えても良い記事と成っています。

関連リンク:イデオロギーシリーズ

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★環境の影響を受けるイデオロギー

この項では前述したイデオロギーの「富の再配分」や「生産と需要の計画化」が、自然環境や地政学的な状況に、どれだけ影響を受けるかの考察を行う項となります。


・多民族国家or単一民族
まず第一に国家においてこの国を構成する民族が単一民族か?他民族で構成されているかは非常に重要な事です。

単一民族であれば、共通の文化や価値観を持った隣人である可能性が高いです。(あくまでも可能性です)

多民族国家では、共通の価値観や文化を有しいない為、少しでも経済的な不安要素が出てきたり、法制度の公平性が保たれないと、民族間の摩擦に成る可能性が常に有ります。その為、安定する為には、分裂して共に縮小し別々の国家として生きて行くか、無理にでも統合し続けたいのであれば、独裁体制による統治で縛るしか有りません。

もし独裁性の強い国家で、自由な経済活動を行わせれば、国家分裂の引き金になるかも知れません。だからと言って強権を持って経済を統制すれば、多民族間の間に少しでも格差があった場合、不満の貯め込みから暴動になるリスクも出てきます。


・安定した自然環境が確立されているか?
イデオロギーを論ずるに当たり、そのイデオロギーを採用する国家の自然環境も重要な問題です。

「大陸中心部か?沿岸部か?」や「寒冷地か?温暖地か?」や「乾燥地帯か?湿潤地帯か?」等の事もイデオロギーを運用するに当たり避けては通れません。

基本的に大陸の中心に行けば行くほど乾燥しており、沿岸部に行けば行くほど湿潤で、また極地の寒冷地であれば農業が行い難く、赤道の温暖な地域であればあるほど農耕が楽に行えますので 国家を運営する上での産業能力に影響が出ます。

安定した地域であればあるほど、無理な独裁を行う必要が無く、切迫した地域であればあるほど、いざと言う時の為に独裁に向かいやすくなります。


・島国か大陸国家か?
島国であるか大陸国家であるかも重要で、これによって責められ難い島を領土とする国家は、外敵の対処をなおざりにしてしまう事が有ります。逆に国境を有する大陸国家である場合、外敵に対処する為に挙国一致の独裁制を敷く場合があります。


・敵は居るか?
上記の事に重なるが、敵が居るか居ないかも重要で、敵が居ない国家である場合、軍事費に国家リソースを割く必要性が少なく、大陸国家の様に常に潜在的に囲まれている国は、防備を考えたリソース投入を行わざるを得ません。

そのため、これらの事は、過剰な通貨発行に繋がるかどうかにも影響します。過剰な通貨の発行による経済政策を行えば、モノの価値と通貨量のバランスが取れずに、モノの価値の上昇に繋がり、生産者側が努力をせずにモノを売れる状況となり、マネーの集中が起き貧富の格差が増大してしまいます。

当然そうなると時の政権は、緊縮策を打ち出してきますし、その策で不満を溜め込む国民を押さえつけるために独裁的に成らざる得を得ません。


★冷戦の悲惨な社会主義国家と"安定した共産主義国家"

さて前述の自然環境における政体への影響を考慮した時、「多民族国家である」「厳しい自然環境である」「大陸国家である」「外敵が居る」の四点を全ては、一つの要素を満たす事に、政治的指導者の独裁性が強化されます。

逆に「単一民族国家である」「暮らしやすい自然環境である」「島国国家である」「外敵は居ない」である場合、独裁政治を行う必要が少なくなります。

それを考慮した上で、何故冷戦期の東側諸国と西側諸国にあれだけ差が付き、最終的に東側諸国が崩壊したのかを考察して見ると、東側諸国(社会主義陣営)が敗北した原因は、共産主義(この場合、ソ連型社会主義)を推進していた事"だけ"に原因があるのでは無く、地理的、自然環境的に独裁権力者を生み出したり、無理な政策を行わざる得なかった国家事情がその根底にあるのでは無いかと考えられます。


★冷戦期の東側諸国の代表例(消滅した社会主義政権編)

ソ連:ソビエト連邦は、前身であるヨーロッパ系の文化から発生したロシア帝国の国土を受け継ぎ、中央アジアのムスリム系民族や、シベリアの遊牧系及び狩猟系モンゴロイドを支配下に置いた多民族国家です。

そしてユーラシア大陸北部の寒冷地帯を領土し、領土の中央地帯に凍土や豊かでは無い草原を保有している為、必ずしも全土が豊かな土地とは言えません。また冬も厳しく年を通しての寒暖差がきついため、人間が生きる上で生活し難い国家といえます。

更に北部はともかく南部の国境では、多くの国々と国境を接しており、潜在的な敵国は非常に多く存在しています。

この様な国土や自然環境であるがゆえに、国家を統御する為に独裁体制で運営しなければ成らず、同時に軍備力も拡張しなくてはいけません。

この一極集中の独裁統治体制と軍事負担によるインフレーションが、国民の生活を圧迫し更なる政府の権力強化を行わなくてはいけない状態を生み出し、更なる富と武力と権力の集中を促させたと考えられます。

また欧州のキリスト教の価値観である「自然は敵であり制御しなくてはいけない」と言う価値観から、ソ連独自に築いた社会主義体制による自然環境の制御の思想が反発しない形で継承されたと考えられます。これらの影響で自然環境の改造を行う事が否定的では無かった事も、計画経済の為の自然破壊を誘発させ、それが国力を落とす要因としても働いたと考えられます。

以上の事から「自然環境と民族性による独裁権の確立」によって成立した政府が、自然環境や民族性を完全に無視する形で計画経済を設計し、地政学的な敵の多さが産業のバランスを考えずに軍事偏重の経済を作り生産能力と財政を悪化させ、また「通貨の刷り過ぎ」によるインフレーションによる富の偏りと、その富の偏りを何とかしようとする富の再配分が「努力しても報われない経済の構築が、労働者の無気力感を誘発させ」、最後には産業そのものが崩壊する形で、米国との軍拡競争に敗北し、「自壊した」と言えるのでは無いでしょうか。


関連リンク


中国:中華人民共和国は、東アジアの二つの大河(長江と黄河)のある流域を中心に成立した国家です。豊かな土地が全てでは無く、高地であるチベットや東トルキスタン、寒冷な内モンゴルや満州を領土としており、多様な自然と大陸内陸部の異民族を吸収する形で成立した多民族国家です。

自然環境的には、シベリア寒気団を始めとする大陸内部の気団の影響を受けるため、その影響が長く続いた場合、周期的に中長期的に食料不足になり王朝が交代する歴史が繰り返されています。基本的に中心部である中原は豊かな土地なのですが、豊かではない時の落差が大きすぎる為、また豊かすぎる中原の生産力で増大する人口を統御し難いため、いざと言う時の為に政府は独裁権力を維持しなければ成りません。

また巨大すぎる国土の為、どこかしらの周辺国との関係は、常に軍事的な緊張をはらんだものとなっています。そのため歴代全ての王朝から現在の共産党政府に至るまでの全ての政府は、独裁体制と成っています。

そこに共産党政権の独裁者である毛沢東が、自己の価値観だけを前面に押し立てた計画経済である、大躍進政策を行った為、食料生産が悲惨な事になり多くお餓死者が出てしまいました。

毛沢東の死後に、対ソ戦略を遂行しようとする米国や日本との関係改善に成功し、国内産業を立て直しましたが、その時点ではトップが変わった為か専門家の意見を聞かない様な計画経済を行う事は少くなりました。

その後から現在まで経済成長を維持し国内を発展させましたが、世界的な金融危機以降経済の落ち込みと不良債権の増大からなる富の偏差を危険視した共産党により、近年再び独裁体制の強化が布かれ始めました。

ただし現在の中国共産党の行っている政策は、社会主義政策は形も無く、帝国主義政策であるため、社会主義政権としての中国共産党は、実質上機能していないと言えるでしょう。


関連リンク


カンボジア:カンボジアは東南アジアに存在している小国です。メコン川を際に東のベトナムと領土を分け合い、北にラオス、西にタイが存在してる。実り豊かな土地でアンコールワットなどの世界遺産も有名である。

赤道に近いため冬でも問題無く食料生産が出来、自給率は悪くは無かった。

隣接するラオス以外の二国がカンボジアより国力が上で、常に圧迫を感じざる得ないと言う点が地政学的リスクと言える。

社会主義政権を語る上で有名のが、ベトナム戦争終結後にベトナム軍がカンボジア領内に雪崩込んだ時に発覚した、ポルポト政権による自国民大虐殺事件である。

これを地政学的に考察した場合、ベトナム戦争は、北ベトナム南ベトナム+米国で行われていたため、安全保障的にベトナムに隣接しているカンボジアは国内の意思統一が成らず、常にベトナム戦争に干渉する大国(この場合、米国を始めとする自由主義陣営と中ソを始めとする社会主義陣営)の影響を受けていたと言う点である。

簡単に説明すると、ベトナム戦争の影響で親米の南ベトナムと接していたカンボジアにおいて、親米勢力であった軍によるクーデター政権が樹立。その後、北ベトナムが勝利しつつある時に、共産主義勢力のクーデターが起こり政権奪取が行われる。これにより親米勢力と反米勢力による内戦が勃発する。

そのカンボジア国内の内乱を泳ぎ切ったポルポトによって、社会主義思想の一つである原始共産制の理念による政治運営が行われ、何をどう勘違いしたのか「古来に居なかった学者や医者などの知識人を皆殺しにして、大昔の生活に戻る」と言う訳の分からない理想を実行しようとし、ソレに逆らう自国民を知識層と共にジェノサイドしたと言う悲劇である。

これは典型的な「イデオロギーを妄信した結果」なのか、「イカレタ個人の愚行」なのかは判断が迷う所だが、周辺国の思想的な影響を受けこの様な結果になってしまった事は想像に難くない。

なおポルポトに影響を与えたのは、中国の毛沢東である事は有名である。(毛沢東も大躍進政策や文化大革命で、無計画的ジェノサイドや文化破壊を行っている)

ソ連や中国とは違い、自然環境の影響を受けて社会主義政権によりその様な政策を行ったのでは無く、隣国との国境や大国間の勢力争いの結果、狂人がトップについてしまい、その様な惨劇が誘発されたと考える事が出来る。


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以上が西側社会主義国の崩壊した理由の考察となります。ただし今回記した社会主義政権は、既に社会主義政権の体を成していない国家や、影響力の亡くなった国の政権に関しての考察となります。日本にとって重要な北朝鮮の政権に関しては、キューバやベトナムと共に、次回に先送りとなります。(イデオロギー関係の記事は、量が多いので何回かに分けられると思います)

ブログ主も色々考察を見る事が有りますが、社会主義諸国は、「皆が同じだけの所得しか得れない為に生産性の改善を促す努力が放棄されてしまった」との考察ばかりが目立つため、自然環境や国境の影響も考慮に入れて考察を今回はさせていただきました。

本日はココまでとなります。

なお次回もこの続きで、西側諸国の考察に入りたいと思います。


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nh01ai33 at 08:00政治地政学

2018年09月28日

本日は、経済思想(イデオロギー)に関する事で「共産主義と社会主義は、なぜ衰退したのか?」を考察しようと思います。

共産主義(社会主義)と言えば、東西冷戦期に西側陣営であった自由主義資本主義諸国に対を成す形で存在した東側諸国の国家を運営する民主主義の政治思想(イデオロギー)を指す言葉として有名です。

これらの政治思想を考察するに当たり、まず初めて定義を確認しますと、



共産主義(マルクス主義):カール・マルクスが提唱した思想で、社会主義の影響を強く受けています。当初は貧富の格差が著しくなる欧州の現状を憂いたカールマルクスによって、富や資本の再配分を論じた主義主張・理論であった。

この考えは、最初に資本(富を生み出す財)を持っているモノが、更なる富を集めやすい社会的構造なので、社会的資本(工場や土地の生産手段)の共有化を行う事により、富の偏差を無くして行こうと言う思想です。

また所得分配においても、労働者個人ごとに「能力の応じて働き、労働に応じて所得を受け取る」としました。これが社会体制が安定した後は、「能力の応じて働き、必要に応じて所得を受け取る」と説いています。

これを個人の人生に当てはめた場合、「若い頃は目いっぱい働いて所得を稼ぎ、結婚し子供を作り、その子供を社会に送り出し、生命繁栄の責務を次代に託した後は、生活を維持するだけの所得で満足し、いざ物入りが必要な時だけ追加の所得を要求する」と言ったところでしょう。

この共産主義思想は、全ての資本を強制性的に没収しないのであれば、ブログ主の目から見ても、それ程おかしな面は有りません。(全ての資本の強制的な没収になると、個人が私財を投入して投資しようとしなくなるため駄目です)

共産主義思想が悪魔の如き思想に変化すのは、この思想が正しい思想であると認識した人達が、世に広めようとする過程において、多様な解釈や凝り固まった原理主義が幅を利かせ、それを実現しようと実行した国家同士の勢力争いに波及した事に原因があるものと思われます。(なお勘違いしている人が居るみたいですが、共産主義を主張したカール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスは、暴力革命を是としていたわけでは有りません。むしろ否定してさえいます)

事実、その過程で「ブルジョア階級に政治を任せていたら、労働者のための政策を行わない可能性が有るので、労働者が政治権力を握るべし」と言う考えから発した、"プロレタリアート独裁"の考えが、ロシア革命を主導したソビエト共産党の権力確立により、そこから更に軍事独裁や計画経済にまで波及し、結果的に政治を独占する政治家による「共産主義者による労働者階級の支配」に行きつきました。

これにより労働者では無い政治家による「独裁的粛清」や「計画経済の失敗による自然環境破壊」が行われ、多くの悲劇を生み出す事になりました。


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注意①:社会主義と共産主義に関しては、人によって全く同じ思想であると定義する人も居ます。別の思想と考えている人もいます。社会主義思想は昔からありますが、現在の社会主義思想(ソ連型社会主義)は、共産主義思想と共にマルクス主義からの影響を強く受けた政治思想ですので、同じ事と考えている人も居ます。

上記で書かれている事は、あくまでもブログ主が調べて解釈した共産主義の定義となります。(もしかしたら間違いが有るかも知れません)


下記にも定義されている"共産主義"と"社会主義"定義を載せておきます。

・共産主義は、財産の一部または全部を共同所有することで平等な社会をめざす。(ウィキペディアから一部引用)

・社会主義は、「私有財産の廃止」と「生産手段の共有、共同管理」を行った上で、「計画的な生産と平等な分配」を行い、平等で調和のとれた社会を作る。(これはソ連型社会主義です)

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資本主義:1800年代中期頃に、現在と同じ意味で使用され始めた言葉で、「生産活動で得た余剰リソースを、生産活動を効率的に行える様に先んじて投資し、利潤追求を追求する行為や考え方」であり、先に労働市場や投資市場に出て立場を確立させている者が圧倒的に有利で、放っておくと早くからその行為を行い利益取得の循環構造を作っている資本家に富が集中し、後に参入して来る労働者が食い物にされてしまう体制。

政治体制と言うよりは、政治体制を確立していない状況にも適応されてしまう事象で、国家のおける政治とは、この「資本主義による富の一極集中を行わせないために存在してる」と言っても良い程である。(共産主義やソ連型社会主義思想の台頭後には、共産主義に対比する思想として定義付けられている)


自由主義:国家には頼らず、個人の自由意思で生きて行こうと言う思想で、基本的に"小さな政府"を好む思想です。自己の決定権を最大限尊重し、その代わり政府は民間には不介入、場合によっては"政府は不必要"と言う考えで、これを行いし過ぎると、成功した者でさえ「個人の能力ではどうにもならない事(災害や戦争)」に直面すると破綻する恐れのある、シビアな思想です。


★政策は、自由か?統制か?
先述した事が、共産主義、社会主義、資本主義、自由主義の定義になりますが、基本的に「富の再配分を行うか否か?」、「生産管理を計画的に行うか否か?」の二点が、どの様な配分で行われているかが重要な事かと思われます。

以下に、それぞれの主義の主張を照らし合わせると、

①格差か?資本(富)の再分配か?

共産主義は、資本の一部または全部を共同所有。

社会主義は、資本は全て共同所有。

資本主義は、資本は全て個人の所有物。運営している国家が管理する場合もあり。

自由主義は、資本は全て個人の所有物。


②生産の計画的独裁か否か?

共産主義は、共有所有した生産資本は共有管理し生産する。(需要に合わせて行う?)

社会主義は、資本は全て共同所有で共有管理。需要も決めつけているので計画的生産。

資本主義は、市場を見て資本家が決める。運営している国家が管理する場合もあり。

自由主義は、市場を見て資本家が決める。


③計画的需要決めつけか否か?

共産主義は、需要を計画的には決めつけない。市場を見て決める。?

社会主義は、需要も計画的に決めつける。

資本主義は、需要を計画的には決めつけない。市場を見て資本家が決める。国家が発注する場合もあり。

自由主義は、需要を計画的には決めつけない。市場を見て資本家が決める。


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注意:社会主義に関しては、マルクス主義の影響を受けソ連で確立したソ連型社会主義を前提にした定義を適応させています。

社会主義は提唱する人によって様々な考えが有りますが、この項で適応させているのは、あくまでもソ連を含む東側諸国で行われていた事を前面に押し立てた考察となります。この記事では何故社会主義や共産主義が衰退したのかを考察する記事ですので、衰退原因を作ったソ連型社会主義を取り上げるのは当然かと思われます。

当然、資本主義に関しては、対立している西側諸国を前提にした表現と成っていますので注意してください。

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以上が、共産主義、社会主義、資本主義、自由主義の違いと考えられます。

これを見て、共産主義と社会主義(ソ連型社会主義)が逆では無いかと言う人も居るかとは思いますが、ブログ主が調べた限りにおいては、この様な解釈になりました。

実際、共産主義は、あくまでも「生産する為の資本の共有化や富の再配分を説いているだけ」で、「需要まで勝手に決めて計画的に生産する事を説いているわけでは有りません」でしたし、最終的に共産主義を目指していたソ連の社会主義政権(ソビエト共産党)が、自分勝手に民が何を求めているかの需要まで計画的に決めていた事は確かですので・・・

ネットを見ていると、共産主義が全ての需要と生産を決めつけて計画的に生産消費させていると言う記事も有りました。多くの人が共産主義と社会主義の区別がついておらず、ごっちゃになって説明している人も居る様なのです。(ただしブログ主もそうかも知れませんので、読み手の人達も注意して下さい)


この混乱の原因は、冷戦期の東側陣営の問題で、ソビエトや中国が共産主義を目指しているとしながらも、実際に行っていた事は統制経済と軍事独裁だったため、多くの人が共産主義や社会主義は、そういったものだと誤解した事に原因があると思われます。

ソビエト共産党などを見て見ると、「共産主義思想を目指す社会主義政権の政治業者が、実際は民主主義手続き取らずに独裁権力を振るっていた」と言う事になり、根本的な政策や実際行っている事見た場合、「労働者に一方的な価値観を押し付けていた共産主義でも社会主義でもない何か?」の様に思えます。

日本でも、これらのイデオロギーや政党や政権を語る時に、「最終的に共産主義を目指している社会主義政権であるソビエト共産党」などと言う単語を並べ、共産主義なのか社会主義なのかが分からない説明をする事が有ります。

ぶっちゃけブログ主も、間違って解釈している可能性が有りますので、重ねて書きますが読み手の人も注意してください。


★経済に「計画や統制」と「再分配」は必要か?

ハッキリ言って必要です。

まず計画や統制に関してですが、そもそも、如何なる主義であろうとも投資するからには何らかの指標を目安にしてある程度の計画を立てなければ、投資自体が成立しません。しかし個人に任せていては、自分に利益が出る事にしか投資されなくなり、利益に成り難い非常時の対策に関しては、事前の投資が行われなくなってしまいます。

もしそのような時に予想外のトラブル(災害や戦争)が起きた時、社会システムはどうなってしまうのでしょうか?

災害や戦争のリスクを一切織り込まない投資は有りえませんが、全ての人がそれらを想定の上で行動できるかは別問題です。そのような時に、「国家や共同体の様な一個人や一会社ではどうしようもない事態」や「何も起こらない可能性のある時代での事前準備」を行う組織体制が絶対的に必要になると考えられます。

そのため一般大衆の想像もしない低確率起こるリスクを考慮した、計画的な投資を行う事は必要なのです。


そして"再分配"に関してですが、人類は社会を形成して生きている生物ですので、この再分配が無ければ社会的分業体制で人気の無い職ほど軽視される事になり、その人気の無い職が供給する物資やサービスが枯渇する事になります。

無論、供給が先細れば、需要と供給のバランスが逆転し利益が出る様になるので、長期的な視点で見た場合、均衡がとれます。しかし均衡が取れる前に何らかの形でその供給能力に打撃が被られる様な事(災害や戦争等)が起こった場合、供給体制の崩壊に繋がり大惨事になってしまいます。

「生存や必要最低限度の生活を支えるインフラ投資に関する計画的な統制経済」に関しては、その時点で利益を見いだせない民間では、損害覚悟の投資や支出などは行えませんので、そのため多少の損害を覚悟してでもリスクの高い投資を行える組織は絶対的に必要だと言えますし、再分配に関しては、ある程度国家全体を見た上で強制的に行える政府が、汚名を被ってでも行わなくてはいけない事と考えられます。


それが政府なのです。

しかし逆に言えば、政府の行う事は、その程度の事に留めるべきであり、簡単に利益を見いだせる事に関しては、民間の自由意思と自由な経済活動に任せるべきなのです。

それを行わず、一から十まで巨大な政府の政策で行おうとした場合、その政府の行った事が失敗であった場合、取り返しがつかない事になります。

考えても見てください、政治家の思う通りに全ての人々が同じ趣味を消費し、同じものを食し、政治家の都合の良い様に生きなければ成らない法則などは一切ありません。人間である以上、自身の嗜好が有り、指針の価値観に沿った生き方をしている筈です。

その事を顧みず計画的に「何時、何処で、何を食べ、どの様な行動を取ればいいのか?」を妄信し生活してくれる民衆だけしかいないと言う考え方は、最初から世の法則に逆らっているのです。

ましてや人間であれば、武力をちらつかせれば言う事を聞いてくれるとしても、自然環境から発生する災害等は、政治家の思う通りには動いてくれません。にも拘らず、すべての事象が政治家の計画通りに動いてくれると言う考えは、痴人の妄信にすぎません。


この「人間は間違う生き物」と言う原則を守らずに、一から十まで自分達で行おうとして失敗し、国家ごと壊滅したのがソビエト連邦を始めとする旧東側諸国なのです。


事項では、何故東側諸国のそれが失敗に結びついたのかどうかを自然環境や地政学に置いて考察しようと思います。


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以上で第一回目の「共産主義はなぜ衰退したのか?」を終了します。

今回の記事はいつも以上に長大に成っているので、何回続くかは分かりません。
気長に見て行ってください。

後、一応情報を集めて勉強した上で書いてはいますが、めんどくさがり屋のブログ主のやる事なので、どこか情報が掛けて居たり、間違いが有ったりするかもしれません。その事を前提のうえで読んでください。(経済分野における"分配と配分"の違いが分からない・・・)

次回に続く!

関連リンク:イデオロギーシリーズ
共産主義は、なぜ衰退したの?-1- <←このページ>
西側陣営の政策を地政学で考察する-4-
イデオロギー変化は循環の制御である-5-

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nh01ai33 at 08:00政治歴史

2018年09月26日

今回は、国家の提示する歴史的資料や情報などが必ずしも真実では無く、周辺諸国の事を考慮に置いた地政学戦略を軸にした情報操作である可能性の一考察になります。

歴史資料や情報と言えば、米国の公文書や、日本と国定アジアの歴史問題、大昔の歴史書等が有ります。これらがその情報を発信する国の外交や内政に、どの様に影響されているのでしょうか?

私たち日本人が信じている歴史や情報を地政学の視点で見たら、どの様な意味を持つのか?これから出てくる資料や情報が日本の外交にどの様に影響するのか?

それらを幾つかの代表例を提示して見ようと思います。


★魏志倭人伝
魏志倭人伝は、中国の三国志の時代における魏の国で記された、倭国に関する書です。日本でも文字の無い時代の事を記した情報資料として金科玉条の如く大切にし、ここに書かれている事を真実である、という前提の下で当時に歴史を考察する人が多々います。

日本人から見れば邪馬台国を始めとする当時の国の事を綴った資料として、多くお歴史学者やマニアの間で論争の基となっており、人々の好奇心を刺激していますが・・・

しかし地政学の見地から見た場合、まったくとは言いませんが「国の位置」等に関する部分で怪しい情報が溢れており、資料として必ずしも信用のおけるモノでは無いと言われています。

この魏志倭人伝に書かれている、当時の日本(日本の地方政権なのかどうかどうかは、いまだ決着のついていない)の位置が、現在のグアムの辺りに存在しており、この位置の不自然さが、現在の邪馬台国の存在していた位置に関する論争に成っています。(既に知っている人は知っている事です。TVやネットで幾らでも言われている事ですからね)

これは当時この資料を発布している"魏の国"の情勢を考えて場合、理解できると言われています。当時の中国は三国志と言われている時代で、魏志倭人伝を作った魏の国の敵対国として南西に"蜀の国"、南東に"呉の国"が存在していた事は、三国志大好きな人の多い日本人には周知の事かと思われます。

そして魏志倭人伝を発行した"魏の国"から見た場合、敵国である"呉の国"との戦いを有利に進めるため、"魏の国"から見て"呉の国"の更に向こうに「魏の同盟国」と成る国家が有れば、魏は呉との戦いを有利に進める事が可能となるのです。

ですが実際にはグアムの地点には、邪馬台国のような国家は存在していません。つまりそのグアムの位置に有る程度の規模の国家が有り、その国が魏国と同盟関係あるとなれば、敵対している呉の国としては、挟み撃ちを避けるために魏国を敵に回す事を躊躇わざるを得ません。

ですので、魏志倭人伝に記されている邪馬台国の位置は、"魏の国"が"呉の国"との勢力争いを有利に進めるためにでっち上げた偽情報」である可能性が有るのです。

と言うのが「地政学の視点で見た、魏志倭人伝の邪馬台国の位置に関する説」なのです。(知っている人は知っている。有名な仮説ですよね)


★古事記と日本書紀
古事記と日本書紀は、日本の建国神話と伝説を綴った資料と言われており、神話と伝説と歴史が書かれていると言われています。(ブログ主は読んだことが有りません)

神話や伝説の部分の特に「日本国の建国に至る部分」や「建国後の事件」では、国を譲り受けたり、敵対していた相手達が内部分裂したり、戦いに負けて逃げたり、と言った相対する相手を打ち倒すシーンが少ないところが特徴として挙げられます。

また神話の中にはどうも、各地で伝わる似たような伝承を基にした話も有ると言われており、その様な物語では登場人物が違う逸話も有ると言われています。

古事記の神話に近い部分は、これらの日本各地の逸話の集大成であるようで、それらの話を古事記の神話の部分として再編集し、皇室の神聖性を高める事に貢献させているようなのです。

この事から、「当時の皇室が権威を高めるために制作した捏造された歴史である」と言う学者もいるようですが、ブログ主の視点で重要なのはその点では無く、なぜ「この時期にこの様な皇室の権威を高める情報操作をしなければ成らなかったのか」の方が重要なのだと思います。

ここで重要なのは、当時の古事記が出来た時の日本の国情と海外事情です。

この頃の日本国は、対外事情では「白村江の戦で敗北し超大国と敵対状態が続くリスクがあった事」が一つ、そして「対外を見据えた大化の改新が行われ、国内の挙国一致化行われている事」が一つ、とこれら二点の事情が有り、その為に日本列島に住む人たちの団結が求められていた時期でもあるのです。

以上の事から項の最初に述べていた事に繋がりますが、だからこそ「日本列島に住む人たちが余り争わずに、争わない形で国家の建国を行った朝廷」と言った伝承が必要だったのだと考えられます。

この伝承によって、「朝廷は日本を征服したのでは無い、皆に頼まれ統治者になったのだ」と言う認識を産み、それによって「我々日本国は朝廷に征服されたわけでは無い。皆で調停を担ぎ上げ団結したのだ」と言う風潮を作り、必要以上に日本国民が争わずに、建国された超大国唐を含めた国際社会の荒波を乗り切るための国家体制を構築が出来たのだと思われます。


以上の事から古事記は、当時の権力者である皇室の権威を高めるためでは無く、本質は大陸の超大国に対抗する為の「日本列島に住む住民の挙国一致の団結を高めるためである」と言う考察も出来るのです。(この考察は、古事記が編纂された当時の日本の置かれた国際情勢を基準にした考察となりますので、数ある説の内の一つ程度に考えてください)


★フーバー大統領の回顧録
ハーバード・フーヴァー第31代米大統領は、世界中の誰もが逃げられなかった大恐慌の時の大統領だった米国の政治家です。近年このフーヴァー大統領の回顧録(裏切られた自由)の日本訳が発売されました。(英語版はもっと前に発売されている筈・・・、原著の回顧録そのものは更に前)

この回顧録を見る限りにおいて、「フーヴァー大統領の次の大統領であったフランクリン・ルーズベルトが、"日本に戦争を行わせよう"としか思えない対日外交を行い、日米開戦を誘発させた」と論じている。(注意、ブログ主は読んでいません!他の人の感想を見る限りにおいてです)

この回顧録を見て「やはり米国の謀略で日本は戦争に引きずり込まれたんだ」と言う認識を確認する人も多くいると思われます。しかし地政学の視点を取り入れた場合、これら米国の「日本は悪では無い論」をクローズアップした文書が出たからと言って、馬鹿正直に「米国にも米国の所業に憤慨している人も居るのだな」等と解釈してはいけません。

地政学で見ると言う事は、あくまでも「国家間のパワーバランス(力の均衡)を考慮の上で情報を精査するべきである」と言う事です。

現在米国の置かれている状況は、「世界覇権を維持している現状で、覇権に対する挑戦国として中国が台頭し、日に日に米中の摩擦が増大している」と言う形です。この状況を有利に進めるためには、同盟国との協力は必要不可欠と言えます。

そして現在の米国にとって、絶対に中国側陣営に走られてくない同盟国が日本国なのです。当ブログで何度も述べていますが、日本は財政的にも米国を支え、地政学的にも米国と対立できる大陸国家に侵略経路を提供できる位置状況にあるため、日本に裏切られたとき米国の世界覇権は終了すると言ってもいいのです。

そのため米国は、日本に裏切られない様に外交的な配慮を行わなければ成らないのです。

そういう点から見た場合、これら日本を持ち上げるかのような資料が出てきた場合、日米間の印象を改善し外交に役立てようと言う意図も考慮の上で確認しなければ成らないと思われます。

関連リンク
地政学と歴史の考察シリーズ米国編


★米国の公文書
同じ理由で上記で取り上げたフーヴァー大統領の回顧録だけでは無く、米国が一定期間が来たら定期的に公開する公文書も、もしかしたら戦略を見据えタイミングを見計らって後悔している可能性も十分あります。

冷戦時代に戦前戦中の日本を持ち上げる情報がそれ程出てこなかったのは、「当時の日本が必ずしもソ連を止めるための壁には成らなかった為(千島列島がソ連の管理下にありましたしね)」と「日本の経済力と通貨の信用力が米国を脅かすものでは無かった為(日本の台頭は冷戦末期)」と「先の太平洋戦争で戦場に立った人たちの発言力が強かった為」などの幾つもの理由が考えられます。

ですが現在の米国は、信用力では日本と中国と中東の産油国に頼り、世界に展開した軍隊の維持は日本に一部負担してもらっています。この状況で、日本との関係を悪化させた場合、「日中の同盟」と「ドル売り」と「産油国までの通商路破綻」の三点が誘発して居まし、米国の覇権も終了する事になるでしょう。

その構図が分かっていれば、米国から発信される情報で「同盟国の心証」に関係するモノに関して、いちいち反応する事も無いと思われます。

関連リンク


★国が出す情報は誰に対して?その国と周囲の状況を見れば良い?
「国家が出す情報」で、特に外交問題に飛び火しそうなモノに関しては、その時点で情報発信している国が置かれている状況("国内状況"又は"周辺国との関係")を見た上で判断して法が良いと思われます。

簡単なモノになると、中国や韓国の掌返しなどが有名で、かの国等は、国が危機的状況に成るとその苦しい状況を打破してくれる力を持つ国に擦り寄る癖が有ります。(すごく分かりやすいですよね、この二国は・・・)

これが日本になると、将来の周辺諸国のパワーバランスがどの様に変化するかを考えて、変化しなければ日本が身を斬り大国化させ、それ等関係国の関係が変化するのを予測した情報の布石を置く事によって、その情報に影響された外交を行う様にコントロールする事も有るのです。(歴史問題である「いわゆる従軍慰安婦」や「南京事件」に端を発した反日外交を見れば理解できると思います)

ですので、ひねくれてはいますが、国家が出す情報を一から十まで、その情報を発信している国家の解釈で見る事は避けた方が良いと考えられます。


--------------------

以上を持って、国家が提示している「歴史資料」や情報を真面目に受け取らない方が良いと言う一考察を披露させていただきました。

何時も書いてはいますが、当ブログで書かれている事は、ブログ主個人の見解にすぎませんので、どこかに間違いが有るかも知れませんので、それを前提の上でお読みください。

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nh01ai33 at 08:00地政学歴史

2018年09月24日

本日は、地球の寒冷化に関するブログ主なりの考察となります。ただしブログ主は自然環境に関する専門家では有りませんので、間違いが有るかも知れないと言うのを前提の上で閲覧ください。


現在の国際上の問題として、温室効果ガスによる地球の温暖化が叫ばれています。

しかしブログ主は、地球温暖化では無く、地球は寒冷化していると見なしています。


現在の地球温暖化の議論は、地球寒冷化の過程で幾つもの不確定要素の混入により、気象が今までとは違う循環を描いている為、巻き起こった議論であると思っています。

つまり「温室効果ガスによる短期的な気温の上昇によって、あたかもその一事により地球が温暖化していると見なすのは、間違いでは無いのか?」と言う事がブログ主の言いたい事です。

では何故地球は寒冷化しているのかと言うと、地球規模の熱や冷気の循環に原因が有るからだと考えられます。

これは、地殻変動による大陸の位置や山脈の位置の変動が、海流や気流の流れを左右させ、極点や高地の肌寒い地域の"冷えたマイナスエネルギー"を地球全体に循環させ、世界全体を平均的に寒冷化させているのでは無いかと言う考えです。実際、幾人もの学者の方々も地球温暖化問題の議論が出てくる前は、その様な価値観の下で今後の地球環境を議論していました。(ブログ主は詳しい論文等は見ていません)


ブログ主自身、この考え方を前提に考察したことが下記の様になります。


★南北アメリカ大陸結合とユーラシアアフリカ大陸合体に見る寒冷化の一考察
現在の地球での大気の環境形成は、海や大気の流れにおける熱の循環の影響を受けて形成されています。

地球の長い歴史を見れば、隕石の衝突による寒冷化や海中のメタンの大気放出による極度の酸欠による絶滅などもありますが、基本的には、寒冷化や温暖化と言いう自然現象は、寒冷な極地と温暖な地域(赤道)を繋ぐ海流や気流の繋がりによって偶然操作されるものです。

そのため温暖化と寒冷化を論ずるに当たり、今までつながっていなかった地域が世界とつながると言う事がどれ程重要な事なのかを考察しなければ成りません。

ここで重要なのが、極地と超高度の世界です。


「極地」とは、北極と南極の事で、赤道から遠い、日照時間が他の地域と比べ極端に少ない地域です。もう一つの「高高度の世界」とは、遥か空の高みにある地表から離れた世界の事です。双方共に非常に寒冷な気候の領域であると言う事を、現在の我々も理解している筈です。

この二つの世界は、大陸の位置や山脈の位置で、時には"地上の環境"からは隔絶された状態に成る事が有ります。


①山脈の寒冷効果で大気が冷やされる
例えば、地上から高高度(8km~以降のジェット気流の有ると空域)は、非常に肌寒く寒冷な空域です。そこに地上から空気が流れ込むと、流れ込んだ大気の量だけ地上に向けて高高度の肌寒い大気が押し出される事になり、当然そうなれば、地表の温かい大気も上空から流れてくる冷たい大気と混ざり、適度に冷やされる事になります。

ココで地表から高高度に流れる大気の量が増えた場合は、当然高高度から地表に押し出される寒冷な大気の量も増え、地表もより冷やされる事になります。

この論理で重要なのが地表の形状です。地上の温かい大気が高高度に流れる道が有ればより多くの大気の循環が地表と高高度の間で行われると言う事で、この循環に寄与している地理的な要素が山脈に有ると考えれます。

山脈や高地の高さが高ければ高い程、地球の自転で作られる大気の流れが山脈にぶつかって高高度に流れる大気の流れが強くなる事を意味し、地表の暖められた大気が高高度に流れる量が増加する事になります。(多分)


②海流の極地への流れで海が冷やされる
もう一つ重要なのが大陸の形状から形成される海流の流れです。先ほど極地が他の地域より寒冷なのは取り上げましたが、この極地付近の凍り付く海域に海流が流れ込む事により、極地での寒冷なエネルギーが海流に乗って世界全体に流れる事になるのです。

そこで重要になるのが、大陸の形状で、この大陸の形状が南北に長い形をして居た場合、海流の流れが東西では無く、陸地に沿って極地の海域に流れ込む事になります。

代表的な例が、「南北アメリカ大陸東部」と「ユーラシアアフリカ西部」に存在している大西洋です。東西を縦長な陸地に挟まれたせいで、それ以上東西に海流が流れにくい状況を作り出してしまい、赤道付近で暖められたメキシコ湾流が地球の自転によって西に向かうのでは無く、南北アメリカ大陸に阻まれ東に向かう流れが作られてしまい、大西洋を横断しヨーロッパ近辺を経由し、遂には北極海に流れ込む海流の流れが作られてしまっています。

北極海近辺に流れ込んだ暖流は、寒冷な北極海の海水と熱交換され冷たい海流となり深海に潜り、そのまま深海を進みながらインド洋西部や太平洋北部から沸き上がり、世界中の海を循環していると言われています。

この海流の循環により、赤道に近い海域でも適度に水温が冷やされる事になり、その地域の限定的な寒冷化に寄与していると考えられます。


③極地の大陸
更にもう一つ付け加えさせてもらえば、極地にある大陸の問題で、この寒冷な地域になるであろう海域に陸地がある場合、その地は年中通して℃マイナス以下の地域であるため常に雪が降り積もり解けずに残り続ける事になります。

そこに大気や海流が当たる事により、その大気や海流を通して世界中に寒冷な大気や海流が流れ込む事になると言う事に成ります。

例えるなら「暖かい部屋に巨大な氷の塊を一つ置くだけと、その氷の塊に送風機の風を当てて部屋全体に冷気を循環させるのと、どちらが温かい部屋を冷やす事が出来ますか?」と問えば、後者の方が選り部屋全体を冷やす事が可能、と考える事が出来るのでは無いでしょうか。

これが南極大陸の地球寒冷化における問題と言えるのです。

仮に南極大陸のある領海に北極海の様な大量の流氷を浮かべたとしても、大半は海中に水没し海水の熱交換力の前に溶けて無くなってしまうと思われます。そうなった場合、短期的に海水温が低下するとしても中期的に気温は元に戻ってしまうのでは無いでしょうか?

最も、そうなれば地球の寒冷化も緩和されるかもしれませんが・・・

※注意:念のために言っておきますが、ブログ主はスーパーコンピュータ並みの計算能力を持っているわけでは無いので、実際の海流循環や気流循環がどの様に影響しているのかの計算は出来ていませんので、それを前提の上で読んでください。


★短期的な異常気象は、一定時期が過ぎると安定する?
基本的に現在の地球上の大陸や山脈の位置や海流と気流の循環から中長期的には、地球の気候は寒冷化に向かいつつあると考えられるとブログ主は思っています。

しかしそれと短期的な異常気象はまた別の問題と考えられます。

例えば火山活動が活発に成って噴火に巻き上げられた塵の影響で寒冷化する。

温室効果ガスによる一時的な温暖化。

等が起こっても大陸の位置や山脈の位置によるエネルギーの循環構造が変わらない限り、エントロピー増大の法則で、海流や気流の行き渡る地域への熱交換が限界に達し、平均化される事でそれ以上の温暖化や寒冷化が進まないのでは無いかと考えられます。

無論、海流や気流の変化で今まで届いていなかった地域にまで海流や気流が届いたりした場合、今まで以上に寒冷化が進んだりしますし。今まで海流や気流が届いていた位置に、それらの流れが届かなくなり、その地の熱エネルギー(冷気も)との熱交換が促進されたり行われ無くなった場合、温暖化に変化する事も有ると思われます。


つまり地球を覆う強大な循環が第一に有り、その流れを構成しているモノが、他陸の大きさや位置だったり、山脈の位置だったり、それらの位置関係によって構成される海流や気流の循環構造を形成しています。(地球内部のマントルの活動も同じです)

副次的な要素として、火山の噴火だったり、二酸化炭素を始めとして温室効果ガスの排出であったりと言ったモノが有るのだと考えられます。

そして副次的な要素では、全体の循環構造に水を差す事は出来るかもしれませんが、水の流れを変える事は出来ないのでは無いかと考える事が出来るのです。

ただし温室効果ガスに関しては、このまま化石燃料を使い続けると継続的に放出され続ける事になりますので、短期的な問題では終わらないかも知れません。


★地球温暖化対策は寒冷化対策である

現在世界各国の行っている温室効果ガス排出抑制や省力化の試みは、基本的には温暖化対策と言うよりも寒冷化対応対策であると考える事が出来ます。

何故ならば、地球全体が今までより寒冷化し生物が生きるに厳しい環境になった場合、人が生きるためにエネルギーをより効率的に使用しなければ、エネルギー輸入国では生活し辛い事になるからです。

生物と言う存在は、基本的に熱エネルギーが無ければ生きて行けません。特に文明を築き外部からエネルギー輸入をしている人間と国家は「エネルギーを確保できるか?効率的に扱えるか?」と言う事は、命題とさえ言えるからです。


★温室効果ガスの影響

前述の事を前提にした場合、現在の国際環境や地球環境を考慮した場合、温暖化対策をしなくても良いのかと言うと、そう言う訳では有りません。

温室効果ガスが短期的にでも大気中に散布されると、地表が暖められると言う事は事実なため、放置し続けると短期的に気温が上昇してしまいます。当然そうなれば、海水温も上昇し蒸発する水分も増え、そうなれば降雨量や降雪量にも影響しますし、日照環境も変わるかも知れません。

現在地球全体で起きている、異常気象と言われる事はそれが原因なのでは無いかとブログ主は考えています。

もしこれが事実なら、都市ではヒートアイランド現象と合わせて豪雨による水害が増えたり、日照りが長く続いたり、豪雪被害が多くなったりと言った現象が今より多く起きるかもしれません。これは短期的な温暖化による大気中の水分量の増加するのですから水分関係の災害が増加るのは当然と言えます。

また以前どこかでも書きましたが、南極大陸や山岳地帯、特にヒマラヤ山脈やロッキー山脈などの地域で降雪量が増えれば、海中の水分が氷河や氷床と言うモノに姿を変えます。その様にして海水が減れば、陸地の面積が増える可能性も出てくるかもしれません。(そうなれば完全に氷河期と言う事になります)

そのため温室効果ガス、イコール長期的な地球温暖化と言う考えは、少しばかり疑った方が良いかもしれません。

もし温室効果ガスを何とかしたのであれば、ガスの抑制も必要ですが、むしろ二酸化炭素を吸い取り酸素に換える光合成活動を行う植物の大量植樹を大々的に行うべきだと考えられます。これによって二酸化炭素の濃度を減らし酸素の量を増やす事に繋がり、「酸素⇔二酸化炭素」の循環が確立されるからです。

もともと石炭や石油は古代の植物やプランクトンと言われています。ならばその内に閉じ込められている二酸化炭素は、植物やプランクトンを拡大再生する事に使用するのがベストな事と考えられます。そうすれば自然界の均衡を取る事にも繋がりますし、現在排出されている二酸化炭素も、植物やプランクトンの内に封じ込める事が出来ると考えれらるからです。


----------------

この様に考えると、今まで大気や海流が、届かなかった地に届く様になる事、またかつて封じていたモノ(温室効果ガス)を再び解き放つ事により自然環境が激変すると言うこの構図は、経済に当てはめると、正に冷戦時の限定貿易からグローバリゼーションへと進み、世界が一体化し始めた事に重なります。

グローバリゼーションは正に、人類社会が均等に成る事により、経済的な富の均一化(エントロピー増大の法則)が行われ、逆に国際情勢を混乱を陥れた人類の愚を見ている様な気がします。

なお今回考察した大陸の形状による海流や気流の影響による地表の寒冷化に関しては、以前見た記憶が有るのですが、今回はそこにブログ主なりのエッセンスを投じて見ました。ただし基になった情報は、ネットで検索しても、そのページが見つけれませんでした。(多分どこかの偉い学者さんも同じような考察をより詳しくしていると思いますので、詳しくはそちらを見た方が良いと思います)

あと五億年前の古生代から新生代・新第三紀≪中新世・鮮新世≫(2300万年前~260万年前)が始まる前まで、南北の極地が氷床に覆われても、他陸が結合し海流が極地の海に流れ込まざるを得ない地形が形成されていない事も重要な事ですね。そのため新生代・新第三紀と言う時代は、パナマ地峡が出来たり、ヒマラヤ山脈が出来たりと、正に地球環境が寒冷化に進む地形的な要素が整えられた時代であったと言えるのでは無いでしょうか?(恐竜の繁栄していた白亜紀などは、海流が東西にしか流れない様な大陸の位置関係だったみたいで、当時の地球環境の温暖化加減が思い知らされます。現代人として絶対その様なところに住みたくありませんね)

逆に我々人類は、その寒冷化の進む世界に適応し繁栄する事に成功した生物であるとも言えます。

以上を持って記事を終わらせますが、何度も書いている通り、当ブログで書かれている事は、ネットで取り入れた情報を、ブログ主の主観で組み合わせた考察にすぎませんので、どこか間違いが有るかも知れません。それを前提の上で読んでください。

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nh01ai33 at 08:00自然環境歴史

2018年09月21日


前回の続きで「戦後を見据えた日本の布石≪地政学で見る投資と敗北≫」をお送りいたします。

前回のリンクを書いておきます。

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★支配地への投資
明治から大戦後に至るまでの大日本帝国の各地に対する投資戦略が、戦後にどの様に日本や世界のパワーバランスに影響を与えているかは、重要な事である。ここでは当ブログで考察した事をより詳しく纏め様と思う。


①台湾(独立維持の産業力へ)
台湾が日本の植民地になった後、太平洋戦争終戦まで日本の投資を受け発展し、終戦間際には内地に対して貿易黒字を計上するまでに産業が発展しました。貿易黒字を日本本土に対して計上できると言う事は、台湾が域内で生産した過剰生産物を内地に対して輸出し富を蓄えれるだけの産業力を得ていた事を意味している。

この産業の供給能力があった為、太平洋戦争後の国際社会に放り出された時に、日本に計上していた余力を国防費などに向ける事によって、自勢力の存続を行えたと考える事が出来るのです。

そして、この供給能力があったからこそ、国共内戦に敗北した国民党(蒋介石)は、圧倒的に小さな台湾でも独立を維持し、大陸を制した中国共産党に対抗できたのである。

その後の台湾は、ユーラシア大陸外円部の島国と言う地理的位置を生かし、中国と米国の間で緩衝国家として生存させる事に成功した。


②満州(中原制覇の原動力に)
満州も台湾島と同じく太平洋戦争の終戦頃には、内地(日本)に対して貿易黒字を計上する地域になっていた。この他国に輸出できる余力こそが、第二次世界大戦後の国共内戦で、中国共産党が国民党に勝利できる軍事力を整える事の出来た理由だと思われる。(これは台湾と同じである)

日本に対して黒字を計上できる産業能力を軍事力に投入していた事と、日中戦争の頃から日本陸軍への支援に経済力を回していた事、そして何よりもソ連の軍事援助が、国共内戦の勝利を中国共産党にもたらした要因であると言える。

そして重要事がもう一つあり、日本の影響下にあった満州で戦前戦中に五族共栄のスローガンにより周辺地域で暮らす民族(漢民族、日本人、朝鮮人、モンゴル人、満州族)が共同で暮らせるようにする政策を行っており、この政策が内乱明け暮れる中国大陸において満州地域が唯一のオアシスとして認知される要因として働いた。

そのせいで混乱している中原から多数の漢民族が難民として流れ込み、タダでさえ漢民族の多い土地になっていた満州地方を、人口差で漢民族の地へと変えてしまい、大戦後には完全に満州族の土地では無い、漢民族の土地に換える要因として働いてしまった。

中原も満州地方も共に漢民族の土地になってしまったが為に、中原を支配する国民党か、満州を支配する共産党かのどちらの勢力が内戦で勝利しても、満州と中原の双方を押さえる単一民族の国家として成立する事は、戦前戦中通しての政策により決定づけられていた事が推察できる。

結果として外満州を押さえオホーツク海から太平洋に進出しようとするソ連(現ロシア)と長大な国境を接する事になり、中ソ共に潜在的に最大の敵国として認識せざるを得ない地政学的な状況が整えられたのである。


③朝鮮半島(維持できず分裂の原因に)
日本に併合されていた朝鮮半島は、日本に支配されていた他の地域とは異なり、唯一、内地(日本)に対して経常赤字を計上しており、併合中はその経済を内地の大和民族(現在の日本人)の犠牲によって支えられていた事が知られている。

併合中に朝鮮半島の人口は倍増しており、当然生産力も増加していたのだが、それ以上に対内地からの赤字補填に頼った経済運営をしており、内地の大和民族から見た朝鮮半島が、どれだけお荷物な金食い虫であったかが分かる。実際、併合時代の内地の政治家の中には、「朝鮮半島に投資しているから日本内地の発展が阻害されてる」と不満を述べていたものも居る程である。

しかしこの朝鮮半島への投資は、戦後の自主独立できる産業能力を持った満州から発生した中華人民共和国の台頭と大国化による極東アジアの情勢激変を見た時に、初めて併合時代に日本が犠牲になり続けながら投資を行った意味が理解できる。

この日本の身を削った投資戦略によって、人口的にも産業的にも朝鮮人たちだけでは国家を維持できない状態になり、戦後の朝鮮半島に成立した勢力は、お約束の大国に依存し巻き込む外交戦略を誘発でき、それによって生じた朝鮮戦争によって日本の復活に繋がったのである。

その後、南部韓国の復興に日本から過剰なマネーが注ぎ込まれ産業移転が行われ再び日本の影響下に置かれ、経済成長する事により南北格差が広がり統一が不可能に近い状況となった。

これらの日本の戦前、戦中、戦後の対半島投資戦略は、半島と日本の関係だけで見るべきでは無く、むしろ隣接する中国の大国化による、中国とソ連(ロシア)の力関係や、米国と中露(中ソ)のパワーバランスの均衡と言う観点から見るのが正しいと思われる。

特に中国の満州とソ連(ロシア)と朝鮮半島の関係は需要で、漢民族が満州地域まで支配下に置いている状態でロシア(ソビエト)と対立関係が有れば、ロシア(ソ連)が満州地域を包囲できるかどうか点で、朝鮮半島が中露(中ソ)の対立での干渉地帯なる為、戦後の日本にとっては中露(中ソ)の二大陸軍国の対立負担の全てを朝鮮半島に押し付ける事が可能な地政学的な状況とできていたと言えるのである。

もし中国の満州地方が、漢民族の国では無く満州族の独立国家が成立していたとした場合、中国とロシアの極東での潜在的な対立は、国境を接していない為、今よりも限定的なモノとなっていたと思われる。

そのため現在の世界情勢下の朝鮮半島の二国家は、日本が米中露の三大国間の軍事激突の場として用意する為、自分達では維持できない人口や物資消費力を身に着けさせることを主眼に置いた投資戦略を行い、戦後放り出した後に、めでたく分裂させる事に成功した人工国家であると見なす事も出来る。

韓国の人達は、戦前戦中に日本から富を収奪されたと吹聴しているが、本当に収奪(経常黒字)されたのであれば、日本が統治していた他の地域と同じく、戦後安定して独立運営するだけの産業能力があったはずなのである。しかし現実は逆で、他の地域とは違い日本に頼り切っていたからこそ、現在の分裂した状況が現実と成っているのだ。

寧ろ戦後にこそ、大国の干渉地帯となり日本に向けられる大陸からの軍事圧力や大陸国家と海洋国家の摩擦の押し付けられ場所として利用され、戦前、戦中に日本人の血をすすって得た富と命を、周辺大国を巻き込み疲弊させながらも、自分達の命で日本に返済する羽目に成ったのである。

④東南アジア(供給能力が独立戦争への力となる)
最後に東南アジアの投資となるが、この地は欧米列強の植民地であった事から、真面な教育や産業育成が行われてはおらず、日本の統治下におかれた時期にも、民需製品の拡大を目的とした投資よりも、自主独立の為の軍事力を拡大する投資が行われていた。そのため日本軍が駐留しているからと言って、必ずしも現地の人達の生活が向上したわけでは無い。

また日本内地に対しての貿易よりも、現地で戦う日本軍に対しての軍需物資援助のための生産が行われており、これが戦後のアジア各国の独立戦争によって、日本軍から現地で戦う独立軍への物資供給へと変わっただけなので、現地の人達の生活に関しては、ことさら戦中よりも生活が悪化したとは考えにくい。

これは、あくまでも戦中からも日本に対しての物資供給では無く、東南アジア諸国の独立を行う勢力への物資供給の投資であった事が、現地の人達の生活が必要以上に悪化しなかった要因として働いたと考えられる。


★侵略経路の提供
日本の敗戦における布石で、戦後に最も効力を発揮したのは、何といっても北方領土(千島列島)だと考えられます。

日本が太平洋戦争で敗北直前の時、日本はソ連に打診し対米交渉の仲介を依頼していました。しかしソ連は、その日本の申し出を弱気の表れと受け取ったのか、英米の密約に応じ日本との日ソ中立条約を一方的に破棄し、対日宣戦を布告し日本の領土に侵略を掛け、満州、樺太、千島列島を武力占拠しました。

この事が後の日ソ関係や日露関係に影を落とす事と成りました。しかし、それ以上に米ソ関係(米露関係も)とその後の世界のパワーバランスに影響を与えました。

考えても見てください、もし千島列島が日本の領土のままだった場合、勝利した米軍が千島列島にまで基地を作り、ソ連(ロシア)が太平洋に進出する余地を完全に奪い取っていた事でしょう。

日本が敗戦の折にソ連が千島列島を侵略するまで米軍に降伏する事を我慢したからこそ、後の冷戦で米軍が太平洋全域を守らざる得ない負担を被り、過剰な軍事支出を行わなければ成らない状況となったのです。

米軍の沖縄占領も似たようなもので、沖縄を米軍に押し付けているからこそ、後に成立した中国が太平洋に進出する時に米軍と対立しなければ成らないのです。

これらの各国が進駐している日本(もしくは元日本)の領土は、日本列島の内地から外れた島々に限定されており、生産地としては不適切であるが通商路としては重要な地域で有る事からも、他国に侵略する為の進出経路の重要地点に当たる地域とも成っているのです。

そのため現在行われていると思われる、日本の侵略経路の提供による周辺大国の軍拡競争戦略に、これらの諸島地域が大きく影響していると考えられます。

これらの事を考慮すると、日本は敗戦直前まで、戦後の事を考えて何時頃降伏すれば日本の国益と成るか、生存戦略に活用できるかを考えた上で、侵略を誘発する情報を流したり、連合軍の残虐行為に耐えて降伏したと考える事も出来るのです。

★戦って、負けて、占領され、濡れ衣を着せられる

現在日本は侵略を行った国にされていますが、慣習国際法の視点で見た場合、日本はその様な事は行っていません。

にも拘らず日本が侵略行為を行った事にされています。これは侵略の定義が制定されていなかった戦後直後でしたから正当化できた認識ですが、現在の慣習国際法で定義された侵略の定義に照らし合わせた場合、「日本が侵略したのでは無く、日本が侵略され反撃した側」である事が分かります。

しかし周辺各国は、長期に渡り日本を侵略者扱いし、その認識がこびりつかせてしまったため、かつて日本に濡れ衣を着せた国々の方から、今更「日本は侵略を受けた国家で我々の方が悪かった」とは言えない状況となって、今に至ると言うところと思われます。

そしてこの事自体が、日本が周辺大国のパワーバランスを維持するための同盟関係戦略に利用される事になりました。(真の歴史を知る事によりナショナリズムを激発させる人が一定数居る事は、否定しようのない現実で、その時の民心の影響で、同盟関係が変わるリスクが生じるのもまた事実と思われます)

また覇権争いが激化する中で、今まで以上に日本との結びつきを強くしたい場合、米中共に敵対する勢力がかつて日本に対して行った事を批判し、「日本が決して悪の国では無かった」と言う情報を流し、日本との同盟を強化する戦略を打ち出す事も十分考えられます。

そして日本の地政学戦略と認識できる、「大国間の軍拡を煽り世界経済をバブル化させ各国を疲弊させる戦略」を意識した場合、これらの「汚名を流布し冤罪を着せられ続けた事」や「明治から第二次世界大戦中の投資戦略において操作された植民地の産業や消費力操作」が戦後の中国の台頭と、日本を素通りした大国間の激突を誘発する布石として働き、日本の国益と成る状況の構築に寄与したと考えられます。

この様に見た場合、日本は最初から明治以降のアジア進出を、領土拡張のための進出として行っていたのかが疑問に思われます。もしかしたら最初から周辺各国の「産業操作」「民族移動の操作」「正義の認識操作」を行おうとして進出していた可能性も有りますので、日本国民ならば、それ等の事も認識して各国の動きを見た方が良いと思われます。

------------------
二回に渡り続いた「戦後を見据えた日本の布石」を終了いたします。一応今回の記事は、歴史と地政学で読み解いてみるシリーズと成りますので、よろしければ同シリーズの他の記事も読んでみてください。

しかしココまで来ると苦笑いを浮かべるしかないんだが・・・、当ブログを見ていると国家不審にしか成らないので、もしかしたら読まない方が良いのかもしれません。(自分で書いておいてなんだそりゃ・・・)

ここに書かれている事は、ブログ主の個人の見解を述べたものにすぎませんので、間違いが有るかも知れません。それらの事を前提の上で読んでください。



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