2019年07月

2019年07月30日

今回は先に行われた参院選の結果に関しての記事となります。


戦後二番目に低い投票率(48.8%)で終えた今回の参議院選挙ですが、終わってみれば「まあ納得の結果」に落ち着いたのでは無いかと思いました。

今回は、何故参議院選がこの様な結果に落ち着いたのかを、ブログ主の個人的見解で一方的に考察してみようと思います。

★論点
今回の参院選の論点に関しては、多くの人々の間で意見が分かれています。

それは最大勢力である自民党が、最大の問題点と言われている消費税増税に踏み切り、また消費税の減税に関して一言も論じないと言う態度を取っているためである。

野党として勢力の大きい、旧民主党系の立憲民主党と国民民主党の二党が消費税増税には反対しているが、そもそも消費税が自動的に増税される法案を通したのが、2012年に旧民主党が政権与党だった時の事であるため、彼らが行った所業である事を考えると、その白々しさから国民も完全に投票意欲を削ぎ取られた形になった。

一部では消費税増税よりも問題視されている移民(海外労働者)受け入れ問題に関しては、どこの政党もまともに取り上げない態度を取っており、

改憲問題に関しては、参院選前の状況の方が改憲案を通しやすかったにもかかわらず、殆ど取り上げていない事から、改憲論者達の票を集めるための餌として提示されていただけで、改憲論をぶち上げていた自民党でさえも「最初から改憲などする気が無かったのでは無いか」と言う論が取り上げられており、これも自民党の票を減らす原因になったと思われる。

唯一、対外安全保障(対韓国外交)が選挙前から大々的に報道されており、これがある程度の票数に影響したのでは無いかと考えられている。


それらを考慮の上で下記に、「各政党」「その方針」「変化した議席数」更に「選挙説く全からの行動や言動」を記して見た。


①自民党:67議席から57議席に、減少
・消費税増税賛成
・移民受け入れ賛成
・改憲は表向き賛成(行おうと思えばいつでも行えたのに行わなかった)
・対韓外交で強圧的な態度を取る

・三年前の議席獲得数と変わらず、6年前に比べると獲得議席は減少


②立憲民主:15議席から17議席に、微増
・消費税増税反対(ただし増税の為の法案を通したのは、立民が民主党で政権与党だった2012年の事です)
・移民受け入れ賛成
・改憲反対

③国民民主:8議席から7議席に、減少
・消費税増税反対(ただし増税の為の法案を通したのは、立民が民主党で政権与党だった2012年の事です)
・移民受け入れ賛成
・改憲は賛成なのか反対なのか分からない(ぶれてる)

④公明党:議席変わらず
・消費税増税は状況によって賛成する
・移民受け入れ賛成
・一応、改憲賛成

④維新:7議席から10議席に、増加
・消費税増税は現時点では反対
・移民受け入れ賛成
・一応、改憲賛成

⑤共産党:8議席から7議席に、減少
・消費税増税反対
・移民受け入れ賛成
・改憲反対

⑥社民党:議席変わらず
・消費税増税反対
・移民受け入れ賛成
・改憲反対

⑦れいわ新撰組:2議席獲得、政党として確立
・消費税増税反対
・自民党案の改憲には反対

⑧NHKから国民を守る党:1議席獲得、政党として確立
・NHKの解体

⑨希望の党:参院の議席消滅、政党としても消滅?
・党として成立しているのかが分かりませんでした・・・

⑩無所属:3議席から9議席に拡大


★結果を見れば政治不信が増大した
今回の参院選は結果を見れば、政治不信が増大が露呈した選挙と言えます。既存の野党は自分達で消費税増税法案を通したにもかかわらず、今になって消費税増税に反対して国民の支持を得ようとし、政権与党の自民党は、行うと言っていたにもかかわらず改憲の為の行動さえ起こそうとしませんでした。

おまけに「重要な移民問題を取り上げない」と来れば、本気で与野党は国民の方を向いた政治を行う気が無いと疑われても仕方が有りません。

その結果が、48.8%と言う投票率の低さなのでしょう。

自民党は大きく議席を減らしましたが、議会に厳然たる勢力を有しており、今回彼らが一応与党としての立場を固める事が出来たのは、野党全体が消費税反対に動いたため野党内で票分散が起こり、どこかの政党が突出した力を持つ様な事態には成らなかったために過ぎません。

★「テーマを絞った新興政党」と「無所属」の躍進
今回の参院選で目立ったのは、テーマを絞った新興の政党と等に属さない無所属の人達でしょう。

れいわ新撰組は、民主党系政党のように消費税増税法案に組したわけでは無い事、そして明確に消費税増税反対を表明している事が評価され、「本気で消費税増税に反対して居る党」として見なされた事が政党として確立できた大きな理由であると考えられます。

民主党系の政党は、構成する人が政権与党だった時に消費税増税案を通しているため、述べている事がブレブレであると見なされていますが、れいわ新撰組は確立したばかりの勢力であるため発言がブレは有りません。

NHKから国民を守る党は、「ネットを活用した広報」と「国民に根付くNHKへの不信」を見事に票に換えて見せました。これは「既存の与野党では数十年間変化させる事が出来なかった体制を変える事が出来るかもしれない」と言う期待を表したもので、国民に対してのNHK改革を行って見せれなかった既存の与野党に対しての反発が表に出たと考えられます。

他にも政党に属さない「無所属の立候補者」や「大阪で改革に成功しつつあると見なされている維新の党」が大きな躍進を遂げた選挙となりました。

この事から今回の選挙は、「言っていた事を行おうとしない、もしくはして欲しくない事ばかりを行おうとする既存の与野党」に対しての国民の反発が思いっきり浮き彫りになったと言えるのでは無いでしょうか?


★対韓強弁外交は衆院選までか?
今回の参院選で、もっと議席を落としてもおかしくなかった自民党を影から支えたのが、お隣の韓国と言えます。

近年に入り韓国が、日本の大多数の国民が不信を覚える程に反日政策を推進した結果、今回の選挙に合わさる形で韓国に対して強気の態度を取った政権与党に、国民の支持が集まってしまい、自民党から離れつつある自民党支持者が「韓国に対して強弁な態度で挑んでくれるのであれば・・・」と言う感情を抱き、消去法で自民党を選ぶ行動を取った事も見逃せません。

近々衆院選も有りますので、衆院選を見据えてか、大陸情勢に巻き込まれない様にする外交の為かの判断は付きませんが、政府による韓国叩きは続くと考えられます。

国民が見定めなくては成らないのは、衆院選が終わった直後から親韓国的な態度を取り始めるのであれば、自民党は国民の嫌韓的心情を選挙の為に利用したと言えるでしょう。

逆にそのまま韓国に対して強気の対応を取るのであれば、大陸情勢に巻き込まれない様にするための判断からの国家戦略であると考える事が出来るのでは無いでしょうか?

今後、韓国に対してどの様な態度を取るのかでも自民党政府がどの様な目的で韓国に対しての外交を行っているのかの結論が分かりますので、非常に重要な事柄だと考えらえます。

関連リンク
対韓輸出規制の真意?

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以上で参院選の結果のブログ主の見解になります。

まあ自己分析して見れば「納得の結果!」と言ったところです。ブログ主自身政治不信が酷く、また多くの国民の人達が同じ気持ちになったため、戦後下から二番目の投票率と言う不名誉な選挙になったと考えられます。

今後もこの状況が続くのであれば、いつの日か国民の不満が爆発し、第二次世界大戦に突入する直前さながらの混乱状況に日本が陥る恐れも有ります。

最も、あくまでもブログ主個人の見解に過ぎませんので、どこかに間違いが有るかも知れません。その事を前提の上で閲覧してください。

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2019年07月28日


前回(米国の不満)からの続きです。


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★時系列でみる日本の対応
では前述の「時代ごとの米国の軍事負担の変容」に対して日本はどの様な対応を取ってきたのでしょうか?

まず"①"の朝鮮半島危機までは、日本の軍事力自体が崩壊していたため、米国に防衛を依存するのはやむを得ません。

"②"高度経済成長やベトナム戦争頃の世界では、日本国内で社会主義運動が活発化したため、安易に日本に軍事力を高めさせると、「日本が裏切った時の米国の負担が大きくなるため」、また「日本の経済復興を優先するため」の二つの理由から軍事負担を背負う必要から解き放たれました。

この頃の日本は、他の自由主義陣営の先進国に比べて人件費が低かった事、軍事負担が少なくその分経済にリソースを投入できた事の主に二点から、低価格品を他の先進国(主に米国)に販売する事で、多くの外貨を稼ぎ国力を充実させる事に成功しました。

"③"のニクソンショックから始める「ドルの金交換破棄と石油交換券化」の時は、日本は適応する為に通貨高による高付加価値の産業投資を行い、より付加価値の高い産業を起こすと共に、信用を得た"円"を利用し原油の輸入量を拡大し消費と投資の拡大を行いました。当然原油決済自体にはドル支払いで行われ、ドルが世界で使用される下地作りを援助し、米国がドルの信認を守るために原油供給のための海洋ルートを守らなければ成らない環境確立に貢献しました。

プラザ合意後は、積極的に米国債を購入しドルの価値が暴落しない様にしつつ、冷戦後から始まるグローバル世界に対して、バブル崩壊による不況を演出してまで国内でマネーを溜め込ませ、そのマネーをホットマネーとして海外に流出させる事で海外の経済を活発化させ、世界中の国々を好景気にしました。

これによって"④"で述べた、世界中の国々が超好景気下で「自国だけで自国の消費力を満足させられない状況」に追いやり、全世界で石油引換券であるドルを使用させる事に成功しました。このバブル輸出により米国が貿易決済にドルを使用してくれる国々の為に、全海洋ルートを守らなければ成らない状況に追いやったのです。

同時に将来の米国の敵となり得る中国に大規模投資を行い、大国化を促進させるととともに自国が冤罪を被る事による「中国のナショナリズムの増大」を誘発させ、「日本を守らなくてはドルと貿易通商路の安定が出来ない米国」と「自国民を養うために対外進出をしなければならない中国」との対立が煽り、米国に更なる軍拡負担を押し付ける事になりました。

この様に日本に関わったが為に、

「日本の防衛」→
「日本の周辺にある諸国を社会主義陣営から守る」→
「中東からドルを原油引換券として利用してくれる国への海上輸送ルートの防衛」→
「ドルを貿易決済通貨として使用してくれる国が使用する海洋ルートの防衛」→
「米中対立」

へと防衛負担が増大する事になったのです。


この様に米国が世界に深入りし一国で世界経済を守らなくて貼らない状況に追い散った要因として、

「冷戦の軍拡競争による過剰支出」
「ドルの信用失墜を避けるための原油引換券化」
「日本による米国債買取から始まるバブル輸出」
「軍拡支出やドル高による米政府の赤字拡大と国内経済の対外依存」
「ドルの世界通貨化」

等が挙げられます。


米国から言わせれば「日本の防衛に関わったが為に、全世界を守らなくては成らない負担にまで拡大したのだから、日本も米国が背負っている軍事負担を分かち合うべきだ」との意見を持ったとしてもおかしな事では無いと考えられます。


★米国の自業自得
では上記で述べた「米国が世界の貿易システムの維持と保護負担」を押し付けられた事に関して、確かに戦後米国の立場で見た場合は、不公平な負担と思えなく有りませんが、これを第二次世界大戦前まで遡った場合、必ずしもその様な認識には至りません。

これは当ブログでも述べている様に、戦前の米国はユーラシア大陸から離れた立地を良い事に、ナチスドイツや中国に援助を行い、独中両国が"米国に隣接する、米国の潜在的な敵国"に戦争を吹っ掛ける手助けを行い、米国に隣接する国々(日英仏)が米国に軍事リソースを向けれない環境を犯罪的手法で確立していたからです。

このオフショアバランシング政策は大英帝国が覇権を握ったのと同じ構図となります。

恐らくはその結果、戦後に周辺国に敵国として認識されている可能性を考慮し、ユーラシア内部の共産主義勢力に走られない様にするための防衛負担を被らざる得ない事になったのだと考えられます。

その後に世界情勢に引きずり込まれたのであれば、正に自業自得であると言えなくも有りません。

その環境を日本に利用され、ドルを全世界にばら撒かれて、ついには世界の治安を維持しなければ成らない状況に追い込まれたのだと考えられます。

関連リンク


★米国の国益は負担を分かち合う事
ではこのままの状況が未来永劫続くのかと言うと、それは不可能であると考えられます。すでに絶頂期を通り抜けた米国の国力は、全世界の比率で言えば20%程度にまで落ち込んでおり、かつて世界生産力の半分を一国で占めたほどの影響を持ちえていません。

米国には広大な国土と資源があるため持久力は有りますが、全世界の治安維持を行い続けるほどのパワーも有りません。平和であれば問題は無いかも知れませんが、自国に迫るパワーを持つ敵対勢力が次々と現れ邪魔している現状では不可能であると言えます。

そのため米国は軍事負担を減らすために、同じ海洋貿易で安全保障を分かち合う国と同盟を組み、負担を分かち合う事が国益になります。

NATO(北大西洋条約機構)は正にそれで、同盟を組んでいるヨーロッパ諸国は米国から見れば軍事負担が低いものの、一応は同じ戦場に向かい血を流す事をしています。

ネックは日本で、日米同盟は存在しているものの軍事費負担は、日本はGDP比率で約1%、米国はGDP比率で約4%に達しており、著しく米国に負担がかかるバランスで運用されています。

軍事と言うモノは民需の生産には寄与しないモノですので、軍事負担が多ければ多いほど物価にインフレ圧力が掛かる事になり、インフレに対応する為に無理な投資や海外からの安い物資に頼らざるを得なくなり、経済の過剰投資や対外依存を加速させる事になり、国家としての自立性を失ってしまいます。

(過剰投資が行われれば金回りが良すぎるため消費や人口が増えすぎる可能性が有り、そうなれば海外からの物資をより多く調達しなければ成らなくなり、対外依存率が上昇するのです)

米国にとって対外依存率が上昇すればするほど世界の治安を維持しなければ成らなくなり、その財政負担からなる赤字支出から更なる対外依存に陥り、最後には米国と言う存在が、より大きい世界と言う存在によって溶かされ吸収されてしまう事に成り兼ねません。

その様な事態を避けるためにも、他の国にも公平な負担を被ってもらう事により、財政支出の負担を避ける政策を行わなければ成らないのが現在の米国なのです。

特に日本に軍事負担を被ってもらうのは絶対に必要なのですが、どれだけ圧力を加えても「第二次世界大戦で"悪"と定義付けられた事から生じる国民の"軍拡拒否感"や"世界情勢の混乱に巻き込まれたくない感情"」に関しては拭い様が無く、この点に関してはGHQの行った日本を悪とする占領統治が現在の米国に対してマイナスとして作用したものであると考えられます。

そのため今後米国などの日本に日本周辺の治安維持のための軍事負担を負ってほしいと考えている国は、日本に対して

「愛国心を煽る」
「使命感を煽る」
「大国意識を煽る」

等の情報工作を行うのでは無いかと考えられるのです。(現在でもすでに行っていると見なせる事象は幾つも有ります)

これらの情報操作は米国だけでは無く、日本と敵対したくない国も同じように仕掛ける可能性が有ります。(その筆頭として挙げられるのが中国となります)

関連リンク


★日本は負担を被るべきなのか?
では上記の米国の置かれた負担に対して日本はどの様に対応すべきなのでしょうか?

これに対し、ブログ主は「ある程度の負担を被るべし」と言う認識を抱いています。

理由は二つあり

一つは、負担を被る事により「米軍に対しての軍事維持補完力の拡張」を行う事で、米国がいざ日本と戦う事になっても、「日本が居なければ日本と戦えない」と言う環境を作る事によって、米国から主敵扱いされ難くなります。

二つ目は、現在日本が行っていると思われる「米中露の三大国に侵略経路を提供しての軍拡競争を煽る戦略」は、アメリカ・中国・ロシアの三ヵ国が存在しパワーバランスが取れていることが前提なのですが、もしどこか一つの国でも崩壊してバランスが崩れれば成立しない戦略なのです。

この事から現在の三大国競食状態が成立しなくなった時、米国が極東の治安維持をから手を引く可能性が有り、その様な状況成った時の治安維持を考えた場合は、今のうちに治安維持力を拡充しておく必要性が有ると考えられるのです。

そのため日本もある程度の負担を被り周辺地域の安全保障に力を尽くした方が良いと考えられるのです。

ではどの様な事を行えば良いのかと言うと「"改憲"よりも、"実際の軍事力の整備"」が必要と考えられます。


ではどの様な整備が必要なのか?と言えば、これは安易に軍事力を増やすと言うよりも「自国と敵対する大国側に日本が走られた場合、その敵対的同盟勢力内での国ごとの弱みを補完し合われたら面倒だ!」と周辺大国に思わせる様な軍事整備が必要になると言う事です。

現在有名なのが「日本の通常動力潜水艦の隠密能力」がこれに当たり、「日本が世界一の静音性の潜水艦を有していれば、中露二国の自国の支配海域に核兵器搭載の原潜を配備しての対米相互確証破壊戦略が行い難くなる」と言うモノです。

日本がこの静音性世界一の潜水艦を有して居れさえすれば、日本と同盟を組んだ国が相互確証破壊戦略に一定のコントロール権を有するようになり、極東における勢力争いを優位に進める事が可能となります。

米国が日本と同盟を組んだままで居れば、日本の潜水艦能力を生かし、中露の原潜戦略を破綻させれる可能性が大きくなり、中露が日本と同盟を組めば、太平洋全域に原潜を沈める米国に対しては無理だとしても、自国の原潜を日本に防衛してもらったまま、ロシア又は中国の原潜に対してちょっかいを掛ける事が可能となるのです。

この様に「日本に敵側に回られたら、最大の脅威の弱点を守る盾として動かれ、自分達の安全保障に不備が生じる。そして日本が味方でさえいれば、自国の手が回らない部分を何とかしてくれる」と思わせれれば、例え米国が中露のどちらかを打ち倒しバランスが崩壊した後でも日本と同盟を組む必然性が出て来て、日本が一方的な敵視を受ける可能性は低くなると考えられます。

この事から周辺諸国の弱点を補完する様な、軍事力の整備はある程度の規模で行った方が日本の安全保障に貢献できると考えられるのです。

関連リンク
小国優位の極東地政学バランス
≪-前編-≫
≪-後編-≫


★「日本は自立してほしい」と言う思いは、日本を下に見ないと言う事
ここで話を一番初めに戻すと、トランプ大統領の述べている「不平等安保発言」等の日本に対しての文句は、ある意味日本に対しての負担押し付け競争の敗北宣言と言えます。

同時に日本を対等に見て格下に見ない事を宣言したも同然で、今後は日本国民に対して日本国民に対して着せて居た汚名を如何にして雪ぐかの情報操作を行い、日本国民のプライドや自立心を刺激してくる可能性が有ります。

これを如何にしてとらえ次の行動に移すのかで日米の未来が決まるのでは無いかと考えられます。

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以上で全二回に渡り述べさせていただいた「米国が不公正と考える日米安保条約」に対しての考察を終了させていただきます。

無論、あくまでもブログ主個人の見解に過ぎませんので、もしかしたら間違いが有るかも知れません。それらのリスクを考慮した上で閲覧してください。

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2019年07月26日

今回は、米トランプ大統領が「日米安保条約の不公平」や「米国が日本の為に血を流す覚悟が出来ているにも拘らず、日本人が米国の為に血を流さない現状」を取り上げ不満を訴えた事に関しての考察となります。

事の問題は、第二次世界大戦後の敗戦から連合軍(実質上の米軍)の統治から脱却し、国際社会に復帰する時に結んだ米国との安保条約が、既に時代にそぐわないものになっている事から今回のトランプ大統領の不満に繋がっていると言われています。

これはトランプ大統領のだけの不満では無く、米国の政治家や軍人が等しく抱いている不満と言われており、日本国内の言論人や元自衛官の人も、「日本が危機的状況に陥った時に米軍を矢面に立たせ、米国が危機的状況に成った時日本が支えない現状の安保条約」を日米関係の友好の面から余り良いものとは考えていない事が露わに成っています。

日米安保条約は、サンフランシスコ講和条約で日本の国際社会への復帰が採択された時に裏で結ばれた条約で、当初は米軍が日本に駐留するだけで「日本防衛の責任さえ無い上に、どこにでも基地を置ける」と言う日本に著しく不利な不公平な条約でしたが、1960年に失効され"新安保条約"が結ばれるまで存在していました。

新安保条約は、旧安保条約に比べると米軍による日本の防衛が約束されてモノで、現在米国が日本に不公平と述べている安保条約は、この新安保条約の事を指します。

これ以降、日本は経済復興が叶い国力が回復した後でさえこの安保条約に寄り掛かり、国土はともかく海洋通商路に関しての防衛を米軍に押し付け続けています。


★米国から見た安保負担の変化
では日米安保条約が米国の負担に成ってゆく過程を各時代の流れを見ながら考察してみましょう。

①戦後直後~朝鮮半島危機
まず戦後直後ですが、この時期はGHQが日本に駐留していた時期で、日米安保条約自体は存在していませんでしたが、米軍が日本を我が物顔で闊歩していた事は確かで、土地を強制退去させられたりと当時を知る人にとって余り良い時代では無かったと言われています。

その後、日本が正式に国際社会に復帰してからは、安保条約(旧)が結ばれると、日本を統治していた連合軍の統治機構は無くなり、正式に日本国政府の統治に移行しました。

日米安保条約の当初は、米軍に日本を全面的に守ってもらう事を前提で結ばれていたため、米軍に対して余り強い事を言えないものになっていましたが、朝鮮戦争が起き日本が日本周辺海域を自国の力で守らなくては成らない状況に成り、自衛隊を発足させました。それ以降は、交渉に末に現在の日米安保条約(新条約)が結ばれました。

この頃の米国は、一国で世界の半分の経済力を占めるほどの大国で、自国内で自国の必要とする物資の殆どを調達できる程の大国でした。そのためいちいち遠方まで物資を調達する必要も無く、必然的に安全保障の為には南北米大陸のある西半球の海域さえ安定させればよかったため、ライバルであるソ連を海に出さない様にする軍事ドクトリンを採用し、日本や欧州に軍を置く事で、ソ連勢力が海洋に出てこれない様にするための壁として機能させたのです。

当然、日本列島も米軍を駐留させる事で成立する大陸と太平洋を分かつ壁として機能しました。


②高度経済成長、ベトナム戦争
冷戦も本格化すると、世界各地で米ソの代理戦争が起こり、社会主義勢力の台頭が進む事になりました。本格的にソ連と対立する事になった米国は、日本にも自由主義陣営で活躍してもらうために、対等に近い形で日本とも関係を改善する事になります。

これが1960年に行われた安保条約の改正で、現在でも使われている日米安保条約となります。

ただ当時の日本で安保改正を曲解して受け取った若者たちが社会主義運動を起こし、暴動等が各地で生じると言う現象も起きました。当時を知る安保改定反対派の人達は、今になって「現在条約文を見たら比較的真面」と言う発言を行ったとも言われており、中身を見ずに暴動を起こしていた事が確定しています。

ただしこの社会主義運動の結果、「世界大戦の記憶が薄まっていない時期に日本に再軍備をさせた場合、当時敵国として戦った米国を憎むあまり東側に走る恐れもあるのでは無いか」との疑惑を抱かせたのでは無いかと考えられ、これによって日本は、本格的に軍隊を成立させ軍事負担を被るリスクを遠ざけられたと言えるのでは無いでしょうか?

またこの事から米国にとっての日本は、米軍をアジア展開する上で必要な供給能力を満たしてくれる基地としての側面も持ち始め、海洋アジアで活動する米軍を維持するために無くては成らない国に成り始めたのです。

この結果、日本を壁として共産主義勢力が海洋に出てこれない様にするだけでは無く、海洋アジア全体の安定を維持する負担も米国は被らなくては成らなくなったのです。


③日本の大国化、ドルの石油引換券化
アメリカが世界の海を守らなければ成らない負担を被る事になったのは、冷戦期にドルと金の引換を停止したニクソンショックがその引き金になりました。

元々米ドルは金と一定価格での交換比率が定められており、それが米ドルの価値を支えていましたが、「ドル=ゴールド」の引換が停止された事によって、米ドルの信用が毀損される事になりました。

また冷戦期の軍拡競争による過剰な財政支出によって経済が拡大し続け、ついに米国は自国国内で調達できる資源だけでは米国を養い切れない国家に成ってしまいました。特にエネルギーは深刻で、安全保障の観点から全ての石油を消費し尽くす訳にはいかず、供給先として中東諸国に依存する事になりました。

そして中東の特に最大の産油国であるサウジアラビアとの交渉の末に、石油の販売をドル決済で行う合意を取り付け、ようやくドルの価値とエネルギー供給を安定させる事が出来たのですが、皮肉な事にこのドルの石油引換券化によって、世界中の国が石油を輸入する為にドルを求め、米国の国力以上の通貨価値をドルに与えてしまう事になったのです。

これにより遥々地球の裏側までの全ての海洋ルートを安全に通行できる通商路にしなければ、"ドル決済前提の中東の原油"を購入してくれなくなってしまい、もれなく地球の全海洋を守る負担を背負い込む事になったのです。

この頃から経済と技術を身に付けた日本が大国として台頭し始めました。米国がアジア全域で軍を展開するには、軍を維持する整備供給能力を有する日本が必要不可欠になり、地球の裏側まで行くための中継基地としての性格も帯びる事になったのです。


④冷戦終了から近年
冷戦が終了した後、海洋面においてはロシアの軍事的脅威は去りましたが、米ソ冷戦による団結が消えた世界では、今まで溜め込まれていた民族対立の不満が一斉に噴出し始めました。特に中東はその不満と言う名の火薬庫になり、紛争が絶えない地になり、中東の原油にドルの価値を支えてもらっていた米国は、その抗争に巻き込まれる事になったのです。

また冷戦後期以降から貿易赤字や財政赤字を拡大させ完全に経常収支赤字国に転落し、日本で生じたバブル崩壊の不況により、停滞した経済で貯め込まれたマネーがホットマネーとなり米国を始めとする世界に巻き散らかされ好景気を演出された事により、多くの国が海外依存経済に陥り、貿易決済のために「日本のドル介入で価値が上昇したドル」を使用する世界経済が作られました。

これによって米国は「貿易、生産、消費、ドルの価値の維持」と言ったすべての面で世界に依存するようになり、全世界の治安維持システムを構築しなければ成らない負担を被る事になったのです。

無論日本はアジア全域の海洋通商路に影響を与える重要地域としての価値だけにとどまらず、大量の米国債を有する純資産国として米国経済を支える友好国として確立する事になりました。


⑤現在の米国の対外石油依存脱却
米国では近年に入りシェール革命(硬い岩盤の中にある原油を抽出する掘削技術)が起こり、大量の原油やエネルギーを自国で賄える様になり中東への依存が減りはしたのですが、「世界に巻き散らかしたドル」と「ドルの石油依存」は、いまだに解決されていません。

そのためドルを使用し続けて貰わなければ成らない状況は未だに変わりなく、そのための世界の貿易保護の為の治安維持に割くリソース負担から来る赤字国債の発行は止まりません。

世界の治安を維持する為の軍事支出を止めなければ財政の健全化は成し得ませんし、財政の健全化が成し得ないのであれば通貨と経済のインフレーションも止まりません。

軍事支出と貿易赤字による通貨と経済のインフレが止まらなければ、国民が生きるために安い商品を調達しなければなりませんし、そうなれば更なる海外依存に陥ってしまいます。

そして海外依存に陥れば陥る程、「輸入を安定させるために海洋通商路を守らなければ成らなくなり、世界の治安を維持する負担を支出しなければ成らない」と言う悪循環に陥るのです。

これが現在の米国の軍事負担の現状と成ります。


★かつて米国も行っていた負担の押し付け
いつの間にか世界の貿易の維持負担を押し付けられていた米国ですが、実はこの構図は米国だけでは無く、かつてイギリスが大英帝国だった時代に、米国に押し付けられていた構図にソックリなのです。

当時の英国は「植民地戦争」や「第一次世界大戦」で英国の対外負債が拡大しており過剰な支出を行っていました。

その負債に対処するためにも生産力を拡大する為に各植民地に投資を行っていた英国ですが、当然本国から離れた植民地との貿易を円滑にするために、海上貿易の安定化が必要で、ソレに莫大な投資を行っていました。

結果的に見れば、米国に支えられながら、米国の為に世界の貿易体制守るための負担を被る様になってしまい、その環境下で低コストで利益を上げながら各国を戦争で争わせ破壊する事の出来た米国に資本拡大競争で後れを取り、遂には負債の拡大が維持できなくなった英国は覇権国の座を米国に移譲する事になったのです。

その様な過去米国が行っていた事と照らし合わせても、現在の日本は「"直接"テロ支援や紛争援助を行っていないだけでも温情的」と言えるのでは無いでしょうか?(間接的にそうなる様にコントロールしている可能性は有りますが・・・)

と言いましても日本の場合は「侵略経路の提供を行い米中露の三大国が対立せざるを得ない状況を作るだけで、中露のどちらかが第三国を利用してのテロ支援を行い、米国への負担を掛ける」と思われますので、"日本が率先してテロ支援等を行う必要が無い"と言う前提も有りますが・・・

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今回は記事が長いので二回に分割します。

続きは次回へ・・・

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2019年07月24日


前回の≪1-ロスジェネの人生観≫からの続きとなります。

前回のリンク


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★氷河期世代の人間としての基本能力は?
では此処で就職氷河期世代の人達の人間としての人格や能力はどうなのでしょうか?

巷では就職氷河期世代において"ドロップアウト"や"引き籠り"が多い事に対して、この世代の人に対しての人間としての能力に疑問を抱く人も一定数居ます。

これに対し、「あくまでも引き籠った人の能力が劣っているからであって、就職氷河期世代だからと言って十羽一絡げにして他の世代に劣る世代の人達と見なすべきでは無い」と考えている人も居ます。

しかしブログ主は、この考えに対しても根本的に見当はずれな認識であると思っています。

例え就職氷河期世代でなくても、氷河期世代が社会進出した時期と同じ環境下で社会進出すれば、同じだけの比率で引き籠りや自殺者を出したと考えられるからです。

何故なら社会に出たばかりの新人社会人は、社会経験などは殆どありませんので起業等は出来ません。ですので社会全体で新人社会人を雇い受け入れる環境が作られていなければ、その正社員の椅子に座る事が出来ず、どうしても無職やフリーターに成ってしまいます。

平成バブル崩壊当時は、法律と社会的風潮で先駆世代の雇用状況が守られていた時期で、新社会人用の正社員の席が著しく少なくなっていた時期なのです。

その様な環境下では、正社員でなければ「社会人経験を積んだ」とは見なされ無い環境下でもあり「実力のない人物である」とのレッテルを張られてしまいます。

そして、その後も求められない人材として人生を過ごさなければ成らなかったのがロストジェネレーションなのです。


★なぜ引き籠りやニートは起業が成功しないの?
安易に起業すればよいと言う人も居ますが、起業するにしても先ずはどこかの会社で雇ってもらい経験や人脈や資金を作ると言う下準備も必要ですが、無職やフリーターではこの三点を確保する事はかなり難しくなります。

安易に経験の無い者が起業しても倒産・破産するのが関の山でしょう。

むしろ経験等を有する高齢裕福層こそが起業を行い、新社会人が経験を積みながら所得を得て新たなる起業家として社会に貢献できる人材として育てる責務があるのですが、ロストジェネレーションが社会に出た頃にそれらの社会的責務を果たすべき世代は、人口の割合が多い割には、その様な事は行われませんでした。(バブル崩壊の不況で投資や起業に及び腰だったのも原因の一つですが・・・)

無論これは戦中世代と団塊世代を指します。一応彼をの行動を弁護するとバブル崩壊による不景気と将来を見据えた不動産購入を行った人が多かったため、どうしても自己の所得を安全に確保しする必要があったため、立場の弱い新社会人(当時の就職氷河期世代)にその負担を背負わせたのだと考えられます。(そうしなければ彼らの生活やロストジェネレーションを始めとする子世代の生活も崩壊してしまいます)

また政府自体が、先に社会進出している人の雇用を守るルールを維持し続けたのと、常に労働市場を飽和状態にし、雇用の需要より人材供給が多い環境を法制度で作り上げていた事も原因だと考えられますので、全てが全て「前世代の人こそが社会人としての能力が低かったから後の世代を助ける事が出来なかった」と決めつけるべきでは無い事も重要認識として心の内に留めて置くべきだと考えられます。

なお欧米を例に出し、日本がバブル崩壊項停滞しているのを揶揄している人も居ますが、これは日本のバブル崩壊と景気対策が中途半端で、不景気から脱出できない事で貯め込まれたマネーが低金利で世界に出回った事で生じたグローバルバブルの恩寵を受けただけで、彼ら欧米人の能力が日本人に勝るからだと言うのは少し違うと思います。

特に米国では、企業家が会社を倒産させても個人の資産で会社の借金をマイナスになるまで保証する必要が無いため、負債を株主や債権者に押し付ける事が出来る構造になっており、そのシステムのおかげで起業自体が行いやすいと言う点も割り引かなければ成りません。


★問題は「世代内格差」では無く「世代間格差」だった
バブル崩壊から現代まで続く就職氷河期世代以降の世代に対する社会構造と風潮は、第二次世界大戦前の戦前世代よりも酷いか使いを受けていると言えます。

当時の人達も命を掛けさせられ戦地に送られると言う点で言えば、現代の人よりも酷い待遇であったとも言えるのですが、それでも人手として、必要な存在として求められていた事は確かですので、そこに自分達の存在意義を見出す事も出来たかと思われます。

ですが現在の「ロストジェネレーショ以降の社会から距離を置いた人たち」は、存在そのものが求められていないと解釈されても仕方の無い社会環境でも有りました。

「人手が足りないから求められている」と考える人も居るかもしれませんが、ソレは「低賃金でも働いてくれる労働力としての価値」で、結婚を行い、家庭を持ち、子を産み育てる事の出来る賃金で雇い入れないと言う環境では、人として必要なわけでは無く「機械」や「労働奴隷以下の存在」として欲しているだけで、真に人間として求められている訳では無いと見なされてしまいます。

この「"予め経験した社会人としての能力"と"法律"と"税制"によって守られた雇う側の世代」と「雇われる側の世代」の立場の落差から生じた環境により、雇われる氷河期世代を下着姿で極寒吹きすさぶ荒野に放り出し、雇う世代は若者からはぎ取った衣服を身に纏いながら暖房のガンガンに効いた温室でアイスクリームを頬張り「なぜ若者が寒がっているのか理解できていない」と言う状況を成立させてしまい、問題の解決を複雑化させてしまったのだと考えられます。

これにより当時若者だったロストジェネレーショが「寒い事は分かっているのだが、何故自分達がこの様な状況に追いやられているのかが完全には理解できていない状況」で社会人生活を開始し、その問題を解決する意思と能力が日本の社会になかった事が、問題を根深いものにした最大の原因では無いでしょうか?


★不況世代の価値と価値観
上記の問題があったとしても、バーンアウトしたロスジェネが社会経験不足からくる武器の少なさが生じている事は紛れもない事実で、この事が引き籠った人の社会復帰を更に難しいものとしている事もまた事実です。

では彼らには武器と呼べるものは有るのでしょうか?

これに関しては、有ると言えば有りますし、無いと言えば無いようにも思えます。

①能力の無さが需要を生み出す
今までは雇用市場が買い手市場でしたが、現在は少しづつ売り手市場に成りつつあります。この事からたとえ能力の無い人でさえも雇い入れ、労働力として戦力としなければ成らなくなります。

企業は長い不況で買い手市場だった過去に、労働者の賃金を抑える事で、また給与に反映されない労働を押し付ける事により、労働単価を抑え利益を確保する会社が続出しました。

これは低賃金で労働させると言う労働者への負担を押し付けにより成立した事なのですが、人手不足になればこの論理が通用しなくなるため、どうしても低賃金過重労働以外の方法で付加価値や効率化を図らなければ成らなくなります。

この事からたとえ「"引き籠り、能力を育てられなかった人"でさえも効率的に育て、付加価値の高い仕事を行わせる能力」を企業として固めなければ成らず、この能力を高める事で、労働者を低賃金で使い潰す会社としての評価を覆す事も出来る様になり、今後の人材不足時代で生き抜く企業としての能力を強化する事に繋がると考えられるのです。

これは「海外などの外部世界から過剰なまでの人員を受け入れなければ、自然に労働者需要不足で移行できるはず」です。


②真の価値を見出す
ロスジェネは就職氷河期を経験し、平均的に所得も低く、世のモノに価値を見出す事が出来ないため、限られたモノや行為に価値を見出すようになった世代とも言える。

更にその中で引き籠った人の価値観は「人が生きる上で"真に必要なモノ"を選び取る事に特化しているのでは無いか?」と考える事が出来ます。

無論、他者によって養われているような人は別ですが、自己の資産を切り崩して生きているのであれば、消費すると言う行いにシビアに成っている筈で、この様な人達に認められるサービスや商品であれば、それは購入する価値のあるモノであると言えるのでは無いでしょうか?

ただし余りにも追い詰められて、自分自身にも価値を見いだせない人だった場合、他人の命さえもゴミのように見て、その価値観の下で物事に対応する恐れも有ります。

これに関しては、彼(彼女)等にその様な価値観を抱かざるを得ない状況に追いやった社会全体の責任でもあり、これで何らかの問題を起こす恐れも有りますので、注意は必要かと考えられます。


★バーンアウトした人達が求められる状況が作られれば・・・
上記の事から「人手不足からなる所得の上昇」と「求められる事」が生ずれば、「自身は必要が無い人間」と言う認識を持った人達にとって、この上もない救いとなるのですが・・・

現在政府が行っている労働移民の受け入れが、改善の途上にある日本社会の全てを破壊する恐れも有ります。これに関しては、保守系言論人と見なされている人からもこの移民受け入れは批判されており、今現在彼らの中では急激に安倍自民党の評価が落ち始め、あからさまに自民党を信用しない風潮が生まれ始めています。

またこのような自民党の姿勢が示されている限り、引き籠った人たちは「やはり賃金も上がりそうにない、中途の雇用改善も無さそう」と考え、生きる事を諦めてしまう人も出てくるでしょう。

毎回政府は社会から見捨てられた人を助けなければ成らないと声高らかに叫びながらも、効果が限定されている政策や逆の事を行っているからバーンアウトした人達が労働市場に戻らないのです。


「君が必要だ!」(奴隷としてでは無く)


との認識を社会全体で抱き行動する事こそが、引き籠った彼らを現世呼び戻す真実の行動では無いかと考えられます。

と言っても現状の政府のやり様を見ている限り期待薄だとは思いますが・・・

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以上を持って「就職氷河期世代の人生観」を考察した記事の後編を終了しようと思います。

今回言いたかった事は、「社会環境が人を引き籠らせるに至る構造を構築しているにも拘らず、環境と意識を改善せずして問題を改善する事は出来ない」と言う事を述べているのであり、政府の行動は改善しない様な努力であるため、今後この社会環境から生じる混乱が生じても致し方ないと言う認識を国民が共有する必要が有ると言う事です。

これは日本の「地理的位置から導き出せる戦略」や「ジャパンマネーの世界への注入」と言った政策を前提とした場合に導き出せる国内環境構築から生じる被害で、これを放置している限り同シリーズで述べている引き籠った人の将来的なテロリスト化のリスクは増大するモノと考えられ、放置すれば社会全体で負債を支払う事になるかも知れません。

日本で生きている限りこのリスクから逃れる事は出来ない上に政府も信用できるものでは有りませんので、一個人が団結し努力する事でこの社会構造の不備に立ち向かわなければ成らないと考えられます。


本日は以上となります。

関連リンク
氷河期世代シリーズ

消費税シリーズ


nh01ai33 at 07:00社会哲学

2019年07月22日


本日は、少し間をおいていましたが就職氷河期世代(ロストジェネレーション)シリーズで、彼ら世代の人生目的に関しての記事となります。

就職氷河期世代(ロストジェネレーション)と言えば、バブル崩壊以降から約十年間の間に社会に出た人達と定義されています。

この定義は若干不適切で、就職率がバブル崩壊後約十年の間悪化し続け約十年後頃が最悪だっただけで、それ以後少しづつ好転したため最悪の時期を過ぎ切ったと認識した社会側が最悪に至り着くまでの期間に新社会人として社会に進出した世代を就職氷河期世代と決めただけで、実際はそれ以降もバブル期景気以前の安定した居た頃に比べれば、企業側の雇用意欲は弱いものだったため、実際には世界金融危機直前までの不安定雇用期間に社会に出た人たちと考えた方が良いでしょう。

しかもその後金融危機で再び雇用情勢が落ち込んだため、就職氷河期序盤から就職や職場に恵まれなかったのであれば、20年以上の長期に渡り不遇な環境で働かざるを得なかった人たちと定義づけても良いと考えられます。

何故この世代の人達は、他の世代に比べると無職に陥ったまま社会復帰出来ない人が多くいるのでしょう。

今回はそれらの事象を「人が人として生きるために持つ夢や意欲」の視点から考察して行こうと思います。


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★人生の目標
今回の考察を行うに当たり、一番最初に定義しなくては成らない事が「人が生きる目標」です。

まず第一の目標が、「生存のための生存(自己生存)」と言う事が大選定に有ると考えられます。

これ以外の目標があったとしても、まずは自身の生存が確立されないのであれば、他の目標を果たす事自体が不可能ですし、人間だけでは無く他の生物も生存の為にあらゆる手段を尽くし生存本能を満足させてる事から、この目標が生きる上での基盤に成っていると考えられます。


生きる上での第二の目標が、「子孫を残す(子孫繁栄)」です。

無論これも人間だけでは無く、他の生物もこの論理に従って生を謳歌しており、第一の目標と連動した生存理由として上げる事が出来ます。


そして第三の目標として挙げられるのが、人間特有の生存理由と言える、「生きるためでも子孫を残すためでもない、それ以外の"夢や理想の実現(自己実現)"」です。

これは他の生物には確認できず、人間特有の生存理由となります。

この第三の理由は、第一の「自己生存」と言う生存目的と並列する形で成立はしますが、人によっては第二の目的である「子孫繁栄」とは重なる事無く成立してしまう事も有ります。


この人生目的において、「自己生存」人生目的は、第二第三の目的の基盤になり、この目的を達成できないのであれば、第二第三の目的を完遂する事は出来ません。

また逆に第二の「子孫繁栄」と第三の「自己実現」は、それを実現する過程で「自己生存」と言う目標を達成しますので、結果的に第一の目的の基盤達成を導く事になります。

そして現在ロストジェネレーションと呼ばれる人で社会復帰できない人達は、この生きる上での目標において「自己生存」は可能だが、それ以外の「子孫繁栄」と「自己実現」が成し得ない環境に追いやられた事が原因だと考えられます。



★労働目標の設置位置から労働意欲が決まる
上記の生きる目標の理由三つを、働く理由のと連動させ考えた場合、就職氷河期世代でバーンアウトした人が少子化に貢献してしまっている現状を考察する事が出来ます。

以下が労働の理由と人が生きる目標を連動させたものです。

①自己生存(生きる上での最低限の所得確保)
まず自己生存を達成する為の労働は、必要最低限生命維持を行える分の所得を稼ぐ目的で労働する事が挙げられ、これを達成するのは個々人によって難しく感じる人は居れど不可能な人はそれほどいないと考えられます。

②子孫繁栄(稼いだ余剰所得で家庭を持つ)
子孫繁栄を達成する為の労働に関しては、稼いだお金の余剰分を投入する事により、自身の人生のパートナーと共に、二人の遺伝子を受け継いだ子を残し、起こした家庭を維持するため労働を行う事が挙げられます。

これは最低限自己を保つだけの"①"とは違い、二人で最低三人分の生命維持の所得を稼がなければ成らず、そのハードルは比較に成らない程に高くなります。

③自己実現(夢や野望を実現する過程で必要なツール)
自己実現を達成する為の労働とは、自己の有している"①"と"②"に属さない何らかの実現目的を指し、本来は必ずしも労働と言う行為を経由するモノでは無い。

ただしこの場合の労働と言う行為は、その自己実現に近づくために必要な道程として労働と言う行為を介しているだけで、この自己実現と言う目標は、人によって重要度が違い、時には"①"や"②"より重要度の高いモノとして目標とする者もいる。

このため自己生存はともかく、子孫繁栄のための所得取得を度返しした労働を行う者も存在する。


★ロスジェネの労働目標
上記の定義を基に就職氷河期世代の人生において刷り込まれた大まかな価値観を労働目的に当てはめると、

"①"の自己生存に関しては、生きる上での最低限度の所得確保は変わらないと考えられる。

"②"の子孫繁栄に関しても価値観的には他の世代と変わり様が無いが「就職氷河期世代以前の世代」と「就職氷河期世代以降の世代」で違う事は、環境の違いで所得が極端に落ちた就職氷河期世代以降の世代は、この目標を達成できない人が続出したと言う事が挙げられる。

ここからが重要なのだが、では"③"の自己実現に関してはどうなるのだろうか?

彼ら就職氷河期世代は、前の親世代の人生や当時の社会風潮を見て自身の人生の目標を設定しているが、彼らの社会進出する前の時代は「"国民総中流"で、働き結婚し幸せな家庭を築く事が良い事だ」と言う風潮があったため、氷河期世代にとって"②"の子孫繁栄と"③"の自己実現が、同じ労働目標の結果得られるモノであると定義している人が多くいると言う点です。

つまりバブル崩壊による長期不況の影響で所得が確保できず、実質的に"②"の子孫繁栄が剥奪された時、同時に"③"の自己実現も実現できない状況に追いやられてしまったのである。

この状況が20年以上の長期に渡り定着したため「子孫繁栄と自己実現を達し得ないと悟った就職氷河期世代以降の低賃金労働者は、時期的に個人事の違いはあるとはいえ、目標を失った事から最後に残った目標である"①"の最低限度の自己生存の行動のみをとるようになった」と考えられる。

そして自己の生命の維持だけが目的であれば、働く時間を減らし、食を減らし、行動しない事で効率化を図り、より低コストで達成する事が出来るため、資産をある程度蓄えた人などは、労働市場から撤退し、引きこ籠ってしまったと考える事が出来る。

これが就職氷河期世代で引き籠りが多くなってしまった理由では無いのでしょうか?


★前世代の罪業
前述の事から、就職氷河期世代において引き籠りが多くなった原因は、確かに本人たちの目標設定不足から出た問題でも有ると思われるのですが、それ以上に目標を人生目標を破壊し自己の都合により「"自己の生存だけしか成し得ない社会環境"を作った前世代の人の責任」を無視する事は出来ません。

特に団塊の世代は、更にその親世代である戦前世代が人をゴミの様に使い潰す社会にしない様に努力した結果の社会と教育を継承したにも拘らず、実力主義と言う名文句を盾に「先に社会に出て経験を積んだ人が優位に立ち、後発世代を使い潰しても、圧倒的数の優位で言論を封殺できる社会」の維持を行ってしまい、現状の社会構築に一役買ってしまった。

本来人間の生において世代ごとの役割は、先に社会進出している世代が人生の生きる意味を己の行動を持って体現する事で、後発世代を導く事をしなければならず、この連鎖が人の営みを作ってきたと言えます。

ですがバブル崩壊以後に日本において、夢や希望を与え人の進み道を示さなければ成らない先駆世代は、その勤めを全うできず自己の生活を確保するための資産維持と所得確保の負担を、後発世代に労働賃金低下と労働環境劣悪化に追いやる事で実現してしまった。

この最低限子孫を残すための社会環境さえ残さなかった事が、就職氷河期世代以降の人達に自己の生存確保だけの行動に追いやってしまい、結果子孫を残せない環境下から引き籠り増大や少子高齢社会の扉を開いてしまった。

この前世代が作り上げた社会に対しての幻滅こそが、「引きこもり、少子化、高齢化」の最大の原因であると考えられる。

自分達の国民総中流と言う理想を提示したにもかかわらず、後の世代にその理想を実現できない環境を押し付けたのは、非常に悪質なマッチポンプと言えます。(自覚は無いでしょうが・・・)


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以上が「就職氷河期世代の人生観」の前編となります。今回は記事が長いため続きは次回となります。


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