2019年08月15日

消費税で年金と社会保障を賄うのは最悪の悪政


今回は消費税と社会保障に関しての考察で、特に「将来的に社会保障を全て消費税で賄いたい」と言っている政府の方針が、国民生活に如何にして影響を与えるのかの考察となります。

そしてタイトルにもある様に、ブログ主の考えでは「消費税で、現状の社会保障制度を賄うのは、最悪の悪政である」との結論を有しています。


何故か?

これを考える上で考慮しなければ成らない事が、負担割合と還元率です。


★世代間の負担割合と還元率

社会保障は大きく分けて「年金」と「医療・介護費の補助」が挙げられます。

そして基本的に年金は高齢者が受け取りますし、医療の補助の方も医療機関に掛かる率は、"現状の日本では"若者よりも高齢者の方が圧倒的に高く成っていますので、こちらも高齢者の方が還元率が多くなります。

そして双方共に「老後にならなければ還元され難い」と言う特色が有ります。

これに対して、老人は若い頃から保険を掛け納税をしていたのだから、還元を受けて当然と思われる方も居るとは思いますが・・・

昔の年金制度は、平均寿命が延びる事を前提として組まれていませんでしたので、今のご高齢者が払っていた納付額では、寿命が延びた分は賄え無いはずです。

これを消費税で保管すると言う形で現役世代に負担を押し付けた場合、現役世代としては「自分達の伸びるであろう寿命分の更なる負担」と「ご高齢者の払っていなかった分の負担」の双方分を現状の高齢者より多めに負担する事になるのです。

このため「高齢者よりも現役世代の方が世代別で見た負担割合が大きく、支払った分の富の還元を受けられず、高齢世代に吸い上げられる構図」となるのです。


さらに医療費の補助ですが、現状で寿命が延びつつあるにも拘らず、多くの人が自己が稼いだ以上の医療サービスを受けれるのであれば、更なる寿命の増大に繋がり、そして寿命の増大が起これば、一人当たりの生涯医療費の増大にも繋がり、更なる財政の圧迫にもなるため、追加増税が必要となります。


年金と医療補助の二点は連動しており、「医療費の保障に税金のリソースを投入すればするほど寿命が伸び、寿命が延びれば伸びるほど年金と医療費がかかる」と言う循環構造が作られ、より多く税負担を現役世代に押し付けられる事になるのです。

そして消費税と言う逆進性の強い調整方法でこれを賄うと言う事は、所得の低い者ほど負担が大きくなります。経済が冷え込み低賃金での労働をさせられ、取り崩す資産を持たない若い世代ほど逼迫した生活環境下で生きる事になるのです。

余裕が無くなれば、結婚や出産を遅らせ、更なる少子化に拍車を掛ける事になるでしょう。

そうなれば労働力が少なくなり税負担を押し付けられる将来現役世代が更に減る事になり、税収の落ち込みから始まる財政悪化から、更なる増税を行わなくては成らなくなるのです。


★所得差による人生の足切り

他にも社会保障制度の中には"教育補助(学資無償化)"や"子育て補助"や"世帯補助"なども有ります。これらの税金による補助対象者は「結婚した人」や「出産した家庭」が対象となっています。

これらの補助を受ける事の出来る人と言うのは「結婚や出産の余裕のある」、ある程度の所得が約束されている人達となります。


これは富の循環の視点で言えば、高齢者の社会保障に負担割合を押し付けられている現役世代の中でも、結婚を決断できるだけの所得や子供を養うだけの余裕のある人に対して社会保障が与えられてしまう事になります。

この様に「現役世代の中でも子供を持つ余裕のある人、稼いだ所得の内で子供を養い育てる覚悟のある人が、余裕の無い人から所得配分を受ける」と言う事を指します。

このため消費税での社会保障の拡充は、「所得関係で結婚や出産を遅らせている人に対しては、還付も何も無いため只の増税」となり、更なる婚期と出産を遅らせ効果しか生じ無い事になります。


この事から年々消費税を増税する事によって社会保障の拡充を行う政策は、毎年ハードルを上げながら「一定以上の所得以下の人達に子供を産ませない様にして切り捨てる政策」と言えるのです。


少なくとも高齢者は、自身の収めた保険料では「一切働かずに暮らせる環境」を構築し得ない事を理解して生きている筈です。

また結婚し子を作った家庭も自己の所得で家庭を維持する覚悟で結婚や出産を行ったはずです。

これらの覚悟を無視して、婚姻や出産を遅らせ貯蓄に励んでいる人に対して負担を強い、余裕のある人に還付する現状の制度は、余裕のある人たちの覚悟を汚すと同時に、余裕の無い人に負担を転換した、二重の意味で不公正な制度と言えるでしょう。

ただし、障害者(障害児)支援に関してだけは別で、覚悟の上でそうなっている分けでも無い先天性や事故による想定外の負担増を押し付けられた人に対しては、これを社会全体で支え合うのは当然かと考えられます。

その場合も、"生活に余裕のある人"からの富の再配分と言う形で実現させなくては成らないと考えられます。



★立場と構成人数による富の再配分の構図
上記の問題は、「税制度と再配分」と「所得と負担割合」と「強者と弱者の人数割合」などのバランスが事の本質として取り上げられると考えられます。

これをイデオロギーや社会体制の面から考えた場合、以下のようになります。

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①大多数の強者が少数の弱者から毟り取る

現在の日本で行われている事が正にこれで、

「税度や社会保障での還付割合が多い高齢層」や
「ある程度の余裕が有り家庭や子を持つ余裕のあるだけの所得のある家庭」が

「低所得のため家庭や子供を持てず婚期を遅らせている現役世代」から

税制度により富を回収し再配当を受けている。

となり「余裕のある層」と「高齢層」の割合は、「余裕の無い現役世代」よりも多くいますので、「法制度と社会的風潮に守られた大多数の強者がモノ言えぬ少数の弱者から毟り取っている構図」となるのです。


②大多数の弱者が少数の強者から還元される

戦後直後から高度経済成長の日本が正にこれで、

当時の所得税は非常に高額で、高度経済成長期で約6割、住民税と合わせれば高所得者は所得の八割が税金で持っていかれる状況でした。

無論これは一部の人達だけで、大多数の中間層はその様な高税率が適応されているわけでは有りませんでした。

法人税も大企業は約4割の税を取られ、中小企業は三割でしたので、現在の「大企業ほど税負担が少ない」と言う税制度とは全く違う状態でした。


③少数の強者が大多数の弱者から還元を受ける
これは「帝国主義時代の資本家と労働者の関係」や「昔の君主制」がこれに当たります。

税制度と法制度を使って大多数の平民から広く薄く税を徴収する事によって、一部の人が贅沢できる状況を作る例となります。現在でも全くないわけでは有りません。
 
④少数の弱者が大多数の強者から還元される
これは「障害者や被災者と健常者の支え合い」の事で、古来から社会の内で捻出した余裕を投入する事によって行われてきた事です。現在でも世界各地で行われています。

この様な社会制度を構築していなければ、もし自分が自己や災害等で自信を養えない状況に成った時、自身の生命を保障できない事になります。

ですので労働できない時や必要最低限度の労働成果を上げれない時に、必要最低限の生命の維持や尊厳の維持を可能とする還付システムを予め作る事で、いざと言う時に助け合える保険的社会秩序を構築するのです。

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上記の例で"④"は、現状に日本でも行われている事で、"③"に関しては戦後から高度経済成長期の日本では行われていませんでした。

問題は"①""②"で、1990年代のバブル崩壊とその後のグローバル化によって経済環境が激変したにもかかわらず、"②"の状況下の高度経済成長期に富を蓄えた層が、現在の"①"の例で出されている強者の立場に君臨し続け、税制度と法制度と社会的風潮によって富の循環を停滞させ溜め込んでいる現状が、社会不安の根源にあると考えられます。


★暴動に訴えれない人が、暴力に訴える時
上記の事から、現状の「日本の税制度と社会保障制度」では、法制度を利用した"弱者に対する個々人の暴力を伴わない遺伝子断種制度"と成っています。

(この弱者とは、純粋に「最初から労働意欲が低く、付加価値の低い労働しか行えず、所得が低い人」だけでは無く「社会に出たタイミングが不景気で、正規雇用の枠に入れず、ヤル気があるにも拘らず実力が無いと決めつけられ、低所得に甘んじざるを得ず、そのまま年を取り所得が上昇してないため実力が無かったに違いないと決めつけられ労働意欲を失った人」も含まれています)

無論、毟り取られる人達が我慢の限界を超え暴動を起こせば、国家権力を利用した弾圧が正当化されるため、それを予測した毟り取られる弱者は嫌々ながらも弾圧されない様に税金を納め続けるしかなくなるのです。

無論政府としては、その様な権力に元を言わせた弾圧を行う気などは無いのかもしれないが、「権力にものを言わせた弾圧を行えるパワーを持っている」と言うだけで、弱者は"逆らえない"と言う気分にさせられ、最終的に「人生を破壊され、どうせ意味の無い人生を送るぐらいならば、死ぬ前に社会に対して復讐を行う」と決心し行動を起こすまで耐えてしまう可能性が出てきてしまうのです。

日本は民主主義国家なのだから選挙で訴えればよいと言う考えを持つ人も居るかもしれませんが、現状の日本の選挙制度では、知名度の無い低所得者が、自身の政策を示し票を集めるのに不適切な法体系と成っていますので、実質的に「大多数の強者から毟り取られる少数の弱者にとって、自身の生活を改善する為の法制度改革を、政治投票面から改革するのが不可能になっている」と考えられ、行き着くところまで行った時に「社会に対して、憎しみに駆られ暴動を起こす」と言う選択肢以外が与えられてない状況と成っているのです。

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現状でこの停滞を脱する為には、余程ドラスティックな改革を行うか、戦争か災害で資本が破壊されるかの二者択一でしょう。

政府を見ている限りにおいて、地政学的戦略の観点から改革を行う気は無いように思えますので、天に祈るか人為的行動で社会体制を破綻させるしか、資本の再配分を促す事は不可能と考えられます。

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以上で「消費税で年金と社会保障を賄う愚行」に関しての考察を終了しようと思います。

ここに書かれている事は、あくまでもブログ主個人の主観によって書かれている事で、唯一の信じるではない可能性も有ります。それらのリスクを前提の上で閲覧してください。

本日はココまで!!

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