2019年08月29日

北朝鮮は「韓国と統合したくない」と思っている?

本日は、韓国のムンジェイン政権が親北朝鮮の態度を示しているにも拘らず、北朝鮮の首脳部が冷たい態度を取っている事に関する考察となります。

韓国がムンジェイン政権になってから露骨に親北朝鮮の態度を取っていますが、半島統一の姿勢を示していたはずの北朝鮮は、歓迎しても良い韓国の態度に対して、歓迎するどころかミサイル発射などの恫喝とも取れる対応を行い、韓国を突き放すかのような態度を取っています。

なぜ北朝鮮はこの様な冷たい態度を取っているのでしょうか?

ブログ主は、現時点では北朝鮮が韓国と融和する気が無いためこの様な態度を取っているのでは無いかと考えています。

★民族感情視点と地政学視点と経済視点
現在の北朝鮮の韓国に対しての態度は「朝鮮統一は北朝鮮の悲願なのだから、北朝鮮の韓国に対しての態度は、あくまでも自国主導での統一を果たすための格付けを行っているだけ」と言う考えも成り立ちます。

確かに民族の自尊心を満足させる事を考えた場合その様な考察は成立するのですが、地政学の視点や経済的な視点で見た場合は別の結論を導き出せます。

即ち北朝鮮は韓国と国家統合を行いたがってはいないと言う考えです。

経済的な問題はさて置き、地政学的視点で見た時、半島の党の統一を望まない原因は、韓国でも北朝鮮でも朝鮮半島の問題でも無い事が分かります。

ソレは朝鮮半島の外部、つまり極東の大国の軍事パワーバランスが根底の問題としてあるからです。

当ブログで述べている様に、日本がその地理的位置を生かして米中露の三大国に侵略経路の提供を行い軍備拡張競争に追いやっている事は周知の事と思われますが、この日本主導による極東のパワーバランス支配の内では、「圧倒的に有利な立ち位置にある日本」と「急激に台頭し海外に進出せざるを得ない中国」を戦略考察から除外する事は出来ません。

その事を考慮した上で持ち朝鮮半島が統一された場合、米中露の三大国のバランスや日本の行動はどうなるのでしょうか?

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★統一した場合のリスク
では現状の米中露の三大国が並列している現状で朝鮮半島に統一国家が出来た時、米中露三大国と朝鮮と日本はどの様な紛争リスクにさらされるのでしょうか?

・統一朝鮮が米国と同盟を組んだ場合
この場合は日本に関しては現状とあまり変わりありません。むしろ戦線となり得る地域が現在の北朝鮮と中国の国境辺りになりますので、紛争リスクが低下する事にもなります。

問題は統一朝鮮で、もし米国の軍事援助が中途半端のままであれば、対中戦線の矢面に立たされるリスクが上昇する事になります。それを避けようとしてロシアと関係を構築したとすると状況がさらに複雑になります。

・統一して中国と同盟を組んだ場合
統一朝鮮が中国と組んだ場合は、中国の対ロ戦略の強化と日本海への進出が可能となりますので、ロシアと日本にとっては紛争リスクの増加となり歓迎できる事では有りません。

ただし日本が「自国も中国に付く」などと言う裏切り行動を取らせない様にするためにも米国が共同戦線を張ると考えられますので、それほど悲観する事は無いと考えられます。

統一朝鮮に関しては、中国の対ロシア戦線と対日戦線の矢面に立たされますので、陸軍と海軍の双方で軍事負担が増える事になると考えられます。

・統一してロシアと同盟を組んだ場合
統一朝鮮がロシアと同盟を組んだ場合は、日本はそれほど危機的な状況には陥りません。理由は、現状のロシアが安全保障による国土保全くらいでしか戦争や軍事派遣を行わないからです。(クリミア侵攻もロシア人保護と迫りくるNATOへの対抗の意味合いが強く、領土拡張のための侵略とは少し違います。ロシアに一定以上の国相手に戦争を行う余裕は無いと思われます)

またロシアにとって潜在的な最大の敵国が中国で有る事から、脅威度の高い中国側に軍事リソースを注ぎ込むはずで、経済力に劣るロシアが同盟国候補となる日本を敵に回すとは思えないからです。

ですが統一朝鮮は違います、ロシアより中国に近いため、より対中戦線に巻き込まれる恐れが有り、その軍事紛争の危険性は中国と同盟を組んだ場合と変わる事は有りません。


・韓国が主導で統一した時の経済リスク
では経済的なリスクは如何なのでしょうか。韓国が主導して北朝鮮を併合した場合、ネックになるのは経済格差是正からなる財政支出でしょう。

一応、北部の経済が高まるまで"別通貨"でかつ"移動の制限"を行えば、何とかなるかも知れませんが、その様な状況を作れば何のために統一するのかが分からなくなりますし、民族感情的にも不可能では無いでしょうか?

・北朝鮮が主導して統一した時の経済リスク
北朝鮮が主導して韓国を併合した場合のリスクは、何といっても経済格差から北部の住民が不遇の立場に追い込まれるリスクです。

これほど経済格差が有れば、余程上手な内政を行わなければ経済力の力が強い南部が北部を飲み込んでしまいます。そうなれば主導した北朝鮮の住民が経済的に韓国の支配下に置かれる事になります。だからと言って弾圧の様な強権で南部を圧制の下に置けば、経済的な混乱をもたらす事になる事でしょう。


★現状の極東パワーバランスでは、分裂したままの方が良い
上記の事から、現状のままで半島の統一が成功した時、朝鮮半島に出来る統一国家は、中国かロシアのどちらかの大国の矢面に立たせられる恐れが出てきます。

ですが半島が韓国と北朝鮮に分けられてさえいれば、「片方が中国に付き、別の方がロシアに付く」と言う形で朝鮮半島内でバランスを取り、出来レース戦争でお茶を濁す事も可能となります。

ですので「情勢」や「国家勢力の勢い」が一極優位になる情勢が確定しない限り、現状の分裂したままで内輪もめしたままの状況を維持した方が安全と考えられる。

この事から北朝鮮が韓国を併合したくないと考え、北に猛烈アピールしているムンジェイン政権に冷たい態度を取っているのでは無いかと言う考察が成り立つのです。

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以上を持って「北朝鮮が韓国を併合したくないと考えている」理由の考察となります。

無論あくまでもブログ主個人の主観的考察に過ぎませんので間違いなどが有るかも知れません。閲覧者様方もその事を考慮の上で記事を読んでください。

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