2019年11月02日

中国VS香港、中共政府の情報戦略の不味さ

今回は、現在香港問題で揺れている中国において、中国政府の対香港市民に対する対応の不味さに関しての考察となります。

この香港デモは、当初は香港政府の「逃亡犯条例改正」に端を発し、市民側の五大要求や香港政府の覆面禁止法案などで、更なる泥沼化が起こっています。

これに対して中国政府は、「表向きには香港政府のトップである林鄭月娥女史に任せ、自分達は一応強い口調で対応する事を滲ませつつ手は出さない」と言った対応を行っています。

ですが、この中国共産党政府の態度は、香港の混乱を鎮静化には結びつきませんし、より香港市民側を間接的に支援してしまう結果と、中国政府の敗北をもたらしてしまう恐れが出てきます。

これには幾つかの理由が有ります。

一つ、中国共産党政府が香港市民に対して巨大すぎるため

一つ、中国共産党政府が権威と権力を兼任しているため

一つ、上記の二点から対外勢力の干渉を招く恐れが有るため

等が理由です。


①巨大すぎる中国政府
まず第一に、巨大すぎる共産党政府を考えるに、「世界に結びついた中国経済」と「海外の視線」を重要視する必要があります。

まず海外の人から見た場合、中国政府は香港市民側の勢力に比べて圧倒的に強大であり、その強大である政府が「政府に比べて弱小である市民側」を圧している構図に成ってしまっています。

ただでさえ天安門事件と言う前例が有るにも拘らず、ここに来て同じ様な弾圧を行ってしまっては、「中国政府は自政体の気に入らない事が有れば、平気で弾圧する政府」と確信されてしまい、外国からの投資で持っている中国から統制や弾圧から逃げようと外資が撤収してしまう恐れが出てきます。

中国全土で全ての人の雇用を賄えない現状で、その様な事が起これば国民経済が破綻してしまう可能性が有り、共産党政府としてはソレは避けたいはずです。ですから自分達で直接動かずに香港政府に任せていたとしても、海外からの視線はその様には見てくれません。

なぜ中国共産党政府が手出しを控えているにも拘らず、海外の人は中国共産党政府を疑うのでしょうか?


それは中国共産党政府が強大過ぎるからです。


強大すぎるため、前例が有るため、そして弾圧を実行できる能力も有るため、その意思が無くとも「実行する可能性が極めて高い」と思われてしまうのです。

もしこれが"政府と関係の無い一個人"が「香港市民許すまじ!」等と発言しても、"犬の遠吠え"程度にしか思われない事でしょう。


なぜか?


ソレは強気な事を言っても、実際に市民を制裁する能力など存在しないからです。

行う能力が無い人がどれだけ声高々に強気な事を言っても「どうせ行う事などできないのでしょう?」と思われて終了です。


ですが中国政府にはその能力が有ります。

たとえ中国共産党政府の首脳部にその様な意図が無くても、噂が独り歩きし「中国共産党なら行い兼ねない!」と思われてしまうのです。


中国共産党政府は「事を成す権力と実力」が有り過ぎるせいで、常に疑われるのです。

逆に実力の無いものは、一笑に付されるだけです。


②全権力と権威の集中
そしてもう一つ重要な事が、全ての"権力"と"権威"が中国共産党政府に集中している事に関しての危険性です。

これは中国共産党政府だけに言える事では有りませんが、権力と権威が同じ人格が占めている場合、権力者の政策の失敗が権威の失墜につながる恐れが生じます。


日本や欧州の様な立憲君主制の国では、権威と権力が別人格ですので、権力者である行政が失政を行っても、権威者である君主は綺麗なままで居る事が出来ます。そのため失政を行った政治家や行政官の首の挿げ替えを行えば、混乱せずに改革を行う事が出来るのです。


ですが中国共産党政府のように野党から批判もされない様な絶対権力者であった場合、「政権交代による政策の変更」や「与党が叩かれる事による国民に対してのガス抜き」が不可能となります。

このため対立軸の提示による「国民へのコントロール」や「意見収集」さえも不可能となります。

これは自分達の政策の軌道修正が行い難く、また間違った道を選んだ場合でも後戻りし難い事を意味しています。

これも権威と権力が独立しておらず、自分達の以外の野党に力を与えてない故の悪弊と言えます。

この議会制民主主義による与野党の対立軸の提示で「野党が愚かな事を行い、与党を援護するプロレス政治を行えない」と言うのは、権力と権威の維持と国民をコントロールと言う観点から不利な環境と言えるのでは無いでしょうか?


③中国外の勢力の影響
上記の二点から中国外からの影響が、中国国内に及ぼす影響を考慮した場合、中国政府がまともに身動きが取れない状況に追いやられ自滅する恐れが考えられます。

つまり強大な権力を有するがゆえに、有る事無い事の悪評を立てられてしまい、その様な事を行っていなかったとしても、行える力が有るため疑われてしまい、諸外国からの経済制裁の対象とされる恐れが生じる。

また権威と権力が分離しておらず、一党独裁であるがゆえに一度の失敗で権威が失墜し、国内の統治に支障が出る恐れが生じてしまうとも考えられます。

中国政府が香港に対して強い立場でモノを言えない場合、強硬な行為で鎮圧できない場合、占領中のチベットや東トルキスタンでも似たような事が起きるかの生さえ否定できません。

だからと言って強権で鎮圧すれば、諸外国が中国を危険視し、大同団結を行い兼ねません。


★強くなりすぎた中国政府の破綻

上記の様に考えた場合、現状の世界と繋がった中国経済のままでは、中国政府は身動きが取れず、破綻しない様に祈りながら緩急のある治安維持でバランスを取りながら御茶を濁す程度しかできないのでは無いかと考えられるのです。

これが中国が強くなりすぎたためのパラドキシカルロジック(逆説的論理)で「巨大になったからと言って、必ずしも安定的な政体になるとは限らない可能性」に関する考察となります。

逆に負けても良い時に計画的に負けたり、勝利と敗北を交換し合えるパートナーがいれば、権力者として安定的な立ち位置を築く事が出来ると考えられます。

もしこのに気づけば、中国は限定的な敗北を意図的に受け入れ、現状中国大陸を覆っている混乱は縮小するのでは無いでしょうか?


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以上で「中国VS香港、中共政府の情報戦略の不味さ」に関する考察を終了しようと思います。

今回は「強い者ほど敗北して周囲に富や安心を与えなければ成らないのが世の真理である」との結論で示させていただこうと思います。


なお当ブログで述べている事は、ブログ主個人の見解に過ぎませんので、間違いなどが有るかも知れません。それらのリスクを前提の上で閲覧してください。

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