2019年12月21日

米中抗争&英ブレグジットに見る、亀の歩みの如き経済制裁と産業改革

今回は、現在国際社会で話題に成っている「米中の抗争」と「英国のEU離脱」をただの抗争や離脱と言う混乱面から見るのでは無く、産業構造の変革と言う面から考察した記事となります。


まず米国と中国の覇権争いから生じた、経済制裁合戦ですが、米国でトランプ政権が成立して以降、米国の中国に対する態度が硬化し始めた事から始まった事です。

米トランプ政権は、成立以後、表向き中国を敵性国家として表明し敵対する態度を取っています。そして中国に対して貿易関税を掛け、中国の経済を締め上げる対応を行っています。

既にトランプ政権の成立から約二年(就任が2017年初頭)が経過しており、その間初っ端から現時点まで対中強行姿勢を鮮明にし、中国に様々な要求を行い苦しめています。

一見、苛烈なまでな対応と見えなくもない米国の対応なのですが、米国の経済力や国際社会に対する影響力を考慮した場合、米国は一気に中国を潰すのでは無く、段階的な締め上げを行い、中国に苦しいながらも適応する猶予を与えてしまっています。

特に現在までに四回に分けて行われた制裁関税や輸出制限は、最初に大袈裟な制裁を述べ、実際発動する制裁規模は六割七割と言ったところでした。無論、最終的に当初宣言した通りの制裁を行うものの、そこに行き着くまでには段階的に時間をかけており、一気に中国経済を破綻させる様な大打撃には至っていません。

これはいったい何を意味しているのでしょうか?


対して英国のEU離脱問題も似たような状況と成っています。

英国のブレグジットと言えば、2016年に中東の混乱から発生する難民の受け入れを負担に感じ、自国の文化を守ろうと考えた英国に先住している国民が、国民投票の結果、EUからの離脱を国民投票にかけソレが通ってしまい、英国のEU離脱が決定指定してしまったと言うモノです。

このブレグジットも離脱が開始されるのかと思いきや、イギリス内部の"ごたごた"やEU内部の問題が重なり、今日まで引き延ばされてきました。

先の12月12日の選挙ではボリスジョンソン首相が率いる離脱派である保守党が単独過半数の議席を獲得し、2020年の離脱を確定させました。

一応現時点ではこのブレグジット騒ぎでの英国の方針は、この選挙で完全に確定したと考えられます。


この「米国の対中抗争から発した経済制裁」や「英国の対EU政策と言えるブレグジット」の二点は、双方共に断続的に制裁や騒ぎを起こした米国や英国の経済にさえも打撃を与える事になりました。

何故この様な自国民に被害が及ぶような事を両国政府は行ったのでしょうか?


簡単に言えば、タイトルにもある様に産業構造の転換を行う為です。


★経済的混乱を断続的に行う意味
なぜ米国と英国はこの様な中期的な混乱が生じる様な事を行っているのでしょうか?

この疑問を解くためには、やろうと思えば出来るはずの「短期的に一気に行う経済制裁やブレグジット」を考えれば良く分かります。

もし短期的に一気にこれらの行為を行ったとしましょう。確かに米国に経済制裁を受けた中国は現在以上の大混乱になる事でしょう。英国が大脱出したEUもやはり今以上に混乱する事でしょう。

ですが経済制裁やブレグジットを行った米国と英国の双方もそれ以上の打撃被る押レが生じます。


経済制裁を行う以前の米国は中国に大規模投資を行っていますし、中国から大量の物資を安値で購入していました。これが一気に、またいきなり無くなる様な事が有れば、サプライチェーンが完全に途絶えてしまい、通貨安と物価高が生じる恐れが生じます。

中国は米国の国債を大量に保有していますので、いざと言う時ドル売りを仕掛けられる恐れが有りますし、中国製の安い物資が無くなれば、米国は別の所から急遽商品を調達しなければ成らなくなり、その分値段もお高くなるはずです。

ですが大々的に対中対立や経済制裁の脅しを行いつつ断続的に少しづつ経済制裁を行えば、米国の国内企業も「本当に米国が中国と対立するのか?それともただのポーズなのか?」で対応が割れ、本当に中国と対立すると信じた企業が「米中が対立した場合のリスクに備えた投資」を行うはずです。

これら米国政府の対中の態度が、より苛烈に成れば成程、将来的に米中の対立が本格化すると見なす企業が増え、少しづつ企業が対中リスクを考慮した投資を行い、最終的に中国を必要としないサプライチェーンを有した米国経済が形成される様になるのです。

いきなり急激に行えば、全ての企業が対中リスクを考慮した投資を行い、市場が大混乱しますが、可能性を匂わせつつ少しずつ行えば、投資も少しづつ進むため市場の混乱を最小限にして産業構造の移行させる事が可能となります。


これは英国のブレグジッドも似たようなもので、国民投票で離脱が決まったにもかかわらず三年間もグダグダ状態で、離脱を進ませなかったのは、企業に少しづつ適応の為の投資を行わせ、離脱後の経済的な混乱を少しでも予め被っておき、本当に離脱した時の経済的打撃を緩和する為であると考えられるのです。

この様に考えた場合、米国と英国が、決まった事や大言壮語した事を遅々として進ませず思い切った行動に移さなかった理由が推察できるのです。


★米国の敵にも塩を送る行為
上記の事から米国や英国が自国の経済構造の改革の為に対中関税制裁やブレグジットを行っていると考えられます。

このやり方は自国に降りかかる経済的混乱を最小限に抑える為に行っていると考えられます。

ですがこのやり方では関係国に降りかかる経済的混乱も最小になる事も予測できます。英国の場合は、表向きにEUとは有効的な関係を築いているのですから、今後も貿易相手となるEUが不必要な混乱に陥ったり、憎しみを買わない様にして関係改善の足掛かりにする事は、悪い事では有りません。

ですが米国の中国に対しての経済制裁が、上記で述べた中国に対しても最小の打撃で済むような手法で行っている事に関しては、本当に米国は中国を潰す気が有るのか?と言う疑問を抱かざるを得ません。

特に日本の行っていると考えられる「極東の大国に侵略経路を与えて激突させる戦略」を考慮した場合、米国はこの日本の戦略を理解した上で、いざと言う時中国との関係を改善できる様に、また中国を日本に対する牽制の為の駒として利用できる様にするために、この様に中国に打撃が少なくなる手法を採用しているのでは無いかと考えられるのです。

この様に考えた場合、日本の置かれた現状は必ずしも安心しきって良いものでは無いと考えられるのです。

関連リンク
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以上で「米中の経済制裁」や「英国のブレグジット」の遅々として進まないグダグダ具合を産業分野の改革と言う面から見た考察を終了させて頂きます。

なお当ブログで書かれている事は、あくまでもブログ主個人の見解に過ぎませんので、どこかに間違いなどが有るかも知れません。

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