2020年02月17日

2中国自滅の爆弾、中華思想その弐

前回からの続きです!


前回は、中華思想が中国の国内に与える影響を考えました。
今回は、国際パワーバランスを考慮した上での中華思想の影響を考えようと思います。

---------------------

⑥対米、対露問題
まず中国の中華思想は、「自文明はナンバーワンである」と言う思想の下で確立されている思想である事を考慮した場合、それに匹敵する文明が海外から来た場合の影響を考慮しなくては成らないと考えられます。

そして中国に直接敵に、そして軍事的にも経済的にも影響を与えてしまう文明は「米国とロシア」の二大勢力がその候補として考えられます。

米国は、東の海洋の海の道を介して、「基軸通貨の発行権を基盤とした世界経済に対する影響力」や「世界一の軍事力」を駆使し中華文明にも影響を与えています。

そしてロシアは、「世界一の陸軍力」を持ち、「中国東北部と長大な国境を有する」キリスト教圏の流れを汲む文明で、社会主義思想の観点からも中国に強い影響を与えていした。

双方共に、軍事経済で中華人民共和国に強い影響を与えている文明で、同時に中華人民共和国と安全保障や覇権を巡って争うライバルでも有ります。

中国がナンバーワンの文明で、他国の下に自国を置かない事を前提にした政策を行うのであれば、軍事的にも経済的にもこの二大勢力に対抗する為のリソース投入を行わなくて成らない事になります。(特に中国の技術盗用が問題視されている近年では、盗用も行い難くなっており、技術開発に対してのリソース投入も行わなくては成らなくなっています)

特に先の金融危機以後、調子に乗り本格的に米国と敵対し始めました。

またロシアとはそれ以前に国力が上回った事からなる中華思想的な序列の逆転が起きており少なくとも経済的には、ロシアは中国の下に有ると言う認識を抱く中国人が増え始めました。

そのため現状の中国は双方の国に対して引く事が中華思想的な面子を考慮した場合、行い難いと考えられます。

当然、軍事的に競争するのであれば、民需生産に結びつかない軍産にリソースを費やさなければ成りませんし、経済的にもより効率的な文明を築く為の投資を不良債権増大の覚悟をしてでも行わなくては成りません。

その分国民に対して負担も掛かりますし、経済も不安定になってしまいます。それは長期的に見れば、かつてのソ連のように中国崩壊の不安材料の増大に繋がると考えられます。

関連リンク


⑦共産党独裁政権問題
1990年頃から冷戦の終結からなる世界の一体化が加速してゆきました。その結果、マネーが国境を越え新興国に注ぎ込まれるシステム化構築されました。

その世界の経済システムで最も経済成長の恩寵を受けたのが中国であると言えます。ですがその恩寵は諸刃の剣で、人口や国内消費力の爆発からなる対外依存を中国にもたらしました。

この海外依存を低下させるために、国内で「富の不均等」や「少子化」を政策として行い、人口を減らしつつ対外依存率を押さえなければ成らなくなったと言えます。

ただでさえ世界一の人口を有し、統制を取り難い国家なのです。そのため「中華思想以前に、この圧倒的な人口を支配し統御する為に独裁体制を取らざるを得ない」と言うのが中国共産党の偽ざる心情でしょう。

また独裁と言う体制は、改革を進める時は効率の良い体制なのですが、失敗した時にはすべての責任が独裁者に課せられる体制でも有るのです。

面子を大事とする中華思想から考えれば、今後周辺国からの盗用が出来ず、自分達で文化文明を試行錯誤しながら成熟させなければ成らない現状中国を考えた場合、面子を保つための無理な投資や政策が、国内経済や国民の心情にどの様な悪影響を与えるのか不安材料として取り上げれてしまいます。


⑧周辺国問題
そしてブログ主が考えている中華思想の弊害の最後のモノが「現在までの中華思想による行動の結果」から生じる周辺諸国の思考である。

古代の中国はともかく、第二次世界大戦頃からの中華民族の対周辺諸国民に対しての対応は「西欧列強の手先として西欧植民地現地の収奪に手を貸す」や「自国内の少数民族に対しての民族浄化」や「チベット、東トルキスタン、内モンゴルに対しての侵略と文化の浄化」等を行ってきました。

特に宗教観や文化で別文明と言っても良いチベットやウイグル等の民族浄化の前例があるが為に、周辺国も中国がその様な国であると言うフィルターを通して見てしまいます。

この周辺諸国の中華人民共和国への視線は、今後の中国が対国外政策を行うに当たり「周辺国が米国やロシアの側に追いやるリスク」を常にはらんだモノになってしまうでしょう。

当然、敵国に回る国家の数が多ければ多い程、安全保障の整備に掛かる負担が大きくなり、国民生活を逼迫させる原因になってしまいます。

これも周辺国を軽んじたとも思える強引な恐喝を行った結果生じた、中華思想の弊害と考えられます。


★中華思想が原因で中華秩序が築けない
第二次世界大戦以降に急激に力を付け、近年に入り米国相手に覇を競うまでに国力を上昇させたと考えられた中国でしたが、「自国がナンバーワンであり、周辺国は全て属国」とも認識しているかの様な中華思想を前提とした政策のため、結果に敵に主要国から危険視されてしまい、敵性国家を増やしてしまう事になったと考えられます。

この様に「中華思想を前提に大国」になれば、その厚かましさを周辺国が危険視して敵に回り、敵が増えれば安全保障上の負担が増え「国力が増大したのに、自国だけで自国の安全保障が賄えない」と言う矛盾が生じる事になります。

結果的に真のナンバーワン国家から遠ざかるパラドックスが生じてしまう事になるでしょう。

今まで世界で覇権を握ってきた国家は、経済が一流であるだけでは無く、常に前覇権国であるナンバーワン国家に逆らうような真似をせずに、一歩後ろに下がった位置から謙虚な姿勢を見せ、信頼を勝ち得た国が最終的に覇権国家の座に就いてきました。

現状「自国がナンバーワンであり、米国と世界を分割する」等ど称している中国が現状のままのやり方で「覇権国家として世界の信頼を勝ち取れることは無い」と考えた方が良いでしょう。

関連リンク


★日本の対応は?
上記の通り、中華思想を有するが故に、中国が自国の行動が制限され結果的に国家の不利益に陥っている事が予測できます。

これに対して我が国はどの様な対応で対処し、日本国の利益に結びつければ良いのでしょうか?

答えは単純です。

今より「中国を図に乗せる」政策を行う必要があると考えられます。

日本は、周辺の大国に他の大国への侵略経路を提供し、安全保障を脅かす事による軍拡競争を煽り疲弊させる事が国益に結びつく国です。

この前提を考慮すれば、権力者の面子の為に、中華思想を前提とした強行的な外交政策を行わざるを得ない状況に中国を追い込み、軍拡を煽る道具として利用するのが正しい中国に対する対応になると考えられます。

この様にして、今後も日本を「中国の下に位置する属国」の様な認識を中国に信じ込ませ、日本を守らなくては世界の覇権を維持できない米国と激突させる戦略を採用すべきでしょう。


また面子を大事にするが故に中国に対して行える政策も有ります。

例えば「台湾の主権問題」と「習近平の国賓来日」の問題も合わせ技で利用する事が出来ます。

現在日本に国賓来日する事で国際的な権威に認められたいと言う意識が若干なりともある中国に対して、もし日本が「台湾を国家として認める」等と言う対応を行った場合は・・・?


どうです?

面子を大切にする華夷秩序を前提とした外交を行わざる得ない中国は、どの様な対応に出るでしょうか。

この様な事を考慮した場合、中華思想を批判するより、いかにして日本が利用するのかを考えた方が、日本にとって有益であると言えるのでは無いでしょうか?

----------------

以上を持って全二回に渡る「中華思想」に関する考察を終了させて頂きます。

なお当ブログで書かれている事は、あくまでもブログ主個人の見解に過ぎませんので間違いが有るかも知れません。それらのリスクを考慮した上で閲覧してください。

本日はココまで!!


面白かったらポチっ!

とリンクをクリックしてね♪

    ↓


国際政治・外交ランキング

にほんブログ村 政治ブログ 国際政治・外交へ
にほんブログ村



nh01ai33 at 07:00国際 | 戦略
プロフィール
ブログ主:無責任野郎
職業:今、無職

参考にした文献の著者
およびチャンネル、ブログなど

≪チャンネル≫
 地上波テレビ
 チャンネルグランドストラテジー
 THE STANDARD JOURNAL2
   アメリカ通信
 チャンネル桜
 虎ノ門ニュース(DHCシアター)
 国際政治チャンネル

≪経済評論家≫
 三橋貴明 氏
 藤井聡 氏
 上念司 氏
 渡邉哲也 氏

≪戦略家≫
 エドワード・ルトワック 氏
 孫子(兵法書)

・コメント欄について
 閲覧者様方のコメント入力フォームを削除させていただきました。
ランキング

国際政治・外交ランキング

ためになったらポチっ!
とリンクをクリックしてね♪

にほんブログ村 政治ブログ 国際政治・外交へ
にほんブログ村
記事検索
  • ライブドアブログ