2022年05月14日

北海道がロシアに奪われたらどうなるの?

今回は、ロシアが日本近海の北海道海域で軍事的行動を活発化せている事から、「もしロシアが北海道を手に入れたらどうなるの!?」の視点から、ロシアにとっての北海道が安全保障的にどの様な位置づけなのかを考察したいと思います。

さて以前にも何度か北海道の地理的位置が米中露の三大国にどの様な意味を有するのかを考察した事が有るのですが、その時の考察では米国や中国が保有した状況下の事を述べたのみで、ロシアが有した時の事には触れていなかったため今回この様な考察をさせてもらおうと思いました。

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まず初めに、北海道は日本海、オホーツク海、北太平洋と言う三面の海域に面しており、その内の一つであるオホーツク海には、ロシア海軍が核ミサイル装備の原子力潜水艦が潜ませる事によって、いざロシアに匹敵する核大国がロシアに対して核攻撃を行おうとした時に「オホーツク海に潜伏した潜水艦から核ミサイルを発射する事によって相打ちに持ち込む事が出来る状況を維持するための重要海域として機能し、ロシアの安全保障を担保させている」と言う大前提を認識しておく必要が有ります。

また唯一、同じオホーツク海に面する国土(北海道)を有する日本が「オホーツク海に率先した海軍の派遣しロシア海軍にダメージを与えない事や、同盟国である米国にも北海道に基地を置かせない事によって、日本はロシアに覇権国家である米国と相打つ力を持たせ、米国の世界に対する独裁的な態度を取らせない様にするコントロールを行っている」との考察を述べさせてもらっています。

さらに「アイヌ問題を利用する事によって、あたかも日本人と判別の付き難い中国人をアイヌ民族として受け入れて、北海道を中国に明け渡そうとしている」とも見なす事の出来る法整備を日本が行っている事は、ロシアにとって潜在的な敵国である中国が北海道を手に入れた時の「ロシアが核兵器による相互確証破壊が行えなくなるリスク」をロシアに意識させ、それに応じた対応に走らせると言う事も考えさせれますし、中露が軍事的に激突した時の核戦争や核による恫喝が行われ難くなり、通常戦で両国がより疲弊する事も考えられます。

そのため米中露の三大国間の軍事激突リスクを増大させる事によって、「軍拡や戦争による疲弊を誘発させる事による相対的な国力の強化」が国益と成る可能性のある日本にとっては、非常に重要な地域であると言えます。

ですが当ブログで行って来た考察は、「米国が北海道に軍を駐留させた場合」や「中国が北海道を侵略した場合」のモノであって「ロシアが北海道を有した場合」の考察は抜けてしまっていました。

もしロシアが北海道を有した時、併合にしても侵略にしても、ソレにはどのような意味が出てくるのでしょうか?


★ロシアが支配した場合
現在、日本は米中露の三国全てに対して北海道への軍の駐留を許しておらず、その結果ロシアのオホーツク海に潜ませた核弾頭装備の原子力潜水艦による相互確証破壊が成立している状況が確立させています。

ですが、この状況は日本の都合によって成立している環境と言え、当の日本が北海道の領有権や統治権を放棄したり、ロシア以外の軍を招き入れてしまえば、その様な環境は直ぐに崩れてしまいます。

現状では「日本が北海道に自衛隊とロシア軍以外の軍を駐留させていない事自体が、日本がロシアに対して友好を表明する態度を取っている」と見なすには十分ですが、米中の軍を駐留させたり、海上自衛隊の潜水艦がオホーツク海で敵対的な活動を行い始めたりし始めたらそうも言っていられません。

そして現在の「ロシア対ウクライナ問題による日本を含む西側先進国の対応」や「(もしかしたら)日本のアイヌ政策を利用しての北海道に対しての中国の浸透後押し政策」を意識した場合、現状では核による相互確証破壊戦略の維持を楽観視し続けて居られる様な状況では無くなり始めていると思えます。

この日本の敵対や、敵対でなくても「ロシア最大の敵にもなりえる中国に北海道を譲り渡そうとしている」とも取れる政策を行う日本を見た場合、オホーツク海に面する地域をロシアに敵対的な勢力に譲らない様にするための行動を起こさざるを得ません。

ココのところの極東ロシア海軍による北海道周辺での日本に対しての威嚇行動は、日本に対してのものだけでは無く、米中を視野に入れての行動であるとも解釈できます。最もロシアとしては、米国に対してはともかく、中国に対してその様な事をハッキリ言ってしまっては、対中関係が悪くなってしまうため、口に出して宣言する事は出来ないとは思いますが……

そして、米中では無くロシアが北海道を手に入れた場合、日本が北海道に米中両国軍を招き入れる戦略が取れなくなると共にロシアの核による安全保障が今まで以上に安定的に行われる様になり、"戦争が起こり難くなる"と思われます

逆に、日本が米中の両国に北海道を譲った場合、ロシアとしては核による相互確証破壊戦略が取り難くなり、特に中国としては北海道を獲りオホーツク海に影響を及ぼせる様になれば、人口や経済力からロシアに対して圧倒的に強気にできる事が出来る様になるでしょう。中国としては核戦力を大量に揃えているとは言っても、米露の様に原潜×核ミサイルを揃え切っている訳では無いため、敵対した国に対して大打撃を与える事は出来ても確証破壊の能力に関しては一歩劣る事になります。



★「全面的な核による緊張」と「一方的な圧力」と「核兵器無き熱戦」

現在、日本は中国の東シナ海の進出に対して、殆ど無抵抗とも取れる対応を行い、このまま進めば中国も核弾頭装備の原子力潜水艦を充実させ、米露に対して相互確証破壊の能力を有する事になると思われます。

ソレと合わせて、日本が北海道をロシアに売り渡したり、今まで通り日本の自衛隊以外の勢力を駐留させないのであれば、米中露の三大国間が核による緊張状態を維持する事になり、その恐怖感から一定の安定を得れる様になるかもしれません。

ただしその場合、それらの大国に隣接する中小国において代理戦争が生じる可能性が出てきます。


逆に中国を野放しにして置いて、北海道に米軍や中国共産党軍を招き入れる様な事を行えば、中国によるロシアへの一方的な圧力を増大させる事になると思われます。


更に中国共産党軍を北海道に招き込み、例えば沖縄を独立させ米軍を追い出しロシア軍を招き込むような事を行えば、米軍の展開具合にもよりますが、中露共に核による相互確証破壊が行えない状況に陥り激烈な熱戦(核による緊張から生じる冷戦ではない)に発展する可能性が高くなってしまいます。

特にこの場合、人口、経済、軍事の全てに圧倒的に優れる中国が有利に物事を運ぶ事になると思われ、犠牲が多くとも中国がロシアを屈服させる事になると思われます。


★全世界七十億の人々を軍拡競争バブルに巻き込む事が日本の国益
上記のようなリスクや可能性に対して日本はどの様に対応すればよいのでしょうか?

ハッキリ言ってしまえば、「現状維持!」です。

沖縄、北海道の二地域共に日本の管理下に置いて、沖縄近辺の海域では中国が、北海道近辺の海域ではロシアがある程度日本の管理下の下で核戦力を整備し、戦争に陥らない程度の緊張の下で、軍拡競争や第三国における代理戦争を行い、米中露の三大国が経済的に疲弊してもらい、相対的な国力の強化を行う事が日本の国益に成るかと思われます。

とは言っても最近ではロシアの国力の低下が著しいため、近いうちに音を上げて経済破綻に陥ってしまうリスクも有るため、その様な状況に至った時の為の地政学バランシング戦略の下準備も同時に進めておかなくてはならないと思われます。

「核兵器による相互確証破壊の緊張を煽る戦略」は、必ず米国に対立できる国力と軍事力を有する(百歩譲って核戦力を維持できる)勢力が必要になるため、ロシアが崩壊しようものなら中国ぐらいしかその役目を果たせる国が存在しなくなり、日本としてはバランシング戦略の幅を狭める事にもなるため、もう少しばかりロシアには米中に対しての咬ませ犬としての役割を担うために頑張ってほしいと思います。

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以上を持って「北海道がロシアに奪われたらどうなるの?」の考察を終了させてもらいます。
いつも通り血も涙も無いゲスな結論を導き出してしまいました。
気分を害された方には申し訳ございません。

なお当ブログで述べている事は、あくまでもブログ主個人の見解に過ぎません。間違い等が有る事を前提の上で閲覧してください。

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