2017年11月17日

一帯一路構想VSインド太平洋戦略


現在、中国主導の一帯一路構想と日米によるインド太平洋戦略がアジア諸国を巻き込んで火花を散らしている。

膨張中の中国が国内に貯め込んだ人的資本を海外に押し付ける事によって自国の安全保障を確実なものにするか、その様な事をされては堪らないと考えたアジア諸国が日米同盟と共に立ち向かえるか、の戦いと言える。

本日はそれを考察しようと思います。


★一帯一路構想とは

a一帯一路


中国の人口集中地帯である沿岸部を起点として、ヨーロッパに達するまでの陸路(一帯)と海域(一路)を中国の集めた資本をテコに開発して発展させよう、と言う中国共産党政府主導の開発戦略。恐らくは膨張しすぎた人口と供給能力を他国のインフラ開発に充てて、自国で養えない人口を他国に押し付ける実質上の民族浄化(※)と侵略を両立させた国家戦略と考えられる。

このためにAIIB(アジアインフラ開発銀行)を設立させたが、最も参加してほしい日米が中国の侵略心を疑っている為に、参加しようとせずにグダグダに成っている。

※進出国(中国)の国民で、受入国の「土地」「インフラ」「産業による供給能力」を征して、進出した中国の国民しか仕事にありつけない様にして、受入国の民族の人口を拡大出来ない様にする事も出来るため、実質上の民族浄化政策として機能します。


★インド太平洋戦略とは

aインド太平洋戦略

インド洋から太平洋に掛けての海洋地域を指す言葉です。
ヨーロッパ人の定義する、広義の意味でのオリエント(東洋)

安倍トランプ両首脳の掲げているインド太平洋戦略とは、インド洋から太平洋に掛けてに国々が海洋の安全と繁栄を掲げて共同の経済圏を構築するための枠組みを作ろうと言う戦略。

特に中国が一帯一路構想を掲げて米国への挑戦を明確にしている事を考えればである。

主な範囲は南アジア、東南アジア(ASEAN)、オセアニア、これらに日本と米ハワイが含まれる。勢力的には日本、米ハワイ、オーストラリア、インドと言った四大勢力が、その内域の安全保障を司り、投資や貿易を活発化させて行く典型的な地政学戦略と言える。


★両戦略から見る事の出来る今後の海洋アジアの発展

これらの日米VS中国と言う二大勢力が激突する状態が、その狭間の国々にどの様な影響をもたらすか不安に覚える人達も居るかもしれないが、必ずしも悪影響だけでは無いと言える。

それは、逆を言えば「二大勢力の緩衝地帯だからこそ」と言う意味である。

日米と中国が自国の影響力を増やそうと考えた場合、逆に緩衝地帯の国々は、その国土、資源、マンパワーを、「片方の大国に対して、もう片方の大国に我が国が味方したら大変だろう?」と言う脅しの外交戦略を、米中両勢力に展開する事と成り、それにより米中共に敵方に回られない様な投資戦略を行わざるを得ない状況に追いやる事も十分に考えられるからだ。(修正2017-11-17)

この様に考えた場合、中国の一帯一路構想の"一路"に当たる海洋アジア(インドとASEAN)から中東に掛けての海路は、同時に日米の進めるインド太平洋戦略とも重なる地域であるため、両勢力からのラブコールを期待でき、外交次第では日本や中国やアジアの四竜(韓国、台湾、香港、シンガポール)が台頭したかのような爆発的な経済発展が実現する可能性もゼロでは無いと思われる。

最も、両勢力からも目に余る様な蝙蝠外交を行うと、「この国と関わるのは負担が掛かりすぎる。敵に回ってもらっても構わない」と両勢力からも判断されて切り捨てられる可能性もあるので注意が必要となる。

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以上を考えた場合、日米VS中国の経済援助合戦か、もしくは緩衝地帯としての軍事進攻による紛争リスク、と言う双方の可能性を抱えた地域として、インドやASEANが存在していると言う考察が成り立つ。

そのため、この地域との外交をどの様に行うかが、今後の日本の命題とも言える。

以上を持って簡単な考察を終了させてもらう。今後も新しい考察を思いついたら、そのつど記入してゆこうと思う。

本日はココまで!


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nh01ai33 at 08:30国際 | 戦略

コメント一覧

1. Posted by 匿名捜査官   2017年11月17日 11:57
一帯一路構想は、そもそも「自由と繁栄の弧」構想で麻生三が言ってたはず。それが中国に取られた。
インド太平洋戦略も、安倍さんの「セキュリティダイヤモンド」構想が元、それが米国に取られた。
結局、核武装していない日本は独自の戦略を持てず、大国に大戦略を取られてしまうのだ。
2. Posted by 匿名捜査官   2017年11月17日 11:58
訂正

麻生三 → 麻生さん
3. Posted by 無責任野郎(管理人)   2017年11月17日 12:33
そうとも言えますが、逆の考えも可能です。
自由と繁栄の弧→一帯一路
 インフラ投資だけでは利益になりずらい事を考えれば、「負担を中国に押し付ける事に成功した」とも言える。
セキュリティダイヤモンド→インド太平洋戦略
 日本だけでは米中の緩衝地帯である国々を、海洋勢力側に引き寄せるには力不足だが、米国が矢面に出て負担を被ってくれた。
この様な好意的な解釈も可能です。またこれらの戦略は元をたどればニコラス・スパイクマンのリムランド理論が原型ですので、取られたかどうかを言うのは少し違うようにも思えます。(まあ、この辺りは価値観の問題ですので)
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