2017年11月19日

地政学と通貨で見る覇権国家の誕生

前回の「バブル崩壊が覇権国家を生み出す」では、国内経済に関しての考察をしたが、今回はその続きとして、次期覇権国家が恐慌による不況時にどの様な外交や世界戦略を行っているのかを考察して行こうと思う。

コレに関しては当然で、次期覇権国が当代の覇権国を蹴落として、自国が覇権国になるためには、自国の国内情勢だけで決まるわけでは有りません。他国を如何にして強国にしない様にするか、自国の負担にならないような国にするかが重要となる。

そのため次期覇権国は、いかにして他の大国の国力を削ぎ落としてゆくかを考察しましょう。

★バブル崩壊後の不況で、貯め込まれた政府の負債はどの様に活用されるのか?

次期覇権国が、他の大国の国力を低下させるための戦略として如何なる行為を行うのだろうか?

それは、歴史上の覇権国、特に世界がワンワールド化した後の覇権国の戦略を見て行けば、その戦略が分かります。特に今回はイギリスとアメリカの二国となります。


こちらの記事にも一部書いています。

バブル崩壊時に次期覇権国の工業力と、銀行に貯め込まれた潤沢な資金が元になり、他の大国群が互いに争い疲弊するように仕向け、相対的に次期覇権国の国力が高まる状態に導いてゆく戦略を採用していたと考えられます。

即ち、莫大なマネーによる投資能力を大陸諸国に投入しての"オフショア・バランシング"となります。


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覇権国家へのオフショア・バランシング

間違えないでいただきたいのは、覇権国が行うバランシング戦略では無く、次期覇権国が現覇権国に対して行うバランシング戦略と言う事です。


・英国の場合
イギリスが覇権国家になる前に、かつて経済大国であったのはオランダであった。

そして、イギリスがオランダに対して行った政策は、海賊行為による富の収奪と、オランダの南に位置するフランス等ど組んだ対オランダに対する戦いで、オランダに対して徹底的に流血を強いる事を貫徹したのである。オランダは大陸国家と国境を接しており、海洋貿易を重んじる国家であるにも関わらず、陸軍も揃えねばならず、ソレが負担になったと思われる。

コレによって、オランダの富が安全なグレートブリテンに流れ込みイギリスは大国化した。

この様な海賊戦略を取ることが出来たのは、イギリスが島国であり、陸軍力を整備する負担から解き放たれており、海軍力を整備する余力を捻出できた事が大きな要因と考えられる。

更にその後にバブル経済が起こり、バブル崩壊後に大陸諸国に対して高いに争わせ疲弊させるオフショア・バランシング戦略を採用する事によって、大陸諸国の争いに直接巻き込まれない安全地帯であるイギリスに、ヨーロッパ諸国から富や人材が流れ込んだ。

また貯め込まれた富を植民地投資する事により、物資流入の還流による物価価格安定の恩寵を得ることが出来た。

そして国家全体の安定により"豊かな物資"と"多様な投資に挑戦する多様な人材"と"潤沢なマネーによる消費"により産業革命を主導し、七つの海を征(制)する超大国となった。


アメリカは如何か?
アメリカは大英帝国から独立した新興の国家である。なぜこの建国100年ほどの新興国が世界最強を大英帝国を蹴落として、史上最強国家となったのだろうか?

アメリカは英国からの独立以後、西部開拓や南北戦争を経験し、広大な領土を持つ国となった。本格的な超大国となり始めたのは、第一次世界大戦以後だが、その世界大戦以後のホットマネーの流入と世界大戦の特需による工業製品大量生産の確立により、莫大な対外黒字を計上するようになり、バブル経済が発生したと言われている。

バブル経済崩壊以後の大恐慌時代に、後の第二次世界大戦における連合軍(英仏ソ中)とナチスドイツに軍事援助を行い、自国に隣接する国家である「英仏日ソ」の軍事リソースを大陸内部に引き付ける政策を取り、これらの列強諸国を経済的にも疲弊させる事に成功する。

またイギリスのポンド国債を購入しまくる事によって、大英帝国の維持が合衆国の支援無しには成立しない状況を作り上げる事に成功する。にも拘らずイギリスは対ナチスドイツの最前線に立たせられて、世界の海の治安を守らなければ成らない状況に追いやられて、覇権国家としての体面を維持させられたまま過剰な軍事負担を負わされていたのである。

第二次大戦後に、他の列強諸国が没落するのと同時に「ブレトンウッズ体制」と「石油利権のドル国債化」の二点を成立させ、マネーとエネルギーを制する事により新大陸初にして史上最強の国家として資本主義・自由経済陣営の盟主として君臨した。

また独立した英国植民地に対して経済的な繋がりを強めると同時に、世界に米ドルの使用を強制する事も可能となった。同時に各国に出回っていた英ポンドを米国経由で吸収し、英国の富である知財等の国富を購入すると言う形で、貯め込んでいたマネーと合わせて技術大国化を確実なものともした。

※なお英国は、米国が世界中から回収した英ポンドで自国の技術などを買われはしたものの、その後にアメリカの政策でポンドを使用され難い状況となったため、英国の供給能力とは不釣り合いのマネーを維持できず通貨価値の下落と言う形で負担を被る事と成り、長期による不況(英国病)に対処する事になる。


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★「英米両国の歴史」と「工業力」とその工業力を大陸諸国に投資し、ないし援助しバランシング戦略を可能とする「マネー」の要素を合わせると、次の様に表すことが出来る。


①次期覇権国は、覇権国の通貨に介入し、常に高値に導き、自国の通貨は他国に使わせない

英国:確認できず…(悪ぃり……)

米国世界大戦中にポンド建て英国債を根こそぎ購入した。そして世界大戦中は出来る限り米ドルを他国に使用させないようにしている。結果的に、世界中の国は米国に及ばない国力しか有しないイギリスのポンドを使用する事と成る。これは世界各国に対する投資の負担を英国に押し付ける通貨政策と言える。(追記2017-11-19)


②次期覇権国は、覇権国に対して軍事負担が掛かる外交を行う。

英国:オランダを含む大陸諸国に対して常に英国に対する挑戦が出来ない様に、戦争援助と言ったバランシング戦略を行い続ける。

米国:ナチスや中華民国の蒋介石に支援し、自国に隣接する国家の軍事リソースが自国に向かわない様に遠交近攻政策を行う。


③次期覇権国は、覇権国に世界の治安秩序を維持するための負担を押し付ける。

英国:当時の海洋軍事力は、イギリス以外の国々は陸軍の整備も行わなければ成らなかったため、イギリスが外洋で他国の海軍と戦う回数は少なかったと考えられる。たとえ戦ったとしてもイギリスが最先端の海軍力を揃えれたため、イギリスの被る負担は相対的に少なかったと思われる。

米国:海洋貿易の安全保障も英国と日本に依存し防衛費はGDP比率で1%程度であったと言われている。


④没落過程の覇権国は、次期覇権国が無ければ、自国の消費力を維持することが出来なくなる。

英国:イギリスがオランダの国債を大量購入した事実は確認できないが、オランダは陸上国境を有する領土的小国であったため、海洋国家であるにも関わらずイギリスに対抗できるだけの海軍力を維持できなかった可能性大で、大国化したイギリスの海路防衛に依存する経済的属国と成っていた可能性がある。

米国:英国は一次大戦以後、米国からの膨大な物資支援とポンド建て英国債を購入してもらわなければ、存続出来ない状況に追いやられてしまう。


⑤覇権国となった次期覇権国は、世界中の国々に旧覇権国の通貨を使わせない政策を取り、過剰発行させられた旧覇権国の通貨価値を失わせ、旧覇権国を没落させる。

英国:イギリスがオランダのギルダー通貨を使わせなかったと言う事実は聞いた事が無いが(ブログ主が知らないだけかも)、イギリスの世界覇権の確立後に大英帝国影響下での取引所で、率先してギルダー通貨を使用させたと言う話も聞いた事が無い。申し訳ないが情報不足なのでイギリスがオランダに対してその手の制裁的な通貨政策を行ったかどうかは分かりません。ただし、イギリスのポンド通貨の方が、オランダのギルダー通貨に比べて圧倒的に使用比率が高かった事は想像に難くない。

米国:第二次世界大戦後に、英植民地等(特にインド)にポンドを使わせずに米ドルを使用させる外交を展開し、大英帝国を悪性インフレに追い込んで潰した。ブレトンウッズ体制による「ドルの金交換」や、石油引換券としてのドルなどが、ドル以外の通貨を極力使わせない為の政策となります。


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これらの事を見て地政学的に考察した場合の覇権超大国になる条件としては、

「軍事負担の少なさ」
「他国をいかに破壊し、相対的に負担を増大させるか」
「自国以外の国々に戦争を行わせる国であるか」
「現覇権国のお膝元で最も工業化に成功し利益を挙げれる国であるか」
「競争力の無い企業を淘汰する為の長期の不況を甘受できるか」

などがあげられます。

なお「海洋国家で島国である」か、どうかは必ずしも必要条件では無いと思われますが、島国である事は、他国の陸軍による軍事侵攻を受ける可能性を低くするための条件となるため、ある程度の条件としては納得できると思われます。

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以上を持って、前後二回に渡ってのシリーズになる予定だったが、都合によりあと一回続く事と成ったのでお付き合いいただきたい。一応、現在これらの政策を行っている国が居つくか存在しているが、ソレに関しては、皆様の方で調べてください。(笑)

本日はココまで!!


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