戦略

2020年12月15日


前回で米国の次の敵として"海洋アジア勢力"が台頭する可能性を提示させていただきました。
今回は、その続きで、更にその次に米国の敵として台頭しそうな勢力を考察させて頂こうと思います。

結論から先に申し上げますと、海洋アジアの次に米国にて期待しそうな勢力は、アフリカ、オセアニア(と言うかオーストラリア)、そして南米(と言うかラテンアメリカ)の「南半球勢力」に成ると考えています。

この南半球勢力が、米国の世界覇権に挑戦者に成ると言う考えは、前回の海洋アジアが米国に対する挑戦勢力に成るのと同じく、予測される資本の流れにその原因があると考えています。


★海洋アジアは米国に勝てるのか?
まず南半球勢力が台頭し米覇権に挑戦する前に、そもそも前回述べた海洋アジア勢力は米覇権に勝てる可能性は有るのでしょうか?

ブログ主の見解としては、「いい勝負は出来るかもしれないが勝つことはできない」との考察を述べさせていただきます。

この理由は、海洋アジア勢力だけの問題だけでは無く、その周囲に存在している国や地域の地政学的なリスクが根本に有ります。

そもそも「海洋アジア勢力が台頭」するとの考察は、現在の米中対立に置いて、米中の両勢力が「味方を増やすため」と「将来的な成長地域であるため」の双方の面から海洋アジア投資を増やしてしまうため、海洋アジアの台頭が促されるとの考察を述べたのですが、逆を言えば、米国から見ればユーラシア対立の海路の大動脈である地域に影響を及ぼす勢力として成立する可能性も有りますし、中国から見れば自国に隣接する海洋のムスリム勢力の台頭を予感させる者でも有り、米中の両国共に潜在的な敵となる要素が有ります。

そして米中両国にとっては、「海洋アジアが潜在的な敵国となる可能性に対しての負担」は、国境を接し、陸軍力を送り込まれる可能性のある中国の方が負担が大きくなる事になります。

しかし、これは海洋アジア勢力から見ても同じ事になるのです。


正直、海洋アジア勢力がどれだけの規模と領域で統合され、単一もしくは連合勢力として成立するのかは分かりません。

インド周辺のみ、もしくはASEAN地域のみ、で統合されるのかもしれませんし、もしかしたらインドやASEANや更には中東に至るまでの、真に東南アジアから中東に掛けての海洋に面する勢力の一大統合によって成立するのかもしれません。

ただ現在の米中対立からASEANやインドが対中安全保障目的で団結する可能性は十分ありますし、その様な大勢力が成立すれば、その経済活動からなるエネルギー消費は相当なモノとなるため、中東のエネルギー産出国もそこに入るかも知れません。

ですが強大な勢力として成立すればするほど、多くの勢力と国境を接し安全保障の為に割り振る国家リソースも大きくなってしまいます。


★海洋アジアは周辺に引きずり込まれる
さて海洋アジアが一勢力として台頭した場合、その勢力内部と外部にどの様な紛争リスクを抱える事になるのでしょうか?

現在海洋アジア地域に存在している国は、東南アジア、南アジア、中東が存在しています。

一応、東南アジアは現時点でも経済連携協定などを結び、紛争リスクより経済発展を優先させる政策を実施し、その結果としてある程度の安定を享受してはいるので、それほど紛争リスクを考慮する必要は無いかも知れません。

南アジアは、インドが大勢力すぎるかもしれませんが、一応南アジア圏では対立するにせよある程度の出来レースで政治外交が動かされていると言われています。

中東では、イスラエルの存在やイラン・サウジ対立がネックであるとも言えますが、さすがに長年の混乱の中にも"ある程度の秩序"が築かれつつあるようで、同時にエネルギー輸出の統合さえ何とかなれば、ある程度の安定を享受する事も可能かと思われます。


ですが領域外に対してはどうなるでしょうか?

例えば、現在中央アジアでは騒乱の種は尽きません。現在まで米国が軍事介入していましたが、トランプ政権に成って完全にアフガンなどから手を引く事を宣言しており、且つては1万人を超えた在アフガン駐留米軍も来春までには2000人規模にまで減らされると言われています。(現時点でも五千人を割っていると言われています)

同じ中央アジアではロシアや中国が大きな影響を及ぼしていますが、現在の米中対立が進めば中国も中央アジアに介入するリソースを捻出できなくなるかもしれませんし、ロシアも対中戦線に引きずり込まれれば中央アジアにかまっている暇は無くなるかもしれません。

そうなれば中央アジアは大国の影響から離れ、混乱状況に陥るかも知れません。

もしその様な事態に陥れば、成立する可能性のある海洋アジア勢力にとっては、自勢力の安全保障を脅かす混乱地域の可能性ありと考え、軍事介入を行う可能性も十分出てきます。当然そうなれば、大国同士の威嚇戦では無く、まとまった勢力が無い幾多の小勢力を相手にした泥沼の地上戦・ゲリラ戦に引きずり込まれる可能性も有ります。(現在の米国やかつてのソ連を同じですね)

更に前回の米中対立でも述べさせていただきましたが、大国同士が対立する時は、味方に成るであろう勢力を増やすために自領内を締め上げて捻出した資本を他の勢力の応援に回さなければ成らないため、海洋アジア勢力もその負担に耐えかねてギブアップする可能性も有るのです。

これは中国が負けるであろう理由と同じですね。海洋アジア地域も中国ほどでは有りませんが、北に長大な陸上の国境を有しています。

以上の理由から"海洋アジア地域"が巨大な勢力として台頭したとしても、中国ほどでは有りませんが、米国以上に「陸と海の軍事安全保障リスク」に晒される恐れから、防衛負担が掛かってしまい、米国の後塵を拝する様になるのでは無いかと予測できるのです。


★米国とロシアは、和解する(ロシアは米国に依存する)
さてここで少しロシアの事を述べさせていただきますが、今後米中の対立が深まれば深まる程、また上記で述べた海洋アジアの台頭が生じれば生じる程、ロシアは米国にとって必要な国に成るかも知れません。

理由はロシアが、現在米国と対立している「中国」や、今後台頭し米国と対立する可能性のある「海洋アジア」に敵対する勢力としての側面があるからです。

まずロシアと中国は歴史的にも領土問題を巡って争ってきた経緯が有りますし、現時点でも「中国東北部」と「極東ロシア」が国境を接しており、潜在的な敵国として認識し合っている筈です。

ただ現時点での海洋アジアに存在している国々は、基本的にはロシアと対立してはいません。寧ろ国境も遠く、インドやASEANなどから見たら敵国である中国の更に向こう側にある同盟国候補でも有ります。

その様なロシアが海洋アジア地域と敵対する可能性が有ると言うのはどういうことかと言うと、海洋アジア地域が一定の規模で統合され巨大な勢力として台頭した場合、支配領域がアフガン等の内陸の中央アジアにまで及ぶ可能性も有るからです。

もしその様な事態になれば、中央アジアに影響力を有するロシアが自国の属国下にある国が他国になびく事を意味し、安全保障リスクにさらされる事になってしまうのです。

そうなれば、当然海洋アジア地域とロシアは勢力圏を巡って激突する事にもなります。

故に、ユーラシア外部の米国の視点を有した場合、現時点での米中対立だけでは無く、米中対立の影響を受け台頭する可能性を有する海洋アジア地域が「何らかの域内的混乱を打破するため海洋に出る可能性」の双方を考慮すれば、対ユーラシアバランシング政策の戦略的にも、ロシアとの関係改善を成し遂げておく必要が出てくると推察できるのです。


★ユーラシアに属さない安全地域である遠方の南半球は繁栄するが、その後・・・
さて、第二次世界大戦以降の世界で、米国はソ連(現ロシア)と冷戦を繰り広げ、ソ連相手に有利に立ち回れる状況を築き上げるため中国と手を結び、その結果中国が台頭し、現在の米中対立が生じる事になりました。

そして現在の米国は、米中対立を有利に進めるために海洋アジア地域を巨大化させ、その勢力と手を結ぶ事により中国との対決を優位に進めようとしています。

そして当ブログではその結果海洋アジアが発展し、結局のところ米国と海洋アジアとが対立してしまう状況が作られてしまうのでは無いかと考えています。

ではその結果、その時に世界の富の流れはどの様に変化するのでしょうか?


前項までで述べた事は、実質上米国の対ユーラシア諸国に対するバランシング政策が次々と米国と対立する勢力をユーラシアに生み出してしまう事を示唆しました。

当ブログでは、その結果としてユーラシア大陸は大勢力の対立の場と化し、その不安定を嫌い資本がユーラシア外に流れて行くのでは無いかと推察しています。

そして、その資本の流れ行く先は、ユーラシアに成立するであろう大国と対立し、世界システムの保護や安全保障リスク対応に追われるであろう財政赤字拡張路線の米国では無く、それ以外のアフリカ南部、オセアニア、南米のこれらの地域に成るのでは無いかと思われます。


無論これらの地域に富が流れたとしても、あくまでのユーラシア内部の勢力が米国と対立している状況が成立している場合であって、ユーラシア大陸内の混乱がある程度収まれば、富の逆流が生じる事による資本撤収が生じ、今上げた地域が混乱状況に陥り、軍事紛争のリスクが生じるのでは無いでしょうか?

そうなれば再び米国が世界を安定化させるために、これらの地域の治安時回復のため出張らざるを得ないと思われます。(全世界でドルが使用されている限り、ドルを使用してくれる地域が減る事は、ドルの価値の下落に繋がりますので、この結論は当然の帰結であると思われます)


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結局米国は、世界の支配者に成りあがった国では無く、世界の維持管理者としての立場を押し付けられた国なのでは無いでしょうか?

何処の国がその様に追いやっているかは、閲覧者様方のご想像にお任せいたします。

以上を持って、「アメリカの次の敵。の次の敵」の考察を終了させて頂きます。


なお当ブログで述べている事は、あくまでもブログ主個人の見解に過ぎません。間違い等が有る事を前提の上で閲覧してください。

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2020年11月29日

今回は、当ブログで述べている「日本が行っていると思われている国家戦略」を基に、現在日本が行っていることが、歴史上に存在している国家が行っていた事と比較して、どの様な類似性が有るのかを考察させていただきます。

①英米と同じバランシング
このバランシングと言う戦略は、別に英米固有のモノでは無く、古来中国の春秋時代より「遠交近攻、勢力均衡」と言う形で実践されていた事で、珍しいモノでは有りません。

ただ英国や米国は島国であり、「大陸に領土を持ち陸上国境を有し、陸上戦力から国土を守らなければらない」と言ったリスクを有しないがため、国境防衛に投入するリソースを近隣の国家群を争わせる事に使用し、結果としてそれらの争いに深入りもせず軍事的疲弊も負わずに済んだ英米歴代覇権国家が、その国力から捻出できるリソースを持って長期に渡り勢力均衡戦略による恩寵を得て、強大な力を有するに至ったと言う事なのです。

違う部分があると言えば、英米の両国が遠く離れた地域から特定地域に群立している諸国家に対して、これらの均衡戦略を行っているが、日本は「隣国に対して、自国を巻き込む形で行っている」と言う点である。現在覇権国家として成立している米国に対立している(また対立していた)中国やロシア(ソ連)の緩衝地域に日本は存在しています。

ただし、日本を手に入れた国家が軍事的に経済的に圧倒的な優位性を得て、場合によっては覇権国家に成り果せる事を考慮すれば、現覇権国家である米国や挑戦国である中露(ソ連も含む)も日本を確保しようとして、また裏切られない様に自国側に留め置くために、多大な労力を投入しなければ成らない。(日本以外に他にこんな国は有りません)


②朝鮮半島と同じ侵攻経路提供
上記の続きに成るが、自国を巻き込むような侵攻経路の提供は、有名なところでは朝鮮半島が挙げられる。

これは日清日露両戦争に置いて、朝鮮半島に存在していた大韓帝国等が、自国で自国の安全保障を満たせず、安易に「他国の軍事勢力を朝鮮半島内に招き込む行い」を行ったが為に、周辺の「朝鮮半島に自国の安全保障を満たすための防衛組織が置けない国家」が危機的意識を感じ、「いざ自国を戦場にするぐらいなら朝鮮半島を戦場にして安全保障を守る」と言う行動のため朝鮮半島に出兵し生じた騒乱を指しています。

この自国の安全保障を血を流してでも自国で守らない行いは、古来より侵略行為と同じ犯罪行為であると見なされ、現在の国際社会では侵略の定義内にも入ってしまうため、余程の大義名分が無い限り基本的に行える事では有りません。

朝鮮半島との違いは、当時の朝鮮は、国土の全土を提供すると言う犯罪行為を行い、現在の日本は"一部の島など"を提供(及び提供示唆)を行う事で、これ等侵攻経路の提供を疑わせ、周辺諸国に行動を起こさせようとしている点です。(「全土」と「一部」の違いが有ります)

また、一応日本は先の大戦で戦い「日本への侵攻は許さない」と言う態度を鮮明にした上で、ソレでも力足りず国土の一部を外国(米軍)の勢力に明け渡しているため、中国に対しての侵攻経路の提供には当たりません。(少なくとも日本は「血を流して領土を他国の軍に明け渡さないと言う行動を取った」と言う事実は非常に重要です)

更に敗戦によって確立させた「日本は邪悪な国家であり、正義の国家(中国)に進行を受けても、日本が悪いはずなのだから仕方が無い」と言う認識を盾に取る事で、中国の米露両国に対しての侵攻経路としての拠点確保の誘発の可能性を高め、それにより米露の両国に「中国が日本を占領し米露両国に行いそうな戦略」に対応する負担を押し付ける事にも成功しているのです。

もし国際社会が日本に対して「中国に対する米露への侵攻拠点の融通」を止めさせたいのであれば、「日本は邪悪な国家では無い、自国の防衛をキッチリ行う責任と大義がある」と言う事実を全人類規模で認識させなければ成らない事になります。(そのためには、日本は中国に対して負う負い目など無い事を歴史を紐解いて説明しなければ成りません。最も国際連合側からその様な事を行えば、「国際連合は自分達を正義として定義したいが為に歴史を捏造している」と言うレッテル貼りを甘受しなくては成りませんが・・・)

③米国と同じ覇権国家に対しての国債買い
これは且つて米国が大英帝国に対して行っていた事です。

基本的に国家発行の貨幣や紙幣は、その国の生産力が担保に成っています。「発行された通貨」と「その国で生産される物資」の均衡が取れていれば、例え市場に流す通貨量が増加し続けたとしても、より効率的に生産された大量の物資が市場に出回る事で、インフレ(物価高)に対応する事が可能となります。

この均衡が取れず、実際の生産力の上昇が起こっていないにも拘らず通貨量を増やせば、物価高騰(生産物の価値が通貨価値を上回り、生産物の値段が上昇する)が生じてしまいます。

唯一例外があるとすれば、外国に通貨を発行する時の負担を被ってもらう事です。

これは国債発行上の手続き上で、他国に自国の国債を購入してもう事で、他国の通貨を手に入れて、その他国の通貨で国際貿易を決済し、通貨発行の負担を国債購入国に被ってもらう手法です。

無論、国債を購入した国は自国の通貨が売られ市場に氾濫する事になるので、市場に流す通貨と生産物の均衡の問題上、インフレに成る可能性が出てきます。


且つて米国が行った事は、英国の敵に成りそうなドイツなどに軍事的援助を行い、英国が国債を発行しなければ成らない状況を作り、その上で大英帝国の国債発行を負担を被り購入し、英国債を支配する事で将来的な英国の物価変動を米国主導で行える様にして、ブレトンウッズ体制を始めとした第二次大戦後の世界秩序の支配力を英国を蹴落として奪い取った事です。(第二次世界大戦後、英国は国債の下落圧力によりインフレに苦しみ、覇権国家から脱落しました)


日本が行っていると思われる事は、冷戦後のバブル崩壊で緊縮政策と国債発行を併用する事で、自国民を自殺に追いやりながら信用の創造を行い、創造された信用を国内を不景気にする事で溜め込ませつつ金融緩和(金融ビックバン)で海外に流し、それにより海外の国をバブル化とバブル崩壊をさせる事で、日本と同じ不良債権を創造させる。

これにより米国を始めとする各国の通貨価値を下落させるのと合わせて、通貨発行(量的緩和、アベノミクスの事)を行い不必要なインフレ(通貨価値下落)が生じない様にしながら自国の通貨を増大させ、将来的に「自国で使用する」なり「各国に融資する原資」なりを手に入れた。(この価値の不必要な下落を抑えて手に入れた"円"をどの様に使用するかで、各国の命運が決まると思われる)

④第二次世界大戦前のドイツのように他国で軍事研究を行う
これは有名では有りませんが、知っている人は知っている事です。

第一次世界大戦で敗戦国に転落したドイツは、各国の監視下に置かれて厳しい軍事技術開発環境に陥っていました。そこでソ連と連携する事で、ソ連国内に軍事基地を置き、兵の訓練を行い、技術開発を行っていたと言われています。

とは言え、この後ナチスドイツとソ連が戦争する事になるのですから、ドイツが行った事は「将来的にドイツ人を殺害する人々に軍事技術を流していた」と言う結果に成ってしまいました。

日本は如何でしょうか?

現在、侵攻経路の提供を行いつつ、侵攻させようとしている中国に軍事技術を横流しを行い、日本の学者は中国で技術開発を行おうとしている、とも言われています。

何処かで采配を誤れば、軍事技術は取られたままになりますし、日本の国土が戦場に成る可能性も有ります。

逆に成功すれば、いずれ平和裏に中国から軍事技術が日本に流れますし、日本周辺国を疲弊させる事もにも繋がります。

どの様な結果になるかは、これからの流れしだいと思われます。

ただし、日本と中国は直接国境を接している訳では無いので、独ソ戦が生じたドイツとソ連に比べると紛争のリスクは少ないと思われます。(油断していいわけでは有りませんが・・・)


★日本を批判し難い各国
上記の事は、行えば自国の国益とする事が出来ますが、やられた方にとっては自国の国益に損害を与えたり、安全保障を脅かされたりと非常に不利益となります。

本来この様な事を行えば日本は心底恨まれるのでしょうが・・・


これに対して、

英米も行って居た事だ、そして「且つてそれに対応して戦った日本が悪い」と言う結論に成り、全世界にその結果が定着したでは無いか?

現在日本が行っている事は且つて貴国等が行っていた「正しい行い」のはずだ。何が悪い事なのか?


と言われればそれまでで、結局、現在これらの戦略の負担を受けてしまって言う国々は、自国の正義を振りかざした結果の状況に陥ってしまっているだけで、しかも当の日本が未だに「日本が悪い」と言う論調の風評を世界に流布しているせいで、これまで日本を悪に仕立て上げて来た国々の方が「日本の国家戦略の構成要素の一つに成っている"日本に対しての冤罪"を修正できずにいる」と言う事態に陥っているのです。

正に、これが「身から出たさび」そして「人を呪わば穴二つ」では無いでしょうか?

ブログ主だけでは無く、世界中の人々が「正義に仕立て上げられる恐ろしさ」を学んだ方が良いのかもしれませんね。

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以上を持って、一応の「日本の行っている事を歴史上の国々と照らし合わせて見た!」の記事を終了させて頂きます。

なお当ブログで述べている事は、あくまでもブログ主個人の見解に過ぎません。間違い等が有る可能性を前提の上で閲覧してください。

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2020年08月10日

今回は前回に引き続き「中国は如何にして米国の包囲を突破すればよいのか!?」の後編である「投資編」の記事となります。


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★経済・資本的手法によるコントロール
では軍事的アプローチによる状況の打破が不可能であるのならば、他はどの様な手段を使用すればよいのでしょうか?

ブログ主的には、「経済力や資本力を前面に押し出した"米国の対中包囲網突破"」に活路を見出すしかないと思われます。

では資本力と経済力を前面に押し立てた戦略とは、具体的にどのような行為を指すのでしょうか?

簡単に言えば「「米国と敵対する可能性のある国」や「混乱すると米国が困る地域」や「中国の同盟国として役に立ちそうな地域」や「米国が伸張していない領域」に対して資本面で投資や混乱を引き起こし、米国に中国が投入した以上の資本負担を負わせる事により、米国の国力を疲弊させ、米国と中国の国力差を縮小させる」と言う戦略になります。

①米国と敵対する可能性ある国に対しての投資
まず初めに取り上げた「米国と敵対する可能性のある国」に対する投資先として挙げられる国として考えられるのが「ロシア」「イラン」「日本」「イギリス」「メキシコ」「カナダ」「キューバ」等が挙げられます。

ロシアに関しては、冷戦から続く代表的な米国との対立国で、現在でも国際的な利権や安全保障面で米国と対立する事が有ります。一見支援すれば米国と対立してくれそうな雰囲気が有るようにも見えますが、そうは問屋が卸しません。

何故ならば、中国とロシアの関係は、中国が米国を敵として認識する以上に、そしてロシアが米国を敵として認識する以上に、互いに最大の潜在的な敵国同士と認識している筈だからです。もし中国がロシアに投資してロシアが復活しても、そのロシアの掲げる槍の穂先が米国では無く中国に向く可能性も十分あります。その点からも対米国を見越した同盟国への投資としては、ロシアは不適格であり慎重を有すると言えるでしょう。

イランに関しては、中国と国境を接してはおらず、また米国の石油利権を脅かす可能性のある中東の有力国であると言う事を考慮すれば、中国が米国と対立した時の同盟国候補として考慮する事は十分可能と思われます。

日本とイギリスの二国に関しては、海洋を挟んで米国に隣接している二国ですし、大陸国家である中国に対して海洋国家である事を考慮した場合、この二国に関しては陸の中国と海の日英で住み分ける事も可能であると思えます。

ただし、この二国が海洋を通して国家の安全保障を確立してい事を考慮した場合、「中国と同盟を組み米国と対立するよりも、むしろ覇権国家であり海洋の擁護者である米国と同盟を組んだ方が軍事負担が少なくなり経済的に国益である」と認識している現実も有るため、中国と同盟を組むと言う可能性は限りなく低いと思われます。

たとえ中国と同盟を組んだように見える態度を取っていても、それは米国に対して何らかの譲歩を引き出すための中国を利用したバランシングで有る事を考慮した方が正しいと思われます。


関連リンク


メキシコ・カナダ・キューバは北米に位置する米国と隣接する国家です。これらの国々が中国の支援を得て経済的な拡大を遂げたとしても、三国とも米国と経済的な関りが深い国ですので、投資を受けて豊かになったとしても、その拡大した経済を持って必ずしも米国と対立してくれるかどうかは未知数です。

寧ろ投資を受けるだけ受けで、軍事的に北米に兵員を送り込めない中国を裏切り、直接的に遥かに恐ろしいを思える米国側に付く可能性は十分あります。そもそも現時点でもこれらの国々は米国との経済関係が深い国である事を考慮すれば、米中のどちらを選ぶかと問われれば、米国を選ぶ可能性の方が圧倒的な高いと考えられます。


②"混乱すると米国が困る地域"への投資
二つ目に取り上げた「"混乱すると米国が困る地域"への投資」とは、どの様な意味を指すのでしょうか?

これは資本を利用した戦略で、国家破壊や地域の混乱を誘発する為に敢えて過剰なマネーを該当地域に注入し、産業を混乱させたり、突如とした資本逃避を行う事による該当地域の混乱を誘発させる戦略です。

考えられる地域や国を考慮した場合、「南米」と「オーストラリア」「アフリカ」がこれに該当すると考えられます。

南米は米国の裏庭とも言える地域で、実質上米国資本の影響が強い地域です。この南米で経済的な混乱が生じた場合、紛争などが生じ、最悪米国の統制能力を超える混乱に発展する恐れも有ります。最も米国としては、これらの国々が混乱した場合、武器弾薬等を売りつけ軍需産業を潤す餌としても利用できますので、まったくマイナスに成るかどうかは分かりません。

ただし不必要なまでに憎しみを煽るバランシングを行おうものなら、これらの国々の人々が米国を憎む事にも繋がるため、米国による米州のコントロールと言う観点を見た場合、米国に取っては中国にあまり干渉してほしくない地域なのでは無いかと思われます。

オーストラリアに関しては、大きな島国でありインド太平洋の接合点あるため、インド太平洋に管理を及ぼそうとしている米国から見た場合、広報補給基地としての価値があります。このオーストラリアが政治・経済的に混乱が生じた場合、米国によるインド太平洋の治安維持と言う点で、暗雲が立ち込める事になります。

特に現時点でもチャイナマネーの影響が強い地域ですので、今後米中対立が加速すればするほど、政治・経済的混乱が生じるのでは無いかと思われます。

アフリカに関しては、米国だけの問題では無く、米国と欧州で結成されたNATO(北大西洋条約機構)の国々にとって多くの企業が進出している地域ですので、この地域で混乱が生ずれば、米国だけでは無くNATOが治安維持で出張る事にも成り兼ねません。

特にアフリカでは、紛争が絶えない地域が幾つも有るため、ちょっとした混乱が戦争の火種に成ってしまう恐れも有ります。その混乱が米国の統制力を越える様な事が有れば、米国としては現在の工業地域&資源地域、そして将来の市場を失う事になると思われます。(最も武器弾薬の売り付け先と見た場合、米国にとっては必ずしもマイナスにはなりませんが・・・)

地政学的には、米国の安全保障に直結し難い地域ですので、一度混乱した場合、長期に渡って放置され収集がつかない状況に成る恐れが有るため、注意が必要になると思われます。


③「中国の同盟国として役に立ちそうな地域」
三つ目の「中国の同盟国として役に立ちそうな地域」としては、アフリカとオーストラリアとメキシコとイギリスと日本になります。

同盟国として役に立つと言う理由は、メキシコ・イギリス・日本に関しては、米国と直接事を構える状況に成った場合、米国と隣接しているこれらの国が中国の同盟国であった場合、中国の対米競争が有利に進むため取り上げさせていただきました。(この理由は①の項でも取り上げさせていただきました)

そしてアフリカとオーストラリアを上げさせていただいたのは、アフリカやオーストラリアの両地域が「ここを押さえら国が世界の命運を決める」と言われるリムランドから離れた地域であり、中国と同盟を組んだ場合、リムランドを挟み撃ちに出来る地域であるからです。

現在、一帯一路構想でリムランドを影響下に置こうと言う国家戦略を実行している中国としては、リムランドの支配を確定させるために、是非とも支配下に置いておきたい地域と言えるのでは無いでしょうか?

またチョークポイントを通過しない海洋路の中心に存在している両地域は、米国にとっては紛争地域から離れた海洋通商路としての側面も持ちえているます。そのためシーレーンの安定を確立させたい米国としては、両地域が中国の影響下に入る事は、安全保障上容認しがたい事であると推察できます。


④「米国が伸張していない領域」に進出し勢力を伸ばすための投資
これは世界の海を支配している米国は、その海を守るために多大なるコストを支払わなければ成らず、他の領域に伸張する経済リソースを捻出する事に苦しむであろうことから推察させていただきました。

例えば、南極
例えば、深海
例えば、宇宙
例えば、サイバー

等など米国が支配している領域は、あくまでも「大地の一部と海面の大部分だけである」と言う事を考慮した場合、上記で掲げたそれ以外の領域までをも完全に支配下に置いている訳では無いと言う事が分かる筈です。

もし中国が、米国が得意としている領域では無く、米国の支配が未だに及ばない領域での効率的な戦いを確立し、米国を敵と定めて攻撃し始めた場合、米国としては中国が投入したリソースと同じだけの国力をとの領域に投入しなければ成らなくなります。(後発投資の優位は有りますが、攻撃を受けている最中の後発投資は、防衛しながら戦い方を確立しなければ成らないため、米国の背負う負担は大きなものとなると思われます)

これが一箇所、二箇所だけでは無く、複数個所の「米国の支配領域外」からの攻勢に米国が晒された場合、苦しい戦いに成る事は確かだと思われます。

もしかしたら中国にとっては、この戦い方が最も賢い対米戦略である可能性も有るのでは無いでしょうか?


★「米国に負担を押し付けろ」「世界にドルを使用させない様にさせろ」
米中対立を前提にした中国の対外投資戦略は、結局のところこの項の表題にもある様に、米国のリソースを如何にしてコントロールし自国が負う以上の負担を負わせるのか?ドルの信用を失墜させるのか?に掛かって居ると思われます。

逆に米国が中国を潰すには、自国と自国を支えてくれる国が負う以上のリソース負担を中国に追わせて、中国を疲弊させる事で、米国に逆らう愚かさを中国に教え込む事が手法として良いのでは無いか?と考えられます。


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今回で「中国は如何にして米国の包囲を突破すればよいのか」の記事を終了させて頂きます。

一応、ブログ主の見るところ、米中対立は熱戦よりも冷戦の風潮を帯び、より多くの国々を自国の側に留め置くような、また敵対勢力が混乱する様な投資合戦に成るのでは無いかと思われますが・・・

これ等の考察も、あくまでもブログ主個人の主観による考えに過ぎませんので、米中両国の指導層がこの様な考えの基で動くのかどうかに関しては断言は致しかねます。その点を御考慮の上で当ブログの記事をお読みください。

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2020年08月05日

今回は、白熱し始めている米中の対立において「覇権国家である米国に対し、中国が如何にして"米国の対中包囲網"を突破するのか?」の考察をさせて頂こうと思います。

無論、あくまでもブログ主個人の見解に過ぎませんので、本当にこの通りの事象が生じているのか?また生じるのか?に関しては、確定されているモノでは有りません。それらの事を理解した上でお読みください。

さて、ついに領事館閉鎖合戦に突入し冷戦や熱戦への道筋を突き進み始めている米国と中国ですが、ここに来て「国内における生産能力」と言う点では中国優位で、「世界秩序の支配力」と言う点では米国優位と言う構図が浮かび上がっています。

これは分かり切っていた所で、第二次世界大戦以降、覇権国家として世界中の国々を支援しながらドルを流通させる事により、世界中に自国の工業力を移転させ消費地である米国との間に富の流れを構築する事により各国にドルを求める需要を作り、ドルの価値の維持を米国だけでは無く世界中の国々に押し付ける事に成功した米国。

そして1970年台頃の開国開放路線以降、国内での工業生産力を高め、世界の国々を自国の製品を売りつける市場として開拓するだけに止まった中国との違いでも有ります。

米国は、世界の貿易と経済のシステムそのものを使用し、あらゆる方向から中国を締め上げようとしており、対する中国は、中国国内での生産力の米国に挑みつつ、同時に各国への支援を通じて貿易の"元決済"を行わせる事による富の流れの構築を行う事で米国の築いた世界の統治システムに楔を打ち込もうとしているようですが・・・

既にシステムを構築している米国の優位を揺るがせるまでには至っては居ません。

中国は、この米国が築いた富の流れに対して、どの様な戦略で挑めば対抗できるのでしょうか?

幾つかの方法が考察できますが、基本的に「軍事的手法」に、もしくは「経済(資本)的手法」の二点に絞られると考えられます。(またはその混合です)


★軍事的手法による米国への干渉
まず中国が考慮する軍事的手法が「米国の影響下にある地域への軍事的干渉」です。

これには幾つかの地域が挙げられ、主に「米国の裏庭である南北アメリカ大陸」、二つ目は「ユーラシアの両端で米国との軍事的同盟関係にある欧州と日本等の先進国」、三つめは「米国が世界の海洋を守るために拠点を置く海洋沿岸の途上国諸国」、四つ目が「米国が資本投下している途上国」の主に四点が挙げられます。

南北の米州に関しては、この地域に介入する勢力に関しては、どの様な国家が勢力を伸ばそうとしても米国が容赦なく潰してきた過去が有り、また中国から離れすぎていることから、軍事的な干渉に関しては絶望的としか思えません。

欧州や日本の様な先進地域に関しては、欧州はともかく日本に対しては、軍事的な圧力を掛ける事は可能と思われます。・・・が、日本の国家としての能力が「隣接する大国の足りない部分を補完する」と言う機能が特化している事を考慮した場合、日本に対して軍事的な圧力を掛けて、日本国民の民心を米国側に追いやってしまうよりは、日本国民に寛容に接して歓心を抱いてもらった方が遥かに中国の国益に成ると考えられますので、欧州と日本の先進地域に対して過剰な軍事圧力を掛ける事は無いと考えられます。
ただし日本の様に侵略経路の提供戦略を国是としている様な国に対して、「日本が"米国に対して利用する圧力としての中国の軍事能力"を忖度した行動」を取れなければ、日本国民はともかく日本の政治家の心証を良くする事は出来ないと思われますが・・・

中国が直接的に軍事圧力を掛ける事で米国を圧迫そうな地域は、「海洋を通じて世界と貿易をしている沿岸諸国」と「米国が資本を投じている国」ぐらいですが・・・、そもそも世界の海洋を米海軍が治安維持を行っている現状から、中国の様な米海軍に劣る戦力と戦力維持力しか持てない国では、米国の海軍力を突破しこれらの国々に対して圧力を掛ける事は叶わないと思われます。

海洋に面してない遠方の国に対しての軍事的な脅しに至っては、そもそも一定数の軍事力を贈り維持する事さえ不可能ですし、中国に隣接している国に対してその様な行為を行おうものなら、多くの国々を米国側に追いやり、米国側の勢力拡大を確固たるものにしてしまう恐れが有ると考えられます。

そのため少なくとも純粋な対米の為の軍事圧力に関しては、成功する可能性は限りなく引くため、行うべきではないと言うのがブログ主の考察となります。


★軍事的手法による米国以外への干渉
では米国への敵対的軍事アプローチに限界が有るとすれば、「米国以外の国々に対して軍事的なアプローチを仕掛け、侵略なり併合なり中国に吸収する事によって国力を膨張させ、いずれ米国を越える力を得て米国の築いた世界の統治システムを打破する」と言う可能性も考慮する必要が有ります。

これを行う為には、米国が軍事的に防衛する必要が無いと認識している地域に対して行う必要が有りますが・・・、海洋を通して自国の安全保障を確立している米国を見れば、圧倒的に限定された地域となってしまいます。

この対象に入る地域や国は、「ロシア」と「ロシアの影響下にある中央アジア諸国」と「一応、南アジア」の三地域ぐらいと考えられます。

ロシアに関しては、且つて米国と世界の覇権を掛けて争った勢力で、現在でも軍事的には核戦力を有し、米国に対してモノを言える国と成っています。ただし、核戦力を有していることから中国に対しても核戦術を行使できる能力を有しており、この事から中国と言えど経済力で圧倒しているとは言え軍事的アプローチを実行できるわけでは無いと考えられます。

ロシアの影響下にある中央アジアの国々に関しては、これらの国々に対して軍事て圧力を加えてどこか一国でも中国の勢力に吸収したとしても、怖れを抱いた国々がロシア側に走る可能性も出てしまい、潜在的な敵国であるロシアを強化してしまうと言う本末転倒な状況を招く恐れもあるため、現実性が有るとは言えません。たとえ成功したとしても漢民族とは別の民族を中国内に招く事を意味しており、中国を更なる不安定な状況下に置いてしまう恐れが有るため現実的とは思えません。

では、一応、南アジアに関してはどうなのか?と言うと、この近辺に対して侵攻を掛けたとしても米国やロシアの安全保障に対して直接的に影響を与える事が無いため大丈夫そうに見えない事も無いのですが、経済的な影響を通じてインド洋圏を不安定にさせてしまう恐れから米国の介入を招く恐れは否定できません。また南アジアから中東にコマを進めてしまうと、ドルを支えている中東諸国に行き着いてしまうため、やはり米国の干渉を招く恐れが生じてしまいます。

仮に中東まで進出しなくても、そもそも南アジア諸国は、インドを含めて人口大国が多く、これらの国々を吸収しても圧倒的人口に対しての統治に割り振るリソース負担を考慮した場合、穏健な統治を行う前提では吸収併合する必要性が感じられません。

ただでさえ中国国内の少数民族弾圧疑惑で世界から疑いの目を向けられているのですから、安易な軍事侵攻を仕掛けて不安定な地域を吸収する事による国力の低下を考慮した場合、今現在置ける軍事的侵攻を伴う強制的な併合は、現在の中国の国益に沿う事には成らないと思われます。(米中の対立が本格化する前に小国を併合する程度であれば、国益になった可能性は有りますが、現在では無理だと思われます)

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以上を持って「中国は如何にして米国の包囲網を突破すればよいのか!?」の前編である軍事編を終了させて頂きます。

今回の考察記事は、長い記事となりますので、前後編のに分割となります。
次回は、後編である投資編となります。

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nh01ai33 at 07:00

2020年07月22日

今回は、米国の安全保障にとって最も重要な二つの国である「日本」と「英国(イギリス)」に関しての考察となります。

日本と英国は、「共に米国に隣接し、共に海洋国家であり」、共に米国の同盟国である」と言う共通点が有ります。

米国は世界の覇権を握ってより現在まで、対ユーラシア大陸諸国に対してのバランシング戦略を行ってきましたが、日本と英国の二国は、米国の同盟国の中でも特別な地位を築いてきました。

これは過去から現在に至る米国の態度を見れば理解できる事です。いかに米国の大統領が日英両国に対して厳しい事を述べても、日本と英国の権力者が米国との同盟から離れる素振りを見せた途端、米国の関係閣僚などが日英に赴いて関係の改善を求める交渉を行っているのがその証拠と言えます。

有名な処では、日本で2009年の民主党が政権を取った時に、米国が日本より中国を重要視する姿勢を見せた途端、日本の民主党政権が米国よりも中国と友好を結ぼうとする姿勢を取りました。これは普天間基地の移転問題の事ですが、これによって日米の同盟関係を重要視している人達(当時の米国のオバマ大統領を含めて)が民主党政権の鳩山首相に懇切丁寧に説明を行い、米国はいかに日本と友好を持続させたいのかの姿勢を明確にせざるを得ませんでした。

これは日本だけでは無く、英国も似たようなもので、英米間で何らかの理由で不和な状況に陥った場合、両国の代表や関係閣僚が会談し、いかに英米が友好的であるのかをアピールするのが常に成っています。

日本や英国の二国に比べると圧倒的とも言える国力を有する米国が、何故日英の二国に対してこれほどまでに重要視及び友好をアピールする様な態度を取らなくてはならないのでしょうか?

実はこれらの要因は、日本と英国の二国自体に米国を脅かす要素が有るから米国がその様な態度を取っているのでは無く、米国のライバル国(覇権挑戦国)であるロシア(旧ソ連)や中国にその原因が有るのです。


★日英が米国にデカい顔が出来るのは?
日本と英国の二国が、属国のように見えて、実は裏では米国が「気を使った外交対応」を行わざるを得ないは、日英の当事国の問題では無く、ロシアや中国の問題であるとは、どういう事なのでしょうか?

これは地政学的な問題です。
日本に関しては、当ブログで常々述べている「ロシアや中国の両国に対しての米国への侵略経路を提供できる事」がこの問題の本質となります。

日本が中露のどちらかに擦り寄り米国への侵略経路を提供し、米国への敵意を示したとして、米国がその日本の態度に対する報復として日本が擦り寄った大国と同盟組み、日本の擦り寄りを無効化したとしても、日本がもう片方の大国と同盟を結ばれたら、結局米国は中露二大国のどちらかを敵として向かい合わなければ成りません。

「米国が中露のどちらかと同盟を組んだ場合、組まなかった別の大国が、自国の潜在的な敵国と同盟関係を結んだ米国を、敵国として認識してしまう」と言う地政学的な環境が作られていることがから、日本の侵略経路の提供が戦略として機能してしまうのです)

他にも、世界一、安定した通貨を大量に溜め込んでいる日本は、いざ世界的な経済混乱が生じた時に、米国を含む世界経済を支える事の出来る唯一の国である事も要因の一つとして働いています。(最も世界的な経済混乱が起こる原因である、グローバルバブルの発生と増大にも日本の経済政策及び金融政策が関わっているので、ある意味マッチポンプと言えなくも有りませんが・・・)

では日本のこの地政学的な特色に対して、英国はどの様な特権を有しているのでしょうか?

英国は、ロシアに対して侵略経路の提供を行えない事も有りませんが、米国が英国に隣接するフランス辺りと同盟を組んだ場合、この侵略経路の提供は戦略として機能し難いモノと成ってしまいます。

この様に考えると、英国は日本ほど地政学的特権は有していない事になります。
では英国は、只デカい顔をするのが得意なだけなのでしょうか?

違います。英国にも米国にデカい顔を出来るだけの地政学的な特色を有しているのです。


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★英国が米国にデカい顔を出来る理由は?
英国が米国に対してある程度デカい顔が出来る理由は、米国が覇権国家であり、世界の海洋を維持支配している事が理由として挙げられます。

もう一つの理由が英国が世界中に領土を置き、"イギリス連邦"だとか"英連邦王国"だとか言う、旧大英帝国系国家と強い関係をいまだに結んでる事が挙げられます。(英国連邦王国は、カナダ、オーストラリア、NZ、パプアニューギニア等が内包された国々を指します。イギリス連邦は、英国連邦王国にインド周辺の国々や旧大英帝国に支配されたいたアフリカの国々を加えたものになります)

では何故、「米国が世界の海を支配維持している事」と「旧大英帝国諸国と英国の関係」が英国が米国にデカい顔を出来る要因になるのでしょうか?

想像してください、世界の海の治安を守る事によって覇権が確立している米国にとって、これら旧大英帝国系の国々が何らかの形で、米国のライバル国になびいた場合、安全保障に危機が生じる事に成ってい舞います。

例えば、カナダですが、この国は米国に隣接する先進国です。軍事力はそれ程では有りませんが、米国にとって北に長大な国境線を有するこの国に敵対される様な事が有れば、軍事負担は途方もない事になってしまいます。

例えば、オーストラリアやニュージーランドですが、この二国は一定以上の国土を有しており、またチョークポイント通らない、また凍り付かない海洋ルートを考慮した場合、全海洋の通商路の中心に位置する国です。この国に米国のライバル国に走られた場合、海洋防衛の負担は爆発的に増大してしまう事になるでしょう。

これはインドや南アフリカを含むアフリカ諸国もこれに含まれます。これらの国々に敵対されようものなら、米国の覇権維持は今まで以上に莫大なコストの掛かるモノに成る事でしょう?

英国としては、これらの国々に米国のライバル国に付くように指示する必要は有りません。その様な事は当事国も自国の安全保障の観点から認めない可能性が有ります。ですが英国の持ち前の金融ネットワークで経済的な混乱を引き起こしたり、中国のスパイ等を招き入れる政策を英国連邦王国やイギリス連邦規模で行った場合、米国に対しての侵略経路の提供戦略として機能する事になるでしょう。

かつて世界の海を制し覇権国家なった英国が、自国の覇権を維持する為に必要だった領土なのです。同じように海洋覇権を手にした米国にとっても、自国の海洋覇権を維持するためには、これらの国々は絶対に必要な国々であると言えます。

これらの国々で経済的な混乱を引き起こせれば、海洋覇権を手に入れ米国を引きずり下ろしたい中国などは、必ずや中国が出て来て影響下に置こうとするでしょう。そうなれば米国もその中国の行動に対処せざるを得ないのです。


★日英一体で米国と同盟を組めば、米国は安定
以上の事から逆説的な考察も行えます。
つまり現覇権国家である米国は、日本と英国の二国とさえ同盟を結んでおけば、「世界の海洋通商覇権」と「自国の安全保障」と「いざと言う時の資本捻出」が可能な状況となり、国家の安泰が約束されているのです。

逆に日英のどちらかに敵対的な行動や米国のライバル国と結びつかれる様な事を行われようモノなら、米国の安全保障に多大な損害が生じる事になるのです。

近年日本国内の言論界で「日英同盟を再強化せよ」とか「米国はG7体制を解体し、英国と日本との同盟を再強化しG3体制を構築すべし」とか言う発言をが出て来ているのは、この様な地政学的な「米国に負担と利益の双方を与え、いかに米国の覇権維持を持続的に支援できるのか」の体制を考慮した場合、自国の価値を如何にして米国に売り込めるのかの考慮を伴った国益維持のアピールの面を考えれば、殊更おかしな事では無いと考えられるのです。

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以上を持って「米国にとっての日本とイギリス」の考察を終了させて頂きたいと思います。

なお当ブログで書かれている事は、あくまでもブログ主個人の見解に過ぎませんので、間違い等が有るかも知れません。それらのリスクを前提の上で閲覧してください。

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