コロナショック

2020年04月16日

今回の記事は、以前日本国経済がコロナウイルス騒動で復活するかもとの考察をさせて頂きましたが、その考えをより詳しく説明させていただきます。

さて、新型コロナウイルスの騒動によって、様々なニュースが発信されていますが、ここに至り日本政府も重い腰を上げ、総額108兆円に成ろうかと言う経済対策を行う事を決めたようです。

現段階では、どの様な対策事業が行われるかは未定のようですが、一応政府は「対策を行う気は有る」と言うポーズは見せて来たようです。(ブログ主は「政府がどの様な政策を行おうとしてのか?」の情報を詳しくは調べては居ませんので、その視点での信用はしないでください)

ただし、問題として取り上げられているように、「いつ対策が行われるか?」「また恩恵に与えられる人達は、どの様な人々なのか?」と言った疑問も有り、これらの対策に効果が有るかどうかは確証が無いのでは?と言う言論人も居るようです。(中には低所得であるにもかかわらず、減収に成っていないため、所得の補助が受けられないのでは?と言う疑問を有する人も居るようです)

今回の記事は、新型コロナウイルス騒動で生じた世界各国の政策によって、このグローバル化が拡大し続けていた世界にいかにして影響を与え、ソレが日本にどの様な影響を与えるのかの考察となります。


取り上げる内容は、コロナウイルス騒動における

「各国の経済対策」

「各国の通貨の価値」

「グローバル化で拡大し続けた人・物・マネーの内、人の流動の静止がどの様な影響を与えるのか?」

「日本国民の給料」

「産業のサプライチェーン」

「日本の対外資産」

当たりを取り上げたいと思います。


★各国の財政出動による円高
まず第一に考えなければ成らないのが、各国の行う経済支援対策です。

なぜかと言うと、ソレが国家の通貨価値の反映されるからです。通貨価値が高くなれば海外からものを輸入する時に安く買いやすくなり、通貨安に成れば多くの自国通貨を支払いに充てなければ成らなくなります。

国内で経済対策事業を行う場合は、「公共事業」「金銭の貸し付け」「金銭の無償供与」の三点が考えられ、この内で返済の必要のない支援策が主に真水と呼ばれるものがあり、この真水が多ければ多い程、国家の通貨価値が安く評価される事になるのです。(真水は回収する必要が無い、貸し付けは最終的に市場に巻き散らかした金銭を回収する緊縮行為が伴うので通貨価値の"ある程度の安定"が予想されます)

最も通貨価値に関しては「高ければ良い、安ければ悪い」と言うモノでは無く、自国の対外に対しての輸入依存と輸出依存の割合を天秤にかけ、バランスの良い通貨価値に安定している事が国家の安寧に必要であると考えられています。(一番いいのは市場に任せる事です)

現状の世界は、米国のドルを基軸通貨として認識し、貿易決済に使用しているため、米ドルと比べて自国の通貨がどれ程の価値があるかが、対外貿易を前提にした自国の消費力に影響を与えます。

そして今回の経済対策で、米国は約220兆円規模の景気対策を行い、その内で約160兆円分の真水分が有ると言われています。


米国と比較して日本は如何なのでしょうか?

日本の場合は、今回の対策で108兆円規模の対策を予定して居ると言われており、米国に及びませんが、なかなかの規模の対策と成っています。


では、そのうちの真水分はどれ程の規模に成るのでしょうか?

確定かどうかは分かりませんが、これに関しては「約20兆円」と目されているようです。

と言う事は、

米国が今現在、市中に流している通貨量が日本円に直して200兆円分あるといわれており、そこに160兆円分ほど追加投入するため、マネタリーベース(経済活動を行う前の「膨らませる前の元手のお金」)が合計で360兆円程になり、実質上四割ほどドルの価値を押し下げる事になります。

対して日本は、現在のマネタリーベースが400兆とも500兆円とも言われており、そこに今回の真水分である20兆円が加算される事になります。

と言う事は、マネタリーベースの一割の増加にも至らないため、通貨価値の薄まりは限定され、米ドルに対して高い価値を有する通貨高に陥ると考えられます。

無論、日銀は今後も量的緩和策(赤字国債の買取)を実行し続ける事を明言しているため、マネタリーベースが増加し続ける事は確定なのですが、それでも200兆円規模の追加緩和を行わなくては、円ドルのバランスを取る事ができなくなります。

ですが、残念ながら市場に出回っている円建て国債は、すでに半分近くが回収されており、残った国債も他の金融機関が商売を行う上で保有しておかなければ成らないモノであるため、これ以上の買取が行えるかどうかは疑問が有ります。

買い取れないのであれば、その時点で急激な円高に成ります。


★人の流れは制限されるが、物流は止まらない
さて今回の新型コロナウイルス騒動において、多くの国がコロナウイルス感染者を増加させない様にするために、海外との人の行き来を制限する政策を取り始めました。日本もインバウンド目的の経済政策を行ってきたにもかかわらず、観光地では閑古鳥が鳴く始末で、一時期の観光公害と叫ばれた時期が懐かしく思えるほどです。

ですが本当に問題なのは、海外から流入していた格安の働き手がこれ以上日本に入国できなくなった事です。

1990年代のグローバル化以来、日本企業は海外から日本人よりコストが低く抑えられる低賃金労働者を受け入れる事によって利益を確保した企業も多く存在します。

ですがバブル崩壊以後、その政策を推し進め過ぎて、海外から低賃金労働者が入ってくるために常に人手が足りている状況が作られてしまい、日本人労働者の賃金上昇を阻む原因ともなってしまいました。

そのため今回のコロナウイルス騒動におけるこれ以上の外国人労働者の入国制限は、少なくとも日本人労働者の視点から見て見れば、雇用と所得面からプラスと考えられるのです。

無論、低付加価値の製造品を主力所品としている企業から見れば、人件費を押さえられない事は、競争力の低下ですのでマイナス要素になりますが、どうしても日本国内で日本人が行った方が良い産業を見た場合、十分なプラスと思われます。(例えば介護業界などソレに当たります)

ただし何度も言うようですが、移民人材で成り立っている業界には大打撃となりますし、高付加価値だろうとも低賃金労働であろうとも、日本人を雇い、育て、雇用し続けなければ成らなくなるため、人材育成を怠ってきた企業からとってみれば、悪夢以外の何物でもないと考えられます。

(注意点としては、コロナ騒動が必要以上に国内経済を委縮させ、巷に失業者があふれる事です。これが起こると低賃金労働者が確保しやすい状況が作られてしまい、引き続き人材育成を行わず、労働者を取っ換え引っ返して使い潰せる環境が維持されてしまいます)


★日本政府はどの程度の経済政策を行えば良いのか?
では日本政府はどの様な政策を行えば日本経済を復興させる事が出来るのでしょうか?

グローバル化以降続く日本の経済対策の失敗は、日本と言う国の世界に置ける立ち位置の認識違いが原因と考えられます。

ある程度の年齢の日本人なら「日本経済は輸出で発展した。輸出立国」との認識を抱いている事でしょう。ですが日本経済における輸出の割合が経済規模に対して、1割を超えた時期は、むしろ経済の本格的なグローバル化が始まった2000年以降です。

ですがその時期は平成不況真っ只中で、一般の日本人は全くと言っていい程、経済発展の恩恵を受ける事は出来ていない筈です。

その理由は幾つも有りますが、「通貨価値の低下」と「経済成長の押し下げ政策」の二点が重なり、通貨安の輸出で稼いだ外貨が経済成長しない日本に投資されない状況が作られ、多くの資本が海外に再投資される状況が作られていた事に原因が有ります。

通貨価値が安くなれば、海外からの輸入品が高くなりますし、経済成長が無ければ、その様な国に投資する資本家は少なくなりますので、経済成長率も低下してしまいます。

ですが逆を考えれば、通貨価値が高くなれば、海外からの輸入品がお安くなります。その通貨高の時に輸入品を増やし日本国内に流通させれば、たとえ国民の所得が少なくても生活は安定させる事は出来ます。モノが安くなれば、付加価値の高い贅沢品を購入する余裕も出て来て、日本国内の高付加価値産業も息を吹き返す可能性が有ります。

実際日本の経済構造は、アベノミクス以前の金融危機時の通貨高で、既に高付加価値産業の輸入立国化していたと考えられますが、アベノミクスによる「金融緩和による通貨安」と「消費税増税による消費抑制」によって、無理矢理に低付加価値産業が生き残れる経済構造にされてしまいました。

最も低付加価値の仕事しかできない人の立場を考慮した場合、必ずしも高付加価値産業だけが持てはやせる社会が良いとは断言できませんので、何方とも一長一短が有ります。ですが、こと消費と言う点に限って見れば、通貨安政策は明らかに日本経済にマイナスであったと言えるでしょう。


よって日本政府の国民の生活を安定させる政策は、基本的に

「通貨高政策で輸入品価格を低下させ、消費できる物資量を増やす事で国民の生活を安定させる事」

となります。


生活に余裕が生まれれば、自然に消費が増え投資に回せる余力も多くなり、日本経済は緩やかに回復すると見込まれます。

例え一時的な通貨高で、輸出企業が一定の損害を被っても、社会全体の消費力でその損害分をカバーできれば、国家の発展は続く事になります。


これ等を前提に、今後の安倍政権の行おうとしている経済対策を見た場合、

「支援のための融資」や「収入減世帯に配る給付金」に関しても、

「商売が続けれるかどうかが分からない行き先不透明であるにも拘らず返済前提の借金」だの「給付のハードルが高い」だのと、

企業や国民の生産と消費を減退させる意図満々の政策しか行おうとしていません。


これを見る限り、日本政府は

「ある程度の緊縮政策で国民の消費力を抑制し、急激な日本経済を復興させ内容にする政策を行い、通貨高(もしくは通貨安に成らない状況確立)の方面に舵を切りつつある」と見なさざるを得ません。

消費力と言う点から見ればマイナスでは無いので良いのですが、何分日本政府の行う事ですので、どの様に国民の生活を切迫した状況に追いやるかは分かり兼ねます。


★海外貿易では、対外資産とサプライチェーンがモノを言う
さて通貨高にさえ導く事が出来れば、ある程度の経済復興の道筋が付くと述べましたが、問題はその通貨高が日本の経済が復興するまでの間、安定して続いてくれるかどうかが重要な要素となります。

これはある程度の通貨高が続いてくれなければ、海外からの輸入品が安いままで輸入できず、国民が生活必需品に支払う金銭が安定しないからです。

とは言っても上記の不安要素は普通の国であればの問題に過ぎません。

何といっても日本は、世界一の純資産国であり、多くの工業製品の重要基幹品を制するサプライチェーンの支配国でも有ります。(重要基幹品とは、高付加価値部品や素材やマザーマシーンを指します)

これ等の事は一年、二年で崩れる様なものでは有りませんので、この優位性さえ保っておけば、急激な通貨安で輸入品価格が爆上げされたりと言ったリスク無いはずです。(無論、"金融緩和+消費税増税"などと言う阿呆な事は行わないと言うのが前提です)

この対外資産とサプライチェーンの支配力と言う観点からも、やはり日本は通貨高政策を採用した方が良いと考えられます。

そのため今回のコロナウイルス騒動における各国の過剰な財政出動は、円高の絶好の機会ですので、余程日本政府があほな事をしない限りは、短期の落ち込みは有ったとしても景気の緩やかな回復は期待しても良いと思います。

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今回の記事の結論として、

「コロナウイルス騒動で人の行き来が少なくなっても物の行き来を少なくするわけにはいかない」

と言うこと、そして

「日本の経済構造が消費主導経済と成っている事から、通貨安では無く通貨高の方が経済的な恩寵が大きい」

と言う二点です。


そして現在の世界的な風潮と各国の政策のおかげで、日本政府がある程度の阿保な事をしたとしても、「低賃金労働者の入国制限」と「円高」が誘発されてしまうため、「コロナショックで生じる経済的混乱は別として、ある程度の人手不足による雇用と所得の維持(極端な低下には成らない)と通貨高による物価下落から限定的ながらも経済復興は見込めるのでは無いだろうか?」と言うのがブログ主個人の見解となります。

無論この見解は、あくまでも現時点で起きている世界の情勢を見た上で予想している事に過ぎません。日本国政府が、この「世界的流れから生じる日本国民への恩恵」を台無しにするほどの愚政を行えば、日本国民の生活は今よりも逼迫しますので、その点は注意が必要と考えられます。

本日の考察はココまで!!


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