チベット

2018年11月01日


本日は、「国家戦略を行うに当たり日本は犯罪をしているのか?」の第四弾を書こうとしたのですが、安倍首相の訪中と会談が有りましたので急遽そちらの事を書く事にしました。

「国家戦略を行うに当たり日本は犯罪をしているのか?」に関しては、安倍首相の訪中に関する記事を書き終わった後に、続きを載せようと思います。

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本日は、先月末頃に中国で行われた日中首脳会談や、米国が中距離核戦力全廃条約の破棄を行った事に関しての考察となります。

安倍政権になって、初めての訪中による首脳会談となります今回の会談は、2010年頃に起こった尖閣諸島の漁船衝突事件以来、冷え込んでいた日中関係を改善させる目的で行われたと言われています。

一応、今回の会談で両首脳とも「関係の改善が成った」と明言していますが、中国の国民世論は、日本に対しての好印象が上昇したにもかかわらず、日本人の中国に対しての印象は殆ど改善していません。また尖閣諸島でも中国船の不法侵入も常態化したまま変化が無いため、日本人は慣れてしまって問題では無いと言う認識に陥ってしまったため、本当にタダ宣言しただけの宣言と成っているように思えます。

これに対して日本のネットで言論活動している識者は、「米国と中国が本格的に悪化し始め、また中国の国内外における所業(ウィグル問題や植民地政策)が国際的にも非難の対象となり始めている現時点では、時期が余りにも悪すぎる」と言うのが共通の認識のようです。

ブログ主自身「やっちゃいましたね安倍首相」と思わないでも有りませんでしたが、仮にも一国の首相がその様なリスク計算さえできない人とは思えませんので、これには何か意図があるのでは無いかと思い、今回の記事は、それら裏にありそうな意図を考察する記事にしました。


今回の会談では、「競争から協調」「互いに脅威にならない」「自由で公正な貿易体制の発展」を約束したと言われており、また一路一帯に協力するとは言いませんでしたが、互いに協力して海外投資を加速して行く事を確認したそうです。

しかし、この行動を海外の国から見たら、首相自らが経団連の随員を引きつれて訪中した様な点から、どれだけ否定しようとも「民間企業に一帯一路投資に一口かませようとさせている」と見られても仕方ありません。

また現在米中との間で、灰色の戦争とも言える状況に突入し、米国有利で進んでいるという現状を見た場合、今回の訪中による経済レベルでの協力は、米国と敵対する行為であると見なされ兼ねません。


そこで安倍首相のこれらの行動と現在の国際状況を俯瞰すると、いくつかの可能性が見いだせます。


★前提状況はどうなっている?
まず安倍総理(日本)の行動を考察するに当たり重要な現状の国債状況の俯瞰と確認を行うと、「米国債の利率上昇と世界的な株式市場の不安定化」、「米中の経済制裁合戦による中国の負債増大」、「米国の中距離核戦力全廃条約の破棄」などがここ数か月で、全世界に影響のありそうな事件です。

また以前から続く「一帯一路とインド太平洋」に「中国のチベットとウイグルの民族浄化」も重要な要素だと思われます。

(これ以外にもサウジアラビアのジャーナリスト事件なのが有りますが、全世界への影響と言うと現時点では疑問視です)

・世界の株価の不安定化?
現在世界の株式を含む債権市場は不安定化しています。これは米国が2007年の金融危機の時に、大量に刷ってばら撒いたドルが世界中の金融市場に流れ込み資産価格を膨張させたことから始まりました。

その後、日本が米国を上回る程の金融緩和を行い、且つ増税を行う事により自国を不況状態に置き、使い道のないジャパンマネーを米国に流し込む事によって、米国の資産価格を更に押し上げさせました。

米国は自国のバブル化を懸念し、政策金利を上昇させる事により好景気過ぎる状況を押さえようとしましたが、日本が金融政策を「長短金利操作付き量的質的金融緩和」へと変更し、日本の資産に投資して得られるリターンが、常に米国に投資して得られるリターンより低い状況に置く事により、米国が金利を上昇させると更にマネーが米国に流れ込む状況を維持し、米国のバブル経済が持続的に膨張する状態を維持させました。

これにより米国は、現在の市場に流しているドルの比率で、金融危機以前に匹敵する資産バブルを形成してしまいました。

そして今年一月ごろに日銀が金融緩和策を制限した事によって株式市場の不安定化が始まり、ついに今年十月頭にFRBがバブルの膨張を懸念し政策金利を更に上昇させる事によって、国債の金利も3%を超えてしまい、米国の投資家から見たら無理に「不安定な株式市場」に投資するよりも「米国債」を購入した方が安定的にリターンを得れる状態に成ってしまったのです。

それが理由となって、10月中旬からダウが急激に下落したものと思われます。

これらの事情によって、現在世界の株式市場がより不安定に成ったと言えます。

ただでさえ米国の大手IT企業の成績が期待に添えるものでは無かった状況で、国債の方が魅力的に見える状況であったため、市場の反応としては仕方が無かったと言えるのでは無いでしょうか?

関連リンク


・中国の負債増大
現在中国は、2007年金融危機後の景気対策で投入したマネーから発生したバブルでこさえた負債の処理と、米国との貿易関税合戦の制裁で受けたダメージを何とかする為に、資本と技術を持つ国からの支援を喉から手が出るほどに欲しています。

特に米国からの経済制裁は、海洋貿易路と米国市場へのアクセスを立たれ、かつ生産体制が崩壊する恐れがあるので、バブル経済で築いた不良債権処理が出来なくなる恐れがあり、最悪バブルと産業の崩壊による国家の破綻(政府の財政破綻では無い)で、内乱が起こるかも知れません。

関連リンク


・米国の中距離核戦力全廃条約(INF)の破棄
この中距離核戦力全廃条約は、冷戦末期に米ソの間で約束された中距離射程の核搭載ミサイルの破棄を約束した条約で、当然ソ連の後継国であるロシアにも適応されるのですが、ロシアはこの条約を履行できていません。米トランプ政権はそれを指摘し、条約からの脱退をする事により、再整備を示唆しました。(最もこの件に関しては、米露共に相手国がこそが条約を守っていないと罵り合っているのが現状です)

この条約を双方共に守れていない可能性が有るのは、中国等の他の核保有国の存在が大きいと思われます。

この条約は、基本的に冷戦時に米ソが敵対している時に結ぶ条約としては、妥当なモノでありましたが、現在のロシアが経済的には米国に対抗できない事と、米露共に本質的なライバル国が中国に移った現在の国際情勢を見れば、対中国向けの核兵器を持った方が良いと考えられるのです。(事実ネットメディアの言論人でもその様に考える人が居ます)

そして米国は、中国から米国本土が離れているため、本来は中国と敵対した場合、長距離核ミサイルで応戦する事が基本となる筈なのです。にも拘らず中距離核戦力の条約を破棄すると言うのは、対中国及びロシア向けの外交を考慮した場合、疑問の沸く対応と思えるのです。(ロシアと米国は、米アラスカと極東ロシアがベーリング海峡を挟んで対峙している地政学状況となりますので、理解が出来ないわけでは有りません)

そしてロシアから見ても、米国と対立し米本土を狙うのであれば長距離ミサイルが基本となる筈です。この様に考察した場合、ロシアの中距離核搭載ミサイルは、対米(アラスカ向け)よりもロシアと領土を接する対欧州や対中国が目的の兵器となるのです。

この様に考えた場合、米国の中距離核戦力全廃条約の破棄は、米国の核戦力の再整備が目的ではなく、反発したロシアにもIFNを脱退させ、中距離核戦力を見える形で再整備させる事により、ロシアと中国の間での軍事緊張を現在化させるためのコントロール戦略では無いかと考察する事が出来るのです。


・中国の植民地政策とウイグル・チベット弾圧
現在中国は、新疆ウイグル自治区とチベットで、第二次世界大戦のナチス顔負けの弾圧を行っていると言われています。

ウイグル問題は、エネルギー資源確保の為の道(パイプライン)の安定化と現地イスラム系住民の勢力を不安に思っての行動と推測できます。またチベット問題は、水資源確保のための安定化と対インド外交を見据えた上での占領政策と推察できます。

これらは双方とも中国の安全保障を前提に置いた考察となりますが、中国がこの様な事を行わざるを得ないのは、自国だけで自国民(特に漢民族)を養えない状況に陥った為と考えられます。

その原因は、改革開放路線以降、海外からの投資を呼び込み過ぎて、外国の力を借りて豊かになった事が原因です。他の先進国の信用を借りて成長したが為に、もはや中華民族の力と中原の生産能力だけでは、中華民族を養えない状況となり、結果として最大民族である漢民族を敵に回せない中国共産党は、他の少数民族を殲滅してでも、漢民族の支持を得れる政策を行わなければ、自国を安定させれない状況となったと考えられます。

しかし結果として、他の民族の土地を支配する為の方策が、国際的に見た場合、民族の浄化殲滅以外の何物でもない政策として映るため、現在国際的に非難を受ける状況となり、中国の外国を著しく狭める原因と成ったと考えられます。

関連リンク


・一帯一路とインド太平洋
現在の国際情勢は、米国と日本の主導するインド太平洋戦略と、中国の主導する一帯一路構想の二つが提示され、各国ともこれらの政策に乗るか乗らないかの判断を迫られています。

当ブログでは既に記事にしてブログ主の考察を書かせてもらっていますので、詳しくは書きませんが、簡単に言えば、「経済的に行き詰った中国が、自国の産業力を外国に押し出し、他国を経済的に支配下に置く事により自国の安全保障を確立する政策として、一帯一路構想を提示し、それに対抗する形で米国と日本が、太平洋からインド洋までの海洋ルートにある国々を自国の影響下に置いて、安定した経済圏を作ろうと言う、米中の戦略の激突が存在している」と言う事です。

関連リンク

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これらの事を前提にした上で、安倍政権はいかなる理由で訪中し、習近平政権と関係の改善を行おうとしたのでしょうか?

それは次回に述べようと思います。

なおタイトルにあった「米国の中距離核戦力全廃条約の破棄」に関してですが、ネットでは、米国の都合での脱退を前提とした考察ばかりが目立ちます。

しかし当ブログで書いた通り、むしろ「ロシアに条約を脱退させたいが為に、米国があえてロシアが脱退しやすい状況を作った」と言う考えもあると言う事を考慮に入れて国際情勢を見ると、より多様な考えを基にした考察が可能となる筈です。

皆さんも是非、地上波やネットの有名な言論人の言葉だけを良しとするのでは無い多様な考えを持って、国際情勢を見てください。

次回へ続く!

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nh01ai33 at 08:00

2018年08月16日

今回は、歴史と地政学の視点で、中国共産党が如何にして満州、チベット、東トルキスタン(ウィグル)を領有化し、欧米を始めとする世界が何故それを見逃しているのかを考察しようと思います。

まず初めに考える事は、「中国とは何ぞや?」と言う事ですが、この結論は簡単で「長江」と「黄河」の中間にある中洲地帯(黄河より)に成立した文化文明である。

それ以外の地域、中国北東部の満州地域、モンゴル、新疆ウィグル、チベット、南部の広州地域等は、本来の中華文明の思想では夷荻の支配する蛮地であると言われていた。

最も、南部の広州地域は、北部の騎馬民族が来襲した時の駆け込み寺的な要素があったようで、戦乱の折には南部に人が流れ込むと言った事があったようで、かつては夷荻の住む蛮地であったようだが、現在では完全に中華民族の土地であると言う認識下にある。

問題はそれ以外の土地である。


★満州、モンゴル
中国東北部の満州地域は、本来は中華民族の土地では無く騎馬民族が支配していた土地である。これはモンゴルにおいても同じだが、あの辺りの地域は現在では農業技術の向上により実り豊かな土地になったが、本来は草原地帯であり遊牧生活を基盤とする騎馬民の支配する土地である。

それが遊牧民の土地で無くなったのは、日本の統治が原因である。

日本が明治維新以降の日清日露戦争に勝利した後に、本格的に満州に進出し、農業を普及させたため、インフラ整備と技術向上の結果、満州でも農業で飯を食える様になり、同時期に中華民族と大日本帝国政府の双方の政策である5族共栄のスローガンと政策や、日中戦争のあおりを受けた難民受け入れを行った結果、ただでさえ漢民族に新緑されていた土地に、更に多くの漢民族が流れ込み、人口比で満州族を磨り潰し、文化に塗り替え、漢民族の国にしてしまった。

第二次世界大戦後に、大日本帝国は崩壊したが、崩壊した日本以上の工業能力が満州に残されれおり、この地を制した中国共産党は、満州の産業能力を利用し、中原を支配していた国民党政府を打倒し、中華人民共和国を建国した。

皮肉な事に日本の民族融和政策が、満州民族の文化を殲滅させてしまい、国民党、共産党のどちらが勝利しても、中原や満州を諸共統一支配する漢民族の国が成立してしまう事を援助してしまった。

ただし中国が満州と中原の二大地域を制する国家として成立したとしても、双方とも漢民族の住む地域になってしまった為、中央政府も有る程度は差別せずに対応しなければ成らず、結果的に満州に接する中ソ(中露)国境を守るための軍事リソースを割かなければ成らない状況ともなった。


★チベット
チベットは元々独立国で、清朝が存在している時は、清朝を盟主としていたが、それとて服従していたと言うよりは、盟主として東トルキスタンやモンゴルと共に担いでおり、民族的には対等であったと言われている。(本当かどうかは分からないが・・・)


清朝

清朝


清国の崩壊以後、大英帝国の影響下にあり、第二次世界大戦後、イギリスの影響が無くなった後に満州から発生し、中原を制した中国共産党の人民解放軍の侵略を受けて征服された。現在も中国共産党政府の弾圧下にあり、チベット仏教の僧などが、抗議の焼身自殺を行う事があると言われている。

中国共産党政府としても、チベットは環ヒマラヤ山脈諸国にとって水瓶とも言える土地で、この地を押さえているかどうかによって、生きる上で大切な水の供給を制する事ができるかどうかが決まる。その為中共政府は、この地を手放す事は絶対にできないと考えている、と思われる。

海外の先進国から見た場合は、チベットの価値は国々によって違い、軍事圧力の無い西欧諸国から見たら遠い国の出来事で、商業的にもお得意様である中国を批判する事によって、中国大陸での利権を失いたくないと言う思いが強いと思われ、それが理由で批判できずにいる。


日本や米国から見た場合、チベットを中国共産党が押さえている事によって、もう一つの人口大国であるインドと国境を接する事と成り、印中が潜在的な敵国同士となる事による中印国境への軍事リソースの釘付けが行えるため、その点が理由になり中国の非人道的行為を批判していないのでは無いかと考えられる。

関連リンク


★東トルキスタン(ウィグル)
東トルキスタンは、元々トルコ人(チュルク人)の国だ。トルコと言うと日本人は中東のイスタンブールを領有するトルコ共和国を思い出すが、本来のトルコ人の発生地域は、中央アジアの草原地帯である。清朝の時代に女真族の指導者を代表とする同君連合体制で清国を構成した居たが、清朝の崩壊により独立する事になる。

その後中国大陸の国共内戦の時期には、一時的に独立自治を行っていたが、ソ連の助力を得た中国の現地地方政府に鎮圧された。第二次世界大戦終了時期から国民党と共産党の内戦時期にも短期的に自治政府を機能させていたが、満州の供給能力を得た共産党にまたしても制圧されました。

中国にとっては西の端に当たり、米ソ冷戦期は、満州地域と共にソ連と国境を接している為、ソ連から圧力を受けていた。ソ連に対してバランシングの圧力を掛けたい米国や日本から見た場合、中ソ国境に負担を掛ける事が両国の利益にもなるため、中国共産党の支配を容認する意味合いもあり、中国共産党政府の弾圧を見て見ぬふりをしていた可能性が有る。


中国共産党の拡大

中国共産党の拡大


ソ連崩壊以降、中央アジア諸国が独立し中露両国の国境線が縮小したため、この地域の中露国境が中露両国の軍事負担になる事は少なくなったように思われる。(満州国境が残ってはいますが・・・)

冷戦後に米国が覇権国化した時に、中国のウィグル弾圧を非難しなかった理由は、当時は中国の力が無視できるほど小さかった事と、経済的に脅威である日本を追い落とすために利用する為に中国に友好的な態度を取らなけれ成らなかった事の二点にあると思われます。

現在ウィグル問題が、米国を始めとする世界中のメディアに少しずつ取り上げられるようになったのは、本格的に中国の異質さを認識し敵として見なし始めた証拠かと思われる。

また今までのウィグル問題の放置が、中国政府にイスラム教徒を弾圧させ、世界中のイスラム教徒に中華民族は敵であると言う認識を植え付けようとする戦略の一環として機能する事になるのでは無いかと考えられる。

以上の事を考慮した場合、米国が現在中東で行っている外交政策が、今後中国のイスラム教徒にどの様な影響を与えるかが注目されるところです。


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以上で、中国の周辺諸国(主に日米などの大国)が、なぜ中国の傍若無人を容認していたのかの考察を終了させてもらいます。

チベット問題に関しては、以前に一度取り上げた事も有りました。

この様に地政学の視点で見ると、政治外交の闇の部分を認識させられ、ちょっと陰鬱な感情を抱いてしまいます。

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