バブル景気

2018年08月07日

今回は歴史で起こった事件を地政学の視点で見てみようシリーズです。

対象となるのは「ヨーロッパ諸国が帝国主義になった理由」に関しての考察で、地政学視点と銘を打っていますが、それ以外にも通貨や信用の観点からの考察も含まれています。

考察する前提条件である情報に不備か有るかも知れませんし、一個人の見解にすぎませんので、間違いや勘違いが有るかも知れませんが、その事を前提に閲覧してください。

気になる事が有るのでしたら、本当にそうなのかどうか、閲覧者ご自身でお調べになってください。


★欧州の地理的、歴史的要素
欧州はユーラシア大陸の西端に存在するヨーロッパ半島地域を指し、かつて地中海に栄えたローマ帝国(共和国)文明から発生した文明地域であると、欧州の人達は自認している。

北に北極海、南に地中海、西に大西洋とその向こうに新大陸、東にユーラシア心臓部のハートランドに接している。

「大西洋から流れてくる暖流」と「アフリカ大陸からの大気」のおかげで緯度が高いにもかかわらず温暖な気候に恵まれているため農業が発達し、またアルプス山脈以降北は冬には雪が降る地域が多いため、手工業に産業リソースを割かなければ成らない自然環境下にある。

南の南欧諸国は乾燥し温かく、西欧が温暖で、北欧が湿気が強く肌寒く、東欧が厳しい寒気に晒されている。また中央アルプスを始めとする起伏の激しい山地が各所にあり、それら山脈の存在が陸路での流通を妨げる事により、各地域の自然環境に適応した文化が育まれ、多様な文化が並列して存在している状態が維持されている地域と成っている。

文化的には、古代ローマ及びギリシャの末裔と謳ってはいるが、実質上はキリスト教を国教とする国家群・文明群である言った方が正しい認識と言える。
 

★覇権争い
ローマ帝国の崩壊以降、ガリア(現フランス地域)においてカール大帝がフランク王国を建国するも、後に子供たちに領土を分け与えた事からかどうかは分からないが、「西フランク王国(現在のフランス)」、「東フランク王国(現在のドイツ)」、「現在のイタリアやスイスに出来た国」、「現在の中欧に当たる地域に出来た諸勢力」と大小多くの勢力に分裂する事になる。

それ以降、大小勢力の領土争いから始まり、イスラム勢力相手の十字軍遠征、イングランドが勢力を伸ばした後に「フランスとイギリスの100年戦争」、中欧から東欧の「ドイツ諸侯を巻き込んだ三十年戦争」、フランス革命から始まり「フランスが全ヨーロッパを敵に回したナポレオン戦争」、ドイツ建国前後から始まる「ビスマルク体制」、更に二度の世界大戦と多くの紛争が起こった。

基本的に欧州内での紛争は、世界的な視野で見た場合、ユーラシア大陸の端に出来た小国が猿山の大将を決めるかどうかの規模の小競り合いでしかなかった。

イギリスがフランスとの100年戦争で敗れて以降、大陸情勢から一歩引いて大陸から海を越えて英国本土に攻め込むような勢力が生まれない様にする外交を基本とするオフショアバランシング戦略を取る様になった。そうなると欧州諸国が戦争で疲弊するのをしり目に、英国は大陸の紛争に巻き込まれない様にしつつ国内を整備し、大陸での紛争に疲弊し遠ざかろうとする技術者や資本家の受け入れ地域となり、知識や技術や資本の集積から産業革命が起こる事になる。


関連リンク

★大航海時代
ヨーロッパはユーラシア大陸の端にある弱小勢力であったため、大陸の他の地域と交易をする時にイスラム勢力圏を通過する必要が有り、それが欧州の食糧事情である肉食に関係するアジアとの胡椒貿易で大きな負担となっていた。

15世紀半ばからイスラム圏を通過しない貿易路を創ろうと海上貿易をに目を付け、ヨーロッパ半島と言う地形を利用し、海からオリエントに向かおうと言う運動がおこり、アフリカ最南端廻りの迂回行路の発見や、新大陸の発見に繋がり、大航海時代と言われる時代に突入した。
その際、自分より弱小勢力と認識した地域の人達を皆殺しにし土地を奪ったり、勢力間の武器援助を行い代償に奴隷を手に入れ、奴隷貿易を行いつつ海上ルートを通じて世界から富を集積する事と成った。

同時に現在のラテンアメリカから大量の金と銀が流入する事になり、生産能力との釣り合いが取れていない欧州は、インフレに悩まされる事にもなった。(お金"貨幣"が有っても、物が生産されていないのであれば、物価は上昇します)


★何故欧州諸国が地域で世界の覇権を握ったのか?
これは以前にも少し述べた事があるが、大航海以降の欧州は海外から大量の「物資、労働力、マネー」吸い上げる事により資本を蓄え、それらの力と英国の地政学的な位置関係が知性や技術を集積させ産業革命が起こる原因と成ったと語りました。

しかし、アフリカから労働力を、新大陸から大量の金銀と現地の特産品を得たからと言って、それだけで産業革命に必要な資本蓄積が起こるかどうかは別問題です。上記で述べた通り対アフリカと対南米の貿易は、長期の航海の特性上「金や銀」が多くを占めており(それ以外にも有りますが)、また現地の支配する為の労力を投入しなければ成らない為、コストが掛かり、特に南米を支配していたスペインでは、人口的にも統治には荷が重かった様です。(そのため大航海時代以降のスペインの繁栄は一時的な事で、金銀の大量流入後のインフレや税制度の失敗により、耐え切れずに衰退する事になります)

産業革命を起こすには、英国の様に地理的に知識人や技術者を受け入れやすい位置にあるだけでは無く、何よりも資本と物資とそれらを求める需要と、その需要を満たせる供給能力が必要です。ある程度の「拡大する需要」とそれを満たす「安い大量の物資と投資資金」が有れば、消費するマネーより投資に回すマネーが増えてバブル経済が起こります。

そのバブル景気の崩壊以降、競争力の無い勢力や企業が淘汰される事により、競争力のある企業が生き残り、且つ技術や知識や価値観の多様な組み合わせにより新たなるライフスタイルの創造と、そのライフスタイルを満たす生産能力を整備する事で実現される現象が産業革命だと考えられます。


「拡大する需要」とは、今後多くの人々が価格が高いにもかかわらず求めているサービスや物資が、将来的に拡大し続け、供給力を投資による増大で対処できる状況が約束されている事を意味する。

「安い大量の物資と投資資金」とは、「単純に実際に消費するモノや金銀」を指すのでは無く「消費する本人が持ちえない過剰な労働力を内包した信用取引の結果としてのモノやサービス」です。

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※注意
金銀を得るために大量の人員を注ぎ込んでも、金銀自体が貴金属以外には貨幣にしか使用できませんので、食料やサービス生産を行うよりも高コストになる量しか確保できないのでは、インフレが進んでしまい、金銀を確保する為に努力する意義が見いだせないと言う意味で、投資資金は金銀では無く「消費する本人が持ちえない過剰な労働力を内包した信用取引の結果としてのモノやサービス」と定義したのです。

「消費する本人が持ちえない過剰な労働力を内包した信用取引の結果としてのモノやサービス」とは、他人の努力によって得る事の出来た取引の結果を意味し、本人が努力せずにお金や商品を得たのであれば、本来それらを手に入れるために費やさなければ成らなかったリソースを他の分野に回せることを意味しており、これが過剰に手に入ると「拡大する需要」に投資と言う形でマネーが流れ込みバブル経済が発生してしまいます。

考えて見てください、貴方が企業の経営者で市場が求める商品を努力もせずに偶然得れてしまったらどうなりますか?

今後もその状況が続き、それらの商品を自身の投資資金を投入せずに手に入れれる状況が維持されていた場合、更に自身が稼いで得たマネーも投入する事により爆発的に商売を拡大させること出来る様になるのでは無いでしょうか?

それは現在で言うホットマネーの流入によるバブル経済と同じ事なのです。
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それが出来たのが「南米やアフリカとの三角貿易(植民地支配)」では無く、「アジアとの貿易」だったと思われます。


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★資本の原資は世界(特にアジア)から?
上記でアジアとの貿易こそが、欧州をバブル経済化させ地理的要因による産業革命を起こす原因になった事で、それは欧州の「拡大する需要」に対して、アジアから「消費する本人が持ちえない過剰な労働力を内包した信用取引の結果としてのモノやサービス」が交換された結果と言えるのです。

南米原産のモノに価値が無いとは言いませんが、大航海時代の主要貿易品目は、何といってもアジアで取れる「胡椒、陶器、絹」が主役なのです。

そして大航海時代が始まって以来、ラテンアメリカやアフリカ大陸廻りのアジアで、必死に商人等の人材を派遣して貿易していたスペインポルトガルでした。しかしある時を境に上記で述べた「実際に消費するモノ」と「消費する本人が持ちえない過剰な労働力を内包した信用取引の結果としてのモノやサービス」がアジアから爆発的に流れ込んできたのです。しかしその時点でのアジア貿易の主役やポルトガルでは無く、オランダにすり替わっていました。

これが欧州諸国(主に西欧)が世界軍隊を送り込む、帝国主義になった原因と考えられるのです。(この部分の説明は後で書きます)


そして、この欧州の帝国主義化の原因こそが、日本が原因の出来事だったとブログ主が推察している事なのです。


★日本主導のマネー打ち込み?(詳しくは次回)

南米貿易とアジア貿易との違いは、その貿易コストに有ります。

南米の交易物資は「現地の食材と金銀」で価値は有っても付加価値が少ない交易品です。また現地の人を弾圧し、物資を得ていたため軍を運用するコストも含め高くつきます。

しかしアジアでの貿易では、「胡椒、陶器、絹」等が主要品目で、胡椒はともかく陶器や絹は、価値の無い素材を加工して高付加価値にして売る商品で、且つ貿易で手に入れる事が出来るため、運が良ければ低価格で手に入れる事が出来ます。またヨーロッパ諸国から見ても、南米の先住民よりアジアの大国の方が話の通じる相手として、武力に訴える必要が少ないため、軍事力を投入するコストもまた少なくなります。(当時のヨーロッパではそれらを作るノウハウが有りませんでした。陶器のマイセンが生産されるのは、もっと後の時代です)

しかもこのアジア貿易で覇権を握る事になるオランダが、自国の軍事リソースを費やさずに、他国の協力の下で富や物資を得る事が出来る状況が形成されていたと成れば、アジア貿易こそが西欧諸国発の世界的なバブル経済を発生させたと言えるのでは無いでしょうか?

そして、ブログ主はその原因を作ったのが日本だと考えているのです。


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今回の記事は長くなるため前後編となります。

次回に帝国主義出現の本質に繋がる考察となります。

本日はココまで!!

≪後編≫は←こちら

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