パキスタン

2019年04月11日

本日はインドとパキスタンの間で生じた国境紛争に関して、国際社会に与える影響を考慮した考察となります。

これは2月27日頃にインドとパキスタンの領土問題と成っているカシミール地方において、インド空軍の軍機がパキスタン側に撃墜された事から生じた両国の緊張で、短期的には大規模紛争に発展するのでは無いかと恐れられていたのですが、両国共に緊張状態だけで納めたいのか、不必要なまでに戦線を拡大する様な事は行っていません。

これは両国共に核保有国であると言う事と、国力で勝るインドがパキスタンだけでは無く、台頭著しい中国を念頭に置いた挟み撃ちを恐れ自制したためと考えられます。

これはパキスタンのカシミール地方で中国が鉄道事業の投資を行っているため、戦争等でこの投資案件を巻き込んで中国に損害を与えた場合、それを口実に中国が介入する恐れがあるからです。

この中国の投資案件は、中国がパキスタンで行っている港湾投資と連動したもので、中東からエネルギーを中国に輸送するラインでも有りますので、これに打撃を与えた場合、中国は自国のエネルギー安全保障を脅かしたとの口実を盾に軍事介入する可能性が有ります。

ましてや中国とインドは、ブータンなどのヒマラヤ山脈の近辺で、軍事緊張状態に陥っていますので、現状のインドとしては国力に勝る中国をパキスタンと挟み撃ちとなる形で敵に回したくないと言うのが偽ざるところでしょう。


★インド&パキスタン紛争の本質
上記で述べた通り、この印パ国境紛争では、インドとパキスタンの二カ国関係の問題では無く、周辺諸国を巻き込む恐れのある問題と言う点です。

無論、介入する恐れのある国は中国だけでは無く、パキスタンの西側にあるイランもインド側に立ち参戦する可能性も出てきます。(典型的な挟み撃ちです)

イランと中国は仲が悪い訳では有りませんので、率先して敵対する可能性は少ないですが、インドとパキスタンの二国が疲弊してくれるのであれば、自国に向けられるリソースを印パ国境で消費させるため、その様な意図をもって暗黙の行動を取る恐れも有ります。

インドとパキスタンの両国が率先した軍事行動に踏み込まないのは、この周辺諸国の問題が原因にあると考えられます。

また印パの両国は、双方共に人口大国で、宗教問題はともかく文明圏と言う点では、同じ文明圏ですので殊更戦争で殺し合おうと言う気は無いと思われます。

双方共に核保有国では有りますが、パキスタンはともかくインドの核兵器は、基本的に中国向けモノで、パキスタン向けの核と言い張っているのは中国を刺激したくない為の良い分けと考えた方が良いと考えられます。(と言うか印パで核戦争しても双方共に何の得にもなりません)

印パ両国の核による緊張は、緊張による自国の統率の為とインドの中国を意識した方便と考えた方が良いでしょう。


また目下両国に共通する問題としては、カシミールやアフガニスタンで問題と成っている、テロリスト問題と言えます。これを意識した場合、カシミールでいたずらに緊張を煽る様な真似は国益に合いませんので、このまま緊張状態のままで忘れた頃に協定等を結び、安定するのでは無いかと考えられます。

ただし例えば米国などが中国の軍事リソースを印パ紛争に向けさせたいと考えた場合、テロリストに援助等を行い、現地に紛争を加速させる可能性は十分あるのでは無いでしょうか?

事実中東で暴れ回ったイスラム国の残党に、武器を渡しアフガン辺りに逃がしたと言う話も以前問題になりましたし、現時点で印パ関係の紛争を煽っていると考えられる"フェイクニュース"がまことしやかに流れている事が問題視されています。

最も中国はバブル経済を吹かしすぎて今後不良債権処理に労力を費やさなければならない可能性が有るため、その軍事リソースを周辺諸国にちょっかいを掛けるために投入するかどうかは疑問を抱かざるを得ませんが・・・

関連リンク
有志連合、ISを逃がしてた・・・


★南アジアと中東情勢と米国と・・・
上記で述べた印パの南アジアの情勢に連動して問題になりそうなのが、「サウジアラビアとイラン」「クルドの自治権拡大」「イスラエル」当の幾つものリスクの点在している中東問題です。

昨年も米国司法省が石油輸出国機構に対して反トラスト法案(独占禁止法)を適応させようとして、逆にサウジアラビアから「原油のドル決済終了?」を示唆されたりと言った事も有りました。

米国としては米ドルを石油の国際決済として使用してもらっているからこそドルの価値が支えられていると言う一面があり、同時にドルの価値を支えているこれらの国々が紛争の種を抱えているため、いつどのようなトラブルに巻き込まれるかもわかりません。

米国はこれらの国家間のバランスを取りながらドル決済を引き続き行わせる外交を行わなければ成らず、その戦略として前項で述べた印パ問題を利用するバランシング戦略を行う可能性が無いとは言えません。

例えば、「印パ国境でテロ支援を行い、北朝鮮とイランの核兵器拡散繋がりで経済制裁を行い、イランから中国に至るまでの国家間を巻き込む紛争を誘発させる政策を行うかもしれない」とかも考えられます。

この事から中東問題や印パ問題だけでは無く、米国が最大のライバル国となった中国を大陸内部の紛争に引きずり込むための戦略を行う可能性を視野に入れた考察をも必要になると思います。

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以上でインドとパキスタンの国境紛争とその周辺で生じる紛争リスクの連動に関しての一考察となります。

なお当ブログで述べている事は、ブログ主個人の見解に過ぎませんので、間違いが有るかも知れません。そのリスクを前提の上で閲覧してください。

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