円高

2020年05月09日

さて今回は、前回から引き続いて"コロナショックにおける「今後のアジア」と「日本の政策」は?"の後編となります。
前編は、コロナショックにおける各国の政策と今後のアジアの情勢を予測しました。後編は、その世界情勢に対して日本政府がどの様に対応するのかの考察となります。

前回は、各国の財政出動の結果、各国の通貨価値がどうなるのか?

そして、新型コロナウイルス騒動の結果、国家の産業構造はどうなるのか?
さらに、その時の政府の経済政策で産業がどの様になるのか?

最後に今後のアジア(特に海洋アジア)の安定性に関して述べさせていただきました。

ではこれ等の事を前提にした場合、日本政府が取りうる政策はどの様なモノが考えられるのでしょうか?


★国際社会の影響下で日本はどうなる?
では日本がどの様な政策を行うかを考えるに至る前に、各国の政策の影響によってどの様な状況下に置かれるのを考えて見ましょう?

大小幾つかの要素が考えられますが、考えられるモノとして代表的な事が二点考えられます。即ち「円高」と「特定産業のバブル景気化」です。

まず円高に関してですが、日本は高度経済成長の時代に製品輸出で外貨を稼ぎ、円の信用の担保にしてきた歴史が有ります。ですが平成バブル崩壊以降の構造改革によって、「輸出」では無く「国家間の投資リターン」の増加によって、海外から富を得る経済構造に成り、通貨価値維持のための輸出産業の価値が相対的に低下してしまいました。

これは輸出産業不必要と言う事では無く、輸出産業より投資によって稼ぐようになったと言う事です。このため通貨安によって稼げる輸出産業よりも、自国通貨高を背景にした各国に投資しやすい環境であった方が日本の国益に合っていると考えられるのです。

無論、通貨安である事が国益に反すると言う事では無く、その時の国際的な立ち位置と国内産業を考慮した上でバランスの良い通貨価値に有る事が望ましいのであって「通貨高だから善である」とか「通貨安だから悪である」と言う事では無いので、その点を心に留めて置いてください。


そして「特定産業のバブル化」に関しては、現在のコロナ騒動において様々な需要不足が生じる事によって、例えば「マスクが足りない、人工呼吸器が足りない、ワクチンが欲しい」等の要求が生じ、それによって特定な分野の不必要にマネーが流れ込む事によるバブル化が起こる恐れが有る事を指しています。

「投資したのが良いが、後に不必要になって不良債権化した」等と言う事になれば目も当てられませんので、この「産業のバブル化」と「バブル崩壊によるを不良債権化」は避けなければ成りません。

この事から前回でも述べた通り「ある程度の不況」であった方が、バブル経済が発生しない面から見た場合、正しい経済政策であると考える事が出来るのです。

ですが、政府が国民の要求に唯々諾々と答えて、不必要に特定産業に過剰発注などを行えば、この産業のバブル化が促進される恐れが有るので、安易に世論に動かされた政策を行う可能性は少ないと考えられるのです。

この事から政府が行う可能性のある政策は、通貨価値がどうなるかの断言はできませんが、「比較的に通貨高に金融政策を行いつつ、民間経済を治安が悪化しない程度の必要最低限しか行わず、国民を不安にさせて真の需要を炙り出す」と言う事をしつつ、国外のと輸出入のバランスを取りつつ、産業の改革を進めて行くと考えられるです。

当ブログで述べている通り、自民党安倍政権の政策は、今回のコロナウイルス騒動において、情報の発信の仕方が悪いのか? 政策の順序が悪いのか? 真面な対応をしているようには見えないメッセージ発信を行い、国民を不安にさせています。また同時に、通貨価値を貶めない様な緊縮した政策ばかりを採用しようとしているように見受けられます。

この事から経済の市場メカニズムの面から見た場合、まったく見当はずれな事を行っている訳では無い事が予測できます。


★いつ金融緩和策を適応させるのか
上記の通り「市場のメカニズム」の視点で見た場合、必ずしもおかしな事を行っている訳では無い安倍政権なのですが、過去に合った「アベノミスク+消費税増税」の様なスタグフレーション政策で国民を貧窮に追い込む政策を実行している点を見た場合、これからもその様な解釈で政策を見るわけにはいかないと思えます。(当ブログでは、この戦略をバブル輸出戦略であると考えています)

この不安要素は、現在日銀が行っている量的緩和政策を考慮に入れたモノです。

この不安は、ここ最近日銀が日本国経済が明らかに不況で、更に真面な経済復興策を行等としていないにも拘らず、更なる量的緩和を行おうとしているからです。

なお量的緩和は、市場に出回っている円建て国債を真水と言われる通貨を刷って買取る事によって、政府の負債を減らす代わりに通貨価値を下落させる金融政策です。

現在、日本政府が「国民の生活を"他国に比べると小さな規模でしか支えない様にしている"現状」で、また「消費税増税でコロナショック以前に国民経済が疲弊している現状」で、不必要に量的緩和を行った場合、通貨安に陥る事による更なる輸入物資の高騰に繋がる可能性が生じます。

ただでさえ疲弊しているの様な現状でその様な愚策を行った場合、自殺者が大量増産される恐れが出てきます。

そのため政府の政策と日銀の量的緩和が、どの程度のタイミングで、程度の規模で行われるかは、今後の日本経済を考える上で、見逃せない重要事に成ると考えられるのです。


★緩和策のタイミングが日本の未来を決める!
では日本が量的緩和を行うに適したタイミングは何時なのでしょうか?

現状の日本国は、約500兆円の真水で経済を回し、GDPを創出しています。日本のGDPが500兆円規模ですので、年間で500兆円分の真水が一度っきりしか使用されていない朝経済停滞状態と言えます。

リーマンショック前に100兆円の真水で、500兆円のGDPを生み出していたことを考えれば、真水の量を5倍にして、通貨価値を5分の一にしたにも拘らず、経済規模が全く拡大していない事になります。これだけでもアベノミスクと消費税増税によるスタグフレーション政策が、日本の通貨価値を貶め、経済の復興に一切役立たなかった事が分かります。

外貨と比較した場合、それだけ円の価値が落ちていない様に見えるために、その相対的な価値基準のフィルターが掛かってしまい、価値の暴落に気付いていないだけなのです。

①素早く苛烈に行い通貨安を誘発させる
では、他国が赤字国債や量的緩和を行い自国の通貨価値を貶める以上の規模で、日銀が素早く苛烈に量的緩和を行い、ベースマネーを大量に増やした場合、どうなるのでしょうか?

現在日本政府が発行した円建て国債は、様々な見方が有りますが約800兆円といわれています。人によっては1000兆円に達すると言う人も居ますし、また政府の負債だけでは無く、地方自治体が発行した地方債も買取に含めれば、1200兆円に達すると見なす人も居ます。

これらが全て買い取れるかどうかは分かりませんが、もし買い取れるのであれば、現在米国が行おうとしている通貨価値毀損に通じる量的緩和を含める財政出動を越える通貨安を誘発させる事も可能であると予測できます。

無論、この今まで以上の量的緩和策を米国が行う以上規模で素早く行えば、ただでさえ経済が回って居たい現状の日本経済は、スタグフレーションの真っ只中に叩き落される事になるでしょう。


②量的緩和を小規模拡大して緩やかな通貨高を容認する
では米国がドルの価値を貶める以下の規模でしか量的緩和を行わない場合は、どうなるのでしょうか?

ブログ主の考えるところ、この場合が日本国民にとって最もありがたい量的緩和政策と言えます。

何故ならば量的緩和を行わない場合は、通貨価値が落ちないため急激な円高に成る恐れが有り、そうなれば日本の輸出業が大混乱に成る恐れが生じます。

ですが中途半端な量的緩和の拡大であれば、「急激では無い時間を掛けたマイルドな通貨高に成る」と予測できますので、輸出産業も通貨高を予測した投資を行いやすい筈ですので、時間を掛けたゆっくりとした投資が行えると予測できます。(つまりサプライズのショックが少なくなると予測できるのです)

また円高に成る事から、コロナショックの影響下でさえ、人の流動が制限されても物の輸送が制限できない現状を考えた場合、輸入物資の下落からなる、日本国全体の物価の下落が考えられるため、国民生活にはプラスであると考えられるのです。


③通貨高に成ってから通貨安にするため
ブログ主が「①」と同じく行ってほしくない緩和政策がこの「急激な通貨高を容認する政策を行った後に、急激な通貨安を誘発するほどの量的緩和を行う」と言う政策です。

言うなれば、「リーマンショック前の円安で輸出企業が好調だった日本経済が、金融危機の円高で総崩れを起こし、その後にアベノミクスで円安に導いたため、今度は円高により隆盛を極めた輸入企業が零落した」と言う悪夢の様な政策を、円高円安の急激すぎる乱下降により企業を篩(ふるい)に掛けるかのように再度行われる事です。

これをやられると、安全ベルト無しでジェットコースターに乗せられているかの如く、レールから振るい落とされる企業が続出してしまい経済も不安定になってしまいます。

正直なところ、一定しない政策と経済及び社会的環境こそが働く上で最も安心できないモノであると言う事は、バブル崩壊以降の日本政府の経済・金融政策に振り回された日本国民が一番に理解している事と思われます。


★市場に逆らわない政策が産業構造の転換に必要である?
以上の事から、まずは日本政府が行う必要のある政策とは、国民の危機意識を煽り被害を最小する政策を行うべきです。

その上で市場を見定めたうえで「急激すぎる環境の悪化で破綻する人々の生活を財政政策で必要最低限に支える」ことと、同時に「金融政策等で環境の急変を助長させない様にする」と言う二つの政策により、マイルドな経済環境の変化を作り、後は法律等の枠組みで国民の自助努力によりアフターコロナの世界に適応できる国家が自然にできる様にコントロールするべきであると考えられます。

無論、財政政策や金融政策でマイルドな経済環境変化を演出すると言う事は、若干改革が遅れる事を意味していますが、見方を変えれば他国の改革を後追いで追従する事が出来る事を意味しています。

また資本創出能力が世界一高いとも言える日本の信用力を考慮すれば、投入できる資金が多い事から、他国に比べると多少の余裕が有る事も事実ですので、余程政策を間違えなければ、国民が他国以上に苦しむ事は無いと思われますが・・・

何分バブル崩壊以後、これほどまでに国民の命を軽んじる政策を行った日本国政府を考えた場合、楽観視しない方が良いのかもしれません。


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以上を持って「コロナショックにおける「今後のアジア」と「日本の政策」は?」の後編記事を終了したいと思います。

なお当ブログで書かれている事は、あくまでもブログ主個人の見解を綴っただけに過ぎません。どこかに間違いが有るかも知れませんので、お読みになる方々は、それらのリスクを考慮した上で閲覧してください。

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