戦前の日本

2018年08月25日

今回は、帝国主義の時代において、「弱い事が悪である」と言われた事に関しての一考察となります。

帝国主義と言うのは、その前の植民地主義が「資源のある土地や、取引できる土地に植民都市を作り、現地と取引を通じ物資の確保を行い、生産性を高める政策」であるのとは違い、帝国主義は「制圧した現地に、征服者の都合の良い法律を適応させ、労働力から資源や生産品、更にはインフラに至るまでをも、征服した本国の為に使用する政策」となります。

そのため帝国主義において、植民地における征服者の為の投資が行われれば行われるほど、本国の力が巨大化し、更に本国の帝国が巨大化する事になるのです。

この欧州から発生した帝国主義の波は、19世紀ごろから本格化し、地球全土を覆い、最後には地球の裏である極東にまで波及する事になります。

そして、その過程で多くの国が征服され、文化や民族を撲滅され、欧米列強の支配下に組み込まれていったのです。


★侵略は悪である?
「侵略は悪である」と言うのは現在を生きる我々にとっては、反論する人も居るとは思いますが基本的な価値観と成りつつある。

これはある意味正しいが、ある意味間違っています。

と言うのも侵略行為そのものが、必ずしも侵略する側の欲望で始まるわけでは無く、安全保障の為に行われる事もあるからである。


例えばA国が周辺諸国B国に侵略したとしよう。

その周辺諸国B国が、平和に暮らすだけの国家であるのならば、完全に"A国が悪い"と国際社会が認識するだろうが、もしB国が何らかの理由で経済的な破綻から治安自体が崩壊し、難民やテロリストがA国に流れてくる可能性が増大したのならば、たとえA国がB国に侵攻したとしても、その行いは現地の混乱を鎮圧するのが目的と見なされる。そのため実質上の侵略と言われる行為をしたとしても、B国の自国の治安維持能力の欠如が問題とされるため、国際社会もこれを非難する事はし難いのです。


また別の例えで、A国とB国がもともと仲が悪い状況で、なおかつ異常気象で世界的な食糧不足になった場合、何方かが食糧不足に耐え切れずに侵略行為を行ったとしましょう。国際社会が表向きその侵略行為を非難しても、本心から悪の行為であると捉える事は有りえません。(緊急避難になりますので・・・)


しかし欧米列強の行った侵略は、間違いなく悪となります。

それは、欧米列強の帝国主義時代に行った侵略は、基本的には生産力の低下から起こる人口維持力の欠如から発生した事では無く、生産能力の増大によって人口が爆発的に増えた形での人口維持力の相対的低下と、また周辺諸国との摩擦を有利に進めるための手法として行われた事だからです。

つまり爆発的に人口が膨れ上がる本国を安定させたり、周辺国との軍事競争を有利にするために行ったと言う事で、双方共に止めようと思えば、税金を引き上げての少子化政策や消費低下政策を行ったりしつつ、周辺国との交渉の末に強調して軍縮を行い、国内安定にリソースを投入する事も出来たはずなのです。(最もバブル崩壊による不良債権処理で、その様な事が行えたかどうかは不明ですが・・・)

欧州の国々は、過去の紛争の歴史から国家間の信頼が出来ずにその様な軍縮が行えず、また爆発的に台頭する白人種の優越性に浸りきり、神の視点から世界を蹂躙征服し続けたのです。


★弱い事の罪は、二つの理由がある
そしてもう一つの悪が、侵略される側の罪に関してである。

侵略される側に罪と言うモノが有るのかと疑問を抱く人も居るかとは思いますが、これが有るのです。

①弱い事は侵略を誘発する
まず第一の罪が、弱い事が自国民に及ぼす影響についてで、弱い事自体が強い国に侵略されても自国民を守るための安全保障のためのリソースを捻出できない事を意味しており、いざと言う時に自国民を守れないのであれば、納税し国に尽くしている人達を裏切る行為と見なされるのです。

また戦争における敗戦でも自国民を守れずに他国に対して自国の利益を売り渡す行為と見なされ、自国民に対しての罪となります。(実際、第二次世界大戦における大日本国政府の敗北が、「日本国民に対する罪である」と見なされた例も有ります)


②侵略を受ける国が、隣接する他国へ侵略経路を提供する行為は侵略
弱い事におけるもう一つの罪が、"侵略を行う国"と"侵略を受ける国"の間でのやり取りだけでは無く、侵略を受ける国が侵略を受け退けれない事自体が、自国の周辺諸国、特に"侵略受ける国に隣接している国"への侵略経路の提供になるためである。

これは現在の国際法(慣習国際法)の"侵略の定義に関する決議案"の一文にもある様に、軍隊を他国に侵攻させる事だけが侵略になるわけでは無く、

≪他国の使用に供した領域を、当該他国が第三国に対する侵略行為を行うために使用することを許容する国家の行為≫

等の自国の領域を、自国に隣接する他国への侵略経路として侵略国に提供する行為も、侵略行為と見なされるのです。(他にも傭兵や軍隊では無い武装集団を侵攻させる行いも侵略行為となります。詳しくはネットで"侵略の定義に関する決議案"をご確認ください)

侵略行為と見なされない様にするためには、自国民を死に追いやってでも侵略者と徹底的に戦い、自国の領土を他国への侵攻経路として使用させる気の無い事を示さなければ成らないのです。(これを行わずに戦争の原因を作ったのが、日清・日露両戦争における朝鮮半島です)

もし戦い敗北して自国民を死に追いやり、自国民に対しての敗戦の罪に問われても、他国に対しての侵略(侵略経路の提供)を行ったわけでは有りませんので、少なくても侵略国家の誹りを受ける事は有りません。

以上の事から国家において"戦わない"と言う事は、それだけで罪に成るのです。

また弱いと言う事自体が、侵略の野心を持った国に対して、侵略心の炎に油を注ぐ様なもので、これも国際社会で忌避される事なのです。


★緊急避難的な侵略(カルネアデスの板)
"カルネアデスの板"の話を聞いた事が有れば、緊急避難の事も知っていると思われます。

これは古代ギリシャの哲学者の問題で、船が転覆した時に海に投げ出されて人が、流木にしがみついて助かった時に、他の人がその流木にしがみつこうとした時に、初めにしがみついた人が後にしがみつこうとした人を突き放し溺死させた事に関しての話で、「流木が二人を浮かばせる浮力を持たず、二人がしがみついたときには二人とも沈んでおぼれてしまう可能性が有る場合、生き残るために行わざるを得なかった行動により発生した事故で他者が死んでも、その行動を起こした者は罰せられない」と言う考え方です。

以前にもどこかで書きましたが、同じく侵略行為に関しても、例えば突発的な食糧不足で他国へ侵略しなければ自国民を養えない場合に関しての侵略は、非難されるには違いありませんが、それを悪逆非道な行いと言う人は居ません。それは生きるための行いだからです。

ですが何年か先に気象変動が来て食料生産力が低下する事が分かり、国際的に食料の備蓄を行おうと言う合意がされているにも拘らず、その努力を怠り食糧が減ったら「生きるための侵略なら許される」と言う名目で、侵略を正当化した場合は、悪逆非道な行いとして認識されます。

この場合、危機的状況が招来するにも拘らず、その危機に対処する努力を怠り、危機的状況を侵略を行う口実として利用し正当化しようとした事になり、非難の対象となるのです。


★やってはいけない、バブル崩壊後の景気対策としての軍拡
少し視点を変えて、何故侵略をしなければ成らない状況に成ってしまうのか?の考察を少しばかり乗せようと思います。

ブログ主は、バブル崩壊後の軍事拡張による経済の下支えは行ってはいけない事の代表と思います。バブル崩壊後の不況の雇用対策として、多くの人員を雇用できる軍隊(特に陸軍)で受け入れ、景気の下支えを行う政策は古来から行われていた事です。

しかし一時的に雇用を支えたとしても、軍事力と言うモノは国民を食わせる民需の観点から見た場合、不良債権と言わざるを得ず、軍需で経済を支え続けると言う事は、生産に結びつかない破壊や侵略によって民の生活を保障しなければ成らなくなります。

その結果、侵略行為、もしくは進出行為をせざる得なくなるので注意が必要であるのです。

例をいくつか紹介すると・・・

①帝国主義時代の西欧
帝国主義時代、の前の大航海時代で植民を各地につくっていた西欧にて、チューリップバブル、南海泡沫事件、ミシシッピ計画と言った、三大バブルと言われる投機経済が発生した時期が有りました。

詳しい事はココでは書きませんが、これらのバブルが崩壊した後に特に軍事力に力を注いでいたフランスと英国は、バブル崩壊後に残った資産で不良債権を処理しなければ成らない状況に成りました。

当然、力を注いでいた軍事力で次の資産を作り、不良債権を超える資産を作り負債を覆い隠さなくては成りません。予め拡大していた資産は軍事力、そして目に見える取れそうな資産は、無防備な海外の「今だに発展していない未開の部族の土地」と来れば、導き出せる結論は、武力を持って土地を侵略し、資源を収奪する。場合によっては現地人に強制労働させる。等の資産作りをしなければ、経済が持たなくなります。

関連リンク

②第二次世界大戦前の日本
第二次世界大戦前の日本は、1927年頃に昭和金融恐慌が起き、経済が疲弊した後に追い打ちを掛けるかのように、米国発の大恐慌が起き、経済が回復する事も無く恐慌経済が長期に続く事になります。そこで高橋是清蔵相が、一時的に雇用対策として軍隊で人を雇う事によって雇用問題を一時的に解決したが、1936頃にある程度経済が回復したのを確認すると軍縮に舵を切ろうとしたが、恨みを買った陸軍軍人に恨まれて暗殺された。

その後陸軍が満州から、さらに大陸情勢に引きずり込まれ、世界大戦に踏み込んでゆく事になる。一度でも軍事力を拡大すると、軍需によって飯を食っている人達からは、「飯の種を奪うのか!?」と疑われ恨みを買う事になるため、注意しなければ成らないと言う見本ともなった。

③現在の米国と中国

現在の米国は、2007年頃に起こった世界金融危機の折に軍縮を行ったが、現在は中国の軍拡を脅威に思ったのか、それともやはり軍需関係でなくては米国経済を立て直せないと思ったのか、現トランプ政権は軍拡を表明し実行しています。

これに対して中国は金融危機時に大規模な財政出動を行い国内経済を支えましたが、そのせいで企業の不採算部門を清算する機会を逃し、不良債権化し始めています。この不良債権を処理するとなると、その下で働く労働者の飯の種を確保しなければ成らない事になります。

また世界金融危機のあおりを受けたチャイナショック時に軍事力を増強し、バブル崩壊後の行ってはいけない軍拡を行い始めました。このままでは肥大化した軍隊を維持し食わせるために、次の資産を作る必要に迫られます。

中国がこの二つの問題を解決するに、最もふさわしい行動としては、他国へ侵略の魔の手を伸ばし、その地に生きる人達から土地や生産物を奪い取ると言う行為になります。


この様にバブル崩壊後の不必要な不良資産の買い支えが、その国の経済や雇用や産業構造をいびつな形で残らせてしまいます。そのため不良債権処理の対処を失敗すると、雇用の不安定化や最悪戦争にまで発展する事になるのです。


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以上によって「帝国主義における弱さの罪」に関しての考察とバブル崩壊後に不良債権処理を誤ると戦争になる事の一考察を書かせていただきました。

今回の記事は、侵略を仕掛ける側、受ける側、更にその周辺諸国、何故侵略をしなければ成らなくなったのか?等の考察なりますが、あくまでもブログ主の個人的な見解にすぎませんので、どこか間違いが有るかも知れません。それを前提の上で閲覧してください。

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