技術流出

2020年10月23日


今回は、巷で話題になっている日本学術会議に関する考察を行います。

内容としては、話題に成っている「学術会議の会員による次期会員推薦と総理大臣による任命拒否」から「地政学レベルにおける近隣大国のコントロール」に関する考察になります。


さて、現在話題に成っている日本学術会議の任命拒否問題に関しては、

「戦後の1949年より続いてきた日本の"自由な平和目的での学術研究"を総理大臣の裁量によって、意に沿わない学者の排斥をしている」との報道が、リベラル系(左派系)マスメディアや言論人から出ており、

同時に逆の価値観を有する人たちからは、

「学術会議こそが平和目的と言いながら、"日本の防衛能力の排除"と"隣国の侵略目的の軍事技術援助"を行い、結果として平和とは程遠い結果を誘発しようとしている。また日本が邪悪な国であるとのイデオロギーを前提の上での運営がされている様に認識でき、とても平和目的前提の運営を行っているとは思えない」との反論が出て来ています。


これは双方共に間違ってはいない事で、

日本学術会議は「戦中に軍事偏重の研究を強要され、それ以外の自由な研究を制限され、意に沿わない研究に従事されていた」と言う当時の日本政府の学術研究の方針を問題視されたため、それが設立の根底にあった事は確かなようですし、

2005年頃から「"多くの研究者の投票"では無く、"会員個人の後任の指名"によって会員が選出されたため、そこに民主的な手続きは無く、前任者の思想を強く受け継いだだけの人事が行われたに過ぎ無ないのでは?」と言う疑いが成立し、その認識を基に「日本が邪悪な国であり日本さえ自制すれば世界は平和である」、そして「他の国に軍事技術を流しても該当地域の紛争や地域の不安定化には結びつかない」との"現実を無視した夢物語"を妄信ている委員が主導し、自国の安全保障に穴を開けていると見なされる現状が成立してしまっていることも確かな事のようです。


現在、既存の大手メディア、またネットの個人レベルでの言論発信者の報道も、これらの事に集中しています。

ブログ主は、この問題に対して「日本の地政学戦略から導き出す事の出来る、大国間の軍拡を煽る侵攻経路の提供戦略」の視点を取り入れ、これら大国(特に中国)の軍事技術や国力の操作目的で、「政府と学術会議が暗黙の連携を行い、対立したフリをしながら諸外国をコントロール下に置こうとしているのでは無いか?」と言う疑惑を提示させていただこうと思います。

なおブログ主が見るところ、政府の行っている行為は、一部の学者が言う様な学術の弾圧とは見なせません。(単に学術会議の運営に関する事しか問題に成ってはおらず、研究の自由は確保されているからです。これに関しては、学術会議の方が学問や研究の制限を掛けようとしているとも見なせます。少なくとも現在の日本では、欧州暗黒の中世の如く、キリスト教の教えに背くと認識された学問が弾圧されたのと同じような規制が政府によって行われているわけでは有りません)


★日本の技術の流出と諸国の不安定化
さて、日本学術会議は、戦後にGHQにより日本の軍事技術を制限する為に設立されたモノと言われていますが、そもそも当ブログで述べている様に、「"世界と日本が似たよう地理的特性を有するが故に、世界各地に日本の歴史の中で成立したのと似たような勢力が成立し、似た様な歴史を歩む"と言う可能性を基に、日本が数百年前から世界のパワー(力)の流れを制御する為に、世界に対して資本を投入し、世界をコントロール下に置く努力をしていた」と言う前提を考慮した場合、

戦勝国である米国が「日本の技術力が軍事力に向かわない様にして米国の脅威に成らない様にする」と言う政策を行う事も前提の上で、「GHQに忖度したフリをして、日本を軍事的空白地帯にして近隣大国の侵略の野心を誘発させる環境を構築し、日本を守らなくては自国の安全保障を満たせなくなった米国を引きずり出し、実質的な防衛負担を米国に押し付け、米国の国力疲弊に結びつける」、と言う環境を作る目的で行った可能性も十分あると思われるのです。

これら今回の「学術会議会員の総理任命責任問題」と「学問の自由の問題」や「技術や学問を安全保障政策(軍事力)に結びつける問題」も、この大国間の軍事バランス制御を見た場合、さほどおかしな情報発信と環境提示では有りません。(マスメディアも結託しているのでは!?)

そもそも科学技術の軍事利用が"どうだこうだ"と言う問題を取り上げた所で、戦後から現時点におけるまで、軍事利用も可能なロケット技術や半導体生産技術の流出をも行い、真面なセキュリティ対策を国家規模で進めていないのですから、端っから「軍事利用をさせる事により諸国をコントロールするため、敢えて隙を作っている」と見なされても文句は言えません。


★国家パワーバランスを考慮した上でこの問題を見ると・・・
これ等の疑いを国家バランス、特に現在悪化し続けている米中対立の視点で見れば、

自国やの他先進国からの技術流出が本格的に国家の経済力や軍事力に影響を与える事を認識し、その状況を止めたいと行動し始めた米国を考慮した場合、これ以上日本からの技術流出を日本政府が率先もしくは消極的にも行い続ければ、米国を激昂させる可能性も出て来てしまいます。

そうなれば米国に国の安全保障負担を押し付け疲弊させる日本の戦略が頓挫してしまう可能性も出てしまいます。

これ等のリスクを考慮すれば、日本政府としては技術流出は認めない旨を表明し、米国の負担に成らない政府である事を公言する事で米国の信用を得なければ、自国の安全保障を満たせなくなる可能性が出てしまいます。

だからと言って完全に中国を切り捨て米国の身に肩入れした場合、有利になった米国が再び日本に強圧的に出てくる可能性も出て来てしまいます。

そのため今後も中国を米国の咬ませ犬として利用する事がベストであると認識し、ある程度の技術流出を認めた方が日本の国益なると見なし、政府主導ではない方法で技術流出を行う必要も出てくるのです。

この様に地政学的国家間のパワーバランス視点で考えた場合、あからさまでは有っても政府を批判し、反旗を翻して中国に肩入れする組織も必要だと考えられるのです。

この米中の均衡を考慮すれば、中国に軍事力を付けさせ、日米(特に日本)に軍事力を付けさせない様な相対的パワーバランスの増減からなる侵攻経路の提供支援策が求められます。

そのため米国を敵に回せない日本政府の代わりに、日本学術会議が「中国の軍事力増大」と「日本の軍事的空白化」を両立させる「平和には程遠い矛盾した見解と行動」を行う事で、「憎まれ役を買ってでも中国を支援している」、その可能性が見いだせるのです。


更に言えば、今後も中国と技術協力を進め漢民族の技術的・文化的な力を日本の影響下の下で強化させる事が出来れば、中国国内に置ける非漢字文化圏の民族と漢民族の学力格差や所得格差を拡大させる事も可能となるかも知れません。そうなれば中国国内に置ける民族間の不和も誘発させれる可能性も大きくなりますし、それを中国共産党政府に弾圧させる事が出来れば、中国を国際社会から孤立させ日本のコントロール下に置く事も出来るかもしれません。

民族格差をなくすための政策が、他の民族の固有文化の抹殺に繋がり、逆に民族間の対立が増大してしまうと言うパラドックスに繋がる皮肉です。(以前、記事にさせて頂きましたのでリンクを貼っておきます)

関連リンク

以上の地政学視点の国家間パワーバランスを考慮した場合、政府と学術会議の対立は、両者が合意の上でのプロレスである可能性も考慮するべきだと思われるのです。

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以上を持って「国民はどの様に日本学術会議を利用すればよいのか?」の考察を終了させて頂きます。
正直技術流出に関しては、最終的にどのような突拍子もない物事に結びつくかが分かりませんので、慎重を要する重大事なのですが、現状では機微技術(軍事利用可能な技術)に成り得る技術に関しては対中国向けの流出に関しては、いまだに日本が主導権を握っている様なので、それほど心配する必要は無いのかもしれません。

ただし思いもよらない形で、「新技術の開発や運用による既存技術の無力化」等が普通に生じるのが科学技術の世界ですので、安穏として見ているだけでは、思わぬところで足をすくわれる恐れもあるので、そのリスクだけは胸に秘めた上で、技術流出による他国の技術コントロールを行ってほしいと思いました。

なお今回の記事もあくまでもブログ主個人の見解に過ぎません。間違い等が有る可能性を前提の上で閲覧してください。

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