日本書紀

2018年09月26日

今回は、国家の提示する歴史的資料や情報などが必ずしも真実では無く、周辺諸国の事を考慮に置いた地政学戦略を軸にした情報操作である可能性の一考察になります。

歴史資料や情報と言えば、米国の公文書や、日本と国定アジアの歴史問題、大昔の歴史書等が有ります。これらがその情報を発信する国の外交や内政に、どの様に影響されているのでしょうか?

私たち日本人が信じている歴史や情報を地政学の視点で見たら、どの様な意味を持つのか?これから出てくる資料や情報が日本の外交にどの様に影響するのか?

それらを幾つかの代表例を提示して見ようと思います。


★魏志倭人伝
魏志倭人伝は、中国の三国志の時代における魏の国で記された、倭国に関する書です。日本でも文字の無い時代の事を記した情報資料として金科玉条の如く大切にし、ここに書かれている事を真実である、という前提の下で当時に歴史を考察する人が多々います。

日本人から見れば邪馬台国を始めとする当時の国の事を綴った資料として、多くお歴史学者やマニアの間で論争の基となっており、人々の好奇心を刺激していますが・・・

しかし地政学の見地から見た場合、まったくとは言いませんが「国の位置」等に関する部分で怪しい情報が溢れており、資料として必ずしも信用のおけるモノでは無いと言われています。

この魏志倭人伝に書かれている、当時の日本(日本の地方政権なのかどうかどうかは、いまだ決着のついていない)の位置が、現在のグアムの辺りに存在しており、この位置の不自然さが、現在の邪馬台国の存在していた位置に関する論争に成っています。(既に知っている人は知っている事です。TVやネットで幾らでも言われている事ですからね)

これは当時この資料を発布している"魏の国"の情勢を考えて場合、理解できると言われています。当時の中国は三国志と言われている時代で、魏志倭人伝を作った魏の国の敵対国として南西に"蜀の国"、南東に"呉の国"が存在していた事は、三国志大好きな人の多い日本人には周知の事かと思われます。

そして魏志倭人伝を発行した"魏の国"から見た場合、敵国である"呉の国"との戦いを有利に進めるため、"魏の国"から見て"呉の国"の更に向こうに「魏の同盟国」と成る国家が有れば、魏は呉との戦いを有利に進める事が可能となるのです。

ですが実際にはグアムの地点には、邪馬台国のような国家は存在していません。つまりそのグアムの位置に有る程度の規模の国家が有り、その国が魏国と同盟関係あるとなれば、敵対している呉の国としては、挟み撃ちを避けるために魏国を敵に回す事を躊躇わざるを得ません。

ですので、魏志倭人伝に記されている邪馬台国の位置は、"魏の国"が"呉の国"との勢力争いを有利に進めるためにでっち上げた偽情報」である可能性が有るのです。

と言うのが「地政学の視点で見た、魏志倭人伝の邪馬台国の位置に関する説」なのです。(知っている人は知っている。有名な仮説ですよね)


★古事記と日本書紀
古事記と日本書紀は、日本の建国神話と伝説を綴った資料と言われており、神話と伝説と歴史が書かれていると言われています。(ブログ主は読んだことが有りません)

神話や伝説の部分の特に「日本国の建国に至る部分」や「建国後の事件」では、国を譲り受けたり、敵対していた相手達が内部分裂したり、戦いに負けて逃げたり、と言った相対する相手を打ち倒すシーンが少ないところが特徴として挙げられます。

また神話の中にはどうも、各地で伝わる似たような伝承を基にした話も有ると言われており、その様な物語では登場人物が違う逸話も有ると言われています。

古事記の神話に近い部分は、これらの日本各地の逸話の集大成であるようで、それらの話を古事記の神話の部分として再編集し、皇室の神聖性を高める事に貢献させているようなのです。

この事から、「当時の皇室が権威を高めるために制作した捏造された歴史である」と言う学者もいるようですが、ブログ主の視点で重要なのはその点では無く、なぜ「この時期にこの様な皇室の権威を高める情報操作をしなければ成らなかったのか」の方が重要なのだと思います。

ここで重要なのは、当時の古事記が出来た時の日本の国情と海外事情です。

この頃の日本国は、対外事情では「白村江の戦で敗北し超大国と敵対状態が続くリスクがあった事」が一つ、そして「対外を見据えた大化の改新が行われ、国内の挙国一致化行われている事」が一つ、とこれら二点の事情が有り、その為に日本列島に住む人たちの団結が求められていた時期でもあるのです。

以上の事から項の最初に述べていた事に繋がりますが、だからこそ「日本列島に住む人たちが余り争わずに、争わない形で国家の建国を行った朝廷」と言った伝承が必要だったのだと考えられます。

この伝承によって、「朝廷は日本を征服したのでは無い、皆に頼まれ統治者になったのだ」と言う認識を産み、それによって「我々日本国は朝廷に征服されたわけでは無い。皆で調停を担ぎ上げ団結したのだ」と言う風潮を作り、必要以上に日本国民が争わずに、建国された超大国唐を含めた国際社会の荒波を乗り切るための国家体制を構築が出来たのだと思われます。


以上の事から古事記は、当時の権力者である皇室の権威を高めるためでは無く、本質は大陸の超大国に対抗する為の「日本列島に住む住民の挙国一致の団結を高めるためである」と言う考察も出来るのです。(この考察は、古事記が編纂された当時の日本の置かれた国際情勢を基準にした考察となりますので、数ある説の内の一つ程度に考えてください)


★フーバー大統領の回顧録
ハーバード・フーヴァー第31代米大統領は、世界中の誰もが逃げられなかった大恐慌の時の大統領だった米国の政治家です。近年このフーヴァー大統領の回顧録(裏切られた自由)の日本訳が発売されました。(英語版はもっと前に発売されている筈・・・、原著の回顧録そのものは更に前)

この回顧録を見る限りにおいて、「フーヴァー大統領の次の大統領であったフランクリン・ルーズベルトが、"日本に戦争を行わせよう"としか思えない対日外交を行い、日米開戦を誘発させた」と論じている。(注意、ブログ主は読んでいません!他の人の感想を見る限りにおいてです)

この回顧録を見て「やはり米国の謀略で日本は戦争に引きずり込まれたんだ」と言う認識を確認する人も多くいると思われます。しかし地政学の視点を取り入れた場合、これら米国の「日本は悪では無い論」をクローズアップした文書が出たからと言って、馬鹿正直に「米国にも米国の所業に憤慨している人も居るのだな」等と解釈してはいけません。

地政学で見ると言う事は、あくまでも「国家間のパワーバランス(力の均衡)を考慮の上で情報を精査するべきである」と言う事です。

現在米国の置かれている状況は、「世界覇権を維持している現状で、覇権に対する挑戦国として中国が台頭し、日に日に米中の摩擦が増大している」と言う形です。この状況を有利に進めるためには、同盟国との協力は必要不可欠と言えます。

そして現在の米国にとって、絶対に中国側陣営に走られてくない同盟国が日本国なのです。当ブログで何度も述べていますが、日本は財政的にも米国を支え、地政学的にも米国と対立できる大陸国家に侵略経路を提供できる位置状況にあるため、日本に裏切られたとき米国の世界覇権は終了すると言ってもいいのです。

そのため米国は、日本に裏切られない様に外交的な配慮を行わなければ成らないのです。

そういう点から見た場合、これら日本を持ち上げるかのような資料が出てきた場合、日米間の印象を改善し外交に役立てようと言う意図も考慮の上で確認しなければ成らないと思われます。

関連リンク
地政学と歴史の考察シリーズ米国編


★米国の公文書
同じ理由で上記で取り上げたフーヴァー大統領の回顧録だけでは無く、米国が一定期間が来たら定期的に公開する公文書も、もしかしたら戦略を見据えタイミングを見計らって後悔している可能性も十分あります。

冷戦時代に戦前戦中の日本を持ち上げる情報がそれ程出てこなかったのは、「当時の日本が必ずしもソ連を止めるための壁には成らなかった為(千島列島がソ連の管理下にありましたしね)」と「日本の経済力と通貨の信用力が米国を脅かすものでは無かった為(日本の台頭は冷戦末期)」と「先の太平洋戦争で戦場に立った人たちの発言力が強かった為」などの幾つもの理由が考えられます。

ですが現在の米国は、信用力では日本と中国と中東の産油国に頼り、世界に展開した軍隊の維持は日本に一部負担してもらっています。この状況で、日本との関係を悪化させた場合、「日中の同盟」と「ドル売り」と「産油国までの通商路破綻」の三点が誘発して居まし、米国の覇権も終了する事になるでしょう。

その構図が分かっていれば、米国から発信される情報で「同盟国の心証」に関係するモノに関して、いちいち反応する事も無いと思われます。

関連リンク


★国が出す情報は誰に対して?その国と周囲の状況を見れば良い?
「国家が出す情報」で、特に外交問題に飛び火しそうなモノに関しては、その時点で情報発信している国が置かれている状況("国内状況"又は"周辺国との関係")を見た上で判断して法が良いと思われます。

簡単なモノになると、中国や韓国の掌返しなどが有名で、かの国等は、国が危機的状況に成るとその苦しい状況を打破してくれる力を持つ国に擦り寄る癖が有ります。(すごく分かりやすいですよね、この二国は・・・)

これが日本になると、将来の周辺諸国のパワーバランスがどの様に変化するかを考えて、変化しなければ日本が身を斬り大国化させ、それ等関係国の関係が変化するのを予測した情報の布石を置く事によって、その情報に影響された外交を行う様にコントロールする事も有るのです。(歴史問題である「いわゆる従軍慰安婦」や「南京事件」に端を発した反日外交を見れば理解できると思います)

ですので、ひねくれてはいますが、国家が出す情報を一から十まで、その情報を発信している国家の解釈で見る事は避けた方が良いと考えられます。


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以上を持って、国家が提示している「歴史資料」や情報を真面目に受け取らない方が良いと言う一考察を披露させていただきました。

何時も書いてはいますが、当ブログで書かれている事は、ブログ主個人の見解にすぎませんので、どこかに間違いが有るかも知れませんので、それを前提の上でお読みください。

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