日米関係

2019年11月06日

今回は、イスラム国(ISIS:アイシス)の壊滅に関しての考察となります。

数日前に米国が、ほぼ壊滅していたISISの代表者とも言える"バグダディ氏"を暗殺した事を表明しました。またバグダディ氏の後継者とも目されていた人物に関しても始末し、これによりバグダディ氏を頂点とした「狭義の上でのISIS」に関しては壊滅させる事に成功したと見なす状況を作り上げました。

ですがこの狭義の上でのISIS壊滅で中東を覆っている混乱は収まるのでしょうか?


これに関して地上波とインターネット界隈では、その評価が二分されてしまっています。

地上波に関しては「これで混乱は収束されるのでしょうか?」と言う疑問形で述べている例が有り、

ネットで情報発信している言論人は、「寧ろ拡散して収集できない状況になる恐れが有る」と論評している人が目立ちます。


何故ネットではこの様な論評に成っているのかと言うと、これはISISの成立と拡大過程において、テロリズムを起こし「自分達はイスラム国だ!」表明したた勢力を、「ISISが"イスラム国認定"を行う」と言った形で、自然増殖的に巨大化した事に原因が有ると言われています。

あくまでもISISのバグダディ氏は、理念の象徴であるに過ぎず、イスラム国を僭称した全ての勢力の代表では無いため、バグダディ氏が起こしたISIS本体を叩き潰したところで、自然増殖し拡散した他の自称イスラム国勢力が無くなる訳では無いため、他の自称イスラム国は勝手に活動してしまいます。

そのため自称イスラム国勢力を壊滅させる事は、バグダディ氏が死んだだけでは不十分だと考えられ、ネット言論人はその部分を指摘し、「ISISはより拡散し勢力を拡大する恐れが有る」と述べているのです。

では、米国はソレが分からずして、ISISを壊滅させて問題が解決したと考えているのでしょうか?

ソレは違うと考えられます。


★米国の国益
何故違うのかと言うと、そもそもISISの討伐の過程において、米国を始めとする英米の軍は、ISISの勢力と妥協し、その勢力が占領地から他の地域に撤収する事を援助したと言われているからです。

つまり「ISISと戦った英米軍こそが、ISISがある程度の勢力としてシリア外に拡散する援助を行い拡散する力添えを行ったのだから、そもそもイスラム原理主義を標榜する組織が世界中で興る事は予測不可能なはずは無い」と言えるのです。

そして、これだけの混乱を世界に振りまく事を行って置きながら、その上で米軍がシリアや中東全域から撤収すると言う決断を行ったのは、トランプ大統領の現状と米国の経済構造を見たのであれば納得は出来ます。


まず第一にトランプ大統領の現状とは、中間選挙を控えた今、国民の歓心を買う必要があります。そのためには世界に引きずり込まれた米軍を米国内に撤収させ、政府の税金リソースと国債発行の負担を軍需から民間に移し、国民の負担を低減する事に有ると考えられます。


そして第二に産業面ですが、現在米国を代表する産業と言えば、軍需産業とエネルギー産業と金融です。

もしシリア情勢から米軍を撤収させれば、少なくとも米軍が消費する軍需が減るため、その分の軍産の売り上げが見込めなくなり、米国経済には打撃となります。

ですがイスラム信仰の大きい中東から東南アジア近辺で、拡散したISISの勢力が混乱状況をもたらせれば、それらの国々での軍産の需要は膨れ上がり米国の軍産が潤う可能性が出てきます。

更にイスラム圏ではエネルギー産業が代表的な産業であるため、それらの国々で混乱が起これば、エネルギー産業の生産が不安視され、米国のエネルギー産業の価値が相対的に高まる事になります。

またこれらの国の経済が混乱すれば、相対的に安全な米国の経済が再評価され、「米国内での投資」や「ドルの価値の向上」が生じ、金融産業の強い米国にプラスにもなる筈です。


この様に考えれば、ISISを拡散させ特定地域に混乱をもたらす戦略は、米国にとってマイナスになるどころかプラスに成る可能性も否定できないのです。


★日本は如何すれば容易のか?
では上記の可能性に対して日本はどの様に対応すればよいのでしょうか?

ブログ主の考える事は三つあります。


まず中東から海洋アジアに至るまでの地域の経済安定に寄与する事です。

この地域が必要以上に混乱せずに安定的な経済成長やエネルギー供給を行える状況が維持できるのであれば、将来的な期待から米国経済の過度な期待が生まれず、海洋アジアの経済発展に世界の富のリソースが割かれる事になり、相対的な米国の国力の強化が阻害出来、結果的に日本の米国に対する立場が低下せずに済みます。


第二に日中の関係の改善です。

米国が、中東から東南アジアのムスリム圏に混乱をもたらす意図でISISを利用しようとしているのであれば、その戦略は中国やロシアをも巻き込んだものとなる筈です。

中国は現在経済と勢力争いで米国と対立してしまっています。

更に日本が行っていると考えられる「米中露三大国に侵略経路を提供し安全保障に危機的意識を植え付け、軍備拡張競争を煽る」と言う戦略にも不備が生じる事に成り兼ねません。

そのため日中が米国の一人勝ちを許さない様にするために、大量の米国債を有する両国が関係を改善し、いざと言う時に米国債を利用し米国への経済的打撃を与える可能性を保持して置かなくては成りません。

この可能性が保持して置く事で、米国が日本や中国に対して強く出れ無くなり、均衡が保たれる事になる筈です。


第三に日露関係の改善です。

幾ら日本が中国との関係を改善しようとしても、米国が対応する形で中国との関係を改善した場合、そして中国が米国に次ぐナンバー2で良いと言う決断をした場合、やはり日本は米国の風下に立たされ国益を害される状況になる恐れが有ります。

そこでロシアとの関係を改善して置く事で、米国が中国と結びついた時に大陸側である中国をけん制しつつ、米国の核抑止能力に対抗できる相互確証破壊能力を間接的にでも保持して置く事が日米中露のバランスを取る上で必要であると考えられます。


この様に現在日本が行っていると考えられる、「天下三分競食状態」に「今後の海洋アジアの発展OR混乱」を考慮に入れた時、日本は中国とロシアに対してのある程度の妥協はやむを得ないと考えられます。

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以上で世間一般で言われている「イスラム国壊滅で何が変わるのか?」と「今後の米国の行動の可能性」に関する考察を終了させて頂きます。

なお当ブログで書かれている事は、あくまでもブログ主個人の見解に過ぎませんので、間違いなどが有るかも知れません。それらのリスクを前提の上で閲覧してください。

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