経済制裁

2019年07月06日

今回は、現在進行中の日本の対韓国への輸出規制に関しての考察になります。

日本の韓国の間での関係悪化は以前から進んでいた事ですが、2019年7月1日に対に日本が経済制裁と思われる行動に打って出ました。

日本はその二日前のG20大阪サミット終了時において、「自由、公平、無差別で透明性があり、安定した貿易及び投資環境を実現するよう努力する」との認識で一致させたにも拘らず、いきなり合意案を破綻させるかの様な行動に出ました。

最も輸出規制と言っても一部の資本財に限っており、またその内容としても2004年から輸出手続きを簡略化していたものを、それ以前に状況に戻すと言っただけの事で、輸出事態を行わないと言うモノでは無い様なので、巷で言われている様な制裁と言えるようなものでは無いようにも思えます。

規制対象品目は半導体製造時に必要な資本財が有りましたので、韓国の電子産業において生産の停滞が起こるのでは無いかと言われています。

またこれ以外にも軍事転用できる電子部品の輸出手続きも厳格化するとの事ですので、韓国の安全保障にも影響が有るかも知れません。

現時点では生産の停滞予想に過ぎませんが、報復合戦がエスカレートし完全な規制に移行すれば、韓国の半導体産業が壊滅する恐れがあります。このため輸出規制の原因にも成っていると思われる「国を挙げての反日活動全般」に関して、韓国内でも批判の声が上がり始めているようです。

まあ輸出規制と言うよりも優遇撤廃と言った方が良く、結果として経済制裁じみた事になっただけ、正しい意味での規制や制裁では有りませんので注意が必要です。



★何が原因なの?
では一体何が原因でこの様な事態に陥った出のでしょうか?

日本政府は「韓国が国家間の約束事を守らない」事を輸出規制の理由に置いていますが、マスメディア事で何が原因でこの様な行動を行い始めたのかの推測がバラバラです。

いくつか考えられますが主に

「自衛隊哨戒機レーダー照射問題」:軍事恫喝

「戦時徴用(募集)工問題」:国際法違反

「いわゆる従軍慰安婦問題」:国際法違反

「大使館及び領事館前の銅像問題」:国際法違反

「対馬仏像問題」:国際法違反

「排他的経済水域での不法操業」:日本国内での外国人犯罪

「北朝鮮への違法輸出」:国際法違反

等などが考えられますが、軍事関連部品の輸出制限が盛り込まれている点から、一番最初に述べている「自衛隊哨戒機レーダー照射問題」における国際法違反が原因では無いかと考えられます。(滅茶苦茶問題を起こしてるな・・・)


★どの様な意図が有るのか?
上記の事を軸に日本政府がどの様な意図を持って今回の実質上の制裁を行い始めたのでしょうか?

ブログ主の考えでは「韓国に反日行為と国際法違反を止めさせる」「韓国を突き放す」「日本への企業誘致」「安倍政権の支持率回復」「地政学バランスのコントロール」等の五つの可能性が有ると考えています。

①韓国に反日行為と国際法違反を止めさせる
まず最初の可能性が、純粋に韓国が日本に対して行っている反日行為と度重なる国際法違反を止めさせる意図を持って行っている可能性です。

既に日本国内では、「韓国と言う国は、約束事を守らない国である」と言う認識が出来ており、これ以上放置をし続けると敵対する以外の行動をとれなくなる恐れがあるため、外交の幅を広げるために苛烈な態度を取り不安を煽る事により、韓国国内の反日的態度を緩和させ用としているのかもしれません。


②韓国の突き放し
第二の可能性として「朝鮮半島での紛争リスクが増大する事による、巻き込まれ回避のための韓国突き放し」で、今のうちに在韓日本企業や法人を帰還させたり、日韓関係の急激破綻による経済的及び貿易的打撃を緩和するため、意図的に日韓関係を険悪にして「韓国現地にいる邦人に対して、これ以上韓国に居ても利益に成らない」と言うメッセージ発信の始まりとして今回の韓国側の反発を煽る輸出規制を行った可能性です。

この場合、韓国での反日運動を促すため、反撃してやろうと思う程度の打撃を与える必要があります。そのためにも今回の輸出規制程度の中途半端な制裁に踏み切ったと考えられます。

本当に輸出全てを禁止した場合、韓国が助けを求めて完全降伏する恐れがあり、その場合は改心した韓国との関係をある程度回復させなければ成らず、半島の紛争に巻き込まれるリスクが上昇する事になります。(注意しなくては成りません)

また本来は経済制裁に値しない行為にも拘らず、日本のメディア挙げて対韓経済制裁と述べているのは、韓国民に対して「日本は韓国に経済制裁を行った」と言う認識を植え付けるための情報操作と考えれば納得も出来ます。

他にも各マスメディアが、日本の輸出規制が「韓国の日本に仕掛けた歴史問題の報復」と言う面を強調し、「国際法違反に対しての反撃」と言う側面を薄め、ナショナリズムからなる反撃意識を高める要因ともなっているのでは無いでしょうか?


③日本への企業誘致
三つ目の可能性として、韓国に存在している日本とかかわりの深い企業の日本への引き抜きを行うためです。韓国の企業は日本から資本財を輸入しソレを組み立てて輸出する事で自社の利益にしています。

逆に日本からの輸入が滞れば生産自体が出来ない事にもなります。だからと言って日本の技術体系の影響下にある商品を作っている事から、安易に日本以外の国の資本財や技術で補う訳にもいきません。

この事から彼らが生き残るためには、韓国から脱却し「韓国以外の国の企業になる」と言う選択も視野に入れなければ成りません。そこで移転先として最有力候補となるのが資本財と技術を供給していた日本となります。

元々日本の部品や技術体系の影響下で商品開発を行っていた事を考えると、自社の生産力を維持する為に日本に拠点を移転した方が効率的ですので、生き残るためにその道を選ぶ可能性も十分あります。

例えばサムスン電子などは今後に5G(第5世代移動通信システム)を視野に入れた企業展開を考慮した場合、日本企業になり日本国内での商売を行いやすくした方が生き残れますので、それを考慮した場合は韓国を捨てて日本企業になると言う手段も有りでは無いでしょうか?

特に韓国大企業は、韓国民の為の企業では無く、外国株主の企業ですので、韓国を捨てる可能性は十分あります。


④内閣支持率
第四の可能性としては、消費税増税等で落ちつつある内閣支持率を回復させるための敵勢力作りとしての側面も有ると考えられます。

特に「いわゆる慰安婦、募集工、自衛隊哨戒機レーダー照射問題」で韓国の国家間の約束事を守らない異常性が明らかに成りつつある昨今、多くの日本人に「韓国はイカれてる」と言う嫌韓感情からなる敵愾心を抱かせる事ができ、これと戦う内閣の支持率が上昇すると言う構図である。

要は不満のガス抜きである。


⑤地政学バランシング
第五の可能性が国家間のバランシングです。

例えば、韓国が日本からの資本財の輸入が出来ない状態に成れば経済が破綻する恐れがあります。ですが資本財を購入する時、何も日本から直接購入しなければ成らないわけでは有りません。この場合は韓国と同じく日本から資本財を輸入している国、例えば中国を経由し購入するようにすれば調達は可能になります。

中国も産業の高度化を進めており、日本からの資本財を多く輸入していますので、中国を経由すれば日本の目を眩ませて調達する事が出来ます。

ですがタダでさえ市場としての中国に依存しているにも拘らず、資本財さえ中国が無ければ調達できないのであれば、更なる中国依存になります。そして当ブログで述べている中露間の対立が生じた時の朝鮮半島の紛争リスクを考慮した場合、「韓国が中国陣営に入るのか?入らないのか?」の違いは、中国とロシアの勢力争いに影響を与える事になるでしょう。


無論これ以外にも現在中国が米国から経済制裁を受け、先進国の企業からの物資の調達に難儀して居た場合、もしかしたら韓国を通して輸入している可能背も有ります。(あくまでも想像です。証拠は有りません)

この事を考慮した場合、日本韓国のルートを潰す事で、中国に影響を与える事が可能となりますので、それを意図して行った可能性も有ります。(さすがに資本財を投入している会社は、米政府と直接取引している訳では無いので考え過ぎかな・・・)


これ以外にも日本以外の国から資本財を購入させるようにコントロールし、日本より遠くの国と貿易せざるを得ない環境に置き、貿易負担を押し付ける目的かも知れません。


この様に「中韓関係を強く結び付ける可能性」や「韓国を利用して他国に影響を与える可能性」も考慮する事が出来るのでは無いでしょうか?


関連リンク

⑥「①~⑤」までの複合
もしかしたら上記の事は、どれか一つ一つの事を考えたモノでは無く、全てを複合したものとして進めている可能性も有る。

明治の日露戦争以後から莫大な資本を投資し回収もせず、そして1970年代から有りもしない冤罪を被り国際的な非難を受けたのは、韓国を徹底的に使い潰すのを目的として行っていた可能性もゼロでは無いのではないかとも考えられる。

日本の政府は、自国民でさえ平気で死に追いやる政策を行うのですから、今更他国の人の命を顧みる外交を行うとは思えません。一応考慮の内に置いておくべきだとも考えられます。

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以上が「対韓輸出規制の真意」に関しての考察となります。

今回の記事もブログ主個人の見解ですので、どこかに間違いが有るかも知れません。そのリスクを前提の上で閲覧してください。

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2019年07月03日

今回は「5G規格(第5世代移動通信システム)の覇権争い」に関しての考察となります。

5Gと言えば、現在では次世代通信技術と言われ、整備が始まったばかりの通信システムです。

5G通信の特徴は、現状の電波のように一定範囲内に無差別に電波を飛ばすのでは無く、電波をビームのように飛ばし個人ごとの周波数を割り当てて、回線の混みを少なくする事で高速化を図ろうと言うモノ(ブログ主の解釈)でらしいです。今までが一般道をみんなで走っているのに対して、5G回線は個人毎に専用新幹道を割り当てられたような技術で、そのすごさが分かります。

今回の考察は、その話題になっている次世代通信システムである"5G"に関する問題で、これは米国と中国が「中国製の5G通信機器は中国の為に情報の引き抜きを行っているのでセキュリティ面で危険か否か」の争いから発展した国際的問題です。

これは中国が予てより先進諸国の企業や研究機関から不正な方法で技術や情報を抜き出し、開発コストを掛ける事無く自国の産業を発展させた事から生じた事や、近年に入り中国は大国化により横暴な行為で周辺国の安全保障を脅かすまでになった事などから、これを危険視した米国は、「技術開発等に力を注がず捻出したリソースを他国への威圧に回す中国」に対して、その様な横暴を起こさせない様にするため情報通信の分野から制裁を行うべく行動を開始した事から多くの国を巻き込む国際問題に発展した。

米国は国防権限法により、ファーウェイと取引を禁止し、また米国政府と取引する企業に対して「ファーウェイと取引している場合は、米政府関連の発注から外される」と言うルールも適応させ始めました。

これにより米政府と引き続き取引したい国や企業はファーウェイ外しを行わざるを得ず、この米国政府の対応によりファーウェイ社も大幅な利益減収になり苦しい状況に追いやられました。


現在世界において5Gの通信機器を供給できる企業は、中国のファーウェイ、韓国のサムスン電子、スウェーデンのエリクソン、フィンランドのノキアがあり、この4カ国が5G通信機器の供給元と成っています。

ファーウェイが米国の制裁により5G通信機器市場から排斥されると残りの三社が市場を分け合う事になるでしょう。

この三社で分け合うと言う現状が、ブログ主がタイトルで述べている「中国企業を排斥すべからず」に繋がるのです。

何故なら市場と言うモノは、4社以上の企業が切磋琢磨する事によって独占させない事で寡占状況を排除する事が出来るのであって、それ未満の企業数では横の繋がりや暗黙の了解によって、競争原理が働かなくなると言う恐れが生じるのです。

この為市場に投入される企業数は、最低でも4社以上の企業数が望ましいと言われています。

そして、この5G通信機器市場から中国ファーウェイが排斥された場合、残りは四社とんり競争が起きにくくなる恐れが生じ、これはサービス需給側の不利益にも繋がるのです。


ですので本来はファーウェイ社を市場に招き込み他の三社と激突させる事により、市場競争原理が成立する状況を維持し、その上でファーウェイ社が何か不正や好ましくない行為を行った場合、他社に変更する様にするのが5G通信機器購入側の正しい戦略であると言えるのです。


★実際の市場は如何なのか?
幸いと言っては何ですが、ファーウェイ社の通信機器を使用した場合の米国からの制裁は、あくまでも米国政府と取引をしている企業や国が対象で、米国政府と取引して居ない企業や国はこれから外されています。

このため完全に市場から排斥されたわけでは無く、今でも市場に一定の規模を有しており、米政府とかかわりの無い民間で見た場合は、一定の競争原理は働いていると見なす事はできます。

これは中国が、先進国では無く途上国に対して売り込んでおり、先進国で販売できない分の利益をこちらで上げる事によってシェア争いから脱落しない様にしたために起こった現状だと考えられます。

逆を言えば、「中国の息のかかった途上国」と「米国に従属する他の先進国」に世界が分離されたと言えなくも無く、今後の情報通信分野では米中間の隙が更に広がったと言えなくもないのでは無いでしょうか?


★日本はどうすれば良いのか?
では日本の立場は如何なのでしょうか?

日本の現状は、技術立国を目指すと言っておきながら5G通信機器分野においてはお寒い限りの様で、残念ながら5G通信機器関連の技術では先に上げた四大企業には及ばず、技術開発を行っていなかったとのことですが・・・

ところがどっこい「5G技術で必要な高周波向けの電子部品では日本の企業が圧倒的なシェアを有している」と言う事が分かっており、これを考えれば5G技術その物で遅れているからと言っても必ずしも弱い立場では無いと言えます。

この通信技術に日本企業が供給する電子部品がどうしても必要だと言うのであれば、むしろ5Gでのサービスを予め他国や他企業に行わせておいて、成功や不備の結果を見ながらキャッチアップ方式(パクリ)によって、残りの運用方法を確立させる事で少ないリスクと試行錯誤で結果を求めた方が、日本の企業にとっては負担が少なくなる筈です。

日本が危険間橋をお渡る事は有りません。むしろ他国に投資させて社会的・技術的・運用的な不具合を洗い出してから整備しても問題は無いと思われます。

たとえ部品を供給するだけの下請けに甘んじていても、その間に高品質部品さえ押さえておけば、不当な行為をされた場合部品の供給をストップすると脅せば、不当な圧力を掛けにくくなります。(高性能部品の製作技術をパクられたら意味が無いため、その点での注意は必要です)

また通信機器をつくるための部品さえ作る事が出来るのであれば、後はその上に載るソフトウエアを開発すればよいだけなので、5Gへの以降も行いやすいものになると考えられます。(負担に成らない程度で少しづつ進めれば良い)

この様に対等の立場で付き合える状況さえ構築できるのであれば、寧ろ互いの強みを生かした相互関係を結び、不利益を最小限に抑え利益を得る事も十分可能であると言えるのでは無いでしょうか?


★米国の身勝手さと中国との対比
今回の中国に対する米国の対応で、改めて米国の高圧強権ぶりが露呈しました。

米国も日本と同じで、5Gに関しての中核技術を有しているため、今回の対中制裁において強気の姿勢で臨んでいます。ただしその身勝手さも中国の悪評と相対させた場合はよりマシに見えてしまうため、この米国の高圧振りもある程度の容認がされてしまっています。

そもそも米国とて2002年頃のITバブル頃から世界的なIT企業が台頭し、そのIT企業を投資での情報収集で世界中の情報を一手に握っています。

それでも米国が非難されていないのは、少なくても米国は中国のように個人の自由や尊厳を汚す目的でこれらの情報を利用してはおらず、表立っての被害者も出ていない為です。

無論これは表立っての被害者と言うだけで、裏で生じている被害が米国の息のかかった組織の下で生じている被害である可能性も十分あります。(あくまでも想像です)

この事から表立って米国に被害を及ぼされていないからと言って、情報分野で米国からの被害を受けていないとは言えないため、その点は重々注意が必要だと考えられます。

この様なリスクを想定すれば、現在の中国が相対的にひどい存在だと考えられているため他の4G推進国がよく見えるだけで、中国以外の国が清廉潔白な存在だと断言はできないため、むしろ中国を競争に巻き込む事で、米国や他国企業に情報独占を行わせない様に利用するべきです。

無論最初に述べた様に、「少数の企業だけに市場を支配させると好き勝手に行う可能性が有るため、寡占状態は極力避けた方が良い」と言う考えも有りますので、双方の考え方からも「多数の企業がサービスを研磨し供給しなければ成らない状況を作った方が良い」のでは無いでしょうか?


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以上を持って「5G規格で中国企業を排斥すべからず?」の考察を終了したいと思います。

これらの考察は、あくまでもブログ主個人の主観で考察した事で、唯一の真実と断言できるものでは有りません、その前提を理解した上で閲覧してください。

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2019年03月16日

今回は、「二度目の米朝会談の核兵器問題の交渉」に関する問題に対しての一考察となります。

二月末に二度目となる米朝の直接首脳会談がベトナムの首都ハノイで行われました。第一回目の米朝会談はシンガポールで行われ、一応核施設の破棄を努力すると言う事で意見を一致させましたが、結局核施設の破棄に関しては古くなった施設を破棄しただけで使用に耐えれる施設はいまだに使い続けられているのでは無いかと言われています。今回の第二回目の交渉ではそれらの点を軸に交渉をしたと言われていますが、米朝の間で折り合いが付かずに破断に成ったようです。

この結果に対して、日本の地上波放送やネットニュースでは、北朝鮮側が合意に至らず慌てて帰国した事から、北朝鮮側の予想していなかった破談と見る人も多くいます。

ですが冷静な考察を行う人は、米朝ともある程度は想定内の上で今回の会談が物別れに成ったと言う人も居ます。ブログ主もその考察を支持します。

今回はそれらの事を地政学的な視点で説明しようと思います。


★二回目の米朝会談は破綻・・・、したの?
第二回目の米朝会談は、何も決まらずに物別れに終わりましたが、この結果に対して米国のトランプ大統領は北朝鮮に対してそれほど批判的な事を行ってはいません。

これは国際的なパワーバランスを見れば納得がいきます。

まず第一に、米国にとって現状の北朝鮮は敵対するほどの脅威には成っていない事

第二に、北朝鮮にとっても米国は優先的な脅威ではない事

第三に、米国と北朝鮮にとって直近の最大の脅威は中国であり、次点でロシアである事

つまりこれらの事により「現状の米朝の二国は、敵対する国家同士では無く、潜在的に重要な同盟国である」事が理解出ます。

この考えに対して、もしかしたら「北朝鮮にとって隣接する韓国に米軍が駐留しているだから米国は北の脅威」と認識している人には不満かも知れません。

ですが基本的に海洋国家は陸上国境における争いを大陸情勢に引きずり込まれるため避けたがる本能が有り、これは米国にも同じことが言えます。

米国にとっては、朝鮮半島で本格的な紛争が生じ、北朝鮮より遥かに人件費的に価値のある自国の兵を消耗する事には利を見いだせない筈ですので、基本的に米国側から北朝鮮に戦争を仕掛ける事は無いと考えられ、その事から北朝鮮にとって米国の脅威度は、それほど高いものでは無いはずなのです。


そして重要なのが、ついこのあいだも問題になっていた、国際的な中距離核弾頭ミサイルの保有制限の破棄に関してです。

多くの人が述べている様に中国が加盟していない中距離核戦力の制限などは、米露の中国に対しての安全保障能力に制限が掛かるだけの愚策に過ぎず、米国から見た場合、台頭する中国と疲弊しているロシアのパワーバランスの均衡的制御の点からも、さっさと中距離核戦力制限などは破棄した方が良い事が理解できます。


この中露のバランスを見た上で競わせるオフショア・バランシングこそが米国の基本戦略となる筈で、この考えを前提にした場合、極東における中露の直接的な激突地である満州地方に影響を及ぼし、且つ中国の首都である北京を射程に収めれる中距離核戦力を保有するに至ったと思われる北朝鮮は、米国から見た場合、格好の同盟者であると考えられます。

この考察から、米国にとっても北朝鮮にとっても、現状で「北朝鮮の中露向けの核戦力を制限するなどは、利益に成らない」という判断に行き着く筈です。

この事から今回の中朝会談INベトナムで「制裁の一部解除と全面解除の折り合いが付かず」が破綻したのは、米国が北朝鮮に対して「中国向けの核戦力を保有し、米国の利益になる行動を取れるようにしろ」と言う、口には出せない暗黙の了解があったとも考えられるのでは無いでしょうか?

また表立って北朝鮮(テロ指定国家)を取り込む姿勢を見せれない米国の立場を考慮し、北朝鮮が今後中露の間でバランシング戦略を行うのでは無いかと言うのが、ブログ主の考察の一つに存在しています。(と言うよりもパワーバランス的に北朝鮮は中国にのみ込まれない様にするためにロシアに近づかなければ成らなくるため、勝手に米国の望むバランシングが成立するのでは無いかとも思われます)


なお今回の米朝会談の考察に関しては、前回の「何故米国は韓国から撤退しないの?」の記事とも、ある程度は連動した考察したものですので、よろしければ下記のリンクから見ておいてください。

関連リンク


★米越会談!こちらの方が本命では?
さて第一回目の前回の米朝会談はシンガポールで行われましたが、第二回目となる今回の米朝会談はベトナムで行われました。

米国のトランプ大統領は、今回の北朝鮮との会談とは別に、ベトナムの国家主席とも会談しています。米朝会談の陰に隠れていますが米朝会談よりもこちらの米越会談の方が主目的なのでは無いかと言う推察を述べる人も居るようです。

これは米国が中国と対立現状で、同じく中国と国境を接し対立関係にあるベトナムは、米国から見ても重要な同盟国候補となるため、今回アメリカの行った北朝鮮とベトナムの両会談は、地政学的な視点で見た場合、対中包囲を意識した関係づくりと考えた方がシックリ来るためです。

ブログ主もこの考えには賛成です。今回の会談は「米朝」「米越」の会談をセットで行ったと言う事自体が対中国を意識したものであると考えた方が納得がいきます。

これ以外にも、そもそもベトナムに金正恩氏を呼んだと言う事自体が、ベトナムと北朝鮮との間で何か秘密裏の首脳会談が行われたのでは無いかと言う疑惑を中国側に抱かせる事も出来ると思われまので、米国から見れば会談がどの様に終わろうとも、中国に対しての周辺国への不信感をコントロールする事も出来ると考えられます。(中国から見れば北朝鮮とベトナムは、中国と国境を接する潜在的な敵国で、当然逆のベトナムと北朝鮮から見れば、互いは対中戦線における同盟国候補となります)


★全体を見れば・・・
今回の会談で生じた事は「北の核保持」「米国とベトナムの深化」であり、これらを現在までのトランプ政権の外交政策全体で「ロシアとの中距離核戦力の再配備」や「中露関係から見た北朝鮮の重要性の向上」などの全てを事象を連動させ見れば、米朝会談と米越会談は、米国における対中戦略の観点から見れば大成功では無いかと考えられます。

地政学的なパワーバランスを見た場合は、北朝鮮も中露に対しての存在価値の向上を提示する事に成功したと考えられるため、米国だけでは無く北朝鮮もベトナムも三国共に会談成功と捉えている可能性も十分あるのでは無いでしょうか?

逆に中国側からすれば、この米国の作りつつある包囲網を解きほぐすために、北朝鮮への援助や、日本との関係の修復に力を注ぐ可能性も上昇したと考えられます。


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以上を持って「米朝核問題と米越会談を地政学で見る」に関する考察を終了しようと思います。

あくまでも当ブログで書かれている事は、ブログ主の主観的な考察に過ぎませんので、勘違い等が有るかも知れません。それらの事を前提に閲覧してください。

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2018年08月30日

今回は、少し前から話題には成ってはいますが、米国が「イラン産の原油を買わない様に各国に働きかけている件」に関しての考察となります。

米国は、先のオバマ大統領の政権の時に、核開発を行っていると見なされているイランとの関係を改善し、貿易や投資を復活させました。

ですがトランプ大統領に代わってから北朝鮮の核技術を移転している可能性を取り上げて、再びイランとの関係が悪化し、経済制裁を再度開始し始めたのです。

そして米国は、同盟国である日本を含む各国にも同じ様な経済制裁に参加するように要求しており、これに逆らうようなら同じく経済制裁を科す事を示唆し始めています。

これに対して日本の安倍政権は、イランに対して原油不購入の制裁を行うと、安い原油を購入したい中国が救世主顔でイランとの関係を強化し、イランを中国側に追いやるリスクが有るので行うべきでは無いと語り、米国の対イラン経済制裁から日本を外すように要求しるようです。


米国は、この制裁を引き下げる気は無い様で、同盟勢力であるEU諸国もこの制裁に乗る様子です。EUはこれらの制裁で被る分の損害の補填を企業が米側に要求する事を認めました。これによって先進国でイラン制裁を行っていないのは日本だけとなっており、日本立場は微妙な状況に陥っている。


★米国の立場から見た地政学戦略の考察
米国の行おうとしている経済制裁は、日本の言う通り地政学的に見た場合、中国とイランを強く結びつける事になるかも知れません。しかし日本とは違い、海路を米国が押さえている現状を考えたら、中国は海路を通じての原油輸入が出来ないかも知れません。

それを考慮した場合、現在中国が投資しているパキスタンを通じて輸入するかもしれません。実際中国はパキスタンの港に莫大な投資を行っているため十分可能性が有ります。ただし海路を利用した場合、米国の海軍の圧力を受けるリスクが有りますので、陸路からのヒマラヤ越えか中央アジア越えで輸入しなければ成らなくなります。

そして、もし中国が陸上経由で、これらエネルギーの輸入を行おうとしたら、「米国の影響下にあるアフガン」や「ロシアの影響下にある中央アジアの国」や自国内で紛争リスクのあるチベットや新疆ウイグルを通して輸入しなければ成らなくなります。

これらの地域で少しでも紛争の種がばら撒かれたら、中国のエネルギー政策に影響を与える事になるのでは無いでしょうか?

そして米国は、アフガンに駐留させている米軍に何らかの指示を下すなり、現地の武装勢力に武器を渡して、イスラム教徒を弾圧している中国と戦う様に仕向けるなりの方策で、中国に圧力を掛ける事が可能なのでは無いでしょうか?

そうなれば、中国は安全保障の為にパキスタンやアフガンやイランに軍を派遣しなければ成らない状況に成り、現地の国々と不要な不和を増大させる事になるでしょう。

つまり今まで米国が被っていた中央アジアの治安維持の負担を、中国が肩代わりする羽目に成ると言う事です。

そして歴史的に見て「中央アジアに引きずり込まれた大国は、過剰な軍事支出に追いやられ、衰退する羽目に陥っている」と言う事を考慮した場合、米国は中国を中央アジアに引きずり込むためのコントロール戦略の一環として、これらの外交を行っている可能性が有ると言う事です。

またイスラム教を弾圧している中国の現状を考えると、現地のイスラムテロ組織の対応を押し付けられる恐れも有ります。(中国がイスラム教徒と敵対する事になった経緯は、国内のイスラム教徒を弾圧し、国内にイスラムの過激派勢力を生み出した上に、その勢力を潰すために更なる宗教弾圧を行った事が原因となります)

米国の石油輸出と対中コントロール



★日本の取れる戦略は独自か?米国との連動か?
以上の事から米国の行おうとしている、対イラン制裁は対中国コントロールと言う観点から見た場合、必ずしも間違いでは無いのかもしれません。ですので日本はこの予測できる米国の戦略を考え「一帯一路の陸の道の援助を行い、中国を中央アジア情勢に引きずり込むべきである」と考える事も出来ます。

ただしそれを行うとイランとの関係が破綻してしまうので、最後の手段としたいと言うのが安倍政権の考えでは無いでしょうか。日本とイランの関係は深く、イランは二次世界大戦後間もない時、現在と同じように制裁を受けていた時に、イギリスメジャーに石油を握られ苦しんでいた日本に原油密輸を行い、相互に利益が有る形で危機を脱却する事で絆を強めた歴史が有ります。

この事を考えた上で、日本がASEANやインドの様な海洋アジアの発展を支援し発展させようとしている現状のアジア戦略を考えると、中東で混乱が起こりインドやASEANに流れる原油の値段が高くなり、これら途上国の成長率が低下する状態に成る事は、避けたいところなのでしょう。

逆に米国がイランを叩くのは、今後アジアで使用されるエネルギーを考えた場合、シェールガスなどのエネルギーを輸出したい現状を考慮した場合、市場で化石燃料を売る国家が一つでも少なければ、エネルギー価格が必要以上に下落する事が無いと言う事を視野に入れた政策とも取れます。

日米ともに海洋アジアを守り発展させる事は既に明言していますが、そこで使用されるエネルギーをどこの国が賄うかを考慮した政策の違いで少しばかり亀裂が入っているのが現在の状況なのだと思われます。


★日本に対抗策は有るのか

纏めると米国の立場では、イランと中国を接近させ中国をイラン産化石燃料の依存にさせた後に、シーレーンからの圧迫や、アフガンの紛争のコントロールによるイランと中国の中央アジアでの軍事リソース負担増大、イスラム教徒を煽って中国を敵視させ中国国内を不安定化させる等の戦略が予測でき

日本の立場では、日本の次の投資市場であり、米国に低価格品を売り浴びせ、米国の貿易赤字を持続させ産業に打撃を与えれるであろうASEANとインドの海洋アジアの安定的な発展のための安定したエネルギー供給地域の確保が一つと、二つ目に日本の地政学的位置をいかした米国の軍事負担増大を最大限誘発させるための、中国の軍事リソースを太平洋側に向けさせるためのコントロール戦略を確実なものにしたいと言う思惑が有ると思われます。

これら日本の戦略を成功させるには、日本や海洋アジアの消費するエネルギーの輸入先が必ずしもサウジアラビアや米国だけでは無いと言う事を分からせる必要があります。

米国とて中国を中東に引きずり込む戦略を行うより、イランとの関係を改善し、イランにも対中包囲網に参加してもらった方が、より中国の軍事リソースの分散化でき米国に掛かる負担が減少する事が分かれば、この様なバランシング・コントロール戦略を見直すはずです。

米国をその様な考えに導くには、米国が関係を改善しようとしている、そしてイランやインドやASEANと地政学的に敵対していない上に原油やガスの輸出国であるロシアを、今まで以上に分かる形で対中包囲網に引きずり込まなければ成りません。

そうすれば中国の軍事リソースの更なる分散を誘発でき、米国も無理にイランを生贄にしようとする戦略を行う必要性が減少するはずです。


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色々な事を書きましたが、今回書いた事は、あくまでもブログ主の個人的な地政学感と戦略感を書いただけですので、本当にこの様に物事が進むかは分かりません。

もしかしたら日米の間で、既に裏で話が付いているのかもしれません?

今回の記事は、三文芝居でも見ている感じで受け止めてくれれば結構です。

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2018年06月25日

本日は、現在米国と中国の間で行われている「貿易関税の掛け合い」や「輸出入商品の制限」に関しての考察となります。



関税と言うモノは、本来は自国の産業を他国の産業から守るために掛ける税金です。

自国の産業で生み出す商品を自国民に売る時、他国から輸入する商品より質も悪く値段が高額だったりしたら、自国の国民でさえ自国産の商品を購入するのを躊躇います。その様な状況が長く続けば、自国の産業が成り立ちませんし、最悪海外に依存せざるを得ない状況になり、いざと言う時に輸入品を止められてしまう事により、実質上の経済制裁として機能する戦略的優位を外国に与えてしう事にもなります。

そのような時に他国から輸入する商品に対して税金を掛ける事により、自国で生産する商品より高額設定で売らせて、自国の企業が自国民に対して自国産の商品を売りやすい状況作る事により、自国の産業を成長させるのです。自国で消費する商材を自国で供給できる様になれば、産業的に他国の風下に立たず自主独立した外交を行う事が可能となります。


輸出入品の制限の、輸入品の制限に関しては先に述べた関税がソレに当たりますが、輸出品の制限に関しては、先ほどとは違い他国に対しての経済制裁の意味合いが強くなります。

グローバリゼーションが進んだ現在の世界経済では、完成品の商品を作る上で世界規模での中間部品の輸出入が頻繁に行われています。特に途上国が、先進国の優れた部品や素材やマザーマシンを購入し、それらを組み立てる事により完成品を再輸出する事により、商品が顧客に届くまでのサプライチェーンが形成されています。

そして途上国は技術力の壁から、先進国から高性能品を購入しなければ完成品を作れない状況となっており、先進国の高性能品の輸出制限を掛けて、途上国に完成品を作らせない実質上の経済制裁として機能させる事が可能なのです。

以上の事から、今回の米中の「間税掛け合い」と「輸出制限」の貿易戦争は、どちらかと言えば米国の方が有利な戦いを展開できると思われます。

これは米国の方が、中国より高性能品を輸出力く、強力なサプライチェーン支配力がある先進国であるからにほかなりません。

逆中国は、米国に高性能品を止められた場合、輸出品を生産できなくなり外貨を稼げず貿易の停滞に繋がる事になるかもしれません。そうなれば海外からの食糧依存が高くなった中国は、国民経済に大打撃を被る事になるのです。


★貿易戦争の戦いは如何にしてダメージを少なくするかの競争

貿易及び経済戦争に置ける関税や輸出入の制限に置いての戦いは、産業の自主独立性を出来る限り維持した状態で、自国の民衆の生活をどれだけ守れるかの競争になります。

例えば輸入品に関税を掛けた場合、その種類の商品の国内価格が上昇するので、回り回って国民の生活に打撃を与える事になってしまいます。

この場合は、関税で得た税金を国内商品を売るための還付金として利用したり、自国で生産する商品の増産や生産性効率化に充てる事により、国民の生活に与えるダメージを最低限に抑えなければ成りません。

最も関税により財政的な利益を得ると言う行為は、自国の財政を他国の供給能力に頼るという側面が有りますので、手放しで賛成できる政策では有りません。あくまでも一過性の政策として採用し長期に渡る運用は控えるべき政策なのです。


輸出品に関税を掛けられた場合の対処としては、関税をかけた国に対して売るのでは無く、第三国んに対しての輸出割合を増やし、一国に対しての輸出依存経済に成らない様にするだけの事です。ただしこの対応に関しては、第三国に対して必要以上に商品を氾濫させる事を意味するので、第三国の商品価格の一時的な混乱に繋がる可能性もあり注意しなければ成りません。

またもう一つの対応としては、第三国に生産拠点を置いてそこから輸出すると言う対応も考えられます。これは高度経済成長期の日本が日米貿易摩擦の圧力をかわすために、韓国などの途上国に工場を移設し、そこから輸出したのが代表例とも成ります。

最も現在では、サプライチェーンの分析なども貿易協定などに含まれるようになっており、以前ほど第三国からの迂回輸出ができる状況では無くなっています。


他国に経済制裁を行うに当たり輸出品の制限を掛けるのは非常に優れた手では有るが、された方は下手をすれば国家の存続を脅かされる状況に追いやられ、最悪戦争に発展する恐れのある制裁行為と言えるので、その点は注意しなければいけません。

遡れば、第二次世界大戦の太平洋戦線の火ぶたを切った、日米間の石油の禁輸や、現在の北朝鮮への制裁や、米国の中国に対しての電子部品の輸出制限などがソレに当たります。

ただしこの手法も万能だというわけでは有りません。たとえ構成の商材の輸出を禁止したからと言っても、第三国経由で輸入されたり、他の先進国が代替品を輸出できる状況にあった場合はあまり意味が有りません。

この経済制裁を行うのであれば、同じだけの技術力を持つであろう先進国に共同歩調を取らせるだけの外交能力が必要不可欠となります。それができなければ、第三国の先進国の利益になるだけです。

逆に高性能製品・部品の輸出制限を受けた途上国の対応としては、自国開発するか関わり合いの無い先進国から輸入しなければ成りません。


現在米国と中国は、まさに先進国と途上国の経済制裁合戦になっており、周辺諸国がどの様な行動を取るかが、非常に重要な要素と成っていると思われます。


★中国の対応予想

現在の中国は、米国の覇権に対抗する勢力として台頭して来た覇権挑戦国であり、これは現在の米国の対応祖見る限りでは、米国も中国をその様な国家であるという認識の下で外交や内政政策を行っています。

その結果が、この度の貿易品に対しての制裁合戦に繋がったと思われます。中国はこの米国の経済制裁に対して、途上国特有の技術力の無さから苦しい立場に追いやられているようです。

中国が米国に輸出している品目は、途上国特有の先進国から高性能部品を輸入して組み立てる完成品か、付加価値の低い素材が主な輸出品と成っています。そのため米国から見た場合、必ずしも中国から輸入しなければ成らないわけでは有りません。

逆に中国は米国の高性能部品製品の輸入が出来ない場合、完成品自体を作る事が出来ない状況に追いやられてしまいます。そうなれば米国以外の国への輸出も終了となり、自国民を食わせる事ができなくなります。

それを避けるためには、米国に匹敵する技術力を有する国から高性能部品等を輸入しなければ成らず、それは日本かドイツぐらいしか有りません。日本は米国の影響下にあるので、米国に追従ずる可能性も有り、そうなるとドイツしかない事になります。

最も日本との仲が劇的に改善する何かが有れば、その限りでは有りません。例えば、今まで日本に着せていた歴史問題での冤罪や汚名や領土問題での譲歩がソレに当たるかもしれません。

それも日本が中国との仲を改善しようと言う気が有ればですが・・・

ドイツ一国が中国を救う事の出来る国に成ると、ドイツの中国に対して強気に出る事が可能な状況となり、中国はドイツの風下に立つ事になるでしょう。

ですが技術開発なり他の先進国からの援助なりが得れない場合は、中国の命運もソコまでに成るかも知れません。


★米国の対応予想
米国は覇権挑戦国になった中国への対応として、また知財等の世界的なルールを守ろうとしない中国に対しての制裁として、今回の関税や戦略物資の輸出制限を掛けました。

代わりに中国からも対応される形で米国製品に対して関税を掛けられてしまいました。と言っても中国がかけた輸入関税は、主に食料品に関してで、これでダメージを被るのは米国の食産産業と寧ろ中国の民衆でしょう。

米国は技術力が中国以上なので一時的に優位な立場に立つ事ができるでしょうが、両国共に第三国に活路を見出すだけで、米中共に敗者に回る可能性が有ります。

ただし、米国は中国とは違い、国民が生存する為の食良品やエネルギー生産に関しては、自給できる体制を整えているので、中国程酷い事には成らないでしょう。

米国の立場としては、中国との間で関税合戦や輸出制限が掛かっても、発展著しいインドやASEANなどの海洋アジアに投資して、それらの国と貿易するだけなので、それ程痛手には成らないと思われます。むしろ海洋アジアは強引な中国の進出を懸念している風なので、喜ばれる可能性も十分あります。

米国としては、中国と今まで通り付き合うよりは、中国周辺の中国の潜在的な敵国と結び、中国の代わりとした方が米国の利益に成ると思われます。

米国が注しなければ成らない国は、中国よりも、ドイツや日本だと思われます。ドイツは米国が中国に輸出している高性能品の代替え国家と成る可能性が有り、地政学的にも中国の同盟国なので米国と対立する可能性が十分あります。

日本も同じで高い技術力が有るので、即座に米国が抜けた穴を埋める国家に成る可能性が有り、また地政学的にも大陸国家に海洋進出経路を提供する事が出来るため、ドイツ以上に米国の命運を握る国に成る可能性が有りますので、日本の侵略経路提供政策に対して過敏に反応するかもしれません。


★関税を掛けられそうな周辺諸国はどうなるのか?
今回の米中経済制裁合戦に巻き込まれているのが米国の周辺諸国で、高鉄製品に対して高関税を掛けられて為、これらの国の製造業に影響を与える可能性が大いにあります。

日本の対応としては、無理に輸出するのでは無く、今後多投するであろう海洋アジアに対してサプライチェーン確保のための投資を行い、今後の世界の貿易と産業をコントロール出来る立場に身を置くべきだと思います。

・・・と言う事は、サプライチェーン強化のための"消費税増税"が行われる可能性大と言うわけで、日本国民には更なる経済的な負担が掛かると思われます。

国民の皆さんも覚悟しておいた方が良いと思われます。

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以上が米中経済制裁合戦に関しての考察となります。

この様に書いていますが、本当にこの様に各国が動くかは確証が有りませんので、投資のための材料として利用して損害を負っても、当ブログでは一切の責任を負いかねますので、注意して読んでください。

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