自動車税

2018年12月29日


本日は「消費税で見る」の二回目で、消費税の真実に関しての考察となります。
そもそも税金とは何なのでしょう?

税金とは、「国家が、国家を運営する時に使用する血液とも言える"通貨"を、国家権力を利用し国民から回収する制度」である。

昔はともかく現在は多くの国が不換紙幣を採用しており、紙幣の価値を保つには、国家の有する産業能力と通貨量をバランスする必要が有り、税金と言う制度は、その通貨量を徴税によって増減させる事により産業の供給能力と通貨量の均衡をコントロールする行為なのです。

同時にこれら回収した通貨を、再配分する事により富の著しい偏重を是正し、生産力と消費力の均衡を取ったり、景気が過熱し過ぎた場合に国民の冷や水を浴びせ冷静にする効果も存在しています。

では日本の税制度は、日本国民にとって生産力と通貨の均衡を取ったり、富の再配分を促したり、過熱し過ぎた景気を抑制する目的で導入されているのでしょうか?

そして実際に効果を上げているのでしょうか?

残念ながら答えは、「否」と言わざるを得ません。

ソレは消費税に問題があると言うよりは、税制度全体に問題が存在していると言えるからです。以下でそれを説明しようと思います。


★実際の税収の違い
この項では、消費税が日本にとってどれだけ負担に成っているのかを諸外国(特に欧州)と比べてみようと思います。

下記のデータは、少し古いですが2012年の「欧州の国、日本、韓国」の"消費税率"と"消費税の税収比率"と"歳入(消費税分)"と"赤字国債"を表にしたものです。日本と隣の韓国と欧州から通貨ユーロを使用し、地上波テレビで日本の消費税率がいかに低いかを誇張される時に代表例と出される「オランダ、フィンランド、フランス、ドイツ」の全六カ国を対比させて見ました。

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2012年度データ

国 /消費税率 /一般消費税収入の全税収入比 /
歳入(消費税分) /歳出の赤字国債の割合

オランダ
19.0% 17.9% 27,3500億円(4,9000億円)  -2,5000億円

フィンランド
23.0% 21.1% 10,7900億円(2,2800億円)  -4300億円

フランス
19.6% 16.1% 108,8900億円(17,5300億円) -10,4000億円

ドイツ
19.0% 19.4% 122,0800億円(23,6800億円) -900億円

日本 
 5.0% 9.2% 152,2500億円(14,0100億円) -42,6316億円

韓国   
10.0% 17.2% 26,5069億円(4,5600億円)  +1,8669億円

OECD平均 N/A 20.2% 6.8%


2012年の消費税率を他の税収と比較した表になる。(「Wikipedia」と「世界経済のネタ帳」にあったデータを利用し計算した。日本人に分かりやすい様に当時の為替レートで、円換算しています)

更にこのデータを、一人当たりの所得と負担割合で見た場合、

国 / 一人当たりの所得 / 人口 /
 一人当たりの平均消費税負担(所得に対しての"%") /
 一人当たりの平均税負担(所得に対しての"%")

オランダ
389,7141円 1680万人  約29万円(7.5%)  約162万円(41.6%)

フィンランド
369,9003円 540万人   約42万円(11.4%)  約199万円(53.9%)

フランス
329,5893円 6340万人  約27万円(8.2%)  約171万円(52.0%)

ドイツ 
342,9541円 8050万人  約29万円(8.5%)  約151万円(44.2%)

日本  
388,0442円 1,2750万人 約11万円(2.8%)  約119万円(30.7%)

韓国  
238,7232円 5020万人  約9万円(3.8%)   約52万円(21.8%)

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この表から分かる事は、似たような生活水準の諸外国と比べた場合、ことさら日本の税負担が重い訳では無いと言う事が分かります。(他にも国はたくさんあるのですが為替レートの計算がめんどくさいので、日本を含めて五カ国だけにしました。一概に消費税と言っても各国別に税金の取り方が変わってきます)

日本の税負担を見た場合、平均所得に対しての負担率は約三十パーセントで、消費税の負担率に至っては平均三%にも至っていません。無論下記の表の負担率は、一人当たりの数値ですので、家族で暮らした場合の世帯当たりの負担率は跳ね上がる事になります。

それでも欧州の負担率に比べたらそれほどではない印象を受けます。


この為日本の長期停滞は、消費税だけが問題では無いと考える事が出来ます。

では何が日本を長期に渡り蝕んでいるのでしょうか?


それ即ち消費税を含む「エンゲル係数を押し上げる税」です


★消費税以外の重税制度
「エンゲル係数を押し上げる税金」とは、人が生きて行く上で必要最低限度の生活に必要な生活必需品を消費する時に課せられる税金の事です。基本的にあらゆる税金は大なり小なり、エンゲル係数を押し上げる効果は有るのですが、特にダイレクトにエンゲル係数に影響するモノが有り、それが「消費税」「ガソリン税or自動車税」「年金と健康保険」「赤字国債発行及び量的緩和」がソレに当たります。

消費税に関しては、すでに先に述べていますので、この項では他の税金に対しての考察をします。


・揮発油税(ガソリン税)と自動車税(自動車取得税、自動車重量税等も含む)
車とエネルギーは、人類社会で生活する為には無くてならないモノで、このエネルギー発電と車の運用コストは個人の生活だけでは無く、生産や流通の様な様々な分野のコスト上昇に影響してきます。

そして近年のもので、このエネルギーと車関連の双方に置ける税収は、約六兆円にまで達しています。

これ以外にも車を持っている人は、自賠責保険に強制加入させられ、安くても二万円程度と言って良いと思われます。更に車検も合わせれば軽自動車なら7万、普通車なら10万ほどかかります。これが約二年に一度あります。(これらの金額は、場所や保障によって様々なので一概にどうとは言えませんが、高額な事は確かです)

これらの税金や税金では無いにしても、無理やり支払わせられる、若しくは支払わなければ生活できない金銭は、消費税負担に迫るモノが有ります。

これらの負担は、都会から離れた交通機関が発達していない地域であれば有る程、負担増となります。

なお車検に関しては、米国では存在せず、欧州の様な地域でさえ期間は日本と同じですが数千円で済みます。日本の車検がどれだけバカ高いかを見れば、車を持っている人が不平不満を言うのが分かる筈です。

ぶっちゃけ日本では車検の事を考えて場合、シェアカー制度を利用した方が懐事情に良いと考えられます。(今度、走った距離に対して税金を掛ける税制度を成立させようとしているみたいですので、燃費とかエコロジーとか言う以前に、一人で若しくは一家で一代の車を保有するコストに耐え切れない社会情勢になると考えられます)

これら自動車に掛かる税金やエネルギー関連の税金を見た場合、各種税単体で外国と比較すれば、決して日本は高税率では無いと言えるのかもしれませんが、全てに合計値で見た場合、これら燃料と移動関連に掛かる税金のバカ高さは、比較にならない程に目立ちます。

消費税が5%の時点で、平均11万円の負担がかかり、自動車関連の税金(無理矢理支払わされる金銭含む)が、年間約4~5万円となります。(消費税2%分の負担と言えるのではないでしょうか)


・年金、社会保障
年金、社会保障に関しては、日本は世界でも質が高いうえに税負担も少ない国と成っています。しかしその税負担の少なさから、質の高い社会保障制度を維持する為に、他の所に投入する為の予算も社会保障制度の中に投入すると言う事を行っています。

ただしこれに関しては、エンゲル係数の高い人達への援助に成っている事でもあるので、一概に再配分に問題が有るとは言えませんが、中には資産を有し生活にも困っていない人達に対しても保障する構図が、結果的に消費税を投入しての低賃金労働者から裕福層への所得移転の効果を発揮している事実もあるため、格差拡大政策としての一面も有すると思われます。

しかも社会保障を消費する人達は、「既に資産を構築し終えた世代(年金)」や「子を持つ余裕のある家庭(子育て支援等)」であると言う点を考慮しなければ成りません。そのため資産を持たずに子を持つ余裕のない家庭ほど、生活が破綻しなければ社会保障を受けれない事になります。これが社会保障制度による低所得層の相対的なエンゲル係数の上昇となるのです。


・赤字国債常時発行問題
日本国民のエンゲル係数を上昇させる最大の原因に成っているモノが、この赤字国債の発行と言えます。

この赤字国債問題は、1990年代のバブル崩壊後の不況を何とかする為に、米国の要請(日米構造協議)で公共投資を拡大させ、その原資として国債を使用したのが原因と成っています。

何故この赤字国債を常時発行している状況が問題なのかと言うと、借金で借金の返済(利率含む)を行い続けていると、常に赤字国債を発行している状況と成るため、通貨価値の毀損を行い続けている事になるからです。

つまり通貨安で、これは物価の価値が通貨に対して上昇し、お金を持っているよりも商品やサービスを購入した方が良い状況を誘発する事で経済成長が促される可能性が有るのだが、日本政府が財政均衡や低所得者に対しての増税等の行い、物価に対する実質所得が上がらないゼロ成長状況(むしろマイナス成長)を作っている現状では、通貨高に成らず「海外からの物資を安く買い消費を喚起する事の出来ない状況」を作っている原因になってしまっている。

この赤字国債の持続的な発行が維持されている現状では、日本国民の国際的な資産が海外視点で常に毀損し、海外からの物資輸入を行い難い状況と成っているため「エンゲル係数の低下させない圧力」としての効果が確認される。

上記の2012年のデータでは40兆円分の赤字を計上しているが、これは通貨価値を7%(たぶん)ほど低下させる圧力となるため、この時の通貨毀損による実質上の税負担は、消費税に匹敵していたと言える。

無論、海外の国がそれ以上に赤字を拡大させたり、日本の国際収支が黒字であれば、相対的な円高圧力が生じるため、国際的な通貨価値のバランスが取れた状況を維持でき、通貨価値の暴落から物価高圧力が掛からない事にもなるため、単純に赤字が多く国債発行高が多いから、エンゲル係数が上昇すると言うモノでは無いが、少なければ少ない程通貨価値の上昇となり物価安圧力となるため、赤字国債の発行は少ないほど国民にとっては良い事と成る。


★日本は高税率国家

以上の事から上記の「エンゲル係数を上昇させる税負担」と言う点から見た場合、赤字国債発行による通貨価値毀損による輸入品価格の高騰化と言う点まで全てを含めれば、インフレ政策を行わず増税によって経済を循環を停滞させている現状では、低所得の人にほど高負担と成っているのが真の日本の現状であると言えます。

現状の日本の税制度(法律によって無理矢理支払わされる金銭)を見た場合、エンゲル係数を上昇させる税制度体系を計算に入れれば、消費税と言う一点だけを見ると、ことの本質から乖離した結論しか見いだせないと思われます。

地上波メディアで、毎回消費税だけをクローズアップさせエンゲル係数を上昇させる税金全てが、どの様に国民生活に影響しているのかを報じていない現状では、メディアは情報操作を行っていると言われても文句は言えないと思われます。

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以上が消費税で見る税戦略の二回目となります。

次回は、増税タイミングに関する考察の加筆修正と成ります。

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