選択権

2019年03月27日

今回は、以前「選択権の平等」に関する考察を行った為、日本の政治問題も選択権の観点から見た考察の述べさせてもらおうと思います。

以前の「選択権の平等」の考察で、選択権の平等こそが人に与えられた真に平等に近いモノであると述べましたが、平等に"近い"と述べた通り、あくまでも"近い"だけであって、完全に平等に与えられている訳では有りません。

あくまでも「結果、権利、機会(チャンス)」よりは、選択権の方がまだ平等に与えられていると見なせるだけです。

今回の考察は、これらの選択権と政治問題を、「平等に近い」の"近い"の文面通り、完全では無いために生じている、もしくは生じさせている事に関しての一考察となります。

今回取り上げる問題点としては「政治選択の不平等」と「選択範囲と行動のコントロール」に関しての問題です。

関連リンク
無責任野郎の平等論

★日本の政治投票における選択権の不平等
この項のタイトルにある「政治投票における選択権の不平等」が、現状の日本の問題点として取り上げられる理由はなぜなのでしょうか?

ブログ主の考えている問題点は主に三つあり「選挙区制の規制による国民の意見反映の制限」「金銭面での政治意見提示の制限」「パッケージ選択による選択幅の制限」


①選挙区制の規制による国民の意見反映の制限
日本の政治は、1990年代の世界のグローバル化が始まってから劇的に変化しました。これは特に政治投票に関しての政治家選出方法が中選挙区制から小選挙区制に移行したことが起因の一つとなります。


政治家選出における中選挙区制度は、簡単に言えば一つの選挙区で複数人(3~5人)の政治家を選ぶ選出形式で、一つの選挙区で「A党の政治家」と「B党の政治家」「C党の政治家」が同時に選出される可能性が有るため、必ずしも得票率トップで当確した政治家やその政治家を支持した人の意見が議会に反映えされる訳では有りません。

相反する意見を有する人たちも議会に居る事になるため、それらの人達の意見ともすり合わせる形でバランスを取った政策を行わざる得ないため、結果としてバランスが取れた政策や法整備が行われる事になります。

逆に小選挙区制度は、一つの選挙区で一人しか選出されないため、「A党の政治家」がトップ当選を果たせばB党やC党と言った他の党の政治家は当選できない事になります。そのため国政はともかく市政や県政では、特定の政治家を支持した人の意見を反映した政治が行われる事になり、そこから零れ落ちた意見は後回しにされてしまいます。当然その様な意見を聞いてもらえない側に何度も立たせられれば、人々は自身の政治干渉における選択権が侵害されていると認識し、不満を抱く事になります。

この中選挙区制から小選挙区制への意向が、日本における政治不信の問題点の一つとして挙げられる原因です。

②金銭面での政治意見提示の制限
二つ目の問題が「金銭面での政治意見提示の制限」で、これは立候補時の供託金制度がこれに当たります。この供託金制度は、「売名目的、泡沫候補の排除、選挙妨害の刺客制限」を目的とし、より公正な投票を促す為に導入されたと言われていますが、社会情勢からなる結果を見れば、明らかに国民の選択権を制限する制度として機能しています。

理由は、この制度は導入された当初は、最も高額な衆院選と参院選でも数万円(1万~3万円)の供託金でしたが、現在は300万円にまで高騰した事に有ります。この制度は1950年代から存在していましたが、当時から供託金が100倍に値上がりしているにも拘らず、所得の方は10倍弱が良いところで、導入当時と比べると立候補者の負担が圧倒的に増大しているのです。

ここで上記の「①」で述べた中選挙区制から小選挙区制への投票制度の移行を考慮に入れた場合、当選の間口が狭まり、供託金の没収をされる確率が増大した事を意味し、貧乏人ではたとえ良い政策のアイディアを持っていても、選挙に出て国民に提示する事さえもできない状況に追い詰められたと言えます。

ましてや1990年以降のバブル崩壊の煽りを受け、不況に苦しみ賃金が上がらない世代から見れば、自分達と同じ苦しみを味わい意見を代表して選挙に出てくれる者がいない事を意味し絶望的な状況と言えます。

不況下でも選挙に出て当選し政治に関わり合いに成れる人は、ある程度の資産を有するか、援助をしてくれる人達を重んじた政策を取れる政治家となり、結果として政治家を援助できる資産家の意見を反映したりする政治家が幅を利かせる事になります。


③パッケージ選択による選択幅の制限
もう一つの問題点が、政策では無く、人に投票しなければならないと言う点です。

人は、人それぞれの価値観を有し生きています。それは政治家も同じで、自己の行う政策に対し自己の価値観を反映させようとする決断を高確率で行います。

この事から選挙に出馬する立候補者が、投票者が「行ってほしい政策」と「行ってほしくない政策」を同時に提示して来る事も珍しくありません。そのため「行ってほしい政策」を提示している政治家が居ても、「行ってほしくない政策」まで行おうとしていれば、リスクの方を拡大して見てしまい、現状維持の意思から政治改革からなる投票先の変更が起こらなくなり、改革がされずに現状の固定化からなる停滞を招いてしまいます。

もし政策は政策として、立候補者は立候補者として別々に選び、「自身の選んだ人に、自身の求める政策を行ってもらう」と言うのであれば、これほど政治不信になる事は無いと思われます。


★政府による選択権のコントロール
上記の事から日本国政府は、権力と法制度を利用した「選択範囲縮小」や「取り得る"行動の保障"の剥奪」を行い、国民に対しての「環境整備による選択と行動のコントール」をしていると考えられる。

今まで述べた事を総合すると、

つまり「平成バブル崩壊による不況の開始」と「グローバル化による低賃金競争」によって所得の制限された国民に"②"で述べた「供託金制度による低所得層の政策提示の制限」と"1①"で述べた「選挙区制による多様な層を代表した政治家の駆け引きの場の破壊」が行われ、そこに"③"で述べた「国民の、政策に対しての姿勢の不提示」が行われてしまい、不満を持つ層が不満を溜め込み絶望し続ける状況が維持されたため、今日における政治不信に繋がっていると考えられる。

そしてこれらの環境設定は、偶然できた事では無く「経済の停滞」「海外との繋がり」「選挙制度の変化」の全てが、政府の政策の下で行われた事であると言う事である。

平成バブルの発生と崩壊は、現在では政府主導で金融機関に対し、融資を促進するよう要請した結果起こった事で、グローバル化と選挙制度の改変に至っては、政府の専権事項である。

この様な事から日本で行われている選挙は、民主主義と掲げてはいるが実際は、「多様なる意見を汲み取っての民主主義」の否定であり、国民は「政治家を選挙で選択している」ように見えるが、実際には「政治家や官僚に政治家を選択させられている」のであって、あくまでも政治家を選択している"気分を味会わされている"だけに過ぎないのである。


最もこの考えも当ブログで述べている国際的なパワーバランスを考慮した、日本の戦略を意識した場合、必ずしも国家の不利益になるわけでは無い。

増税等で社会が停滞すれば富の不均等が起こりお金は貯め込まれ、経済成長が止まり貯め込まれた富が海外に流出し、世界が日本から富が流れてくることを前提とした「対日依存経済」に成り、日本の対海外影響力が増大する事になります。

また貧困化や少子化を促進すれば、国家全体の省力化にも繋がるため対外依存率が低くなり、第二次世界大戦の原因と成った経済封鎖などのリスク対策として期待できる。

これらの「外部状況に影響を与えるためのリソース捻出としての国内状況作り」と言う観点から見れば、政治家や官僚の人が「法律による選択権の制限」と「国民に貧困化を促させる事による選択の制限」を行っている理由が理解できると思われます。

とは言え、一応政治家と言う存在は国民の代表と言う名目で、また官僚はその指示に従うと言う名目で国政を壟断しているのだから、率先して選択権の制限からなる一部の国民を犠牲にする構造を作りのではなく別の方法で行ってほしいと言うのが有権者としてのブログ主の考えとなります。


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以上で、「政府による選択権のコントール」に関する考察を終了しようと思います。

一応当ブログに書かれている事は、ブログ主個人の見解に過ぎませんので間違いが有るかも知れません。それらの事を前提の上で閲覧してください。

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