MMT

2019年09月19日

今回は、MMT(現代貨幣理論もしくは現代金融理論)に関する考察となります。

ただしMMT自体の事では無く、MMTを巡って日本の保守言論人と見なされている人達が割れている現状に関しての考察となります。

まず簡単に説明するとMMTとは"金融・貨幣・信用の創造"に関する理論で「"通貨"や"政府の負債"はその国が供給できる産業能力を債権化したものなので、どれだけ自国通貨建ての政府債務を増やしてもインフレは起これど破綻に至る事は有りえない」と言う理論です。

また「通貨の発行や政府負債の拡大を行い、通貨価値を下落させ物価高にさせても、より効率的にモノやサービスを供給できる体制を整えれば物価は安定し、所得の拡大(信用の増大)が起こり国民が豊かになる」と述べているのです。

これは当ブログでも散々述べて来た事で、MMT等と言う新用語を提示されなくても、世間一般で分かっている人は分かっている理論です。

この様に、

「通貨の信用がその国が市場に供給する生産能力と連動しているのであれば、自国通貨建ての国債をどれだけ発行しても、また通貨を発行したとしても"インフレに成るか?デフレに成るか?"の問題に過ぎず、破綻に至る事は無い」

と考えた時、現在先進国で言われている様な、増税して政府の負債を返済したり抑制したりする必要自体が無くなってしまう事になります。

また「紙幣を作って弁済に充てられる中央銀行を支配下におさめる政府」「徴税権を有する政府」は、時には通貨や国債を発行して経済を回したり、時には増税して市場に出回っている紙幣を回収したりする事によって、通貨供給の操作も行える事が出来るため、そもそも破綻するわけが無いと言う事になります。

無論、これは自国で発行する通貨や国債に関しての供給調整を述べているにすぎず、他国からの借金の事は理論の計算には入っていないので注意が必要となります。

長々と書きましたが、簡単に言えば「自国通貨建てで借金をして居る限り、破綻(債務不履行)する事は無いので、ガンガン自国通貨建ての借金をしても良いんじゃね?」の理論と考えていただいて結構です。


★政府の負債はGDP比率で見るな
上記の論理を前提にした場合、そもそも政府の負債をGDP比率で論じる必要さえ無く、民間であろうとも政府であろうとも、膨らんだ債務の反対側に同じだけの債権を有していれば、資産と負債のバランスが取れて安定して破綻には至らない事になります。

唯一怖いのは政府が赤字国債を極端に拡大した時は、信用が低下し通貨価値が下落する事によって、物価高が生じる事です。また通貨を不必要に市場に投入し、通貨価値を薄める行いもインフレによる物価高を誘発する恐れが有る事ぐらいです。

また対外黒字の国であれば、海外に対しての資産が増えるため通貨高圧力が常にかかる事になり、これによりインフレを相殺できる事から、安定した通貨発行が可能となります。

このため日本の様な対外黒字国の政府の負債は「価値の落ちない自国通貨量の増大を意味し、国民の使用できる資産が増大に繋がるため、本来その様な国は豊かになる」筈なのです。

通貨価値が安定しているにも拘らず、政府負債が増え、国民の生活が苦しい場合は、「お金を使用する必要の無い人が減税処置を受け富を溜め込み」、同時に「生活の苦しい人が増税を受け消費が出来なくなり、豊かな暮らしを行えないため将来を悲観して貯蓄に励む」と言った、富の循環の停滞が生じている為に生じる結果が有るからです。

全ては富の循環です。

つまり今の日本がこの状況に有ります。


★MMT(現代貨幣理論・現代金融理論)で割れる保守
上記の事からMMTを支持する人は、「インフレに成っても良いので、今まで以上に政府に負債を増やさせて、国民に所得を与えると同時にお金を溜め込むよりも物を買った方がマシな状況を作り、上記で述べた富の循環を生み出そう」と述べているのです。

これは以前から政治的に保守とレッテル張りされている、経済言論人の人達が述べていた事と全く同じなのですが・・・

ここに来て、彼らが且つて述べていた事とそっくりなこのMMT理論を、「実践するべき」と述べる論者と「行うべきでは無い」と述べる論者に、政治保守と定義されている言論人が真っ二つに分かれてしまったのです。

なぜなのでしょうか?

・支持する者たちの論理
MMTを支持する人たちの論理は、「"とりあえずインフレにして、モノやサービスを購入した方がお得な状況を作った方が、お金を溜め込むよりはマシ"な状況を作らなければ話が進まない」との考えで物事を考えているみたいです。

そして「もしインフレが進み過ぎた時には増税する事にすれば良い」との考えも同時に提示しており、ブログ主の視点から見ても、おかしな考えとは思えません。

ただし、「時の政府がインフレが進み過ぎた時に増税して通貨と物価のバランンス調整が出来るのであれば!?」ですが・・・

反対する人たちの目から見れば「現状を打開する為に無理矢理MMTを支持し始めている」だけに過ぎない、と否定的な評価を受け始めています。


・不支持側の論理
上記で述べた通り、反対派の反対理由は「インフレに成った時に増税するかの確約が無い」と言う事が、このMMTを支持しない理由として挙げています。

経済と言うモノは、景気が良すぎると言う事態も避けなければ成らず、現状のMMTでは「インフレ率の制御が提起されていないため、MMTを利用してインフレが進み過ぎた時に増税できなくなり経済が混乱するので反対」との認識の下で、MMTには否定的な立場を執っています。

恐らく「国民を裏切り続けた政府や財務省を信用する訳には行かない」との疑いが有るためこの様な認識を有しているのでは無いかと考えられます。


・「米国のMMTの支持者は、ファシストレッテルを張る輩だった」との噂
虎ノ門ニュースを見ていた時に、経済評論家の方が以下の総評を述べていた方がおられました。

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米国でMMTを支持する代表者と見なされている人たちが、自分達の気に食わない人達をファシスト扱いする様な人だったとの意見が出ており、この様な人達の述べているMMTを支持している日本の言論人は、どうかしている。
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これにより「この様な人物が支持しているMMT支持者自体に信用が無いのでは」と言う疑惑が出てきています。

ですがブログ主としてはこの意見に少しばかり言いたい事が有ります。

自分の気に入らない人達を「ファシスト扱い」「ナチス扱い」と言ったレッテル張りを行う人はいくらでもいます。

今回「この様な行動を取っている米国のMMT論者」や「その米国のMMT論者を支持し、日本のMMTを利用しようとしている言論人」が如何に自身の論評に適っていないと言っても、一部気に入らない理由でソレに連動している事象全てを否定する考えは、"気に入らない人達にレッテル張りする人"と何が違うのでしょうか?

敢えて名前はあげませんが、この様な人は気に食わない人にレッテル張りを行う人と何も違わないと考えられます。

・人は都合の良い部分をツマミ食いする生き物である
ブログ主も含めてですが、今回保守層の分裂とも言える状況が出来上がったのは「人が自分の都合の良い部分をツマミ食いして利用する生き物である」との自戒しないが故に嵌った落とし穴では無いかと考えられます。

ブログ主自身彼ら言論人の述べている事を支持している訳では有りませんが、多様な言論リソースを確保するためにもレッテル張りでは無く政策の分析を行ってほしいと思います。

★MMTの可能性
上記の事から、これからMMTがどの様に利用されるのかわ分かりません。ですが理論に対しての双方の意見は間違ってはいないと考えられます。

結局は政策を実行する政府が「MMTと合わせてどの様な政策を行うのか?」が問題と考えられます。MMT政策でインフレにしたのは良いが、不必要な大増税等を行い消費を冷え込ませ過ぎれば、スタグフレーションになる可能性も有ります。
(スタグフレーション:物価が上がるのに所得が下がる現象)

日本の政治家や官僚は「世界中の国々の政治家が認識する国際環境に影響を与えるために、国民を利用し騙して死に追いやる事」ばかりを行って来ました。

実際に今まで政策の影響で国民を数十万人は殺しているので、国民はそれらを理解した上で、MMTをどの様に政策に利用するのかを考慮し身構えていた方が良いと考えられます。

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今回は、MMT自体よりも、MMTがどの様に利用されるのかを保守系言論人と考えられている人達の対立構造から考察してみました。

ブログ主自信が何故この様な考察に至るのかと言うと、その人達個人を見てはおらず、政策や対立構造から、どの様に環境に影響を与えるのかを考察している為に他なりません。

もしかしたら彼ら右派左派の言論人の方々も政府と裏で繋がっている可能性が有るかも知れませんからね!


と言う訳で本日の考察はこれにて終了したいと思います。

何時も書いていますが、当ブログで述べている事はあくまでもブログ主個人の見解に過ぎませんので、間違いや勘違いなどが有るかも知れません。それらの事を前提の上で閲覧してください。

本日はココまで!!

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